エージェント・スミス
えーじぇんとすみす
「アンダーソン君」
電脳空間マトリックスのプログラムで、「エージェント」の1体だった。
ピクペディアの「エージェント」のページはもう使用されているので、ここで先にマトリックスのエージェントについて説明する。(個体としてのスミスに関しては後述。)
外見は全員、黒スーツ(実際は黒に近い深緑、裏地は明るい黄色)&黒サングラス。標準武装として.50AE仕様のデザートイーグルを装備。
また、左耳にシークレットサービス等が使っているアコースティックチューブイヤホンを着用。ここから無線によるマトリックスへの侵入情報や警察無線の情報、エージェント間の遠隔でのやり取りが行われているらしく、マトリックスを管理するサーバーと接続するプログラムとして機能している模様。一時的にこのイヤホンを外したスミスは事実上マトリックスから(プログラム的な意味で)ログアウトし1人の人間のように振る舞っていた。
基本的に無口無表情。外見は人間だが、(ターミネーターやハンター程ではないものの)とにかく機械的。一応言葉を使ってコミュニケーションを取ったり、余裕を持って相手にとどめを刺す前には台詞を添えることもある。
マトリックスに侵入してくるザイオンの人間や、削除命令に従わなかったプログラム「エグザイル」などを排除することが仕事。
パソコンで言うとウイルスバスターなどがエージェントにあたる。
プラグに繋がれてマトリックスの支配下で生きている人間達に乗り移って行動する。他人のアカウントを勝手に利用してログインするようなもの、と言えばわかりやすいだろうか。
拳でコンクリートを砕き、大口径のデザートイーグルを片手撃ちで正確に射撃し、銃弾を超高速で避けるなど超人的な能力を発揮するが、マトリックス内の物理法則を破ることはできないように設定されており、接射等はさすがに避けきれない。(一説には「マトリックス内の人間が取り得る全能力値の最大値を取っている」というものがある。尚、全てのプログラムが必ずしもマトリックスの物理法則を破る事ができないというわけではない点に注意。古いプログラムの中には意図的な仕様としてマトリックスの物理法則に反する能力を付与されたものも存在しており、その生き残りがメロビンジアンという情報管理プログラムのエグザイルの下で犯罪組織として活動していることが明かされている)ただしその場合も破壊されるのはエージェントとしてのプログラムではなく乗り移られた人間の肉体のみで、エージェントは別の人間に乗り移って活動を続ける。
また、人間に乗り移る能力についても同時に乗り移れるのは1人までであり、同一のエージェントがマトリックス内に複数同時に存在する事はない(全員が同じ服装なので解りにくいが)。
基本的にネオ以外の味方サイドは相手にならないほどの強敵である。
第1作ではエージェント3人のリーダー的存在として登場。
他のエージェントたちと違い、マトリックスやそこに住む人間達を明確に嫌悪し、上述したマトリックスのサーバーと接続するイヤホンを自ら外した上で、マトリックスでの仕事からの解放を求める発言をするなど人間くさい部分がある。なおこの時は再度イヤホンを装着するまでビル内でのネオ一行とSWATとの戦闘情報等は一切得ることができておらず、他のエージェントが部屋に入ってきた際には慌ててイヤホンを付け直すなど「エロ本を見ていたら気づかないうちに親が自室の前まで来ていた」かのような行動を示した。
そのためエージェントの中だけではなく作中のキャラクター全体の中でも(なぜか)よく喋るし表情もよく変わる。一部では主人公のネオよりも台詞が多いのではないかという話もある。
ラストシーンでプログラムを破壊されて消滅したかに見えたが、第2作以降では削除命令を拒否してマトリックスに戻ったエグザイルとして登場。サングラスのデザインもエージェントのモデルとネオのモデルの中間的なものに変わった。マトリックスの管理と支配から離れた証として、破損したイヤホンをネオに送り付けている。(イヤホンが機能するものであったとしても救世主ネオにとってはマトリックス内のプログラム情報を視認できるため不要である)
エグザイルになったスミスは本人曰くネオが持っている「救世主のコード」の一部が上書きされたらしく、「マトリックスに定められた法則を無視して動ける」という救世主の性質がコピーされたのか「同時に乗り移れるのは1人まで」というルールを破り、他の存在に自分のデータを制限なく上書きしまくる増殖能力を手に入れた。
また、プラグに繋がれた人間だけでなく他のプログラムやマトリックスの支配から逃れてザイオン側に渡った人間までも取り込み、乗り移った人間の現実世界におけるハードウェアにあたる脳を物理的に変質させて現実世界に行き着き現実体としての肉体を得るということさえも可能になった。
格闘能力についてもエージェントに定められた限界値を無視し、以前の自分達からアップグレードされた新世代エージェントもあっさり取り押さえ、自分のデータを上書きする場面もある。
反面、数に頼った戦い方を覚えたためか、時代劇の斬られ役よろしくネオ一人に蹴散らされるなど、ザコっぽさも幾分増してしまった。(ただしこれだけ強くなったスミスの集団を蹴散らせるのはネオが救世主でありマトリックス内でも屈指のチート存在であることの証明でもあり、上記の通りネオ以外の相手に対しては1体だけでも文字通り規格外と言える戦闘能力で圧倒している)
本人は嬉々としているとはいえ無限に増殖・拡大しあらゆるデータを侵食していくスミスは最早ウィルスも同然の存在であり、マトリックスを支配するデウス・エクス・マキナにとっても脅威となる。
マシンシティを訪れ、直接デウスと交渉したネオとの間に協定が結ばれ、ネオがスミスを倒す事を条件に、機械軍のザイオン侵攻は中止される事となった。
なお、第2作以降エージェントでなくなってからもキャストクレジットに表示されている役名は「 Agent Smith」。
ネオを「アンダーソン君」と呼ぶほぼ唯一の人物。これはネオがマトリックスから脱出する以前の生活で使われていた「本名」である。
(そのため第1作でアンダーソン君(=ネオ)の勤めていた会社の上司ラインハートもこう呼んでいるが、金曜ロードショー等のテレビ放送では出番を丸ごとカットされることが多い)
「ネオ」という名前は知っているはずなのに何故か頑なにアンダーソン君と呼び続けており、本人にネオだと訂正されても最後まで執拗にアンダーソン君と呼ぶ。他のエージェントもネオに対して「ただの人間」と発言するため、ネオ=自分達プログラムを超える能力を持った人間の存在を認めたくないことの表れかもしれない。
第2作序盤にて1度だけ「ネオ」と口にしているが、本人に対してではなくレジスタンスの人間を介してネオに「贈り物」(先述のイヤホン)をする際に告げただけである。
第3作にてついにマトリックスから完全消滅したかに思われたが、第4作にてまさかの復活。エージェントの服装ではなく、ビジネスマンタイプ(公式Twitterの記述より)のブルースーツスタイルで登場する。アンダーソン君呼びも変わらずのようである。
俳優はヒューゴ・ウィーヴィング。
何体か存在している。が、少なくとも映画では名前が1度も呼ばれていない。映画版では基本的に3体1組で行動しているほか、ゲーム「Path of Neo」では1作目と2作目の間、スミスがネオに倒された後アップグレードが行われるまではジョンソンとブラウンが2体だけで行動していた。
映画第1作ではスミスの他に、ジョーンズとブラウンが、第2作以降はアップグレードされた新世代エージェントとしてジョンソン、トンプソン、ジャクソンが登場。アメリカでよくある名前=「どこにでもいる」ということを象徴している。
またゲーム「MATRIX ONLINE」には女性型のエージェント・ペースが登場。黒スーツ+タイトスカートである。
あくまでエージェント達はマトリックス内の物理法則に従って行動しているため、腕が伸びる、時を止めるなどということはない。しかし、プラグに繋がれた人間を介してどこにでも現れるため事実上のテレポートは可能である。
プログラムとしての死がなく、目的のためには自殺行為も平気で行うため彼らに追われることとなればまず間違いなく命を賭けた行動を求められる。
ネオは作中において、救世主の能力でスミスを破壊することに成功した。(ただしプログラム上の削除プロセスが正しく実行できず厄介になって復活した。)
また、救世主としての能力を用いない場合は
「マトリックスからプラグアウトする」
「銃弾を受けたり列車に轢かれるといった人間が死ぬレベルのダメージを与える」(エージェントは銃弾を避けるが、頭部に被弾すれば乗っ取り元の人間が死亡しプログラムが他の人間に乗り移る)
「プラグに繋がれた人間が誰もこちらを認識できず、エージェントもいない場所に逃げる」
・・・といった方法で一時的に逃げることができる。しかしあくまで時間が稼げるだけであり、根本的にエージェントを倒す方法は救世主(或いは救世主のコードを一部でも持つ存在)による物理法則を超えた攻撃しかない。マトリックスに侵入するザイオンの人間達はエージェントになるべく対峙することのないよう、プラグに繋がっている人間に最大限警戒しながら行動しているのである。