概要
週刊少年マガジン連載。主人公・三平三平(みひらさんぺい)が日本各地で釣りを楽しみ、魚に挑む姿を描く。
釣りを題材とした漫画作品では最も人気の高い作品であり、釣り漫画の代名詞である。
作中に登場する釣りのシーンは、ほとんどが矢口自身による釣りの経験をベースにしており(勿論、個体数などの問題で現実的に釣ることが不可能なものは除く)、そのリアリティでも定評がある。
特に北米圏では後年「釣り漫画なんてジャンルは日本だけだ」と北米圏ではユニークに見えるそのコンセプトを評価されている。
一度は連載を終了しているが、その後もファンからのシリーズ再開の声は根強く、とうとう「平成版」として執筆を再開するに至った(パーソナルマガジンレーベル)。
1980年から1982年にかけてフジテレビ系列局(ただし、西日本の一部系列局除く)のほか、青森テレビ、岩手放送(いずれもTBS系列局)、山梨放送、高知放送(これらは日本テレビ系列局)にてテレビアニメが放送された。制作は日本アニメーション。全109話。
2001年にOVA化されているが、その実態は、漫画にアフレコしたと言うシロモノだった。
2008年に須賀健太主演で映画化されている。その際テレビ東京(関東ローカル)でテレビアニメの一部エピソードが放送されている。
登場キャラ
本編の主人公。
大きな麦わら帽子がトレードマークの、東北訛りが印象的な少年。性格は素朴で明るい。
何よりも釣りが大好きで、釣りのことになると目つきが変わる「釣りキチ」。
名前は矢口高雄が尊敬する漫画家の白土三平から。
釣り大会で三平が出会った「風来坊釣り師」として名を馳せる男性。
大会後に会場だった三日月湖で、三平と湖の主釣りを競い合う。
その後再会し、以降は日本国内外で行動を共するようになり、三平が兄と慕うほどの仲となる。
三平の祖父。
両親のいない三平の親代わりで、彼の釣りの師でもあり、その技術は一級品。
釣竿職人として名が知られ、彼が製作した竿は「一平竿」と呼ばれ、釣り人の間では有名。
三平の家のお隣さんにして幼なじみにしてヒロイン。通称「ユリッペ」。
三平の事が好きだが素直になれず喧嘩になってキックを食らわす事もしばしば。
笑顔が可愛く読者ファンも多い。三平よりも二つ年上(年上ヒロイン)。
地底湖のキノシリマスと、富士五湖のクニマス
近年の本作における話題の一つに、「平成版」の第1作である「地底湖のキノシリマス」が挙げられる。
キノシリマス、クニマスとも呼ばれる本種は、もともと秋田県の田沢湖に住んでいた種であった。戦時中であった1940年代、この田沢湖の湖水を使用した水力発電所の工事が行われ、この時に強酸性の玉川の水が導入されたことにより環境が急速に悪化、クニマスを含む魚類が全滅することになった。
本作では、三平の祖父、一平がこの事例に遭遇しており、この時に地図にも載っていない秘められた地底湖にクニマスの卵を放流していた…という設定になっている。クニマスは地底湖で大繁殖しており、三平も見事釣り上げることに成功した…という物語である。
詳細はクニマスの項に譲るが、クニマスの液浸標本は「人為的に絶滅させられた淡水魚」として国の登録記念物に指定されており、矢口も「この様な愚行は二度と繰り返してはならないというメッセージを込めよう、と心の中で何度もつぶやき描き進めた」と回想している。
本作執筆から9年後の2010年、さかなクンが依頼されたクニマスのイラストの参考とするために全国からヒメマスの個体を募集した所、西湖から送られた個体に異質なものが混じっていることに気がついた。この個体を詳細に調査した結果、これがクニマスそのものであることが判明する。移植実験として1935年に放流された卵が繁殖、土着化していた…という、「地底湖のキノシリマス」とよく似た経緯であり、本作は奇しくも「クニマス復活」を「予言」した形になった。
本ニュースに対して、矢口は公式サイトにて「この感慨は嬉しいなどと言う、通り一遍の言葉では語り尽くせないものがあった」とコメントを発表している。
タイトルについて
タイトルに含まれる「キチ」の言葉は「気違い」の意味そのままであり、これが差別的であるとして批判を受け、言葉狩りの危機に遭っていたこともある。
もちろんタイトルに差別的な意図はない。