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バラリベンジャー

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ばらりべんじゃー

バラリベンジャーとは、特撮テレビドラマ『超力戦隊オーレンジャー』に登場する敵怪人の一体。

「少しでも欠陥のあるロボットを、バッカスフンドは数多く処分した。処分されたスクラップから俺は生まれたのだ。俺は憎い!バッカスフンドが!」

概要

マシン帝国バラノイアにおいて、「出来損ない」として廃棄された無数のスクラップが集合・合体して誕生したマシン獣

その誕生の経緯などもあり、マシン獣ではあるものの自らをバラノイアに使役される存在ではないと認識しており、「バラリベンジャー」という名も彼の存在を利用しようとしたアチャによって付けられた不名誉なものであるため、作中では自らそれを名乗ることもなかった(※)。

その出で立ちも人型を成しながらも、元になったスクラップの要素が表出したかなり歪なものであり、特に左肩など身体の各部にはバーロ兵の仮面や上半身などが、比較的分かりやすい形で残されているのも特徴の一つである。

主な武器としては槍状となっている右腕が挙げられるが、如何せんスクラップの寄せ集めゆえに能力自体はそこまで高い方ではなく、特にエネルギーについてはその消耗も激しいという難点を持ち合わせている。作中でもバッカスフンド相手に歯が立たなかったばかりか、(後述の誇りもあるとはいえ)一般の警備員達にさえも手痛い反撃を食らうほどである。

その反面、マシンとしての「誇り」は極めて高く、「出来損ない」のマシンをマシンとも思わぬバッカスフンドへの憎しみを抱きながらも、あくまでも敵は彼一人であるとして他の者との無用な戦いに及ばず、時には仔犬相手に情を向けることさえある。また、人間にかける情けはないと嘯く一方で、その誇りゆえに自ら人間に危害を加えることもなく、相手が自らの誇りに理解を示した際には頑なな態度を解こうとする素振りさえ見せている。

しかしそれだけに、バッカスフンドからは単に自らに刃を向けた「反逆者」としてだけでなく、彼が忌み嫌う「つまらぬ感情」の持ち主として、粛清の対象と看做されることとなるのである・・・。

(※ そのため、作中では「名無し」であった時期の方がほとんどなのだが、以下の記事本文中においては便宜上、「バラリベンジャー」の表記で統一していくものとする)

作中での動向

スクラップとされたマシン達の怨念によって生み出された後、その怨念に突き動かされるようにバッカスフンドの前に現れたバラリベンジャーは、復讐を遂げるべく彼に挑みかかるが、対するバッカスフンドも侮蔑の念も露わにこれを叩きのめし、遂には地球へと放逐されてしまう。

しかし、彼の怨念や憎しみがその程度で潰えるはずもなく、地上へと降り立つやバッカスフンドに対抗できるだけのエネルギーを求め、中央エネルギーセンターへと侵入し電気エネルギーをその身に蓄えようとする。そこに急報を受けたオーレンジャーも駆け付け、両者との間で激戦が展開・・・されるかに思われたが、バラリベンジャーはあくまで自らをバッカスフンドを狙う者であると強調し、その場から立ち去っていくのみであった。

マシン獣としては不可解なこの行動に、オーレンジャーも当初は疑いの目を向けていたものの、程なくしてその考えを改めたのが裕司であった。

折しもその直前、裕司は捨てられていた仔犬を拾っており、彼が「ジロー」と名付けていたその仔犬をそうとも知らず助けたこと、そしてバラリベンジャーの身の上とバッカスフンドへの憎しみに接したことで、当初は「思いっきり汚ねぇ野郎」とまで口にしていた裕司の心境にも変化が現れることとなる。

結果、バラリベンジャーは別のエネルギーセンターに侵入しようとして、警備員達からの集中攻撃を受けていたところを、裕司の手によって救い出されたばかりか、傷付きエネルギー切れに陥りかけたその身に超力エネルギーを注がれることで、どうにか一命を取り留めるに至った。

バラリベンジャー「助けたのか? 俺を…」

裕司「お前だって、ジローを助けてくれた。それにさっきだって、人間を傷付けなかったじゃないか」

バラリベンジャー「俺の敵はバッカスフンド一人、他の者は傷付けぬ。それが俺の誇りだ。」

裕司「戦おうぜ、一緒に! 俺達とお前、敵は一緒だ!」

自らの誇りに理解を示し、共闘をもちかける裕司に対し手を組む姿勢を見せたのもつかの間、バーロ兵の一団と共にアチャが2人を急襲。バッカスフンドの命と称して「バラリベンジャー」なる不名誉な名を与えるとともに、バラノイアのために働くよう促すアチャに対し、バラノイアにつくくらいなら死を選ぶとこれを拒絶。

結果、バーロ兵達を相手にオーブルー、そして後から駆け付けた4人と共に激戦を繰り広げるも、今度はバッカスフンドが自ら前線に現れ、激しい攻撃を見舞って全員を一蹴すると、その隙を突かれる形でアチャによって左目にコントローラーを取り付けられ、自我を失った殺人マシンとしてオーレンジャーに刃を向ける羽目に陥ってしまう。

ブルーも必死に説得に及ぶが最早バラリベンジャーには通じる状態になく、結果として自らの手で引導を渡すという、苦渋の選択を強いられることとなる。

「お前の誇り、俺が…この俺が守ってやる!!」

かくして、決意を固めたブルーの激突ローリングボンバーと稲妻・超力トンファの連続攻撃が炸裂、さらにレッドへの懇願で自ら乗り込んだジャイアントローラーの突撃により、致命的なダメージを負うに至った。

「何を悲しむ? お前達は、正しいことをしたのだ。俺の誇りを、守ってくれた」

「俺の魂は、お前達と共に…いつか、お前達がバッカスフンドを倒すまで…」

ダメージと引き換えに自我を取り戻したバラリベンジャーは、自らの誇りを守ってくれた裕司の行動への感謝の言葉と、打倒バッカスフンドの意志とを残し、独りその場から去っていった。

「俺は、スクラップから生まれた…そして今、スクラップに還る…」

やがて辿り着いたスクラップ置き場で、自らの元へ駆け寄ってきたジローを優しく撫でてみせるも、そこで身体が限界を迎えバラバラに崩壊。残されたジローを見守るように、周囲の廃棄物と共に永遠の眠りについたのであった。

備考

バラリベンジャーの登場エピソードである第15話について、同話数の監督を務めた佛田洋は、自身が特撮監督であるがゆえに巨大戦や特撮を多く駆使した話を得意としていたこと、また個人的にギャグのような軽いエピソードが好きであったことなどから、それとは真逆とも言えるシリアスなストーリーが来たことに当初困惑したと後に語っている。

一方で、井上敏樹の筆による脚本には、「はぐれ一匹オオカミみたいな怪人が登場し、戦隊メンバーと友情を結びながらも哀しい結末を迎える」という、如何にも彼が得意とするストーリーが綴られながらも、当初は戦隊のフォーマットを守る形で巨大戦のパートも盛り込まれていたというが、撮影用のコンテを割り始める段になって「この話には巨大化は逆にしらけるんじゃないか」「ブルーがトドメを刺すべきでは?」と思えたという。

巨大戦という、佛田にとって得意分野とも言えるシーンを削る分、他のシーンを余程面白くしないと物言いが付きかねないものの、それでも思案の末に巨大戦は必要ないとの結論に至った佛田はプロデューサーを必死に説得し、結果として改訂稿で巨大戦を敢えて排除した、本作としては異色なエピソードが誕生するに至った。

ジャイアントローラーにブルーが乗り込む件についても、玩具の設定の根幹に関わるためスポンサーとの間でかなり話がこじれたらしく、最終的に「オーブルーが耐えられない」という妥協点を演出したことで何とか納得させたという。(参考リンク

デザインは阿部統が担当。「スクラップが融合した設定」「捨てられたもの達の怨念」という要素に準じ、割と戦闘員成分高めな形でまとめられた一体とされている。造形もデザイン画稿のニュアンスがほぼそのまま汲み取られているが、塗装については汚しや錆の表現がより強調され、デザイン画稿よりも落ち着いた色彩とされた。

誕生シーンで出てきたスクラップの中にはバーロ兵の他にも、バラドリルバラバニッシュといった既出のマシン獣のパーツも散見される他、チェンジロボの胸部や大獣神の腕なども確認できる。

CV担当の大塚は、本作がスーパー戦隊シリーズ初参加であり、以降も連年のように出演していた1990年代後半の一時期を含め、度々シリーズに携わっていくこととなる。

例外中の例外ともいうべき、チャンプ/オウシブラック(『宇宙戦隊キュウレンジャー』)を除けば、基本的には悪役としての出演が殆どである大塚だが、一方で『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999年)への出演時にはキャラクターの方向性こそ異なるものの、バラリベンジャーと同様に戦隊メンバーと心を通わせ、そして切ない最期を遂げた死神戦士サイマ獣タナトスを演じてもいる。

スーツアクターは、当時まだ敵怪人を演じることが多かった福沢博文が担当しているが、脚本を読み込んで力が入った余りに、とあるシーンで台詞を溜めに溜めてしまって芝居が長くなったことを、前出の佛田が後に述懐している。また、クライマックスでBGMとして流れる「虹色クリスタルスカイ」についても、福沢の「自分がブルーにやられる時はあの曲でやられたい」とのリクエストを受けての選曲であるという。

関連タグ

超力戦隊オーレンジャー

マシン帝国バラノイア マシン獣

バラナイトメア ボンバー・ザ・グレート:いずれもバラリベンジャーと同様に、バッカスフンドに叛旗を翻したマシン獣達。一方で、彼等は終始オーレンジャーと敵対する立場にあり、ここからも「バラノイアの中で唯一オーレンジャーとの協力を求めた存在」であるバラリベンジャーの異端さが浮き彫りとされている

アラクレボーマ:『高速戦隊ターボレンジャー』に登場する敵怪人の一体。正義に目覚め、敵の首領に反旗を翻さんとしたという点で、バラリベンジャーとの共通項を有する

プータン(ゴミジゲン):『鳥人戦隊ジェットマン』に登場する怪人の一体。こちらはその名の通りゴミ(スクラップ)から生まれた存在であることに加えて、「作中で青色の戦士と交流を持つ」「暴走の末に心を取り戻しながらも哀しい最期を遂げる」など、様々な面で共通・近似した部分が見られる

アクタガミ:『轟轟戦隊ボウケンジャー』に登場する怪人の一体。こちらもゴミから産まれ、所属組織を離反後に戦士の一人と交流を持つ。一方で物悲しいラストながらも、生存したという点で相違している

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