人は人に生まれるのではない人になるのだ
概要
フランスの漫画家であるトニー・ヴァレント氏が手がけた、ファンタジー漫画である。
日本では2015年8月5日より、飛鳥新社から日本語翻訳版が「EURO MANGA COLLECTION」より刊行されている。
彼は日本の「マンガ」から大きな影響を受け、フレンチコミックでありながら西洋人作家が描いたとは思えない日本の少年漫画と見紛う作風で描かれており、文法においても日本漫画の技法が使用されている。
一方で、フレンチコミックの色も失われておらず、読者には日本の漫画とは少し違ったものも感じられるらしく、そうした要素も含めて、村田雄介氏や真島ヒロ氏など、日本の名のある漫画家からも高く評価されている。
見習いの魔法使いである主人公と、師匠である魔法使いや自身を取り巻く人々、魔法使いにしか倒せない魔物をはじめとした強大な敵との間で、笑いあり、涙あり、アクションありの一大活劇が繰り広げられる内容となっている。
あらすじ
空に浮遊する島々に人々が生活する世界。この世界では、どこからともなく突如として現れる謎の怪物『ネメシス』の襲撃に、人々は日々苦しみ悩まされていた。そんなネメシスと戦うことができる唯一の存在が、彼らが忌み嫌い迫害の対象としている魔法使いたちであった。
そんな中、師匠であるベテランの女魔法使いアルマの下で修行に励む見習い魔法使いセトは、早く一人前と認めてもらうべく、まだ見たこともないネメシスを探し回っては厄介事を起こしていた。
「なぜ自分たちを忌み嫌う連中のために戦わなければならないのか?」そんなこと愚痴りながらネメシス退治ばかり考えていたセトは、ある日ネメシスを探すためアルマに黙って街に出たが、そこで遂に本物のネメシスと出会し、居合わせた街の住人や魔法使いのグループたちを巻き込む騒動に発展する…。
登場人物
主要人物
アルテミス学院
- マスター・ロード・マジェスティ(CV:山口勝平)
- ヤガ(CV:吉野裕行)
- ミス・メルバ(CV:東山奈央)
- ミスター・メルバ・パパ(CV:利根健太郎)
異端審問所
- 野獣トルク将軍(CV:三宅健太)
- ウルミナ・バグリオーレ少佐(CV:早見沙織)
- リゼロッテ隊長(CV:佐倉綾音)
- 山頭サントーリ大佐(CV:緒方賢一)
- フォン・ツェペシュ少佐(CV:寺島拓篤)
- コンラッド・ド・マルブール隊長(CV:村瀬克輝)
- ヴェローヌ(CV:黒沢ともよ)
魔法使い騎士団
商人男爵
その他
- ピオドン(CV:木村良平)
- ドン・ボスマン(CV:稲田徹)
- ジュリヴェール・ジェノ
- タジ(CV:田村睦心)
- ハーメリーヌ(CV:内山夕実)
- ディアバル(CV:小野賢章)
- ミル(CV:島田敏)
- ユグドラジル(CV:井上喜久子)
- ミスター・ボブリー(CV:小市眞琴)
世界観
舞台となる世界『ファレノス』では、空に浮かぶ多く島々が存在し、人々はその島の中で生活している。その下には海や大陸も存在するようだが、今のところ作中ではまだ確認されていない。現在判明している北西部には、東方の『エストリー王国』、中央の『シファンデール』、西南の『ポナンタン諸国』の3つの大国が確認できる。
空に浮かんでいる故に飛行船の技術が発達しており、巨大な大型船から小さな飛行艇、生活しながら移動できる小屋型のものまで様々なものがある。
生活している人間は、実際の世界同様に白人・黒人・黄色人種、キリスト教徒やイスラム教徒のような風貌の民族など人種も文化も様々であり、そのために文化の違いなどによる人種間・民族間の摩擦が存在し、これらは実際のヨーロッパ諸国における現実にある社会問題を風刺している面があると思われ、魔法使いたちが迫害に遭っている様子は中世ヨーロッパの魔女狩りがモデルとなっている。
用語
- ネメシス
空の上から島々へと幾度となく落ちてきては、人々の住む場所を荒らし回る謎の魔獣。その姿は獣のようなものや人型をしたものまで多種多様で、一つの場所に留まることはほぼ無く頻繁に移動し、個体のいた範囲には「羽の生えた木」が生える。エコー・ネメシスと呼ばれる小さな個体とそれを引き連れる親ネメシスとがおり、このうち親ネメシスの場合は触れただけで人は雷に撃たれたようにショックで死んでしまう。
- 魔法使い
常人はネメシスに触れただけでショック死してしまうのだが、その中で生き残った者は以降は触れても平気になり(確率は0.01%)、魔法を使う力を得てネメシスと戦うことが出来るようになる。それが本作における魔法使いたちである。しかしその代償として、彼らには他の人間には無い人外的な特徴や病のような症状が現れ、それらは作中では「呪い」と称されている(セトの頭の角やメリの性格豹変など)。そうした特異さや力を得た経緯から多くの人々からは偏見から「感染者」「悪魔の契約者」「穢れた者」と気味悪がられ、時に命の危険にさらされるほどに迫害の対象となっている。
- ドミトール(ネメシス使い)
魔法使いたちの中でも、魔獣ネメシスと心を通わし彼らとの間に契約を結び、自在に操ることができる者たちの総称。しかしネメシスたちは命じれば従うわけではなく、独学でその技を身に付けるのは非常に困難であり、多くの場合は専門の師から鍛えられることで身に付けるという。
- ファンタジア
作中において、魔法使いが魔法を使う際に必要とする、世界のありとあらゆる場所や物に存在し、循環している自然のエネルギー(いわゆる魔力)であり、魔法使いたちはこのエネルギーを使うことで、多種多様な魔法を使うことができる。ちなみにネメシスがあらゆるものを破壊する際もこのエネルギーを使用しており、古代語では「想像力」を意味するという。
- 異端審問所
力を得たことでその力を悪用し犯罪に手を染める魔法使いたちと戦う目的で創設された国際組織であり、本作の舞台となるファレノス北西部の東方に位置する国『エストリー王国』の首都『ボーム』に本部を構え、多くの支部を持っている。本来は悪い魔法使いから人々を守るための組織であったが、徐々に強い権力を持つようになり、島によっては現地の軍隊に取って代わるほどの軍事力を持つ。影響力も強く、新聞屋などマスコミを使って魔法使いへの恐怖を煽ったことで、人々に魔法使い狩りをさせ彼らと民衆の溝を深める原因を作った存在でもある。
- “奇跡の人”修道会
異端審問官の中でも、兵士から元帥に至るあらゆる階級から選ばれた者たちによって構成された、特別なエリート幹部組織であり、彼らはある通過儀礼を受けた後に、魔法使いすら圧倒する常人離れした能力を手にし操ることができる。この能力は魔法使いが使用する魔法とは異なりファンタジアは使われておらず、作中では“奇跡”と称されそこから彼らは「奇跡の執行者たち」と呼ばれている。
テレビアニメ
2018年秋アニメとしてEテレで放送される事が1月31日に発表され、2018年10月6日から放送開始された。
監督は『暗殺教室』などを手掛けた岸誠二、シリーズ構成は岸誠二とコンビを組む事が多い上江洲誠、アニメーション制作は上述した作品や『ハクメイとミコチ』等の『ラルケ』が担当する。
キャラクターデザインは、上述の作品において作画を経験している河野のぞみが担当し、総作画監督も務めている。
放送は2018年秋~2019年冬までの2クールだが、放送は2月で終了(長さとしては1.7~1.8クール相当)している。後に4月から再放送が行われ、秋からは第2期が放送されている。
それ以外にも第1期は2019年1月に箱根駅伝を思わせるような往復再放送を実施、それ以外にも何回か別枠で再放送される等、Eテレ作品としては恵まれていると言えるだろう。2024年4月から再放送が行われている
主題歌
オープニングテーマ
- 第1シーズン
『Utopia』
作詞:GEN
作曲・歌:04 Limited Sazabys
編曲:akkin
- 第2シーズン
『ナラク』
作詞・作曲:渡井翔汰
編曲・歌:Halo at 四畳半
エンディングテーマ
- 第1シーズン
『ラディアン』
作詞・作曲:雫
歌・編曲:ポルカドットスティングレイ
- 第2シーズン
『ちっとも知らなかった』
作詞・作曲・歌:NakamuraEmi
編曲:カワムラヒロシ
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ある意味和洋折衷