※キャラクターの「どろろ」については「どろろ(キャラクター)」を参照のこと。
概要
- 舞台は戦国時代。不具者の剣士・百鬼丸が、自分の体の部位を奪った48体の妖怪を退治していく旅物語。タイトルの「どろろ」はその旅に同行する子供の名前である。
- 手塚が水木しげるに対抗し、自分も妖怪モノにチャレンジしようと考えたことでこの作品が生まれた。妖怪ブームが巻き起こっていた当時、イベントで初対面の水木に対して手塚は「あなたの漫画くらいのことは僕はいつでも描けるんですよ」と挑戦状を叩き付けたという話もある。1967年、週刊少年サンデーで連載が始まるが、ストーリー半ばの中途半端な形で1968年打ち切りになってしまった。 これに関しては長らく「不人気による打ち切り」とされていたが、反面「度重なるクレーム(百鬼丸の身体的表現など)への対応に疲弊した手塚本人が創作意欲を削がれた為」という話もあり、原作者なき今となっては真相は闇の中である。
- 1969年にテレビアニメ化したおかげで、掲載誌を冒険王に替えて連載再開され、一応の完結をみた。しかしこちらもストーリーとしては中途までとなり、結局「ラスボスに他の魔物を全部吸収させて一度に倒す」と言う強引な方法で終わらせ、きちんとした物語の完結には至らなかった。
- また、漫画以外のメディアはテレビアニメの他に、パソコンやプレイステーション2のゲームソフト、実写映画も製作された(映画のノベライズ小説もあり)。アニメ版とPS2版では全ての魔物を倒すまで描かれた。
- 2018年3月19日、新たにテレビアニメ化されることが発表され、2019年1月から同年6月まで放送された。
特徴
時代劇で妖怪物、と言う特殊なジャンルとして発表されたが、妖怪だけでなく人間の所業も全話に渡って狂気じみている。作品自体の暗さから明るいものばかりの漫画の中で当時の読者に受け入れられにくく不人気であった。
また打ち切りとアニメ化に伴う再開と掲載誌の変更もあったが相変わらずの不人気で結局はラストまで描けずに、打ち切りになってしまう。
が、必ずしもハッピーエンドを迎えない作品や正道を外れたダークヒーローや陰鬱な作風のダークファンタジー物が一定の需要を持って受け入れられる時代に至ってその内容が再評価され、先述のように後年になって現代風にアレンジされた形で作品化された例も複数ある。
百鬼丸という衝撃
怨念渦巻く仄暗いストーリーと時事問題に対する痛烈な風刺、義手や義足の中に刀などの武器を仕込んだ主人公というグロテスクな設定は、連載当時は読者に受け入れられず打ち切りとなった。しかしこうした作品の深さ、奇抜かつ独創的なアイディアは、読者に強烈な印象を残し、カルト的な人気を博すこととなった。
その好例がMADARA PROJECT のメディアミックス作品『魍魎戦記MADARA』(もうりょうせんきまだら)である。主人公の摩陀羅(マダラ)は、父の手で8つのチャクラを魔物の将軍に捧げられる、隠し武器を仕込んだ「ギミック」を持ち、本来の肉体を取り戻すために戦うなど、本作品および百鬼丸というキャラクターの強い影響下にある。
また「生身では無い義手・義足に武装やギミックを仕込む」というアイディアは後発の様々な作品で用いられている。
アニメ版
1969年版
1969年4月から9月にフジテレビ系列にてに全放送された。アニメーション製作は虫プロダクション。全26話。総監督は杉井ギサブロー。当時ほとんどのテレビアニメはカラー放送になっていたが、内容の都合上、本作はモノクロで製作されており、却っておどろおどろしさを強調している。放送開始初期のタイトルは原作と同じ『どろろ』だったが、14話以降は『どろろと百鬼丸』に変更された。タイトル変更後はユーモラスな妖怪が多く登場する低年齢向け路線になった。
障害者や差別など微妙な問題が多かったため、地上波では殆ど再放送はなされていない(脚本担当者も再放送は厳しいと振り返っている)。これでも日曜19時台後半に放送された作品である。
オープニングはなかなか変なので、インパクトはあったらしい。
2019年版
2019年にリメイク版が放送された。
本作品初のカラーアニメであり、1969年以降50年ぶりのテレビアニメ化である。アニメーション制作は『うしおととら』等を担当したMAPPAと手塚プロダクションの共同制作。キャラクター原案を浅田弘幸が担当し、現代的なイメージとなっている。
放送はTOKYOMX、BS11、時代劇専門チャンネル。
インターネットではAmazonプライム・ビデオにて日本・海外独占配信された。
制作スタッフ
主題歌
オープニングテーマ
- 第1話~第12話
『火炎(FIRE)』
歌:女王蜂
作詞・作曲:薔薇園アヴ
編曲:女王蜂・塚田耕司
- 第13話~第24話
『Dororo』
歌:ASIAN KUNG-FU GENERATION
作詞:後藤正文
作曲:山田貴洋・後藤正文
エンディングテーマ
- 第1話~第12話
『さよならごっこ』
歌:amazarashi
作詞・作曲:秋田ひろむ
編曲:出羽良彰・amazarashi
- 第13話~第24話
『闇夜』
歌・作詞・作曲:Eve
編曲:Numa
劇中使用曲
- 5・6話
『赤い花白い花』
作詞・作曲:中林三恵
キャスト
1968年:1968年のパイロットフィルム版のCV
1969年:1969年のTVシリーズ版のCV
2019年:2019年のリメイク版のCV
PS2:PS2版ゲームのCV
映画:実写映画版の演者
舞台:舞台(西田大輔版)の演者
百鬼丸 | どろろ | 琵琶丸 | ナレーション | |
---|---|---|---|---|
1968年 | 野沢那智 | 鈴木弘子 | - | 納谷悟朗 |
1969年 | 野沢那智 | 松島みのり | 滝口順平 | 納谷悟朗 |
2019年 | 鈴木拡樹 | 鈴木梨央 | 佐々木睦 | 麦人 |
PS2 | 杉田智和 | 大谷育江 | - | 小林清志 |
映画 | 妻夫木聡・鈴木宗太郎(幼少期) | 柴咲コウ・橋本くるみ(幼少期) | 中村嘉葎雄 | - |
舞台 | 鈴木拡樹 | 北原里英 | 赤塚篤紀 | - |
その他の媒体
小説
辻真先による児童小説。内容は原作と微妙に異なる。
現在は朝日ソノラマ文庫で読むことが可能。
鳥海尽三による学研M文庫の小説。全3巻。
細かい設定や登場人物が原作とは大幅に異なる。
NAKA雅MURAによる、朝日新聞社の実写映画版ノベライズ。上下巻。
2007年の実写映画の脚本家の手によるもので、映画を補完した内容。シーンやキャラが映画と異なる箇所もある。
また、正確には小説ではないが、ゲームブックも出ている。
JICC出版局、アドベンチャーノベルスより、鳥海尽三、鈴木良武の共著として、1988年に発売。
挿絵は、切り絵作家の「百鬼丸」こと渡辺文昭氏。
読者が百鬼丸となって、どろろとともに妖怪退治の旅に出るもの。原作準拠な内容だが、選択次第ではどろろと百鬼丸は道半ばで何度も死ぬ(鈴木氏は「執筆してわれわれが面白いと思ったのは、TVだとヒーロー絶対で、うかつに死なせることはできないが、ゲームブックでは、何回も最期を迎えさせることができる点だった」との事)。
パソコン版
コマンド選択式のアドベンチャーゲームで、対応機種はPC-8801mkIISR。
時系列的には原作の続きで、原作最終回で別れたどろろと百鬼丸が再会し、残り数体となった魔物を倒していくというストーリー。
絵柄は原作に忠実で、他の手塚作品からのキャラの出演も多い。
また、どろろが女性であるという設定を生かしたイベントもある。
PS2
セガによる3Dアクションゲーム。
原作をなぞりつつもオリジナル展開を踏まえてストーリーを完結させている。
百鬼丸の義体に大砲やマシンガンが仕込まれるなど、アクションゲームに特化した強化が図られている。
48の魔神と奪われた部位が明確にされており、初期状態では片方の肺・神経・血管・鎖骨・肩甲骨・大脳の半分しか残っていない。
それでも表記できる部位が足りなかったのか、気の流れを司るチャクラ系部位まで存在する。
百鬼丸が体を取り戻すと画面や操作に変化が現れる演出も特徴的。
実写映画
手塚作品の映像化で初のPG-12指定を受けている。
室町時代末期の日本ではなく「賢帝暦」という暦が使われている架空の世界を舞台とし、呪術めいた方法で死体を加工して作られた百鬼丸の義体、左手の仕込み刀は妖怪退治のために作られた妖刀(本作では「百鬼丸」の名前はこの刀の銘である)など、和風ファンタジー的な要素が強い。
舞台
2018年9月3日のリメイク版アニメの続報と併せて舞台化が決定したことも発表された。
アニメ版で百鬼丸役を務める鈴木拡樹氏が、舞台版『どろろ』でも同役を演じ、主演も同時に務めることが決定している。
その他の漫画作品
どろろ梵
百鬼丸は美しく成長したどろろと再会するが彼女は妖怪に取り憑かれており殺害されてしまう。
現代日本で女性として転生した百鬼丸は勝手に付いて来た少女梵と共に残りの魔物とどろろを斬るための旅に出る。
どろろとえん魔くん
手塚眞及び手塚プロダクション公認。
美しく成長したどろろがえん魔くん、シャポーじいと共に百鬼丸を探す旅をする。
永井豪の脚本ゆえ女のどろろがスケベなえん魔くんにハレンチなことをされてしまう事がたびたび。
基本、どろろに付き合ってえん魔くんが一緒に百鬼丸を探すかたわら妖怪退治をする物語である
どろろと百鬼丸伝
士貴智志による漫画作品、チャンピオンREDにて2018年12月号より連載中。
原作の内容や設定を踏襲しているが、登場人物の関係性などで微妙な差異がある。
サーチアンドデストロイ
カネコアツシによる漫画作品、テヅコミにて連載中。
原作をベースとした近未来的SF作品となっている。
四十八の魔物
地獄堂に像が奉られる存在。
醍醐景光との契約により、彼に力を与える代わりに百鬼丸の体の48箇所を奪った妖怪たち。
百鬼丸が生まれる前に醍醐が僧侶を一人殺して生贄に捧げているため体のパーツを持っているのは47匹とする説もある。
また、PS2ゲーム版ではゲームの内容故に48の魔神(妖怪)が登場しており、それに従って身体の部位48カ所も登場している。 数が多い事とゲーム内容のネタバレにもつながるので、別記事に示す
原作版
本編開始時点で16匹が倒されている。戻ったことがはっきりしているのはヘソと髪の毛。
万代
美しい女性と巨大かつ醜悪なオオサンショウウオのような怪獣(百鬼丸曰く「あんな醜い怪物は観たことねえ」「ガマクジラ」)、さらには鬼女女夜叉の三つの姿を持つ。
表向きは村の有力者として村人に金品を与え、ある程度栄えたら怪獣となって村を襲い、再び与えてはまた奪うという事を繰り返していた。
正体は人面瘡。仲間の白い液体状の妖怪と共に旅の女性に寄生していた。
奪った部位は右腕。
2019年版アニメでは村人に対し最初から正体を明かしている。
村の周辺を通る旅人を食い殺し、奪った金品で村を発展させていた。
村人たちは旅人が食べられている間は身の安全は保障される上に村が栄えるため、万代を村の長として匿う。この共犯関係により村の支配を強固なものしていた。
奪った部位は神経。
人を斬り続けた結果妖怪が取り憑いた刀。
血を求め持ち主を操る妖力を持ち、作中では田之介という青年とどろろが操られた。
2019年アニメ版における田之介の回想では錆だらけナマクラ刀が人を斬るごとに錆が取れて切れ味を取り戻し、それと同時に妖力で田之介を支配していく様子が描かれた。
奪った部位は左目。アニメ(2019年)では耳。
朝倉領と富樫領の境にある巨大な塀の跡地ばんもんの周辺に生息する人食い狐のボス。普段は狐の顔をした火の玉の姿をしている。
エサである人間の死体が手に入る状況を維持するため、二国の戦を長引かせるよう手下の狐たちを暗躍させていた。
多宝丸と決闘中の百鬼丸に対し醍醐景光こそが魔神に百鬼丸の体を売り渡した父であり、多宝丸は弟である事を教えて心を乱す。
奪った部位は鼻。
2019年版アニメではばんもんに取り憑いて狐火を操り、近づく人間を襲って喰らう妖怪として恐れられているが、朝倉の軍勢を追い返して醍醐の国を守る役割をしていた。
百鬼丸と対決するが、決着をつけることなく最後はばんもんに吸い込まれるように消え去った。
奪った部位は目。
白面不動
不動明王の姿をした妖怪。
自らの顔を持たず、手下の女妖怪が誘い出した人間を滝で凍死させ顔を奪っていた。
正体は岩に張り付き不動の形をしたカビの集合体。
奪った部位は右耳。
2019年版アニメでは、滝の裏に隠された顔だけ未完成の不動像に魔物が取り憑いて、死んだ仏師を女の姿にして生き返らせて操って修験者を殺させ、滝壺の底に沈んだ死体の山から湧き出る怨念を喰らっていた。
倒された後も百鬼丸の身体の失われた部分が戻らなかったため、部位を奪った鬼神ではなかった模様。
また、同作では子供の顔は合わないとされている(原作ではどろろの顔を要求する場面があった)。
郷士の鯖目に取り入り妻となった蛾の妖怪。屋敷の侍女も彼女の一族が化けている。
「遠い世界からやって来た」と語り、村の裏山にあった彼女たちの巣の形がどう見てもUFOなど、宇宙人であるらしい節がある。
奪った部位は右足。映画では肝臓。
2019年版アニメでは外敵から鯖目の里を護ることを条件に一族で里に潜伏して、野伏や野獣を食い尽くして里に平和をもたらしていたが、里の住民は自分たちがマイマイオンバの餌食にされないために旅人や孤児たちを生贄にしていた。
火に引き寄せられる習性があり、里が火事になった際に一斉に火に飛びこんで眷属は全滅。一匹だけ生き残った親玉が湖の中に潜んでいたが、篝火に引き寄せられて出現した所を百鬼丸が義足に仕込んでいた油を浴びせられ、火を付けられて焼け死んだ。
奪った部位は脊髄。
二郎丸
不知火という少年に飼われていた人食い鮫が妖怪化したもの。三郎丸という弟鮫がいるが、どろろの奇策によって殺された。
胃の内容物を発酵させたアルコールのガスを吐き相手を酩酊させる。
奪った部位は声帯。
2019年版アニメでは三郎丸の死体を食ってパワーアップして真っ白になり全身にトゲが生え、ヒレが発達して陸でも活動できるようになった。弟の敵であるどろろを食い殺そうとするが、どろろを助けに駆け付けた百鬼丸と対決し、脳天に刀を突きさされて倒された。陸では動きが鈍くなる上に、アルコールガスを使う能力もなくなり、むしろ弱体化したのではという意見もある。
奪った部位は左足。
炎の馬
毛並みが炎で出来た馬。
実体の無い魂だけの存在であるため、人間に恨みを持つメス馬のミドロ号に取り憑いて人間を次々踏み殺し、さらに賽の目の三郎太を操り百鬼丸を襲う。
奪った部位は不明。アニメ(1969年)では涙腺。
どんぶりばら
大きくなり過ぎて餌を食べる事が困難となり、分身を使い村の長者から栄養を奪っていた。
奪った部位は右目。
四化入道
僧侶の姿をした獣の妖怪。
元々は寺の住職で人格者だったが寺を潰して砦を建てようとした景光に反対したため生き埋めにされ、土中の小動物(モグラ、カエル、カワウソ、ネズミ)の精気を取り込み妖怪化した。
映画ではラスボスであり景光と一体化する。
奪った部位は不明。アニメでは神経、映画では心臓。
残りの魔物たちの集合体。
百鬼丸と戦うも攻撃を受けて何匹か分が倒されたが完全には仕留めきれず、そのまま霧散して逃亡した。
アニメ(1969年)では47番目の妖怪として最終回で登場、奪った部位は右手。
2019年版アニメでは、山道で通りかかる人を襲っていた化け物として登場。 一体化していた二柱の鬼神がそれぞれで部位を持っていた模様、奪っていた部位は両腕。
アニメオリジナル(1969年版)
かじりんこん
長い舌を持ち人間も妖怪も見境無く食べる怪物。
三匹の天邪鬼が仲間と間違えて封印の石塔を壊したため復活した。
奪った部位は声帯。
マタタビの木の妖怪
蔦の絡まった巨大な猫の骸骨。
村の人間を食い尽くし、村を訪れた百鬼丸たちを襲う。
奪った部位は両耳。
海獣ビラビラ
とある漁村を荒らし回り、いつの間にか「神様の銛」によって封印されていたが、どろろが銛を抜いてしまったため復活する。
奪った部位は歯。
大蜘蛛おんぶら鬼
村人を脅して生贄を要求し、子守のアルバイトと騙された旅人に地蔵を背負わせ疲れて動けなくなったところで食べていた。
奪った部位は脊椎。
土坊主
泥の塊のような妖怪。
乞食のぐう太郎の尻に書かれた経文で封印されていたがどろろが消したため復活。
奪った部位は皮膚。
醍醐景光
百鬼丸の父。
魔物との契約で最後の魔物として転生した。
また、地獄堂での魔像との会話から、百鬼丸に倒された魔物達は四十八の魔物そのものではなく分身に過ぎない事が判明する。
映画オリジナル
ヤシガニ蜘蛛
髑髏のような顔を持つカニと蜘蛛を合わせたような妖怪。
ある街の酒場で踊り子に化けていた。
奪った部位は右足。
赤錆山の魔物
噂話の中に登場する。
赤錆山という鉱山に住み着き人を食らっていたが何者か(百鬼丸)に倒された。
奪った部位は不明。
桜魔人
能面のような顔を持つ人面樹。
桜吹雪を吐き、赤い髪で相手を拘束する。
奪った部位は左耳。
山椒魚
巨大なサンショウウオの妖怪。
全身が硬い鱗で覆われ、武器は怪力と長い舌。雨を封じる特殊能力を持つ。
奪った部位は声帯。
人食いの鳥人。
パンフレットに書かれた設定によれば、鳥葬で人肉の味を覚え、生きた人の肉を食いたいと思うようになったカラスが山の修験者を襲ううちに妖怪化したもの。
飛行能力と二刀流を活かしたトリッキーな戦法を得意とする。
奪った部位は右腕。
赤野獣
青野獣
二匹で一対の狼の妖怪。
人の弱点や心の苦しみを的確に見抜き、それを巧みな話術で嬲って自殺に誘うような陰湿な戦い方を好む。
奪った部位は両目。
映画ノベライズ
トカゲ山伏
修験者姿で体は爬虫類のような鱗に覆われている。
奪った部位は胆嚢。
八百蜈蚣
888本の牙を持つ鬼面の大百足。
奪った部位は左耳。
ぱっくりモチ爺い
アケビ型の妖怪。どろろが命名。
アケビの実からトリモチ状の中身を飛ばして相手の動きを封じる。
奪った部位は睾丸。
3匹で1匹の猿の妖怪。
目の無い「見ざる」、口の無い「言わざる」、耳の無い「聞かざる」。
奪った部位は舌。
どろろ梵
この作品では魔物は最後の3匹まで減っている。
どろろと同化した妖怪。前世の百鬼丸を殺害した。
外見は頭から猫の尾が生えた着物姿の女性(どろろ)。
根本的には妖怪だが、性格はどろろの影響が強い。
奪った部位は左足。
夢を操る妖怪。現実と夢の出来事を入れ替える能力を持つ。
黒猫に憑いており、本体は異国の民芸品のような姿。
奪った部位は右目。
赤目
赤い三つ目を持つ巨人。
寿命(人間に対する怨み)が尽きかけたため森の奥で隠遁していたが、「もう一人の百鬼丸」に惨殺される。
奪った部位は左腕。
どろろとえん魔くん
この作品では最終章となるエピソードでどろろとえん魔くんがついに百鬼丸と出会うのだが・・・
百鬼丸が鬼蜘蛛の仲間の一人を切ったために怨みを買われてしまう羽目に。
それ以来、百鬼丸は鬼蜘蛛達に追われる身となる。
奪った部位は???。
アニメオリジナル(2019年版)
同作では魔物や妖怪ではなく、十二体の鬼神に設定が変更されている。
また百鬼丸は最初から欠損して生まれたのではなく、縫の方から生まれた直後に雷と共に身体の各部を奪い取られた。しかしその際に仏像が身代わりとなって首が砕けたため鬼神の一体は百鬼丸の部位を奪えなかった。ゆえに百鬼丸の身体を奪ったのは十一体となっている。
見返りとして醍醐領に雨などの恵みをもたらし、鬼神が倒されるごとにその恩恵が無くなっていく様子が描かれている。
泥鬼
ゴミが混じったヘドロの妖怪。
川上から流れてきて、どろろをリンチしようとしていた荒くれ者たちを捕食した後、本命の百鬼丸に襲い掛かる。
モデルは原作に登場したゴミに憑依した死霊(後述)。
奪った部位は皮膚。
舌の長い魔物
かじりんこんに似た妖怪。
まだ寿海の元に居た頃の百鬼丸を襲って倒される。
奪った部位は右足。
なおこれ以外に大蛇や狒々など鬼神と無関係に百鬼丸を襲った妖怪が数体いたが、百鬼丸に倒された。
大蟻地獄
巨大な蟻地獄の姿をした妖怪。奪った部位は声。
百鬼丸に一度倒されるが、死ぬ間際に百鬼丸の右足を食いちぎって奪い取り、そこから新たな命を得て生き長らえる。
後日ふたたび対決するが、百鬼丸の奪われた右足の代わりに着けた義足に仕込んだ刀で喉を突かれ、怯んだところで首を斬り落とされて今度こそ完全に倒される。奪われていた右足は百鬼丸の身体に戻った。
アニメ(1969年)の最終回にも似た姿の妖怪が登場している。
のこされ雲
黒雲の中に潜む巨大な人面ムカデの妖怪。
出現した時には弱点である日光を遮る黒雲を常にまとって空中に静止しているためこの名で呼ばれるようになった。
本体のみならず黒雲全体からも魔物特有の赤い気配を発しており、百鬼丸の感知能力も役に立たず苦戦させる。
奪った部位は鼻。
その他の魔物・妖怪
原作版
死霊
百鬼丸を狙う有象無象の悪霊たち。
ゴミの塊、草履、野犬、猿、草など様々なものに憑りつき百鬼丸を襲う。
鈴を持った頭の大きな怪人。
埋められた財宝の精霊であり、万代が村から奪った財宝の在処を教えた。
永井豪の描いた短編『嵐の夜に』(『ブラック・ジャックALIVE』第2巻収録)ではなぜか万代、九尾の狐と共に百鬼丸の元に現れるがブラック・ジャックによって仕込まれた右腕のガトリング砲で粉砕された。(その際、「オレは良い妖怪なのに~」と漏らしている)
2019年アニメ版では万代に殺され路銀を奪われた旅人の霊が妖怪に生まれ変わったもの。
人面瘡
百鬼丸が過去に退治した妖怪。
とある村の娘の膝に発生し切っても切ってもまた生えてきたため、百鬼丸の持つ焼水で殺された。
人喰い狐
ばんもん周辺に生息する九尾の狐の手下たち。
戦で生じた死体を常食しており、口にはその燐の炎が燃えている。
白面不動の手下
顔の無い女妖怪で白面不動によって仮初の命を与えられた死人。
相手が心に思い描いた通りに顔を変える能力を持ち、その顔で誘い出した人間を不動の生贄としていた。
お自夜に化けた自分を母と慕うどろろに心動かされ不動から離反する。
2019年版アニメではおかかと名乗り、生前は優しい顔の仏像を作る事で評判の仏師だったが、時代が乱世になり優しさより勇ましさが求められるようになったせいで世間から見放されてしまう。そんな世間を見返すために白面不動の元となった不動明王像を作り、最高に立派な顔にしようとしたが完成させる事ができず年老いて死ぬが、未完成の不動明王像に取り憑いた魔物によって女の姿になって甦った。
相手の心を読んで、その記憶の中にある母親と同じ顔と声になることで相手を信用させる事が得意。
普段は修験者の世話をしながら相手を油断させ、殺して顔を剥がして死体は滝壺に投げ込んで白面不動の生贄にしていた。そして理想である立派な顔を手に入れる事で、生前に果たせなかった不動明王像の顔を完成させようと目論んでいた。
どろろの母親そっくりに成りすまして油断させて近づき、百鬼丸の顔を奪おうと企む。
だが、まだ子供であるどろろを殺す事を躊躇うなど、人としての良心は残っており、最後はどろろの説得で改心するも白面不動に裏切り者として処刑された。
慈照尼
妖怪小僧を百鬼丸とどろろに押し付けどこかに消える。
正体はマイマイオンバに謀殺された尼僧の霊。
妖怪小僧
胎児のような姿をした巨体の子供妖怪。
正体はマイマイオンバに焼き払われた慈照尼の寺の孤児たちの霊の集合体。
戦いの際皮を破りマイマイオンバを拘束した。
どんぶりばらの分身
自力で動くのが困難などんぶりばらが作り出した思念体。外見は頭がしゃもじのような形の怪僧。
手に持った鉦を叩くことで村の長者の意志に関係なく大量の食物を食べさせ、限界まで食べたら腹の中に潜り込み栄養を奪う。
大川村婆
景光に焼き払われた大川村(版によっては三川島村)の老婆の霊。
アニメオリジナル(1969年版)
天邪鬼ドキ
仁王像に封印されていた。
どろろを騙し封印を解かせ、仲間のダキ、ブキを解放し町で悪戯の限りを尽くす。
かじりんこんの封印まで解いてしまったため百鬼丸の妖怪退治に力を貸す事になる。
最後は魔力の源である角(ドキ)、尻尾(ダキ)、翼(ブキ)を切られて再び仁王像に封印される。
雷火犬
落雷を引き起こす狛犬。
闘犬の盛んな村の犬が強くなるように虐待され、村人への憎しみを募らせ妖怪化したもの。
もんもん
少女に化けたモモンガの妖怪。
金鉱石に目がくらんだ旅人を洞窟に誘い出しペットの大ナメクジの餌にしていた。
2019年版アニメでも似た姿の妖怪が登場。吸血樹の実から誕生して多数存在したが、百鬼丸に全て倒された。
大ナメクジ
もんもんのペットたち。
「もういいかい」ともんもんに問いかけ、「もういいよ」の返事で獲物に襲い掛かる。
どろろ梵
梵の飼い猫ホフマンが惨殺された恨みから妖怪化したもの。
百鬼丸に倒されたように見えたが梵に憑り付いていた。
海から腕だけを出した途方もなく巨大な妖怪。
地面に拳を叩き付け名古屋に大地震を引き起こした。
玩具の様な外見をした時間を操る妖怪。
もう一人の百鬼丸
妖怪を惨殺する謎の少年。
その正体は百鬼丸の妖怪に対する恨みが実体化した妖怪。
アニメオリジナル(2019年版)
鎌鼬
両腕に三対の鎌のような鉤爪を持つ。
幼少期の百鬼丸を襲うが寿海に斧を投げ付けられ退散。
この出来事が切っ掛けで寿海は百鬼丸に剣術の手ほどきをする。
妖怪たち
寿海の元で暮らしていた頃の百鬼丸を襲うがことごとく返り討ちに遭う。
妖鳥
翼に目玉のような模様を持つ鳥の妖怪。
甲高い鳴き声で聴覚を取り戻して間もない百鬼丸を苦しめるが琵琶法師に倒される。
女の顔をした蜘蛛の妖怪。人間の精気を吸って生きているが、死なない程度に吸うだけで人を殺したことはなく、凶悪な妖怪ではない。精気を吸わないと力が衰えて、人間の女性の姿になる。
自分を匿ってくれた青年に恩義を感じて、彼が侍に殺されそうになった時は助けるなど義理堅い性格の持ち主である。
人さらい事件の犯人だと疑われて百鬼丸に追われるが、最後は誤解が解けて、青年と共に何処かへと去っていった。
妖怪蟹
甲羅が人面のようになっている巨大な蟹。
醍醐領の湖に潜んで漁民を食べていたため多宝丸が討伐隊を結成。水門により湖の水を抜かれて不利な陸上戦を強いられる。
水門を破壊して形勢逆転するも通りかかった百鬼丸と多宝丸に倒された。
吸血樹
戦場跡に生えていた木が、戦死者の流した血を吸って妖怪化。無数を実を付けて、その実から猿とモモンガの合いの子のような妖怪を産み出して、戦死者の死体から金品を漁りに来たコソ泥を殺させていた。
百鬼丸に弱点である核を刺されて倒された。
小鬼の姿をした妖怪で、人間に呪いをかけて本心とは真逆の言動をさせるのが趣味。
その昔とある村で悪さを重ねていたが、村の守り神である毘沙門天像によって封印された。だが毘沙門天像が傾いてしまった為に封印が解けて復活、再び村人に呪いをかけて心にない悪口ばかり言わせるようにさせ、さらに村に立ち寄った百鬼丸とどろろにも呪いをかけて仲たがいさせてしまった。
だが村に住んでいる刀鍛冶とその娘は、鍛冶の神であるひょっとこのお面を厄除けとして祀っていたので、その加護により呪いを寄せ付けなかった。
最後は刀鍛冶に棍棒で頭を殴られて気絶して生け捕りにされて、毘沙門天像の位置を直されて再び封印された。
余談
- ちなみに「どろろ」というタイトルは手塚治虫の友達の子供がどろぼうのことを片言で“どろろう”といったことをヒントにした(講談社刊手塚治虫漫画全集「どろろ4巻」のあとがきでは「ぼくの子どもが」と述べている)。
- 手塚は百鬼丸とどろろの二人が主人公であると述べている。
- ばんもんのエピソードは、板門店とベルリンの壁が元ネタになっている。
- テレビアニメ2019年も当初は旧作同様原作絵をそのままでアニメ化する予定だった。
- 大神シリーズに登場する鮫の妖怪の名前が一郎丸である事から、どろろの二郎丸の影響を指摘する声もある。
- 登場する女性キャラはなぜか食べ物関連の名前が多い。
関連動画
関連タグ
どろろと百鬼丸→ムーミン
users入りタグ(イラスト・漫画/小説共通)
どろろ100users入り → どろろ500users入り → どろろ1000users入り → どろろ5000users入り → どろろ10000users入り
※小説のみ「どろろ300users入り」も使われる