概要
5大少年誌(英:shonen Big 5)とは漫画市場において発行部数やIP売上に多大なシェアを占めている5つの少年漫画誌、及びそのコミックレーベルのこと。各レーベルで多数の派生誌を持ち、レーベル名を冠したイベントやメディアミックス戦略を図ることで巨額の利益を得てきた。
2023年に開催された「ビンテージマンガ&レトログッズ ギャラリー」展では、昭和期の5大少年誌(後述)の創刊号が一列に展示された。
具体的には『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』『チャンピオン』『キング』の5レーベルのことを昭和期には指していたが、1970年代に「週刊少年キング」が当時発行部数が最大であった「週刊少年チャンピオン」との競争に敗れたため、キングが5大少年誌の座から脱落した。
以後長らく4大少年誌の状態が続いたが、平成に入ると少年誌への新規参入が増加するとともにレーベル創出に成功する勢力が生まれ始めた。それらの新規勢のなかで特に売上が大きく派生誌も多数抱える『ガンガン』『エース』のいずれかを加えて5大少年誌と形容する場合もある。
令和以降は電子書籍の普及に伴い、各出版社はレーベル名を冠したウェブ漫画サービスに注力しブランドの保全を試みている(例/少年ジャンプ+、チャンピオンクロスなど)。
5大少年誌に含まれるレーベル
「少年ジャンプ(1968年創刊/月2刊誌) 」からレーベルを広げ、同誌が1969年からの週刊化に伴い改名した「週刊少年ジャンプ」を中核誌とする。
単行本レーベルはジャンプ コミックス(JUMP COMICS)などで、5大少年誌及び漫画業界で最大勢力を誇る。
おもしろブック(1949年創刊/月刊漫画誌)を始祖とする。
「週刊少年マガジン(1959年創刊)」からレーベルを広げ、現在も同誌を中核誌とする。
同誌は講談社が“日本初の週刊少年漫画誌“の座をめぐり小学館と創刊レースを繰り広げた結果、互いに創刊時期を予定日よりも早く繰り上げたため1959年3月17日に小学館の週刊少年サンデーと同日創刊されたという歴史がある。
少年倶楽部(1914年創刊)を始祖とする(1950年代以降の漫画ブームにより少年倶楽部が少年マガジンに合併される体裁)為、5大少年誌のなかでは唯一大正時代にルーツを持つ最古参のコミックレーベルである。
「週刊少年サンデー(1959年創刊)」からレーベルを広げ、現在も同誌を中核誌とする。
サンデーという誌名は“この雑誌を読むとまるで日曜日のように楽しい気分に浸れるように”という意味を込めて初代編集長:豊田きいちが考案した。
「少年チャンピオン(1969年創刊/月2刊誌)」からレーベルを広げ、同誌が1970年からの週刊化に伴い改名した「週刊少年チャンピオン」を中核誌とする。
少年少女冐險王(1949年創刊/後の月刊少年誌“冒険王”)の系譜に連なる。
かつて5大少年誌に含まれていたレーベル
- キング系 出版社:少年画報社
「週刊少年キング(1963年創刊)」からレーベルを広げた。
同誌は日本で3番目に創刊された週刊少年誌で、先に創刊していた講談社や小学館などの大手出版社とは違い中小出版社から初めて創刊された週刊少年誌であった。
1970年代に同誌が、当時発行部数が最大であった「週刊少年チャンピオン」との競争に敗れ1982年に休刊に追い込まれた為にキング系は5大少年誌の座から脱落した。
しかしその後、キングの名を継承した「ヤングキング(1987年創刊)」の青年漫画に舵をきった戦略が成功し多数の派生誌とともに現在も同誌が発行され続けていることから、レーベル名としては存続し続けている。
平成以降、5大少年誌に加えられることがあるレーベル
・ガンガン系 出版社:スクウェア・エニックス
「月刊少年ガンガン(1991年創刊)」からレーベルを広げ、現在も同誌を中核誌とする。
それまで20年間ほど月刊漫画雑誌の創刊で成功といえるものが無かったため、同誌の成功には出版関係者からの驚きの声があった。エニックス社は同誌の1995年の月2回刊化までに『フレッシュガンガン(後の「ガンガンWING」)』『ガンガンファンタジー(後の「Gファンタジー」)』といった派生誌を次々と創刊した。漫画雑誌によって出版部門はエニックス社の安定収入基盤となりドラゴンクエストシリーズ未発売期における業績の下支えとなった。周辺雑誌を含めてエニックス系(スクエニ系)とも呼称される。単行本レーベルはガンガンコミックス
・エース系 出版社:KADOKAWA (KADOKAWAグループ/角川Gの筆頭株主はソニーグループ)
「月刊少年エース(1994年創刊)」からレーベルを広げ、現在も同誌を中核誌とする。同誌をKADOKAWAは「角川書店の基幹コミック誌」とも位置付けている。
単行本レーベルは角川コミックス・エース