「俺は可愛い女の子が好きでな、たまらないんだよ・・・」
登場話数:第32話「学校の怖い悪夢」
概要
マシン帝国バラノイアが開発したマシン獣の一体。
肥大化し剥き出しとなった脳味噌から、釘やアンテナが生えているかのような形状の頭部、それに筋肉質なボディにアーマーを纏った、マシン獣としては比較的スマートな出で立ちが外見上の特徴で、本来の姿だけでなく黒い布に身を包んだ覆面男としての姿も持ち合わせている。
人間の脳波を狂わせレム睡眠状態に陥らせたり、顔を発光させて相手に幻覚を見せるといった攻撃を得意とする他、得物として鉈を振るい、複数の相手に対しても機敏な動きで互角に立ち回るなど、格闘戦においても相応の実力を発揮する。しかしそうした能力の数々以上に危険極まるのが、バラナイトメアが有している「性癖」である。
というのもバラナイトメアは、記事冒頭にも示した台詞からも分かる通り可愛い少女をこよなく愛するという、ロリコンじみた趣味の持ち主であり、前述した能力を活かして少女を密かに拉致し、自らの手元に集めるのを何よりの楽しみとしている。この「楽しみ」を邪魔する者は何人たりとも許さず、やはり自身の能力を行使して精神的に追い詰め、徹底的に苦しめた末に死に追いやろうとする辺りも、バラナイトメアの危険な側面を一層強調しているとも言える。
当然ながら、バッカスフンドにとってバラナイトメアは、自らのマシンに対する「理念」から逸脱した存在に他ならず、物語開始以前の時点で彼に逆らってばかりいたために死刑にされそうになった流れ者であることを、バラナイトメア自身も作中にて言及している。
このような性癖、それに偏執的な思考の持ち主であるのもさることながら、さらわれた当時のまま心身ともに外界と隔絶した状態にあった少女達の身の上は、当時の視聴者に並々ならぬインパクトと恐怖を植え付けるには十分過ぎるものがあり、放送から四半世紀余りが経過した今なお本作にまつわる語り種の一つとなっている。
作中での動向
小学校時代の級友にして、物語開始から遡ること11年前に事故死したはずの木村真由美が、毎晩のように夢の中に出てくるようになった桃は、ただならぬものを感じ三浦参謀長の了承を得て調査に着手することとなる。
実は真由美が亡くなった後も、彼女の母校である桜坂小学校では毎年1~2人の女子が行方不明になっており、桃も真由美の実家を経て小学校を訪れるのだが、そこで彼女は前述の夢の中にも姿を見せていた覆面男の襲撃に遭い、そのまま昏睡状態に陥ってしまう。
桃は覆面男の作り出した夢の世界の中で、真由美をさらっていく彼を追って理科室へと飛び込むが、そこに待ち受けていた覆面男はこの11年の間に真由美も含めて多数の少女を集めていたこと、にもかかわらず真由美が11年もかけて桃に助けを求めていたことを告げ、自らの「楽しみ」を邪魔しようとする桃を始末すべく、バラナイトメアとしての姿を現し散々に追い詰めてみせた。
一方、昏睡状態に陥った桃の身柄は、後から駆けつけた吾郎達によって既に回収され、悪夢による苦痛に苛まれる状態にあったが、このままでは身体が持たないと見て取った吾郎達は、三浦の手で脳波を桃のそれに合わせてもらうことで、自分達も彼女の見ている夢の中へと入り込むことになる。
その間にも、梯子を燃やされたり電流を流されたりと、様々な責め苦に遭っていた桃は、遂には辿り着いた先で真由美や連れ去られた少女達の白骨死体を見せつけられ、絶望の底に叩き落されそうになる・・・のだがそれらは全て偽物であり、当の本人達はバラナイトメアが生み出した「秘密の夢」の中で、延々とバスケットボールに興じているのを目の当たりにする。
そこに真由美を伴って現れたバラナイトメアは、彼女を取り戻そうとする桃を返り討ちにしようと再び迫るが、すんでのところでレッド達4人もその場へと駆けつけ、レッドの繰り出す秘剣・超力ライザーで手痛いダメージを負わされた結果、桃やレッド達の夢の世界からの脱出を許してしまう。
バラナイトメアが桜坂小学校に潜んでいると見たオーレンジャーは、再度現地に急行すると夢で体験したのと同様に隠し地下室を発見。そこに乗り込んだ彼等が目にしたのは、さらわれた当時の姿のまま眠り続けていた少女達の姿であり、ただ一人その場にいなかった真由美もまた、程なくして同様に眠ったままの姿でいたところを、別室にて発見されることとなる。
「バラナイトメア・・・よくも11年間も真由美ちゃんを苦しめてくれたわね! 許さない!!」
怒りに燃えるピンクや他の4人に対し、なおも真由美を手放そうとしないバラナイトメアは骸骨の幻覚を繰り出し彼等を苦しめにかかるも、その幻覚を自力で破られるとたちまち劣勢に追い込まれ、閃光・ミラクル気功弾と超力ダイナマイトアタックの怒涛の連撃の前に敗れ去った。
バラナイトメアの撃破と同時に、彼が持っていた少女達の写真が収められていた額縁も壊れ、夜の小学校の中からは少女達が次々と姿を現していく。その中にはもちろんあの真由美の姿もあり、「悪夢」から解放された彼女は母親と11年ぶりの再会を果たすのであった。
備考
デザインは森木靖泰が担当。当初は森木の得意とするシュール系の怪人としてラフスケッチが起こされたものの、そちらはNGが出たために決定稿にもあるような脳味噌モチーフのデザインになったという経緯がある。
このデザインについて森木は、「アメリカのホラー映画みたいな造形をされると子供が泣いちゃいそう」と前置きしつつ、一方でそういう方向性を狙って敢えてこのモチーフが指定されたのではないか、とも後年のインタビューにおいて振り返っている。
演者の岡本は、これ以前にも第24話に登場する丹下左膳を演じており、本作における役名付きの出演はこのバラナイトメアが2度目となった。
関連タグ
バラブレイン:同じく本作に登場するマシン獣の一体で、バラナイトメアとはデザイナーを同じくする他、「頭脳」にちなんでいる点など複数の共通・近似項を有する
デンシヅノー ハッカー・ユーゲント ドン・アルマゲ ジイシキシェルガ:いずれもスーパー戦隊シリーズの他作品に登場する、脳味噌の要素を含んだ戦隊怪人達
サボテン将軍:『五星戦隊ダイレンジャー』に登場する敵怪人の一体。こちらもロリコン趣味の持ち主であり、誘拐した少女達を手元に置いて楽しんでいたという点でも、バラナイトメアとの共通項を持ち合わせている