概要
イギリスのコミック雑誌「ウォリアー(Warrior)」に1982年から1985年にかけて白黒の作品として連載された。1985年に「ウォリアー」誌の廃刊後、1988年にDCコミックスからカラーとなって復刊され、1989年に全10巻で完結した。2006年に日本語版が小学館プロダクションから出版されている。
「Vフォー・ヴェンデッタ」というタイトルは編集長のデズ・スキンがつけたものだという。また主人公の"V"の外見は、近代的な警察官の制服をもとにしたデザインが予定されていたが、ロイドの発案により現代版のガイ・フォークスという姿になった。
2006年に実写映画化された。映画監督は『ムーラン・ルージュ』や『マトリックス』三部作の助監督を勤めたジェームズ・マクティーグ。製作・脚本は『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー兄弟(のちに姉妹)。V役を『マトリックス』でエージェント・スミス役を演じたヒューゴ・ウィーヴィングが担当している。
映画版
ストーリー
かつてのアメリカ合衆国が事実上崩壊した近未来において、独裁者のアダム・サトラーによって全体主義国家と化したイングランド。
国営放送BTNに勤務する女性イヴィー・ハモンドは、11月4日の夜に夜間外出禁止令を破って外出してしまい、秘密警察ザ・フィンガーの構成員フィンガーマンに発見され強姦されそうになる。
そこにガイ・フォークスの仮面を被る謎の男“V”が現れ、イヴィーを救った。
そして11月5日へと日付が変わった直後、“V”はイヴィーの目の前で裁判所の爆破テロを敢行。その翌朝、今度はイヴィーの職場であるBTNを占拠し、電波ジャックを行う。
“V”は国家の異常さを訴える放送の最後に「1年後の11月5日に国会議事堂の前へ集まって欲しい」と国民達に呼びかける。
その後も“V”は国民に警鐘を鳴らし、サトラー政権の幹部達を次々と血祭りにあげていく。彼にとって自らの行いの根幹はとある過去に対する復讐(“V for Vendetta”)でもあった。
そんな“V”に当初は好感を抱きつつあったが、徐々に彼の異常な行動に忌避感を覚え逃走するイヴィー。
そのイヴィーを匿い、自身もまた現体制に抑圧されたマイノリティである事を明かす上司のゴードン・ディートリッヒ。
一方で“V”の足取りを追う内に、サトラー率いる現体制成立の裏に隠された、その根幹を揺るがす壮大な陰謀を知ることになる警察官エリック・フィンチ。
“V”への対応が次々と後手に回る中、自らの立場に危機感を抱くザ・フィンガーの長官クリーディー。
そして“V”の起こすテロを契機として次第にサトラー政権への疑問を抱き始め、長い間閉ざされていた口をそれぞれに開き始める国民達。
それぞれの思惑が交錯しイングランドが混乱を極め、多くの血が流されていく中、“V”が放送で約束した11月5日――かつてガイ・フォークスがウェストミンスター宮殿内にある議事堂の爆破を計画し、決行目前で逮捕されたガイ・フォークスの日が刻一刻と迫っていく。
キャスト
V - ヒューゴ・ウィーヴィング
イヴィー・ハモンド - ナタリー・ポートマン
エリック・フィンチ警視 - スティーヴン・レイ
アダム・サトラー首相 - ジョン・ハート