概要
1933年1月11日生まれ、東京都出身、東京俳優生活協同組合所属。
ハードボイルド声優の代表格である。
ルパン三世の次元大介役や洋画の吹替で知られるが、仮面ライダーBLACKや勇者王ガオガイガー等のアニメ、バラエティ等でも耳に残る印象的な独特のナレーションで、お茶の間を魅了した。
晩年はキャラクターの役としては降板したものの、声優としての活動はそのまま継続。ナレーション等を中心に精力的に活動を続けた。
2022年8月8日、所属事務所が前月の7月30日に肺炎で死去していたことを発表。享年89歳。
葬儀は生前の小林の意向により、近親者のみで行われた。
次元大介について
ルパン三世の次元大介はパイロット版から『ルパン三世PART6』の初回まで(『風魔一族の陰謀』『D2MANGA』を除き)一貫して担当しており、1995年からはルパンが栗田貫一に、2011年からは石川五ェ門が浪川大輔に、峰不二子が沢城みゆきに、銭形警部が山寺宏一に交代した中、次元は変わらず、彼はおよそ50年に渡って次元を演じ続けた。
自身以外が交代については「みんな上手いから違和感はないけど、歌舞伎の役者が年を取ってもずっと同じ役を演るようにできれば変えないで欲しい」とコメントしている。このためか原作のモンキー・パンチが逝去した時は、PART2以降定着した先代のキャスト陣を「戦友」として上げつつ、「今在る戦友(=栗田達)達と共にもう少しルパンの世界で遊ばせてください」と偲んだ。
これは『荒野の七人』等で知られていたハリウッドの名優、ジェームズ・コバーンが次元のモデルとなっている事実や、彼がコバーンの専属吹き替えである等から、ルパンシリーズの原作者であるモンキー・パンチ自らの推薦で決まった為に変えられなかった………と一般的には言われている。
が、実際は次代の次元キャストのオーディションに自ら出向き、再演できるようにアピールしたとされる。栗田以外の全員を変更しようとしていた制作側の方針を変えさせたのは、モンキー・パンチの推薦に加え、小林の改めてオーディションを受けようとしたまでの熱意からかもしれない(井上真樹夫もまだ続ける意向はあったとされる)。
その後、自身の声質や演技面については加齢による衰えに言及して自嘲しており、私生活でも杖を付く等の足腰を始めとして弱っている姿を見せている。しかし、それだけして掴み続けた次元役への思いは強く、他の多くの役は降板した中で、次元役だけは「首から上はまだ大丈夫だから」「声が出なくなるまでは次元役を続けたい」との意向を訴え、「死ぬまで次元を演るんだから」と常日頃豪語してきた
80歳を過ぎてからは吹き替えの持ち役すらも幾つも降板したが、次元だけはその後も演じ続けており、「おこがましい話ですが、『俺が喋れば次元だ』という自負があり、(他の奴が)やれるもんならやってみろ、という意気でやっている」「偉そうに聞こえるだろうけど、次元大介は俺だ!俺が演じる次元が次元大介なんだというプライドがある」と語っていた。
また、「ナレーションの仕事がよく来るから声がでないという期間はない」とし、またお金(ギャラ)を貰うとなると不思議と発声が出来ていたという。
しかし、88歳となった2021年の10月放送開始予定の『ルパン三世PART6』の初回エピソードを最後に、50年に渡り演じ続けた次元の声優の勇退を明らかにした。本人曰く90歳まで演じる覚悟であったが、体力的な問題から毎週の収録に挑むのは困難となり、苦渋の末に決断した『降板』だった。
小林の次元としての最後の台詞は「少々火薬が強すぎたか…」であった。
2回目の放送から大塚明夫が後任となり、次元役を引き継いだ。これによりアニメPART1から携わってきた関係者は、ほぼ現場を去ってしまった。
時には「死ぬまで演じる覚悟」をして本人曰く長年「しがみついてきた」役だっただけに、その無念さは最後の勇退メッセージにも込められていた。後任の大塚明夫も公式のメッセージを読んだ上で「90歳までやる意気込みだったのだから、喜んで役を譲ったわけではないだろう」と推察している。
高齢になってからは一部視聴者から「次元の声が年をとった、聞きづらい」との批判が散見され、パソコン通である小林はこれをしっかり知っており、勇退時にはそれらに対して「当たり前だ。ワシゃ80超えてんだぞ。俺なりに努力した結果だ」と怒り半分自嘲半分の反論をしていた。しかし今回の勇退により「こういった批判を受けても気にせずに済むからホッとする」とも語っていた。
降板から1年も経たない2022年7月に小林は肺炎で死去。自身の去り際まで見極めていた勇退といわれているが、本人は健康そのもので、週間収録でなければ元気に活動できるくらいだったことから、関係者は驚きを隠せなかった。これにより勇退後の事務所を経由したコメントの中にあった「しばらくはノーコメントにしてちょうだい」「またいずれ……」のいずれ話すつもりだったコメントは逝去につき叶わなかった。
訃報は8月8日に伝えられ、同日にルパンのキャストから追悼コメントが公開された。後任の大塚も次のようにコメントしている。
「父周夫の旅立ちでは叶わなかったバトンの引き継ぎ、清志さんからはしっかりと手渡していただいたこと嬉しく光栄に思います。清志さんが50年かけて育てた次元大介、大切に守りやがて次の世代に繋げていく所存です。ヒヨッコが大役を果たせるのかさぞ不安だとは思いますがどうかごゆっくりお休みください。でも時々はチェックしに来てくださいね!今夜はエピソード0を観ながら一杯やるつもりです。もし気が向いたらいらしてください。ご冥福をお祈りします。」
pixiv内でも追悼イラストが投稿され、多くのファンが小林の死を惜しんだ。
(小林清志さん追悼イラストを参照)
出演作
アニメ
イラスト未確認
ダルトン@宇宙パトロールホッパ
ザラール@ラ・セーヌの星
ドク・マンディ@亜空大作戦スラングル
竜谷@あした天気になあれ
グレゴルー・ガロッシュ@装甲騎兵ボトムズ_ザ・ラストレッドショルダー
フォージ@X-MAN
シャーク・キラー@プロゴルファー猿
皇帝@覇王大系リューナイト
特撮
イラスト未確認
ダルトン@遊星仮面
木戸麟太郎@超人バロム・1※顔出しで出演。
マントルゴッド@風雲ライオン丸
ゲーム
吹き替え
ナレーション
仮面ライダーBLACK※1話~39話
最強の男は誰だ!壮絶筋肉バトル!!スポーツマンNo.1決定戦
妖怪人間ベム(実写版)
ゴジラvsビオランテ~ゴジラvsデストロイア(予告)※ゴジラvsメカゴジラでは本編も担当。
余談
- 古風な理念や伝統等を重んじる昔気質な考え方を持つ事をインタビュー等で語る一方で実はかなりのパソコン通であり、かつてはマイクロソフトのフライトシミュレーターなどを嗜んでいたという。
- 顔出しでは超人バロム・1等に出演したが、その後はテレビ出演は拒否する傾向が強くなっていった。理由としては視聴者のイメージを壊したくないからだったが、近年のルパン関係のイベントではしばしば顔出しするようになり、徐々にそのポリシーは薄れていったようである。
- 近年は動物番組でネコの声を演じた。私生活でもネコを3匹飼っていた。