概要
人権とは、人が生まれながらに持っているとされる権利(自然権)のこと。生存権・自由権・財産権などがあげられる。
国家に力がない昔の社会では強い者が弱い者の権利を侵害し放題であり、弱肉強食の過酷な社会となることがしばしばだった。
日本でも実行力のある政府が生まれ、江戸時代のような平和な世の中となっても世は身分制社会であり、身分の低い者の権利はないがしろにされるなど差別が激しかった。
近代になって自由主義や身分制の否定とともに人権思想が生まれ、紆余曲折を経て現在は憲法で人権が全ての人間に保障されている。
犯罪者に人権はないと言われることがあるが、人権があるからこそ犯罪者として裁かれるのである。
法人の人権について
人権は、もともと個人(自然人)を想定した権利であるが、現在では企業や団体などの法人に対しても、財産権などの人権が保障されるというのが一般的な考え方になっている。しかし、個人を対象とする生存権や参政権については、法人になじまない権利だと考えるのが一般的である。
石破茂は、「事実上の贈賄」として違法化が取りざたされる企業献金について、「法人参政権」ではなく「表現の自由」にあたるため、禁止するのは憲法に抵触すると主張している(米山隆一の国会質問に対する答弁)。
ゲーム用語としての「人権」
ゲーマー界隈では『誰しもが持つ人権のように持っていて当たり前』なキャラクターやアイテムを指す言葉として「人権キャラ」という言葉が広まっている。見方によっては『持ってないと(攻略難易度や話題的な意味で)プレイヤーの人権がない』という意味でもあり、人権無視レベルでプレイヤーに酷使されているキャラクターとも解釈できる。
「ゴジライン」サイトにある用語集によると「ゲームメディアなどではライン越えの表現となるため使いにくい」とのことで「jinken(じんけん)」とローマ字表記にして柔らかくする試みがなされたが、某ゲームメディアでは掲載拒否されたという。
あくまでゲーマー界隈のスラングであり、実在の人間に対して使用するべきではない。他者に対して「人権が無い」のように発した時点で明確な侮蔑・差別発言と見做されてもおかしくないからである。
「170以下は人権ない」炎上騒動
2022年2月、プロゲーマー・たぬかなが「(身長が)170ないと、正直、人権ないんで。170センチない方は『俺って人権ないんだ』って思いながら、生きていって下さい」とライブ配信で発言し、スポンサーから契約を切られた(「170cmない男は人権なし」人気プロゲーマー暴言で契約解除)事件である。
彼女の場合、自身も誹謗中傷に悩まされ、容姿への侮辱など、ゲーマー界隈に蔓延る女性蔑視、女性差別に反対の声をあげてもいた(たぬかなが困惑する「無敵の人」。女性ゲーマーの芽を摘む「容姿への侮辱」がネット上に作り上げられている)。
しかし、この発言と矛盾した暴言は強い批難を浴びる形となった(プロゲーマーたぬかな、所属チームが契約解除を発表 「差別的な言動許されない」)。
今回の件がきっかけとなり、たぬかな選手と同じく「CYCLOPS athlete gaming」に所属していたコバトン選手もTwitterにおける「池沼」「ガイジ」「ホモ」といった過去の差別発言が発掘され、契約を切られる形に(CYCLOPS athlete gaming、たぬかな選手に続いて「Kbaton」選手との契約解除を発表 過去の“差別用語スラング”発言で物議)。
職を失った彼女はしばらく表舞台から姿を消していたが、2023年1月から配信活動に復帰。しかし、2024年4月には配信中のアンチコメントに対し「アウシュビッツ収容所!」などと暴言を吐き、契約解除に追い込まれている(元プロゲーマーたぬかな、また暴言で契約解除)。