イスラム教を信仰する人々の総称。
概要
信仰内容はイスラム教の項目を参照。
他のイスラム教徒を証人として、「アッラーフの他に神はなし。ムハンマドはアッラーフの使徒である。」という信仰告白(シャハーダ)を唱えれば、その時点でイスラム教徒になるプロセスが完了する。
このほか、イスラム教徒の父から生まれた人は自動的にイスラム教徒という扱いとなる。
なお、イスラム教徒男性はユダヤ教徒やキリスト教徒の女性と結婚できるが、イスラム教徒女性は同じイスラム教徒とのみ結婚が可能である。とはいえ、その戒律を重視するかどうかはほかの戒律同様信者に委ねられているのが現状で、異教徒との結婚は極めて一般的とは言えないが、かなり見受けるケースである。
改宗は極めて簡単だが、反して棄教は名目上不可能である。ハディース(ムハンマドの言行をまとめた記録)上棄教者、背教者は死罪とする見解が一般的だが、実際には十分な説得を試みたのち、不可能であれば国外追放あるいは最悪精神病院に強制入院させるというのが一般的で、本当に処刑された例はほぼ皆無に等しい。
名目上というのも、イスラム教では棄教の宣言は禁じられているが信仰を止めることは禁じられておらず、それを確認することを他の信者が行うことも禁じているため内心上の信仰放棄は認められているためである。
地域
地域としてはイスラム教を国教としている東南アジアのインドネシア、マレーシア、中東諸国、北アフリカに多い。ヨーロッパやアメリカ合衆国などにも移民社会としてイスラム教徒のコミュニティが存在する。
人口
2000年には10億人を超え、地球人口の五人に一人がイスラム教徒、2016年には約16億人を超え、地球人口の四人に一人、という状況である。「約」としたのはイスラム教には信者を正確に統計するシステムが存在しないため、各国の人口統計などからおよそとしか計測できないためである。
現在、統計上の人口はキリスト教徒が一番多いが、2100年には追い抜き、世界最大の宗教人口になる、とピュー・リサーチ・センターは予測している。
が、あらゆるイスラム教国、イスラム教社会でこの傾向があるわけではなく、サウジアラビアやイランのような保守的な国々でも出生率は下降傾向にある。国毎の出生率(国の合計特殊出生率順リスト)を見ても、発展途上国のほうが出生率が多い傾向があり、それは国別の主流の宗教を問わない。象徴的なのが国民の平均所得が世界屈指であるカタールおよびアラブ首長国連邦で、いずれも欧州の先進国並となっている。
移民を受け入れているキリスト教文化圏では「移民の出生率」が脅威として語る文脈で言われ、右派などに用いられる事もある。
上記の例からも、「イスラム教徒だから」という理由で出生率が高くなる、ということは強力な理由になりえない。高くなる場合、所得問題といった他の社会的状況とも合わさった結果ということになる。
移民と先祖代々の現地民の出生率というデータは、上述の理由からもセンシティブなものとなる。フランスでは政教分離原則を理由に宗教別、民族(エスニシティ)別の統計が禁じられている(少なくとも公的な統計は存在しない)が、この理由からも統計解禁否定論が強い。