「天下万民に成り代わり、成敗いたす!!」
概要
令和7年(2025年)1月4日にて、テレビ朝日ドラマプレミアム枠にて放送された、時代劇『暴れん坊将軍』のスペシャルドラマである。
松平健が徳川吉宗役として17年ぶりに出演し、その他お馴染みの登場人物はもちろん新キャラクターとして豪華共演者が多く出演しており、特に西畑大吾が演じる嫡男・徳川家重は、同一人物ながら“家重”と“福太郎”という二面を巧みに表現するほか、利き手を封印して左腕のみで戦う難しい殺陣にも挑み、松平と西畑の共闘シーンは必見である。
また、GACKTが演じる尾張藩主・徳川宗春は、質素倹約の吉宗とは真逆の派手好きで、将軍の座を虎視眈々と狙うなど、圧倒的存在感で物語を盛り上げる人物として、吉宗や江戸を窮地に追い詰めめいく。
ナレーションに放送前の令和3年(2021年)5月18日に死去した若山弦蔵の後任として、千葉繁が担当する。
設定としては、吉宗の治世となって二十有余年が経過した江戸の町を舞台となり、享保の大飢饉による大不況への対策に追われる中で、世継ぎ問題や虎視眈々と狙う尾張、次々と起こる連続殺人事件など、様々な窮地が吉宗に襲い掛かっていく。
松平が“名君”吉宗と気さくな新之助をあざやかなコントラストで演じるオリジナルシリーズの醍醐味も健在で、17年ぶりとは思えないスピード感あふれる殺陣の立ち回りも披露されている。
更に嫡男である自分の至らなさに苦悩しながらも、将軍家に恥じない者であろうと懸命に努力する家重との、不器用ながら親子の絆を強めていく様子が描かれ、非常に魅力的な内容となっている。
あらすじ
八代将軍・徳川吉宗(松平健)の治世となって二十有余年。享保の大飢饉からの不況対策に日々追われる吉宗は還暦を控えており、後継問題にも頭を悩ませる。嫡男の家重(西畑大吾)は病により、右腕が動かず、顔にもこわばりがあってうまく言葉を話すことができない。それゆえ、城内では次男の宗武(駒木根葵汰)こそがふさわしいと推す声が上がっていた。そんな中、久しぶりに貧乏旗本の三男坊“徳田新之助”として町に出た吉宗は、材木商の娘・おきぬ(藤田爽子)が人買いにからまれているところに遭遇。すぐさま助けに入ったところ、洋剣“レイピア”を左腕で華麗に操る謎の男が助太刀に現れた。吉宗は、べらんめえ口調で商家の三男坊“徳長福太郎”を名乗る彼の剣さばきに目を見張るが、その福太郎こそ自身の長男・家重であることに気づく。
その頃、宗武には旗本・本間要治郎(小澤征悦)が接近していた。本間は尾張藩主・徳川宗春(GACKT)が将軍の座を狙い、公儀に弓を引くやもしれないという噂を宗武に吹き込む。時を同じくして、江戸の町で行方知れずだった若い女性が相次いで死体となって見つかる事件が起こる。彼女たちの死の背後に何かが隠れていると感じた吉宗は、事件を調べはじめる。
(公式サイトから参照)
登場人物(公式サイトから参照)
主要人物
演:松平健
本作の主人公。
徳川八代将軍。江戸幕府の最高権力者でありながら、貧乏旗本の三男坊・徳田新之助を名乗って町へ繰り出し、数々の事件を解決してきた。将軍職に就いて二十有余年、享保の大飢饉が引き金となった不況に胸を痛め、民を救うべく対策を急いでいる。3人の息子それぞれに愛情を抱いているが、次期将軍に誰を選ぶべきか、世継ぎ問題にも頭を悩ませている。
- 徳川家重/徳長福太郎
本作のもう一人の主人公。
吉宗の嫡男。病によって右腕が不自由となり、顔にもこわばりがあって、うまく話すことができない。身体も会話もままならぬもどかしさから癇癪を起こすこともあり、別邸にこもりがち。気を許しているのは長年仕えてきた小姓ひとりのみで、父の吉宗にも心を閉ざしていた。城内には廃嫡を望む者も多かったが、実は頭脳明晰で剣の腕も立ち、周囲の目を盗んでは商家の三男坊・徳長福太郎として町へ繰り出し、市井の状況を学んでいる。
演:勝村政信
江戸南町奉行。洞察力、判断力に優れているだけでなく、正義感が強く、常に庶民の味方に立つ名奉行。吉宗からの信頼も厚く、ともにさまざまな難事件に立ち向かってきた。もちろん吉宗が“新之助”として市井に出ていることも知っている。
- 加納五郎左衛門
演:小野武彦
御側御用取次役。吉宗が幼いころから教育係を務めており、“爺”とよばれている。口を開けば小言ばかりだが、その根底には吉宗への愛が詰まっている。民の声を聞くため、危険を顧みず町に出る吉宗のことを常に案じている。
- 大岡忠光
演:木村了
家重が幼いころから側に仕えてきた小姓。麻痺のためうまく話せない家重の言葉を正確に聞き取ることができる唯一の側近で、あらゆる場面で家重の意志を代弁している。実直な性格で、権謀術数渦巻く江戸城内でひたすら純粋に家重を慕っている。南町奉行・大岡忠相の親戚にあたる。
演:生瀬勝久
江戸町火消“め組”を率いる“頭”。喧嘩っ早いところもあるが、人情に厚く、曲がったことを人一倍嫌う、勇猛果敢なリーダー。町の平和を守るために日々、尽力している。市井で新之助の正体を知る唯一の人物。
演:高島礼子
町火消“め組”の棟梁・辰五郎の妻。しっかり者で気が強い。夫の辰五郎をはじめ、め組の仲間たちを支える、頼れる女将。
御庭番
- 八兵衛
演:浜田学
吉宗の御庭番。
- こはる
演:中島亜梨沙
吉宗の御庭番。
- ひさめ
演:尾碕真花
家重の御庭番。
徳川家
演:GACKT
徳川御三家の筆頭格、尾張徳川家の当主であり、尾張藩第七代藩主。“過度な倹約はかえって無益”であり、“民のためには派手に楽しむことこそ肝要”という信念を持ち、吉宗の倹約令にことごとく反し、尾張独自の自由な政策を貫いている。その豪儀な様子が評判をよび、市井では吉宗よりも将軍にふさわしいという声も上がっている。吉宗が後継問題に揺れていることを知り、将軍職への野心を燃やして…!?
演:駒木根葵汰
吉宗の次男。文武両道で、若き日の吉宗に瓜二つ。それゆえ、江戸城内でも次期将軍は宗武こそふさわしいという声が多く上がっており、自身も複雑な思いを抱えている。元服して江戸城の田安門内に屋敷を賜わり、徳川田安家の当主となったため、“田安様”ともよばれる。
- 徳川小五郎
演:森優理斗
吉宗の三男。後に徳川一橋家の当主となる徳川宗尹であるが、この頃はまだ幼い少年である。
ゲスト
- おきぬ
演:藤間爽子
老舗材木商「猪俣屋」の娘。父に命じられた縁談に反発して家出したところ、世間知らずゆえに役者の蘭丸にだまされて借金を背負い、置屋に売られそうになる。窮地を救ってくれた商家の三男坊・徳長福太郎に好意を抱くが……むろん福太郎の正体が将軍の嫡男・家重とは知る由もなく……
- 本間要治郎
演:小澤征悦
旗本。十数年前、若年寄という重職を担っていた父・要蔵が不正を働き、吉宗によって成敗された。本来ならばお取り潰しとなるところを吉宗の慈悲によって免れ、閑職ではあるが、要治郎が本間家の跡を継いだ。以来、父の汚名を濯ぐため日々職務に勤しんでいるように見えたが、胸の奥では吉宗を逆恨みしており、恐ろしい野望を秘めていて……。
- 奥平重徳
演:神保悟志
老中。嫡男の家重をよく思っておらず、次男の宗武こそ将軍に相応しいと考えている。
- 本間要蔵
演:本田博太郎
要治郎の父。若年寄。かつて悪行を起こした事で吉宗に成敗された。本来なら本間家を取り潰しの所を吉宗の慈悲で息子の要治郎を当主にしたが、皮肉な事に復讐と陰謀を引き起こすことになる………。
- 蘭丸
演:内藤秀一郎
美男役者。家出してさまよい歩いていたおきぬに親切に声をかけるが、実は悪質な人買いと結託し、その美貌で若い女性をだまして身売りさせる悪党。
- 田九郎
演:渋川清彦
人買いの元締めで、おきぬを狙っている。
その正体は忍一族である風魔党の生き残りであり、鎖分銅の使い手。
- 猪野尾又吉
演:マギー
材木商“猪俣屋”主人。おきぬの父。本間との間で何やら不穏な関係を見せている。
演:寺田心
のち上方を中心に活躍する絵師。最後の最後に少しだけ登場。