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概要

人呼んで「日本一忙しい映画監督」。

元々監督業に対する強い熱意があったわけではなく、助監督として馬車馬のごとく働いていたらなし崩し的にデビューした、という特殊な経歴を持つ。1990年代のオリジナルビデオ隆盛期に頭角を現し、その後も映画テレビドラマCMアニメ舞台の演出、監修、カメオ出演まであらゆる依頼を引き受け、毎年何かしらの形で新作を発表し続けている。


仕事を選ばない姿勢ゆえ、扱うジャンルは幅広い。他の監督なら断ってしまうような企画まで引き受けた上で作品としてきっちり完成させるため、フィルモグラフィがとてもカオス。作品も様々だが『オーディション』『殺し屋1』『クローズZERO』『十三人の刺客』あたりが代表作として挙げられ「ヤクザ映画・ヤンキー映画・ホラー映画の作り手」「苛烈な暴力描写が持ち味」と紹介されることが多い。


海外での人気が高いためハリウッドからの引き合いもあったが、日本での仕事が多忙なためなかなか折り合いがつかず、海外進出まであと一歩のところまで迫った企画もあったのだが、トム・ハーディのドタキャンにより頓挫している。

また、アメリカケーブルテレビ向けに制作した『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~』で海外ドラマデビューする企画もあったが、内容があまりにアレだったため放送中止になり、結局、一部地域で映画として公開された。


経歴

1960年8月24日生まれ。大阪府八尾市出身。

モラトリアムを求めて横浜放送映画専門学院(現・日本映画大学)に進学するが初日で挫折し、在籍はしていたものの授業には計十日ほどしか出席しなかった。卒業間近となったある日、業界入りしたOBからスタッフの募集があり、卒業制作をサボって暇だった三池に白羽の矢が立つ。それを機にフリーの助監督として働き始め、今村昌平、恩地日出夫、井上梅次、西村潔らに師事。撮影に必要なことはすべて現場で学んだという。とにかくよく働いたため、デビュー前の時点で東宝以外の大手映画会社には出入りの経験があった。

1991年、オリジナルビデオ『レディハンター/殺しのプレリュード』で初監督を務めるも、制作会社の倒産によりビデオの発売が遅れ、2作目の『突風!ミニパト隊/アイキャッチジャンクション』がデビュー作となる。

1995年、『第三の極道』か『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』のどちらかで映画デビュー。本人いわく「どちらかは分からない。どちらでもかまわない」。

1997年、トロント国際映画祭のミッドナイト・マッドネス部門に『極道戦国志 不動』を出品し、海外の映画祭に初参加。ここで高反応を得たことで、以降、海外映画祭の常連となる。

1999年、ビデオ界の2大スターである哀川翔竹内力が共演した『DEAD OR ALIVE 犯罪者』を監督。衝撃のラストで話題となり、一躍知名度を高める。

2003年、『極道恐怖大劇場 牛頭』がVシネマとしては初めてカンヌ国際映画祭に正式出品される。同作では主題歌「牛頭の唄」の作詞も行った。

2010年、世界的プロデューサーであるジェレミー・トーマスと初めて組んだ『十三人の刺客』が国内外で高い評価を獲得、数々の映画賞を受賞した。


作風

  • 作品によっては非常に強いバイオレンスゴア描写が入ることがあり、三池にとって一つの代名詞となっている。本人いわく「バイオレンスを撮ろうとしているわけじゃなくて、隠そうとしていないだけ」。
    • オーディション』をロッテルダム国際映画祭で上映した際には女性客から「悪魔!」となじられ、『悪の教典』は「AKB48特別上映会」に参加した大島優子が途中退席する騒ぎとなった。
    • 先述の『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~』は映倫から審査規格外(R-18指定でも上映不可)と扱われた数少ない作品の一つ。映倫の審査では「審査の結果、このレイティングになったが、希望していたレイティングにしたければ、ここを変えればいい」などのアドバイスが出るのが普通。本件のようなケースは、かなりの異常事態。
  • コメディのみならずシリアスな作品でも超展開を差し挟むことがあり、シュールナンセンスな作風とも評される。また、作中で謎とされる部分が解明されないまま終わったり、クリフハンガー的な終わり方も多いことから「丸投げ」が得意とも言われる。
  • 作中に頻繁にゲイが登場する。男色要素をコミカルな要素として入れることもあれば、男同士の恋愛をシリアスに描くこともある。ゲイでなくともヤクザ・ヤンキーなど男同士の友情や因縁が中心となる作品がとても多い。
    • かつて団鬼六の小説『美少年』を映画化する企画が進んでいたが、頓挫してしまった。
    • 隣人13号』にカメオ出演した際には三池自身が亀甲縛りになっている。
  • 漫画などを原作とする際には、原作の持ち味を引き出した上で忠実にやりたがる派で、監督のオリジナリティを入れるのは余計なお世話だろうと述べている。「原作ファンに許してもらって、その仲間に入る」ことを目標とする一方で「この原作を映画化したい」という欲が出過ぎるとエゴになってしまうとも語っている。
    • 映画化する上で原作の履修は必須と考えており、『龍が如く』の映画化を引き受けた際は原作ゲームを三日徹夜でクリアしたという。
    • 原作が未完結の場合、そのまま映像化して「俺たちの戦いはこれからだ!」的な締め方をすることも。先述の「丸投げ」癖と重なるところがある。
    • ただし、原作通りに映像化しても映画にならないと判断した場合、内容を大きく翻案する場合がある(『中国の鳥人』など)。

人物

  • 映画監督としてはメディア露出やそれに伴う発言が多い。トレードマークは眼鏡サングラス。舞台挨拶に登壇する際には髪型を変えていることもある。
  • スクリプター(記録係)を使わず、頭の中で計算する。特撮が必要な場合は特技監督も兼任し、予算が本当に少ないときには撮影監督(カメラマン)、プロデューサー(予算管理)も自ら行う。助監督時代にはスタントマンの真似事もやらされていた。
  • いわゆる大人の事情には逆らわず、出来る範囲で全力を出すというスタンス。低予算での無茶振りをされることも多く「日本映画界は「」の塊」と語っている。
  • 従来なら予算不足などで諦める場面でも機転を利かせて(時には奇抜な案で)対処することから、業界内ではアイディアマンとして評価されている。
    • たとえば「日本では困難な新幹線のロケを台湾で行う」、「イタリアのシッチェスを使って杜王町を再現する」、「予算の関係でが使えないので松尾スズキ犬耳をつけて犬ということにする」「スタントマンの高齢化などでカースタントが困難なので、カーアクションだけアニメになる」など。
  • 「監督はサービス業」と捉えており、キャストや助監督以外のスタッフが満足して帰れるよう常に心掛けているという。「他の現場で溜めたフラストレーションを自分の現場で発散してもらう」という旨の発言もしている。実際キャストからの評判はよく、三池作品に複数回出演している者も多い。
    • バイオレンスな作風に関しても、主演とやられ役の双方に見せ場を作ろうとすると攻撃の手数が増え、おのずと表現が過激になっていくと持論を展開したことがある。
  • 一方で、短期間・低予算での撮影を実現するため、三池組は徹夜続きの過酷な現場だとも伝えられる。
    • 三池が高齢化してからは仕事のペースも落ち着いたが、最盛期はスタッフが現場で倒れるというのも珍しくなく、スタッフが三池組に出向すると言うと他の組から同情されるほどであった。
  • 普段から映画をよく観ているが、あくまで観客目線であり、自作のために映画を研究して役立てるといったことはしない。プロデューサーから参考用の映画のソフトを渡されても、ろくに観ないという。
  • 先述の通り、業界入りした経緯は成り行きに近く、「こんな映画が撮りたい」「こんな監督になりたい」という目的ありきで監督になったわけではない。三池にとって映画とは依頼を受けて撮るものであり、監督業を続けているのは仕事として撮影そのものを楽しんでいるからである。「現場で自らを追い込んでキャストやスタッフと何かを生み出すこと」「映画祭で観客に喜んでもらうこと」が三池にとってのモチベーションになっているという。
  • 既婚者で三児の父。結婚式の仲人は児玉進が務めた。
  • 脚本家ではNAKA雅MURA(中村雅)か江良至、音楽は遠藤浩二、撮影監督は山本英夫(漫画家ではない方)か田中一成(声優ではない方)と組むことが多い。
  • 漫画原作者・脚本家の真樹日佐夫とはビデオ監督時代からの付き合いで、空手の師匠でもある。この縁で真樹作品や真樹の兄である梶原一騎作品の映像化を多く担当した。真樹の没後、『愛と誠』公開時には劇中の台詞をもじって「真樹日佐夫のためなら死ねる!」と弔った。
  • ケータイ捜査官7』で協働した押井守は自著『勝つために戦え!監督編』で、三池について「めちゃくちゃ真面目な人」と語り、「求めて変になったわけじゃないような気がする」「作家的な資質がたっぷりありながら、自己規定としては職人に徹しようとした」と分析している。
  • 柳下毅一郎は三池の手腕を評価しつつも、その人柄について「(駄作を撮ってしまっても)まったく責任を取らない」「三本撮って一本面白いのがあればそれでいいやと割り切ってしまえる人」と評し、三池に仕事を丸投げする日本の業界人を辛辣に批判している。

作品

長編映画

  • ※劇場公開されたオリジナルビデオ作品を含む。

『新・第三の極道 勃発関西極道ウォーズ!!』1995年 - 未公開

『第三の極道』1995年

『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』1995年

『極道戦国志 不動』1996年

岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇』1997年

『中国の鳥人』1998年

『アンドロメディア』1998年

『BLUES HARP』1998年

『岸和田少年愚連隊 望郷』1998年

『日本黒社会』1999年

サラリーマン金太郎』1999年

『DEAD OR ALIVE 犯罪者』1999年

オーディション』2000年

『漂流街』2000年

『DEAD OR ALIVE2 逃亡者』2000年

『ビジターQ』2001年

『FAMILY』2001年

『天国から来た男たち』2001年

殺し屋1』2001年

『DEAD OR ALIVE FINAL』2002年

『カタクリ家の幸福』2002年

『熊本物語』2002年

『荒ぶる魂たち』2002年

『新・仁義の墓場』2002年

MPD-PSYCHO/FAKE MOVIE REMIX EDITION』2002年 - 2000年放送のテレビドラマの再編集版

『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』2002年

『実録・安藤昇侠道伝 烈火』2002年

『SABU ~さぶ~』2002年 - 同年放送のテレビドラマの再編集版

『許されざる者』2003年

『極道恐怖大劇場 牛頭』2003年

着信アリ』2004年

ゼブラーマン』2004年

IZO』2004年

『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~』2005年

妖怪大戦争』2005年 - 兼脚本

『WARU』2006年

46億年の恋』2006年

『太陽の傷』2006年

龍が如く 劇場版』2007年

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』2007年

クローズZERO』2007年

神様のパズル』2008年

ヤッターマン』2009年

『クローズZEROII』2009年

『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』2010年

十三人の刺客』2010年

忍たま乱太郎』2011年

『一命』2011年

逆転裁判』2012年

愛と誠』2012年

悪の教典』2012年

藁の楯』2013年

土竜の唄 潜入捜査官REIJI』2014年

『喰女-クイメ-』2014

神さまの言うとおり』2014年

風に立つライオン』2015年

『極道大戦争』2015年

テラフォーマーズ』2016年 - 兼テラフォーマーのモーションアクター

『土竜の唄 香港狂騒曲』2016年

無限の住人』2017年

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』2017年

ラプラスの魔女』2018年

初恋』2020年

『劇場版ひみつ×戦士ファントミラージュ!~映画になってちょーだいします~』2020年

『劇場版ポリス×戦士ラブパトリーナ!~怪盗からの挑戦!ラブでパパッとタイホせよ!~』2021年

『妖怪大戦争 ガーディアンズ』2021年

『土竜の唄 FINAL』2021年

『怪物の木こり』2023年


短編映画

『美しい夜、残酷な朝』「box」2004年

『その瞬間、僕は泣きたくなった−CINEMA FIGHTERS project−』「Beautiful」2019年

ミッドナイト』2024年


テレビドラマ

『疾走フェラーリ250GTO/ラスト・ラン~愛と裏切りの百億円』1992年

『天然少女 萬』1999年

多重人格探偵サイコ/雨宮一彦の帰還』2000年 - 兼脚本

『SABU ~さぶ~』2002年

交渉人』2003年

『パートタイム探偵』2002年/2004年

ウルトラマンマックス』2005年 - 兼特技監督第15話第16話

ケータイ捜査官7』2008年 - 総監督

QP』2011年

彼岸島』2013年 - 総監修

ガールズ×戦士シリーズ』2017-2022年 - 総監督

リズスタ-TopofArtists!-』2022年 - 総監督

警部補ダイマジン』2023年


ウェブドラマ

『コネクト』2022年


オリジナルビデオ

『レディハンター/殺しのプレリュード』1991年

『突風!ミニパト隊/アイキャッチジャンクション』1991年

『人間兇器/愛と怒りのリング』1992年

『ボディガード牙』1993-1995年

『俺達は天使(カタギ)じゃない』1993年

『なにわ遊侠伝』1995年

『新宿アウトロー』1994年

『新・第三の極道II』1995年

『仁義なき野望』1996-1997年

『大阪最強伝説 喧嘩の花道』1996年

『ピイナッツ-落華星-』1996年

『FULL METAL 極道』1997年

『シルバー』1999年

『鬼哭 KIKOKU』2003年

『探偵物語』2007年


アニメーション

『平和への誓約 山鹿灯篭・松尾敬宇とその母』2007年

プチプチ・アニメ「ころがし屋のプン」2016年

鬼武者』2023年 - 総監督


その他

『監督中毒』2003年 - 自伝。ぴあ株式会社・刊

「SUSHI TYPHOON」2010年 - 日活映画レーベルの取締役。監督はしていない


出演

OVA『殺し屋1 THE ANIMATION EPISODE 0』2002年 - 垣原雅雄

映画隣人13号』2005年 - 友情出演・金田

映画『ホステル』2005年

映画『劇場版 どうぶつの森』2006年 - 声の出演ラコスケ

NHK大河ドラマ天地人』2009年 - 刈安兵庫役

ゲームNO MORE HEROES 2 DESPERATE STRUGGLE』2010年 - ゲスト出演

テレビドラマ『相棒 Season10』第16話「宣誓」2012年 - 高梨宣夫役

映画『タイガーマスク』2013年


関連タグ

映画監督 / ディレクター

オリジナルビデオ(Vシネマ) / Jホラー

今村昌平 / 真樹日佐夫 / 宮藤官九郎


関連リンク

三池崇史 - Wikipedia

三池崇史 のプロフィール - allcinema

三池崇史とは - はてなキーワード

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