概要
2011年よりミラクルジャンプおよび週刊ヤングジャンプにて連載中の漫画作品。
作者は作:貴家悠、画:橘賢一。
火星を舞台に、ゴキブリが進化した生物「テラフォーマー」と、人間との戦いを描いたSF悲劇。
主人公は小町小吉。その他の登場人物にミッシェル・K・デイヴス、ジョセフ・G・ニュートン、シーラ・レヴィット、膝丸燈など。
2014年にOVAおよびTVアニメ化。2015年には3DS「~紅き惑星の激闘」としてゲーム化。2016年には実写映画版が公開されている。
命の儚さを礼賛する論調が強く、反体制色の濃いイデオロギーを作者から感じる。
重要そうな人物があっさりと死ぬ、女性キャラも容赦なく死ぬ、ページめくったら死ぬ……などなど、毎回そんな感じで死亡フラグも何もあったものではないので、心臓の弱い方はご注意を(もっとも何時誰が死ぬのかわからない緊迫感と、思わず表情の緩む日常シーンの格差も魅力のうちだが)。
2019年12月時点で本編単行本既刊22巻の段階で連載が中断しているが、連載再開の意志は有るらしいので、推移を見守る事にしよう。
第零部ストーリー
21世紀、火星を人間の住める環境にする「テラフォーム計画」により、苔と過酷な環境に耐えうる黒い生物「ゴキブリ」の2種類を火星に大量に放ち、地表を黒く染め上げることで太陽光を吸収させ火星を暖めようとした。
それから500年後の西暦2577年。有人宇宙艦・バグズ1号は宇宙飛行士6人と共にゴキブリの調査・捕獲、そして2500年以降に送られた無人機の通信途絶の原因を調査するため、火星に降り立つ。ところが、乗組員は船外へ出た直後人間大の姿に異常進化したゴキブリに襲われ、全滅する。しかし船員の一人ジョージ・スマイルズが死の間際、後に「テラフォーマー」と呼ばれる生物のサンプルを地球へ送ったことで人類は新たな技術を得ることに成功する。
第1部ストーリー
バグズ1号全滅から22年後の西暦2599年、緑色の星となった火星のゴキブリを駆除・清掃するため宇宙船バグズ2号は地球を発つ。
火星に着いた乗組員を待ち受けていたのは、火星の極限の環境によって人型へと変貌を遂げていたゴキブリ人間テラフォーマーだった。
しかし乗組員たちは事前に生存率30パーセントの「バグズ手術」によって昆虫の特性・能力を得て対抗しようとしたが……。
第2部ストーリー
第1部から20年後の西暦2619年、火星より飛来したと思われる病原体「A・E(エイリアン・エンジン)・ウィルス」により徐々に死亡する人間が増加していた。
流行する前にその治療薬を作るべくテラフォーマーの捕獲・殲滅をするため、2620年に宇宙艦アネックス1号によって100名の乗組員が再び火星の地へと送り込まれた。
火星着陸直後にテラフォーマー達の突然の襲撃を受けて、乗組員は6組に分かれて火星への不時着を敢行。
火星で待ち受けていたテラフォーマーの一部はバグズ2号の乗組員の「バグズ手術」の能力を得ていた。
しかしアネックス1号の乗組員達は「バグズ手術」の進化系「M.O.手術(モザイク オーガン オペレーション)」を受けておりこれに対抗しようとするが……。
第3部ストーリー
第2部から1年後の2621年、日本ではテラフォーマーの関与が疑われる行方不明事件が多発していた。燈を始めとする火星からの帰還者は民間警備会社『一警護(はじめけいご)』の一員となり、本多晃によって新たに施工された手術「C.B.技術(キマイラ・ブラッド・オペレーション)」を駆使して戦っていた。
東京に潜んでいたテラフォーマーの脳を解析した映像から〈祈る者(インヴォーカー)〉ことスキンヘッド型テラフォーマーの拠点を突き止めた燈たちは東シナ海沖の中国軍の人工島への潜入調査を行う。ミッシェル率いるアメリカ合衆国宇宙軍特殊作戦部隊『SPACIALs(スペイシャルズ)』チーム4と共にニュートンの一族、中国軍上層部、テラフォーマーで構成される〈神奸達(スニーカーズ)〉の妨害を受けながらも激闘の上に施設は制圧、攫われていた民間人たちの救出に成功するが中国領に米軍が介入するという結果を招いてしまった。
だが施設制圧から1週間後、テレビ中継に突如「祈る者」が出現。日本を占拠すべく総攻撃を始める。米軍・中国軍をはじめとする「全国籍軍」も日本に現れ、人類とテラフォーマーの『戦争』が開幕した。
登場人物
第零部
- ジョナサン・レッド
- ジョージ・スマイルズ
- リサ・オイカワ
- ケント・ホーランド
- トーマス・ベルウッド
- カルロス・ミネリー
- M・K・デイヴス
第1部・2部共通
第1部
- ドナテロ・K・デイヴス
- 張明明
- 秋田奈々緒
- ティン
- ヴィクトリア・ウッド
- ゴッド・リー
- テジャス・ヴィジ
- マリア・ビレン
- トシオ・ブライト
- ジャイナ・エイゼンシュテイン
- ルドン・ブルグスミューラー
- ジョーン・ウェルソーク
- 陽虎丸
- アレクサンドル・グスタフ・ニュートン
第2部
日米合同第一班
日米合同第二班
- ミッシェル・K・デイヴス
- 膝丸燈
- アレックス・K・スチュワート
- リュウジ・ロブソン
- リュウイチ・ロブソン
- アミリア・ヴェンカテッシュ
- ペギー・フォーティ
- ウォルフ・レッドフィールド
- 柳瀬川八重子
- パトリック
- ジョイス
- ホリー
第三班
- シルヴェスター・アシモフ
- アレクサンドル・アシモフ
- イワン・ペレペルキナ
- エレナ・ペレペルキナ
- ニーナ・ユージック
- アナスタシア・アンドレーヴナ・ポリトコフスカヤ
- アーロン・ユージック
- セルゲイ・セレズニョフ
第四班
第五班
- アドルフ・ラインハルト
- イザベラ・R・レオン
- エヴァ・フロスト
- ワック・エリクソン
- サンドラ・ホフマン
- エンリケ
- フリッツ
- アントニオ
- ジョハン
- レイシェル
- ミラピクス
第六班
- ジョセフ・G・ニュートン
- マルシア
- キャサリン
- エマ
- アレクサンドラ
- ジュリア
- ローレン
- リシュエンヌ
- マリークレア
- ムテバ・ネルソン・ムテキチ・インビクタスJr.
第3部
一警護
SPACIALs
- ミッシェル・K・デイヴス
- マルコス・E・ガルシア
- ウォルフ・レッドフィールド
- アミリア・ヴェンカテッシュ
- 竜一・ロブソン
- 柳瀬川八恵子
- アレックス・カンドリ・スチュワート
- エヴァ・フロスト
- 中之条江莉佳
- エリザベス・ルーニー
- トーヘイ・タチバナ
ニュートンの一族
- ジョセフ・G・ニュートン
- ファティマ・フォン・ヴィンランド
- アレクサンドル・グスタフ・ニュートン
- エロネ・新界
- 金姫・フォン・ヴィンランド
その他
アニメ版
最初に、原作第1部(第1巻)の内容をアニメ化したOVAが単行本第10巻と11巻に同梱される形で発売。
続いて、テレビアニメが2014年秋よりTOKYOMXおよび朝日放送、CBC、BS11、テレ朝チャンネル1で放送。第2部(原作第2巻以降)からのスタートとなった。
上述のように「いつ誰がどんな酷い死に方をするかわからない」スリリングな展開が本作の特徴の一つなのだが、TV放送版は残酷描写の規制が凄まじく、生首などは●規制が入るほか、アクションシーンなど画面が真っ黒で何が起こっているやらわからない状態に。
品質それ自体は決して低くなく、作画・演技ともに良好であり、規制の少ない後半には演出面でも盛り上がりを見せた。しかし、大事なツカミの序盤で視聴者に与えたインパクトはあまりにも大きく、終わってみると規制の事ばかり語られる始末で、ソフト版のセールスも振るわなかった。
2016年春に『テラフォーマーズ リベンジ』として第2期を放送。愛知県でのネット局がテレビ愛知に変更。
第1期の批判を受けてか、声優は据え置きのままスタッフが総入れ替えとなり、作風がガラリと変わった。
しかし、不自然な規制が撤廃されただけでなく、1期で評価されていた緊張感のある演出まで撤廃されてしまい、妙に明るくコミカルな作風に変化。原作のそういった面を重視したとも取れるが、評価は更に下がってしまい、2020年現在まで第3期は出ていない。
実写映画版
2015年に実写映画化が決定。メガホンをとるのは漫画・アニメの実写化に定評のある三池崇史監督。
この朗報に原作者の貴家悠は、
「母さん……『あんたの漫画ゴチャゴチャしてて全く何やってるのか分かんないけど、就職はいつすんの?』とはもう言わせません……映画になるんですよ、母さんッ!!!」
作画担当の橘賢一も
「メガホンをとるのが三池監督に決まり、『ああ、これはいける…ッ!』と直感した」
と両名共に喜んでいた。
かくして2016年4月29日に公開されたのだが、実際にふたを開けてみると・・・・・・・・・・・・・・・・
- 実写化お約束とも言うべき外国人キャラの強引な日本人化かつ見るからに宣伝感丸出しな若手美形俳優ばかり集めたキャスト
- それでいて原作ストーリーの流れに無理矢理押し当てているために生じた設定の破たんや矛盾
- 詰め込みすぎたためにキャラクターが掘り下げ不足で感情移入できない浅薄なシナリオ
- 命がけの戦場にいる緊張感が感じられない淡々とした演技
- 「チープ過ぎて下手なコスプレに見える」とまで酷評された特殊メイク
- 何故か艶のある黒ではなく土を浴びたような薄汚い茶色のテラフォーマー
映画評論家の前田有一が自身のサイトで「長年私が指摘してきた邦画の問題点が凝縮されたような映画」とまさかの5点を叩き出したことで評価はさらに下がり、都市部の映画館でもゴールデンウィークにも関わらず席がガラガラなんてこともあちこちで起き、「何が何だかわからず気づいたら置き去りにされたまま終わっていた」とまで言われる始末。
外国の評価に至っては「テラフォーマーの容姿が黒人差別」と的外れな批判(モデルは黒人でなく原人である)も挙がるなど、悪い意味で有名に。
かくして15億円の制作費をかけ30億円の興行収入を狙った大作にも関わらず、結果は8億円いくかいかないかで損益分岐点を大きく下回り、制作費の半分も回収できない大赤字。続編前提で製作されていたが、当然中止になった。
※あえて弁護すると、映像や音響は頑張っており、スタッフ、キャスト共にもう少し報われても良い。アクションはキレがあるし、1億円もかけて作ったという宇宙船のセットも悪くなく、特撮アクションとしての側面のみ評価すれば及第点と言えるだろう。
問題は「これを『テラフォーマーズ』のタイトルで公開してしまった」事である。別タイトルのインスパイア作品として公開していれば、もう少し評価は高かったかもしれない。
とはいえ、オリジナル作品として見た場合でも、前述のシナリオの浅さは如何ともしがたいのだが…。
「最強生物決戦」展
上記の映画公開に際し、サンシャイン水族館で2016年3月18日~5月31日に開催されたコラボイベント。
「電気」「毒」「虫」「甲殻」の4ジャンルで作中手術ベースとして登場した生物(スタッフ推薦の未登場生物含む)のほかに、撮影で使用された衣装や、描きおろしの特別イラストも展示された。
展示された生物
横のキャラ名は被手術者で、未記載はスタッフ推薦。並びは通路を基準とし、★は標本展示の生物。
ハリセンボン:アントニオ(4月13日から会場入口横に展示)
ヨロイモグラゴキブリ:テラフォーマー
オオミノガ★:膝丸燈
アシダカグモ:マルコス・E・ガルシア
電気
デンキナマズ
デンキウナギ:アドルフ・ラインハルト
シビレエイ
毒
オオスズメバチ★:小町小吉
ハナミノカサゴ
ヒョウモンダコ:劉翊武(正確には近縁種のオオマルモンジダコで、プレートにも「ヒョウモンダコの仲間」と記載された)
ダイオウサソリ:ニーナ・ユージック(実際のベースはオブトサソリだが、輸入禁止種だったための代用と思われる)
アオズムカデ:アーロン・ユージック
虫
ニジイロクワガタ:マリア・ビレン(バグズ2号メンバーでは唯一ベースの生体展示がされた(小吉のオオスズメバチは標本展示))
スマトラオオヒラタクワガタ:アレクサンドル・アシモフ
リオック★:イザベラ・R・レオン
甲殻
タスマニアキングクラブ:シルヴェスター・アシモフ
ノコギリガザミ
ヤシガニ
モンハナシャコ:鬼塚慶次
ニシキテッポウエビ:ジェット(相方というべきハゼがいなかったためか「臆病なので、姿が見えなくても水槽を叩かないでください(要約)」の注意書きあり)
関連イラスト
関連タグ
ヤングジャンプ 2014年秋アニメ
R-18G マーズ・ランキング
聖飢魔II - TVアニメ主題歌を歌った悪魔集団(バンドグループ)。原作者と作画担当双方が信者(ファン)でもあり、極悪大教典(いわばベストアルバム)『XXX -THE ULTIMATE WORST-』のジャケットで構成員を描いたイラストを手掛けた事もある。
スピンオフ作品
コミック
テラフォーマーズ1
今日のテラフォーマーズはお休みです。
教えて!ミッシェル教官
テラフォポリス
てらほくん
外伝RAIN HARD
外伝アシモフ
外伝鬼塚慶次
小説
テラフォーマーズLOST_MISSION
テラフォーマーズTHE_OUTER_MISSION