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概要

死の商人(merchant of death)とは、中世ヨーロッパで敵味方を問わず兵器武器を販売する者を呼んだ言葉(『デジタル大辞泉』)。近代に入ると、武器を販売し戦争によって私利を図る者一般をさす蔑称となる。1934年に組織されたアメリカ上院・ナイ委員会が、第一次世界大戦における彼らの活動実態を明らかにした。現代ではさらに、大規模に組織化された軍産複合体として大きな問題になっている(『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』)。


このような人物は国際的な人脈を持ち、各国の政府上層部やスパイ等の諜報機関と深い関係がある事も多い。当然の事ながら戦争が起きれば利益が増えるというイメージがあるので、軍備拡張競争や戦争の黒幕扱いされたり、悪役としてフィクション作品等に登場する事も多い。


現実でも紛争地域や大量破壊兵器の保有・非人道的行為への関与の疑惑のある組織等へ兵器の輸出を行う国や組織に対し、この蔑称が用いられる場合もある。また広く、兵器を輸出する企業や国に対しても、その経済的な私利に着目して使われることがある。


ダイナマイトの発明者であるアルフレッド・ノーベルは、心ならずもダイナマイトが工事用としてより戦争の道具として多用され、兄が死去した際にノーベル本人が亡くなったと勘違いした新聞が載せた「死の商人死す」という見出しにショックを受けたために、ノーベル賞を制定したという話がある(しかし、実際にはノーベルにとってダイナマイトが戦争で使われることは想定内であり、ダイナマイトの強力な破壊力が抑止力として働くことを期待していた。詳細はノーベルの記事を参照)。


一方で、例えば近代以前のヨーロッパにおいては「『どこから、どこまでが、どこの国か?』が不明確」「ある領主の主君が複数居る(その領主の領土は複数の国に属しているように見える)」が当り前であり「自国にも敵国にも武器を売る」と言っても、その「自国」「敵国」そのものが曖昧であった。

ある意味で、近代的な主権国家(領土・国民・統治者が一意に決る事が正常な状態と見做される)が成立した事により、それまでは「当り前」だった事に負のイメージが有る名前が付けられて悪と見做されるようになった、という見方も可能である。


なお、「軍産複合体」という言葉はもともとは政治学の用語であり、「政策決定に軍及び軍事産業のリーダーが大きな力をもっている状態」で「軍と軍事産業界の意思決定の方向が概ね一致している」場合に軍部と軍事産業界を一体となした複合体と呼ぶ事が出来るというもの。これ自体は別に軍需産業でなくとも起こりえるものだが、アイゼンハワーが間違った使い方をした結果、軍需産業が政治を支配しているという陰謀論的な使われ方となった。


実は…

近代においては軍需産業にとって最も好都合な状態は戦争ではなく、冷戦のような軍備拡張競争と緊張状態緩和の為の軍縮を繰り返している状態であると言われている。

どちらも規模に応じた新しい装備の開発・配備を進める必要があり、訓練や維持管理の為に資金を投入する、一方で大規模な戦闘による情勢不安等といった悪影響が少ない状況であると、一番利益を得ることが出来る条件が揃っている。


一昔前の、世界大戦のような複数の国を巻き込む大きな戦争でも起きなければ多少の戦争でも他人事で済んだ時代であれば製品の輸出で儲ける事が可能であったが、徐々に代理戦争においても悪影響が出るようになっていき、現代においては世界がより狭くなった結果、小規模の戦闘であっても悪影響を及ぼすようになってしまっている。

いざ戦争が起こると、民需部門の売り上げが落ちて経営に悪影響を与える可能性が大きい上に、軍需部門も戦局の変化により従来の計画を変更する、契約を打ち切るなどといった不確定要素が次々と発生するし、地域によっては資源の輸出入が減少して軍需のみならず民需の生産そのものに悪影響を及ぼす。祖国の戦争となれば「お国の一大事に金儲けか!」というバッシングを恐れて青天井のツケ払いを呑む羽目になったり、赤字を垂れ流しながら格安で商品を製造する羽目になることも多い。


そして戦争が終わってしまえば余ってしまった過剰在庫や戦時生産のために増設してしまった設備の処分に困り、拡充しまくった人員のリストラを迫られたり、戦費やその後の復興費がかさんで顧客である政府が支払い不能に陥ったりするリスクもある。

むしろ近年において戦争で潤った企業は、平時の延長線で活動すれば良い食料などや生活必需品を作る民需企業や輸送関連業など、軍需部門を持たない企業であった。

イラク戦争で明らかとなったそれは、ウクライナ戦争勃発後はそれが顕著に表れており、確かに軍需産業の利益は上がってはいるが、戦争勃発による物流崩壊やエネルギー問題などの悪影響がそれを遥かに上回り、国家や企業としては『安全保障』という概念以外の利点が全くない状態になっている。

陰謀論のように本当に世界を裏で操るような力を軍需産業が持っているのであれば、さっさと戦争を止めるかそもそも戦争自体を起きないようにして利益を得る方向にもっていくはずである。そもそもが軍需産業の規模では、民需専門の企業に負ける程度であり、その程度の力で世界はおろか一国を裏で操る等不可能であるのだが。


特に現代、IT技術を多用した軍需製品が増大した結果、研究開発コストが跳ね上がっており、軍用の細い需要では開発費用を回収することが難しい状況である。

このためにかつては潤沢な資源で開発された軍需技術を民需に転用する『軍民転換』が盛んだったのが、今や民需技術を軍需技術に流用する『民生転用』ないし同じものを使う『軍民両用』が常態になっている。

そのため、『軍需で儲かった企業が民間に~』というよりは『民間で培った技術で片手間に~』という状態。

特に日本はその傾向が強く、2010年代にいくつもの関係企業が撤退、廃業している上、最近は国営工廠の復活まで検討される辺り、かなり危機的な状況にある。

結果論だが、国家が軍需産業に利益を求めるのは、『儲かりたい』よりは『国防に直結する開発力を失わせない』という意味合いが強くなっているのが現状である。


諸外国においても軍需売上で世界最強の軍用機メーカーのロッキード・マーティンは、民需も含めた総売上ではより下位のボーイングエアバスに大敗しているという実情があり、マクダネル・ダグラスはボーイングに吸収されており、軍需が儲からないのは国際常識となっている。


国営企業が赤字により民営化、軍需企業が合併や吸収を繰り返して縮小傾向、儲かるとされる戦争中に軍需部門が他企業に売却、戦後に会社が倒産、等が相次ぎ、軍需部門は戦争では儲からないという話が有名になってきたからか、創作作品内でも似た扱いになっており、例えば機動戦士ガンダムシリーズに登場するアナハイム・エレクトロニクスでさえ軍需部門は「儲けは民需部門以下の雀の涙」「連邦政府や権力者たちと対等以上な関係を築くための道具で、利益は大したことはない」という扱いとなった作品も登場している。(なお、アナハイムが政治的に台頭しているのはこれだけが理由ではないのだが・・・)


フィクション作品に登場する死の商人

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