動物一般の脳
脳は動物の全身の部位から集めた感覚の情報を整理し、また全身に指示を出す役割を持つ臓器。神経系の中枢である。
動物の種類によっては明確な脳が分化していない場合もあるが、脊椎動物、節足動物、軟体動物の頭足類では発達しており、その程度は頭足類のイカ・タコ類と、脊椎動物の哺乳類と鳥類で著しい。脊椎動物では脊髄とともに中枢神経系を構成する。
神経細胞(ニューロン)とグリア細胞(中枢神経における神経細胞以外の細胞。アストロサイト、オリゴデンドロサイト、シュワン細胞など)で構成されている。
人間の脳
人間の脳は頭蓋骨の内部にあり、大きく大脳・小脳・脳幹の3つに分けられる。外観はボクシンググローブのような形をしており、小脳は親指の部分、残りの部分が大脳にあたる。脳幹は大脳と小脳の間に隠れている。
脳の大きさは男性は1350〜1500グラム、女性では1200〜1250グラム程度とそこそこ性差・個人差があるが、脳の大きい人ほど知能が高いとは限らない。人体の中でも肝臓と並び非常にエネルギー消費が激しい器官で、人間の体重に占める脳の重さは2%ほどに過ぎないが、エネルギーの消費量は18〜20%を占める。
このため酸欠や栄養欠乏に極めて弱く、それらの状況下では短時間で脳細胞の死から脳機能の喪失を招く。窒息や溺水、あるいは急な心肺停止を起こすと、運よく蘇生して心肺機能は回復しても脳機能が喪失している、いわゆる脳死状態に陥っているケースも多い。また、熱にも非常に弱く、熱中症や高熱でも容易にダメージを受けてしまう。
脳は非常に複雑な臓器であり、解剖してみてもその機能はほとんど分からなかった。大雑把な機能は怪我や病気で脳を損傷した人の研究で少しずつ明らかにされてきたが、細部については依然として不明である。近年、MRIなどにより生きた脳を細胞レベルで解析するコネクトームプロジェクトによって神経細胞の接続の解析が試みられているが、得られるデータが巨大過ぎて(ビッグデータ)コンピュータの助けなしには解析が困難である。
大脳
大脳は人間において非常に発達している部分で、脳全体の8割を占める。全体的に大きなしわがあり、表面部は神経細胞の細胞体が多く集まっており灰白質と呼ばれ、深部には神経細胞の刺激を伝達する軸索が集まっており白質と呼ばれる。右脳と左脳の2つの大脳半球があり、脳梁でつながっている。思考や意識、記憶、体の意識的な運動や感覚を司る。人間では言語や視覚に関わる部分が特に発達していることが知られているが、詳しいことはまだよく分かっていない。
大脳辺縁系
大脳と脳幹を繋ぐ部分にある、記憶の固定や感情の動きに関わる扁桃体、記憶や空間学習能力に関わる海馬などの総称。大脳や小脳に比べると研究が進んでおり、役割が比較的よく分かっている領域が多い。視神経と嗅神経はここにつながっている(他の神経は脳幹または脊髄につながる)。
小脳
大脳の下に位置する、大脳の10分の1ほどの大きさの器官。大脳よりも多くの神経細胞がある。体の運動機能を調整し、体のバランスを保ったりする役割があることが古くから知られているが、近年知能にも大いに関わっていることがわかってきた。
脳幹
脳幹は大脳と小脳の下に位置する。脳の中でも最も原始的な部分で、呼吸や心臓の動きなど生命維持に直接関わる役割を担う。脳幹が麻痺すると自発呼吸が失われ、脳幹に回復不可能な障害が生じると脳死を引き起こす。ホルモンの産生と放出により自律神経機能を調節する視床下部もここに位置する。また、脊髄につながり、全身の神経との通路にもなっている。
脳とコンピューター
脳もコンピューターは著しく構造が違っている(そもそも脳の情報処理がデジタルなのかアナログなのか完全な結論が出ていない)が、脳の構造にヒントを得てコンピューターのアーキテクチャ(コンピュータの論理設計)を改良しようとする試みも行われている。
脳もコンピューターも基本的にクロック同期型であるが、コンピューターのクロック周波数は数GHz(1秒間に数十億回の同期信号で動作する)なのに対し、脳のクロック信号に当たるガンマ振動はせいぜい数十Hz(1秒間に数十回)でしかない。神経細胞はトランジスタより極端に動作が遅いのだが、トランジスタには3本の足しかないのに対し1個の神経細胞は数千本ものシナプスがあり、大脳に存在する数百億個もの神経細胞の一部だけが動作するとしてもその並列度は膨大なものになる。ちなみに、現在のハイエンドのCPUやGPUのトランジスタも数百億個あるが、特にCPUの場合は演算処理を行わないキャッシュ用のSRAMに費やされているトランジスタも多い。
今日、機械学習に活用されるビデオカードは200Wや300Wは当たり前、高性能なサーバーなどは数kWの電力を食うが、脳の消費エネルギーは20Wくらいなので物凄くエネルギー効率が良い。その理由は脳のクロックの遅さと、演算機能と記憶機能が完全に一体化していることにある。現在のコンピューターは演算装置(CPUやGPU内にあるALU)とメモリの間で超高速でデータをやり取りしているので、ここで大量の電力を消費しているのだ。脳の構造にヒントを得てメモリ内で超並列演算処理をしてしまう「インメモリコンピューティング」が提案されている。
タグとしての脳
pixivで「脳」というタグが使われる場合、脳そのものを描いたイラストの他に、脳に外部から衝撃を加えたようなイラストも存在する。
グロテスクな表現で描かれており、R-18Gの規制がかかっているものも少なくない。
脳をモチーフにしたキャラクター
脳髄だけで生きている人物、脳部分が透明なカバーで覆われ外側から見えるようになっているサイボーグ、巨大な脳を持つ宇宙人、脳そのものの姿をした怪物など様々。
ゲーム
- ゴーレム(グラディウス) - 一つ目に触手に似た腕部を持った生体兵器
- バイアス・ブラド、ローラ(メタルマックスシリーズ)
- アンドルフ・ブレイン(スターフォックス)
- ビッグスターブレイン(スターソルジャー)
- マザーブレイン(メトロイド)
- オモイカネ(女神転生シリーズ)
- ばーすとのう(星をみるひと)
- 頭脳生命体サール(魂斗羅スピリッツ)
- インテレクト・ディヴァウラー(ダンジョン&ドラゴンズ)
- オルゴ・デミーラ(ドラゴンクエストⅦ)
特撮
- メタルナミュータント(宇宙水爆戦)
- 全能の神(太陽戦隊サンバルカン)
- バラナイトメア(超力戦隊オーレンジャー)
- ハッカー・ユーゲント(未来戦隊タイムレンジャー)
- ザイエン(海賊戦隊ゴーカイジャー):宇宙帝国ザンギャックの怪人だが、脳をモチーフとしている
- ドン・アルマゲ(宇宙戦隊キュウレンジャー)
- デルザー軍団首領(仮面ライダーストロンガー)
- ブレン・ロイミュード/仮面ライダーブレン(仮面ライダードライブ)
- アナザークイズ(仮面ライダージオウ)
- ノウゲルゲ(超人バロム・1)
- ハカイダー(人造人間キカイダー)
- ハカイダー四人衆(キカイダー01)
- ハカイダー(人造人間ハカイダー):頭部にあるのは脳ではなく脳髄型のコンピューター。
- 天才怪獣ノーマン、ズノウ星人(スペクトルマン)
- チブル星人、ガッツ星人(ウルトラセブン)
- ドルズ星人(ウルトラマンタロウ)
- ゴーデス(ウルトラマンG)
- リビングブレイン(ウルトラQ_darkfantasy)
- 火星人(マーズ・アタック!)
- ムー大帝(鉄人タイガーセブン)
- シンナーマン(サンダーマスク)
- アクムノイド(機動刑事ジバン)
漫画・アニメ
- 天使長ボイド(ベルセルク)
- コンピュータードール第8号(無敵超人ザンボット3)
- ドン・ザウサー(無敵鋼人ダイターン3)
- マモー(ルパン三世ルパンVS複製人間)
- 機械皇帝(B'TX)
- キカイ田(平成武装正義団):目玉の付いた脳髄の本体が機械の体を操っている。
- 0012、ブラックゴースト総統(サイボーグ009)
- アレキサンドリア・パワード(武装錬金)
- グレミィ・トゥミュー(BLEACH)
- 羂索(呪術廻戦)
- 超生命ゴラム(ウルトラ兄弟物語)
- ルビック星人(ULTRAMAN)
- 闇の帝王(桜多吾作版グレートマジンガーおよびUFOロボグレンダイザー):小さなカプセルに入った脳が本体。
- 神帝ブゥアー(マップス)
- カブラール・ハーン(強殖装甲ガイバー)
- ドクター・ゲロ/人造人間20号(ドラゴンボール)
- Dr.ウィロー(ドラゴンボールZ この世で一番強いヤツ)
- ジェイル・ハウス・ロック(ジョジョの奇妙な冒険)
- 影のカリスト(機動戦士クロスボーン・ガンダム鋼鉄の7人):一度は戦死するも自らの意識を移したバイオ脳として復活する。
- エシディシ(ジョジョの奇妙な冒険 戦闘潮流)
- ジェイル・ハウス・ロック(ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン)
小説
- サイモン・ライト(キャプテンフューチャー)
- 主人公(生きている脳)
- ウォーレン・ホレイス・ドノヴァン(ドノヴァンの脳髄)
関連タグ
別名・表記ゆれ:脳みそ/脳味噌 脳髄 ブレイン/ブレーン 腦 脑
大腸:腸脳相関