解説
ルパン三世の原作者モンキー・パンチがシリーズ史上初めて監督を手がけた作品であり、デザインも原作に一番近い風貌になっている。
キャラクターの描かれ方も原作に近く、銭形警部はルパン専任の有能な捜査官として描かれ、峰不二子がルパンを裏切る描写もない。
また、作品のテーマも「ハードボイルド」をイメージして決められたという。
タイトルの『DEAD OR ALIVE』の直訳は「生か?死か?」だが、作中では「生死を問わない」という意味になって登場する(元ネタになったのは西部開拓地での賞金首のポスターに「Alive only」となっている物は「生きている場合のみ賞金を払う」で「Dead or alive」となっている物は「生死を問わず本人なら払う」と賞金の払い方を決めた文句が書いてあったことから)。
また大野雄二氏が、ライブ活動の多忙や山田康雄氏の死去で引き受けられず、根岸貴幸氏が音楽を担当している。(未使用に終わったルパン三世のテーマ96バージョンの編曲も根岸氏が携わっている)
なお、2019年にモンキー・パンチ氏が死去した際には「金曜ロードSHOW!」では追悼企画として「ルパンVS複製人間」が放送されたが、同作が既に13回も繰り返し(通算14回)放送されていた事(本作は3回)や何より「本作には原作者自身が携わっていた」点を加味して「(追悼企画は)複製人間なんかよりこっちの方(本作)をやって欲しかった」などと不満を抱いた視聴者が多かったのか、それに応える形で姉妹番組であるBS日テレの「日曜ロードSHOW!」で本作が追悼企画として放送された。
あらすじ
2年前の”首狩り将軍”の軍事クーデターによって国王と王子が殺され、首狩り将軍による独裁・圧政体制が敷かれている「ズフ国」。
そこのコンピュータにハッキングしたルパンは、王国時代の国中の財宝が「漂流島」に隠されている事を突き止め、次元と五ェ門を引き連れて漂流島へ潜入するが、内部に強力な謎の防衛システムが張り巡らされていたことから一行は退却を余儀なくされる。
そのため、島の謎を唯一知るという首狩り将軍の一人娘エメラをルパンは攫い、秘密を聞き出そうとするが、連れ出した娘は銭形の用意した囮だったため、ルパン達は軍隊から襲撃を受けてしまう。
襲撃を受けた中で、囮役だった女秘密工作員:オーリエンダーはルパン達から首狩り将軍に殺されたはずのズフの王子:パニシュを見かけたという話を聞く。
かつてパニシュと恋人の関係だったオーリは彼を探し出そうと街を巡り、とうとう再会を果たす。彼は秘密裏にレジスタンスを結成し、首狩り将軍の政権を打ち倒そうとしているというのだ。オーリは彼の為に二重スパイとして首狩り将軍の情報を流すことになった。
一方で首狩り側もルパン達を確実に仕留める為にルパン一味に100万ドルの懸賞金を懸けた。ルパンの生死を問わない「DEAD OR ALIVE」というこの指令を受けて銭形、首狩り将軍だけでなく、賞金稼ぎにも狙われながらルパン達は漂流島の謎に迫っていく。
登場人物
オーリエンダー(声:高山みなみ)
パニシュ(声:古谷徹)
首狩り将軍(声:銀河万丈)
クライシス(声:野沢那智)
エメラ(声:横山智佐)
スパンキー(声:千葉繁)
余談
- オーリエンダーは園芸植物としてきれいな花を咲かせることで有名な「夾竹桃」の英名。「フランスの花言葉では『美と善良』、イギリスの花言葉では『危険と注意』。」というやりとりが作中にもあるが、夾竹桃は花から根までの全体どころか周囲の土壌、燃やした煙にすら毒性を持つ猛毒の植物である。危険と注意ってレベルじゃねぇ……
- エメラ役として演じた横山智佐はルパンとの共演を望んでいたが残念ながら劇中でルパンとの共演はなかった。
- モンキー・パンチ応援団として11人の漫画家のキャラクター(自画像や作品のキャラ)が作中背景にさりげなくモブとして登場している。
- クライシス役の野沢那智はパイロット版ルパン三世(シネマスコープサイズ版)にてルパンの声を充てており、ルパンの声が山田康雄の頃だったルパン暗殺指令に続いて新旧ルパンの共演となった。
- 首狩り将軍役の銀河万丈は、風魔一族の陰謀で次元の声を担当していた。また、野沢那智とはルパン暗殺指令でも共演しており、その時は野沢がボスであるジョン・クローズ役、銀河は部下のブラッド役と、担当キャラクターの立場が今作とは逆だったりする。
- この他にも、五右エ門役の井上真樹夫とパニシュ役の古谷徹は、本作以前にも巨人の星や機動戦士ガンダムの映画版(Ⅱ 哀・戦士編とⅢ めぐりあい宇宙編)でも共演していた(前者は古谷が星飛雄馬、井上が花形満で、後者は古谷がアムロ・レイで井上がスレッガー・ロウを演じた)。
- 空港のシーンにて、グレー塗装の74式戦車が登場し、銭形がクライシスに問い詰める場面があるが、クライシスは「日本は武器禁輸国なので似ているだけ」と返答する。が、どう見ても74式である。74式に似ている戦車としてフランスのAMX-30があるが、砲塔の形状が異なる(因みに派生型の自走榴弾砲は登場する)。
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