「面白い、受けてたとう」
演:趙珉和
変身する仮面ライダー
概要
「ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス」に登場する、テロリスト集団「ダウンフォール」の指導者である科学者。仮面ライダーメタルビルドに変身する。
前作の「ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ」に登場した馬渕由衣と同様に、旧世界の記憶を持っており、旧世界ではエボルトの元で葛城忍と共にホワイトパネルの研究をしていた。
しかし、忍の裏切りによってロストボトルの実験台にされ、ゼブラロストスマッシュに変身させられた挙句、殺害された過去を持つ。
新世界においてもその傷が癒えることはなく、顔の右半分は焼け爛れたかのような悍ましい傷で覆われている。
そのマッドサイエンティストぶりから生前は大きな迫害を受けていた一方で戦争の中で発展する科学の力に魅入られてもおり、自身を認めなかった世界への復讐として新世界を「科学の力=兵器」によって支配しようと目論み、ネビュラガスよりも更に高性能な「ファントムリキッド」を発見・使用し、ファントムクラッシャーを生み出した。
人物
いわゆるマッドサイエンティストそのものであり、戦争の中で発展を遂げる科学の力に魅入られてしまっている。迫害を受けながらも科学による力だけでのし上がってきた事や旧世界では才能を認められなかった経験から、その力だけを信じて社会への復讐を目論む。
狂人ゆえの孤独や裏切られた経験から「ヒーロー」や「仲間」、「絆」といった概念を「そんなものはただの幻想だ」として信じておらず、部下や仲間に対しても平然と命を奪うという残虐さを見せる。
一方でm科学者としての実力は高く、ファントムクラッシャーなどの優れた技術を次々と生み出した。
活躍
『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』でパンドラボックスが復活した影響で、かつて忍に殺害された旧世界での出来事を思い出す。
国際テロ組織「ダウンフォール」の指導者として、ガーディアンのAIをハッキングして警備をすり抜けながら政府の国立先端物質学研究所を強襲。当初は顔をフードで隠していたが、研究所にいたかつての上司である忍に自身の正体や現状を明かす。
その後、ダウンフォール側の人間としての本性を見せたサイモン・マーカスがファントムクラッシャーに変身し、仮面ライダーローグを撃破。敗北した幻徳からビルドドライバーを奪い、殺害するかと思いきや、彼を人質として利用。
幻徳を利用して一海を誘き寄せようと試みるが、その後に目的を尋ねられた浦賀はホワイトパネルを利用することを語る。しかし、戦兎と龍我のアジトを襲撃した部下が持っていたホワイトパネルが偽物だったことに激怒し、部下をその場で射殺。
その直後に猿渡ファームを襲撃した部下から仮面ライダーグリスと北都三羽ガラスの変身能力を奪えないことを知らされると自ら出陣する事を決め、射殺した部下の手元からハザードトリガーを回収する。
ハッキングしたガーディアンを引き連れて石動美空を誘拐をしようとしたところ、美空を救いに駆けつけた三羽ガラスを見ると「グリスの取り巻き」と認識して、メタルビルドに変身。
戦闘力で完全に圧倒し、三羽ガラスを戦闘不能に追い込む。救援に駆け付けたグリスもその勢いで撃破するとホワイトパネルを政府官邸に持ってくるよう一海に要求し、人質として美空を連れ去った。
美空を政府官邸に連行し、官邸に居座っていたサイモンを用済みとして射殺。困惑の感情のまま死んでいったサイモンに代わって自身が日本のリーダーになることを宣言する。
「旧世界じゃ、俺の才能は見出されなかった・・・。だが今は違う・・・。俺がナンバー1だ。」
そして、全国にダウンフォールによる日本政府の支配を宣言する中継を流し、街への無差別虐殺と爆撃を開始する。
その後、グリスブリザードナックルとビルドドライバー、本物のホワイトパネルを持って首相官邸へ乗り込んできた一海と対面。一海にホワイトパネルの受け渡しを要求するが拒否され、彼が変身したグリスブリザードが多数のガーディアンやハードガーディアンを撃破し始める。
しばらくはその戦闘を観戦していた浦賀だったが、やがてグリスブリザードの目の前に現れると、再びメタルビルドに変身する。グリスブリザードの猛攻に押されていたが、ダメージは受けておらず、ファントムクラッシャーの救援でグリスブリザードの隙を突き、ハザードアタックをぶちかます。
その戦法をグリスブリザードから「汚ぇぞ・・・!」と批判されるが、「戦争に“綺麗”も“汚い”もない」と反論した直後にホワイトパネルを奪い、自身の体内に挿入。ファントムクラッシャーを強引に取り込んでファントムビルドに変身する。
新たな力でグリスブリザードを圧倒すると、一海に「旧世界の記憶が蘇った時、興奮したよ。戦争によって、科学の素晴らしさが証明されるあの高揚感・・・!」、「だから俺は決めたんだ!再び、この世界を火の海にしてやる!!」と、戦兎とは真逆の科学に対する思惑を語るが、一海から孤独の身であることを見抜かれる。
一海「悲しいな・・・。お前、ずっと独りだったんだろ・・・?」
「何が言いたい!?『仲間』だ、『絆』だの、ほざくお前らが!到底敵わない強さを俺は手に入れたんだァ・・・!!テクノロジーこそ・・・!全てなんだよォッ!!」
孤独であったことを指摘されたことで一海に激昂し、グリスブリザードを一方的に攻撃すると屋外へと吹き飛ばし、変身を解除させる。
止めを刺そうとしたその時、万丈が駆け付けたことで仮面ライダーグリスパーフェクトキングダムに変身を遂げた一海と再度対峙する。
最期
パーフェクトキングダム相手にも怯むこともなく、圧倒し、窮地に追い込む。
しかし、仮面ライダーとしての想いと覚悟を口にするグリスパーフェクトキングダムのハザードレベルが自分が散々見下してきた絆の力によって急上昇していく事態に動揺し、完全に形勢が逆転し、必殺技の波状攻撃を喰らいながらグリスから溢れ出る力に困惑する。最期はパーフェクトキングダムフィニッシュで止めを刺され、敗北が確定した中でファントムビルドは自分が負けた理由を尋ねる。
「俺の方が、遥かに高い能力を備えていた・・・。なのに、どうして・・・?この差は何だ・・・?」
一海「俺には守るべきものがあって、お前にはそれがなかった・・・。それだけのことだ。」
一海の返答に対して、浦賀は何も返すことができず、無言を貫いたまま、緑色の粒子と化して消滅した。
ファントムビルドが消滅した後には、取り込まれていたホワイトパネルが地面に落ちていた。
余談
性根から狂気に取り憑かれて腐りきった悪人だが、背景事情を見るに「戦争の被害者」と言えなくもない点は否定できない。
浦賀が狂気に入り込んだ戦争の原因はエボルト及びブラッド族にあるため、彼らの犠牲者でもあり、新世界の創生によって誕生した歪みの一つとも捉えることができる。
自らの言動から猿渡一海/仮面ライダーグリスに孤独であることを指摘された際に、異様に激昂したことや浦賀の最期から、無意識に孤独に苦しんでいたかもしれない。
これまで「ビルド」で一度も味方側に寝返らず、最期まで敵であり続けた仮面ライダーはいずれもブラッド族(エボルト/仮面ライダーエボル・伊能賢剛/仮面ライダーブラッド・キルバス/仮面ライダーキルバス)だったが、浦賀の変身するメタルビルドは『ビルド』で唯一悪意を持った人間が変身するダークライダーになった。