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日本の男性俳優声優ナレーター、演出家。愛称「ナッちゃん」。


概要編集

東京都出身。元劇団薔薇座主宰。オフィスPACを創設し代表をつとめた。

一度聞いたら耳に残る特徴的な声と喋り方で、日本の声優業界を黎明期から支えた大御所の一人として知られる。しかし元々は舞台出身の俳優であったため、自身の職業を「声優」だけに限定されることは好んでいなかった。

声優としての仕事がメインであっても「みんなが俳優」とTV番組で述べている。


劇団での後進の育成はかなりのスパルタ方式だったらしく、「演劇界の修羅」と恐れられ、「ナチ収容所」と揶揄される程で、野沢の下でかなり鍛えられていた。あまりのハードな育成法に疲労で倒れる程だったとの事。その厳しさから弟子との確執があるなどと言われたが、実際「薔薇座時代は楽しいことなんてなかった(玄田)」「あそこを乗り越えられたから、その後も頑張れた(鈴置)」「過酷な稽古で培った忍耐力は誰にも負けない(戸田)」「ハードすぎて生活できなかった(石塚)」と、仲の良い弟子達からすらも、その厳しさを語られる事が多かった。

薔薇座出身の有名なベテラン声優は多い。特に玄田哲章戸田恵子鈴置洋孝石塚運昇などは非常に名の知れた人物である。

晩年も指導する際は厳しく、竹刀を持ってスクールに来ていたそうだが、それでも劇団を率いていた時代と比べると丁寧な教え方をしていたという。ただ高齢になっても声量が衰え知らずだったため、指導中にその声でスピーカーを破壊したこともあった。


自身が主導する舞台や劇団など場において、指導者としての顔になると輪をかけてとにかく厳しかった。が、仕事場では一転して滅多に怒らず、優しい先輩だったと語られている。また、薔薇座時代の教え子と共に仕事をする機会が増えると、教え子が芝居でトチらないかということにばかり気持ちが向いて、自身がNGを出すこともあったという。


酒豪としても知られ、山寺宏一の豪邸に対して「俺もギャラを片っ端から飲んでなければ山寺くらいの家が持てた」と発言したことは有名(山寺宏一の邸宅はトイレにこだわれるレベルの豪邸)。

中央競馬馬主登録をしており、シンジュサンゴという名前の競走馬(牝)を所有していた。全盛期の年収や資産額が相当な金額であったことは想像に難くない。


吹き替え編集

アラン・ドロンアル・パチーノブルース・ウィリスなどの吹き替えでも名高い。特にアラン・ドロンでは名を馳せており、演劇・映画の関係者や評論家、役者たちのコラムや寄稿において「アラン・ドロンから連絡を貰った」「稽古場でアラン・ドロンがソバを食べていた」など、冗談でアラン・ドロン扱いされることも多い。また、ドロンがダリダとデュエットし、ヒットしたシングル『あまい囁き(Parole Parole)』の日本語版にもドロンに扮して参加している。またドロンと並んで当時は二枚目として人気を博した(当時は『アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた』という歌を榊原郁恵が出していたほど)イタリア系アメリカ人俳優のアル・パチーノの吹き替えでも高い人気と評価を得ており、『ゴッドファーザー』三部作のマイケル・コルレオーネ役を唯一全シリーズに渡って吹き替えている声優でもある。また、パチーノが老けて狂気がかった演技を得意とするようになった頃に野沢もエキセントリックな役を演じるようになり、いつの時代もシンクロしているとファンから評される。他にもジェームズ・ディーンジュリアーノ・ジェンマなどを担当し、美形の吹替として特に有名になった。


そして今となってはウソのような話であるが、ブルース・ウィリスはそれまで野沢が演じてきた繊細な美形俳優とは対照的なオヤジ臭いルックスであり、異色のキャスティングであった。「ダイ・ハード」のテレビ朝日版で初めてキャスティング候補に挙がった際には多くのスタッフが猛反対していたとのこと。

が、いざ起用してみるとその吹替版の出来に大勢が驚き、誰もが納得する定番キャストに変貌した。また、本シリーズのマクレーン刑事の代名詞である「ぼやき」はアドリブ連発で、独自のキャラクター像を作り上げていた。


アニメ・ゲーム編集

実は同ジャンルの出演については、同時代の同業者達と比べると山田康雄と同様に、起用される機会は控えめである。しかしスペースコブラのコブラ役などを始め、野沢の演じたキャラクターは視聴者に強い印象を残しており、晩年は深夜放送のアニメやボイス付きゲーム作品にも出演している。


この点は本人が「努力して役者としての頂点レベルまで上り詰めた結果、仕事がなくなった」と自虐しているように、おそらくはギャラやネームバリューの問題でなかなかオファーがいかなかったと考えられる。実際、生涯で唯一のガンダム出演となる機動武闘伝Gガンダムにゲスト出演した際、監督がその起用に驚くほどであった。



晩年編集

2010年10月30日午後3時36分、肺癌の為都内の病院で死去。享年72。

晩年は自身が担当した代表的キャラ「コブラ」のOVAシリーズがスタートし、自ら売り込んでコブラの役を再び勝ち取っていた。その後のTVシリーズにも出演する気力はあったようだが、2009年頃には既に体調を崩し始め、入退院を繰り返していた。

奇しくも教え子の一人で何かと可愛がっていた鈴置洋孝も数年前に同じ病で逝去。自身よりも早く旅立ったことを惜しんでいたが、その後を追う形となった。


弟子であった玄田は薔薇座時代に良い思い出などなかったとしばしば語っていたが、現場ではとても気にかけてくれたなどと恩義を感じており、野沢の死の報を受けた際はとても悲しみ、「帰ってきてください、早すぎます」とコメントを残した。


代表的な役柄編集

吹き替え編集


アニメ編集


イラスト無し

シドデビルメイクライ(アニメ版)

三蔵法師悟空の大冒険

フランツ・ボナパルタ / クラウス・ポッペMONSTER


人形劇編集

アルセーヌ・クッペパンひょっこりひょうたん島(リメイク版)[[]]@[[]][[]]@[[]]
ボールペン即興(3)クッペパン[pixivimage::s][pixivimage::s]

ゲーム編集


脚注

  • *1 野沢氏の没後のダイ・ハード/ラストデイでは中村秀利が担当。
  • *2 没後、WOWOWで『バットマン リターンズ(テレビ朝日版)』が放送された際におけるカット部分の追加収録部分は中村秀利が担当。
  • *3 第71話から第164話まで担当。急病による降板後は野田圭一が担当(第198話~第236話)」。なお、初登場時(第37話)のみ野島昭生が演じている。
  • *4 死去後に制作された『ルパンは燃えているか?』での後任は家中宏。またパイロットフィルムでのルパンの声を担当。
  • *5 本編がアニメ化される前まで(他の手塚作品に何回かゲスト出演した)ブラック・ジャックの声を担当。
  • *6 没後に発売されたゲーム「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ!カスカベ映画スターズ」では井上倫宏が代役を担当。
  • *7 急病時の代役は森功至が担当(第19話~第22話)。
  • *8 没後に稼働しているアーケードゲーム「スーパードラゴンボールヒーローズ」では森功至が代役を担当。
  • *9 死去後に制作されたリメイク版では千葉繁が担当。
  • *10 死去後に制作されたKH3では宝条と同じく千葉繁が担当。

また、TBSラジオの名番組「パックインミュージック」では白石冬美とともにパーソナリティを務めナッチャコとして親しまれた。

関連タグ編集

血縁者編集

  • 野沢聡:実の息子。また俳優・声優として活躍している。父:那智の生前は父の功績から声優業は控えめにしていた。死後に公開された『ダイ・ハード/ラストデイ』では、父が生前吹き替えを担当していた主人公:ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)の息子:ジャック・マクレーン役を好演。大きな話題を呼んだ。なお、同作品でジョン・マクレーン役を引き継いだ生前の中村秀利に、「声が若いころの那智さんと似ている」と言われた。
  • 野沢直子お笑い芸人として活動中。毎年夏になるとアメリカから帰国し、浜田家に寝泊まりして出稼ぎしに来ている。しかし、那智は直子と血縁者である事を公表していなかった(公表したくなかった)

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