概要
第九代江戸幕府征夷大将軍、父は八代将軍徳川吉宗、正室は増子女王(伏見宮邦永親王の王女)
病弱や脳障害を持っていた将軍として有名。女性説も流れるほど不可解な逸話が多い。
もっていた障害に関しては、遺骨等の調査から「アテトーゼ型の脳性麻痺」である可能性が高いと言われている。
現代であれば完治は望めないものの、リハビリテーションや手術で症状を改善できるが、当時は全くそのような概念すらないため、放置されていたものと思われる。
このため言語障害が悪化していき、彼の言葉を理解できるのは側近の大岡忠光のみだったと言われる。忠光の死去後は長男徳川家治に将軍職を譲り隠居、その約1年後に死去した。
脳性麻痺は言語等が不明瞭でも、実は知能が正常であるケースは多く、将軍としての家重の評価は現在でも大きく割れている。ただし、父からは聡明な孫(徳川家治までの繋ぎと見なされ、自分が存命のうちはコントロールしやすいからという扱いを受けており、自身の弟とはそれで仲違いし、就任後は会うことはなかったという(家光以降の歴代将軍が受けた帝王学を身に着けていないのも負い目であったという)。
父譲りの才として、人物眼は優れており、人事能力は高かったらしい。
実際、彼の言葉を理解できたため重用された大岡忠光も、私腹を肥やしたり専横する人物ではなかったりと、彼の行った人事については評価されている。とはいえ、父の治世の負の遺産も顕現してきたが、父の遺臣達のおかげで無難に政務をこなし、自身も自覚があるように、息子に将軍職を存命中に譲っている。
創作における家重
2025年1月放送の『新・暴れん坊将軍』では西畑大吾が演じており、忠光の献身的な介助によって、青年期のうちに言語障害が奇跡的に回復(ただし、武家社会の畏まった言葉はできず、町人言葉(俗に言う江戸言葉)が限界であった)し、かつての織田信長が南蛮の宣教師から献上され、織田家が本能寺の変で没落した後は豊臣家、豊臣家の滅亡後は徳川家が密かに保管していた片手剣を入手し、訓練で使いこなし、青年期の父のように世直しを図るという驚きの設定が追加された(自身は父の望む息子にはなれなかったという負い目があり、それが原因で聡明で鳴らし、野心も持っていた長弟と仲違いした原因と描かれた)
演じる西畑は右手を封じて利き腕ではない左手のみで殺陣をするという無理難題なアクションを綺麗にこなしている。