概要
日本全土に影響力を持つほどの大企業である「難波重工」の会長を務める老齢の男。
人物
古い銭湯を利用したり釣りに興じたりたい焼きを食べたりと庶民的な一面を見せることもあるが、その正体はファウストのスポンサーを務めるフィクサー(黒幕)であり、葛城巧が開発を進めていたビルドシステムを軍事利用しようと目論み東都で暗躍していた。
戦争編以降は西都を本拠地としている。
ブラッドスタークを新たなビジネスパートナーとしてからは、常に彼の顔色を窺っていたナイトローグが相手の時とは違い、彼を陰日向となく支援しており、北都にスクラッシュドライバーを流す協力をしたり、本来ならば厳重な管理下に置かれている筈のフルボトルを持ち出すことを黙認したりと、独自の思惑を持って好き勝手に動く彼を容認している節がある。
第29話にて、彼を信用はしていないが、火星の力は役に立つという旨の発言をしている。案外、腹黒い者同士で単に馬が合っているだけなのかもしれない。
実際、スタークがその正体を現して以降は彼をそれなりに危険視しており、37話では護衛の名目で鷲尾兄弟に監視をさせている。
目的
真の目的はパンドラボックスに秘められた力を使って核兵器よりも強力な兵器を生産して各国に売り捌く事であり、その目的を聞かされたとある人物すらも戦慄していた(もっとも、彼は本気で驚いた様子を見せ無かったので、ある程度はその目的は推察していたのかもしれない)。
なお、パンドラボックスが地球に運ばれる以前から、難波チルドレンと呼ばれる洗脳教育を施した子供たちの育成を行なっており、パンドラボックスの有無に関係なく戦争の為の人材育成にも力を入れていたようだ。
パンドラボックスの光を浴びた描写はないものの、自分の手は汚さずに多くの人間を追い詰めるその姿は、実際光を浴びている三人の首相と比べても自己中心的で劣悪と言える。
第29話冒頭では御堂正邦に化けた姿のままオーケストラを指揮しており(曲目はベートーベンの第九。一瞬前年の同放送枠の番組かと錯覚しそうなシーンである)、音楽家としての才覚もあるようである。
当初は表立って姿を現すことは無かったが、ビルドシステムの軍事転用が遅々として進まないことを不満に思っていた矢先に、巧の研究データが戦兎達の手に渡った事で、しびれを切らしたのか第9話で遂に表舞台に登場すると、繋がりを持つ氷室幻徳と接触。
ビルドシステムを西都、あるいは北都に流すと発破をかけて幻徳を焚きつけ、氷室泰山が軍事開発に乗り出さなければならない状況を作り上げるように誘導しようと目論む。一方で、ジャーナリストの滝川紗羽をスパイとして利用し、ビルドのデータを収集しようともしていた(最終的に石動美空に盗聴器を発見されて計画がバレてしまったため、口封じも兼ねて紗羽をファウストに引き渡してスマッシュ化させた)。
第12話では紗羽から戦兎達にファウストと東都の関係が知られると察したのか、内海成彰を「頼みがある」と言って呼び出す。その内容は幻徳の身代わりになり、今までの騒動は秘書である自分が起こした事だとマスコミを通じて知らせる事だった。途中ビルドの乱入があったが、最終的に幻徳が内海を狙撃して川に落とした後、嘘の記者会見を行い、内海に全ての罪をなすりつける事に成功する。具体的な指示の描写はなかったが、このアイデアは難波が幻徳に提案していた事が第13話で明かされた。
ところが、その第13話で幻徳への協力はリスクが大きいので、今までの関係を白紙にすると突然の協力解消を宣告する。そして新しいパートナーも見つかったとも話し、新たなパートナーとなったブラッドスタークと共に、今まで以上に暗躍の幅を広げることになる。
その後は、北都にライダーシステムやハードスマッシュなどの技術を裏で提供しつつも、実際は西都にも肩入れをしていたようで、第23話でエンジンブロス/リモコンブロスが登場して以降は「西都には天下を取ってもらわんとな」と、東都への戦争に野心を燃やす御堂首相の後ろ盾となる事を明言。
これ以降は西都側の人間として暗躍を開始する。
第28話では、難波チルドレンの一人であった紗羽に裏切られ(彼女はラビットラビットのデータしか渡していなかった)、それにより手を貸していた西都も代表戦に敗れてしまう。
紗羽が完全に難波重工と決別した事には「主人に噛みつくとは良い度胸だ」と怒りを露わにしつつも、西都の敗北に「どうしてくれるんだ」と狼狽える御堂正邦に対し、東都との約束など反故にして東都から「フルボトルを奪え」と開き直る。
首相としての立場もあり当然拒否する御堂だったが、そこへスタークが現れ彼を毒殺。毒によって御堂は消滅するが、なんと難波会長はスタークの能力で自身の姿を御堂のものに変えさせる。
まんまと西都首相の座を手に入れた難波会長は「難波重工が本気の戦争を教えてやる…!」と宣言し、次の陰謀を企てるのだった。
第29話では、万一敗北した場合を初めから想定して代表戦の放送を行わず、メディアを操作して代表戦の結果を西都の勝利として報道。領土とパンドラパネル及びフルボトルを引き渡す約束を守らない東都への実力行使という名目で新兵器・ハードガーディアンの大軍を東都に送り込み、現在手元にあるパネルとボトルを使ってパンドラボックスの力の一部を開放、スタークにパンドラタワーを出現させる。
このタワーの出現に伴ってスカイウォールは変形し、その際にスカイウォールの周囲にいた人々が巻き込まれて大きな被害が出たが、当の本人は御堂の姿で某戦争狂のように上機嫌でオーケストラの指揮者をしていた。
当然この横暴を東都政府が黙認する訳も無く、氷室首相は抗議の電話を彼に掛けるもこれをあっさりと躱し、西都の目的として「パンドラボックスを開くこと」と、「西都の軍事力を世界に誇示するため、まず東都を焼け野原にする」を(御堂首相として)氷室首相に対して宣言した。
首相官邸に戻った後はスタークに顔を戻してもらっており(曰く「いくら若返っても自分の顔が一番」)、御堂として動く必要がある時以外は元の顔でいるつもりらしい。
彼の目的からも分かる通り、代表戦の如何にかかわらず東都を焼け野原にするつもりであり、此処から仮に東都が全面降伏しようとも東都市民を虐殺するつもりであり、パンドラボックスの影響で野心に憑りつかれていたとはいえ、少なくとも戦争を終わらせ無用な被害を抑えようとしていた本物の御堂首相がどれだけまともであったかが分かる。
一方で、彼はパンドラボックスのエネルギーを核兵器を超える兵器を開発するために使う目的があるが、スタークは「パンドラタワーが完成すると地球は滅ぶ」という旨の発言をしており、この事実を彼が知らないのか、知った上で自分ならば制御できると思っているのかは不明。
もしも前者であるのならば、彼もまたスタークの掌の上で踊らされているに過ぎないが……。
第30話で遂に前回のあらすじに登場。御堂首相に変装したままであるにもかかわらず、つい「『我々』難波重工の兵器を世界にアピールするんだ!!」と口を滑らせてしまい、戦兎に怪しまれてしまうも、「だって、(西都は)難波重工と仲が良いんだもん」とごまかした。それでも御堂本人なのかと疑われる事になるが「そんなネタバレあらすじ紹介で言える訳がないだろう!!」と開き直った。(この辺については時系列がアレなので…)
本編ではゴルフに興じつつ、開発した兵器により、世界を未来永劫支配する難波帝国を築き上げるという野望を内海に語った。しかしその会話は幻徳に聞かれており、御堂に成り代わっていることまでバレて彼が離反するきっかけとなっていく。
第34話にて第33話でスタークがエボルト=仮面ライダーエボルとして復活したことを聞き、彼の動きを怪しみつつも、第32話で東都に奪還されていたパンドラボックスの再奪取を彼に任せるため、静観に留める。
第36話では、惑星を滅ぼすパンドラタワーをエボルトが勝手に完成させた事をたしなめる。しかし「難波重工の軍事力を示すこの上ない宣伝になる」と説得されて不問に付した。
第37話では、戦兎に計画を破られ撤収したエボルトに、「お前が多くの星を滅ぼした地球外生命体だということは聞いている」と切り出す。つまり36話からここまでの間にようやく彼の本性に気付いたという事であり、難波もまたエボルトの掌の上で踊らされていたということが明らかとなった。
エボルトは「地球人は面白い、もっと観察していたい」といかにも滅ぼす気は無いかのような返答をしたため、一応この発言を信用して協力関係を続けることとし、パンドラボックス奪還を急かした。
しかしエボルト自体を信用したわけではなく、東都側とのパンドラボックス引き渡し現場に鷲尾兄弟を派遣し監視役とした。
壮絶な最期
エボルトリガーの力が復活したエボルトから「首相はあんたのままでいい。ただし今後は俺の操り人形として生きてもらう!」と言われて激昂し、内海にガーディアンと強化されたブロスを率いさせてエボルト抹殺を決行するも、ブラックホールフォームの圧倒的なスペックの前に難波重工ごときの力など叶うわけもなく、エボルトに瞬間移動でその戦いの中継を見ていた難波のいる部屋へ侵入される。
恐怖に震えながら「金なら…金ならやる!! 難波重工の財産は全部やる!! だから命だけは助けてくれ!!」と醜い命乞いをした上、難波重工の社紋の描かれた旗にしがみついて怯え上がり、「やだ! やだぁ!」と子供が駄々をこねるかのように泣き喚くという醜態を晒し、エボルトからは「人間ってのはどこまでも醜いなぁ」と蔑まれるも、不意に態度を変えた彼から「最高だよ。俺はお前のような人間が大好きだ!」と称賛の言葉を受けながら抱擁される。その言葉と態度を見て、助かったのかと安堵しかけるが、その矢先にエボルトに毒を注入され、跡形もなく消滅した。
奇しくもその末路は、かつてスターク=エボルトと共に抹殺した御堂と同じく自らが掲げる旗を枕に彼の毒によって消滅するという皮肉極まりないものであった。尤も、最期まで自身が統べる西都を案じていた御堂とは対照的に、己の命惜しさから『難波重工の全部』…則ち自分がこれまで築き上げてきたものはおろか、自分を信じる多くの社員や子供達を投げ売ってでも、自分だけ助かろうとする一企業の長やフィクサーとしての誇りさえも皆無であった事を窺わせる救えない終わり方であり、東映公式の紹介では『浅ましく、みっともなく、金と権力にとりつかれた人間の最期』と彼の最後を端的に表している。
また、同話では難波に忠誠を尽くしてきた鷲尾兄弟もエボルトの手にかかり、それまで見せなかった「人間らしい」一面を最後に覗かせながら死亡(消滅)しているが、目先に迫った死の恐怖を前に、これまでの余裕や大物然としていた態度が全て崩され、底知れぬ悪意や欲望で隠してきた己の弱い本質を余すこと無く見せつけながら消えていった難波の末路もまた、鷲尾兄弟とは違う意味で「人間らしい」最期だったと言えよう。
そして彼という「柱」を失った社員の一人は、彼以上に救いようのない方向へと暴走していくことになる。
最終話での新世界にも難波という会社自体は存在しているが、彼自身は登場せず動向は不明。
上述のようにスカイウォールの惨劇が起きる前から野心を抱いていた節があるのだが、会社の規模が日本を裏から牛耳る巨大企業から町工場程度の規模に変わっていた(グループのうちの一企業だった可能性もあるが)のを見るに、スカイウォールの惨劇とそれに伴う政情不安が起きなかった世界ではそこに付け込んで急成長できず野心を抱いていてもそれを形にする機会がなかったのかもしれない。
余談
演じる浜田晃は『仮面ライダーストロンガー』の一つ目タイタン役として出演していた過去がある。
なお、平成仮面ライダーシリーズの出演は『仮面ライダーOOO』のゲスト以来2度目である。
特撮全体で見れば、他に『ウルトラマン80』や『シン・ゴジラ』にも出演している。
ちなみに平成仮面ライダーシリーズの敵キャラクターは若い年齢の役者が演じる事が多く、高齢であっても60代まで。主人公側の祖父母など味方側の役が多い70代の俳優が敵側を演じるのは珍しいことである。
また、昭和シリーズの大幹部を演じた人物が、平成仮面ライダーシリーズで再び敵側の重要人物を演じたのも珍しい(ショッカー首領やジェネラル・シャドウを演じた納谷悟朗氏や柴田秀勝氏などが春映画でそのままの役で登場したり、悪魔元帥/サタンスネークを演じた加地健太郎氏が『仮面ライダーアギト』で警視庁幹部として登場した例などは存在するが、別の敵側の重要人物として出演したのは珍しい)。
関連タグ
浦賀啓示:ある意味後継者と呼べる人物。
氷室彰:裏で武器の製造・販売を行う企業の社長で、新兵器を売り捌いて世界を戦火に包もうとした、という共通点の多い人物。偶然にも以前の協力者と同じ苗字である。
オズウェル・E・スペンサー:国をも動かす程の影響力を持つ大企業のフィクサーで、壮大な野心を抱き、その為に多くの人間を犠牲・利用したが、その本質はあまりに俗物だった、という共通点の多い人物。