概要
2011年12月2日に日本テレビ系の『金曜特別ロードショー』にて放送された、モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』のTVスペシャル作品第22作にして、アニメ化40周年記念作品。
正式タイトルは『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』。
石川五ェ門・峰不二子・銭形警部の声優が変更となったテレビ放送シリーズ第一作となった。
総作画監督に世界名作劇場やスタジオジブリアニメの原画などで知られる佐藤好春が就き、画調も変わっている。
音響監督も本作から交代し、清水洋史が以降のシリーズを担当する。
ルパン三世のテレビスペシャルでは初となる、アスペクト比16:9の本格的なハイビジョン制作作品となった(クロスオーバーを含めると『ルパン三世VS名探偵コナン』が先。『霧のエリューシヴ』もハイビジョン放送に対応してはいたが、4:3にサイドパネルを付けて放送)。
視聴率こそ低かったが、アクションシーンの完成度が高い事や、近年のTVスペシャル作品に比べてストーリー展開が一転したことにより新しさを感じさせる事などから、賛否両論はあるものの、比較的高く評価されており、中にはこの作品を観て「久々に楽しめた。」と絶賛する者もいる。その結果この作品は、2009年に放送されたコラボ作品『ルパンVSコナン』を除けば、2003年の『お宝返却大作戦!!』以降のTVスペシャル作品の中で、最も人気が高い作品となった。
ストーリー
裏社会の顔役「藤堂昌江」はルパンに「闇オークションに行き、「人魚の鱗」と言う宝石を盗んでこなければこの女(不二子)を殺す」と脅迫する。ルパンは次元・五ェ門と共にオークションへ潜入。銭形の警備を潜り抜け、見事「人魚の鱗」を盗み出す事に成功。ところが、盗んだ「人魚の鱗」は偽物だった。
同時刻、依頼主の藤堂は「人魚の鱗」の出品者「氷室」の用心棒「影浦」によって殺された。後日ルパンは藤堂を殺したのは氷室で、本物は彼が持っていると推理。藤堂の事務所から脱出した不二子はルパンに「人魚の鱗」と、もうひとつの鍵である「龍鱗石」を手に入れると、「八百比丘尼の財宝」が手に入ると伝える。
ルパンは「龍鱗石」を盗み出すが、「人魚の鱗」の偽物を盗んだ際に出会った「麻紀」と言う少女に弟子入りを懇願され断るが、成り行きで弟子入りのような形になってしまい、二人で氷室の会社に潜入し本物の人魚の鱗を手に入れる。
一方、次元と五ェ門は氷室の屋敷し進入。そこで二人は殺されたはずの藤堂の秘書「美沙」と出会い、彼女が致命傷となる傷からも再生できる「不死身の体」を持っていると知る。美沙に「氷室は危険な人」と警告され、氷室の用心棒影浦に追われ退散した。ルパンは麻紀と美沙の関係と過去、そして宝を手に入れるには第3の鍵「不死身の体を持つ人間」が必要と知り、麻紀に「必ず彼女を盗む(助ける)」と約束する。
不二子は氷室の研究所に潜入し美沙を救い出すが、今度は麻紀が氷室に連れ去られてしまう。
氷室、そしてルパン達は宝があると言う海鳴島に向かう。時を同じく銭形は逮捕状の出た氷室を追って海鳴島に向かっていたが、事件の過去を調べた部下から「当時の持ち主から『人魚の鱗』と『龍鱗石』を盗み出した者がルパン一世と記されていた」と聞かされる。
ルパンは次元に語る。かつて祖父が手にしながら持ち帰らなかったただ一つのお宝があり、それが「八百比丘尼の財宝」であると。
なぜルパン一世はお宝を持ち帰らなかったのか?八百比丘尼の財宝の正体とは?
死の門を潜り、二つの宝石を使い扉を開けたとき全ての答えが解明される。
ゲストキャラクター
麻紀
CV:渋谷はるか
幼少期に父の蒸発で行き場を無くし養護施設に預けられた14歳の少女。折りたたみの自転車を愛用。
誘拐同然に美沙を連れて行った藤堂を追った。藤堂がいるオークション会場の近くで彼女の動きを探りながらポップコーンを売っているとニセモノの人魚の鱗を盗んだルパンと遭遇する。彼と一緒にいれば美沙と会えると思い、ルパンに弟子入りをした。ルパンを「先生」と呼んでいる。
美沙を助けてくれた後、「彼女を盗む」と約束したルパンに感謝している。
美沙
CV:清水理沙
かつて麻紀と同じ養護施設にいた女性。幼い頃、両親が事故で亡くなった際に生き残ったことを悔やんでいる。八百比丘尼の不死の呪い(どんなに致命傷なケガをしてもすぐに傷が治る)で皆は離れていったが麻紀は相手にしてくれた。
麻紀の事を実の妹のように思っていた。施設の負債を肩代わりする形で藤堂の秘書を務めていたが、体質のことを知った氷室に拉致される。不二子に救出されるが、今度は氷室は麻紀を誘拐し、やむ得なく財宝の封印を解くことに。終盤、母方父方のどちらかから自分が八百比丘尼の血統を受け継いでいる事実を告げられ特異体質の根源を知る事となり、その時には驚きを隠せずにいたが後に八百比丘尼の魂に乗り移られ、氷室に追い詰められたルパンたちを助けることとなる。八百比丘尼が成仏したためなのか、最後には不死身の体質が消えた。(その事を彼女は「呪いを盗んでいった、泥棒さんに・・・。」と言った。)
藤堂昌江
CV:野沢雅子
日本裏社会の顔役で、「熊殺しのお昌」の異名を持つ。氷室が流した偽物の古文書を信じ、八百比丘尼の財宝を手に入れるためにルパンに「人魚の鱗」を盗むように脅迫したが、美沙を狙う氷室の命を受けた影浦に、美沙と八百比丘尼の関係は何も知らないまま殺害された。
影浦
CV:斎藤志郎
氷室が雇った殺し屋で藤堂を殺した人物でもある。特殊な日本刀を使う。終盤で五ェ門との一騎打ちで敗れた。
八百比丘尼
CV:清水理沙
八百年生きたとされる伝説の女性。本作中では「やおびくに」と呼ばれるシーンが多い。その永遠の命故に陥る絶望からやがて仏門に帰依し姿を消した。その際所持していた「数多い公家からの貢物」を何処かに隠したとして伝説が残り、それはやがて「八百比丘尼の財宝」と呼ばれる事となる。伝説の真実は、自らの悲劇を二度と起こらない様、子孫(今まで婚姻した公家との間に出来た子供の孫など)へ己の精神を封じた肉体を永遠に隠し続ける(この時、肉体の一族・鍵の一族・古文書の一族が発生)。その隠された肉体こそが「八百比丘尼の財宝」だった。やがて幾年も過ぎ、最後に出会った男性(ルパン三世の祖父であるルパン一世)の約束を楽しみにしながら眠り続けていた。後に自身の肉体を氷室に吸い尽くされるも、魂だけが美沙の体を借りてルパン三世を助け、子孫である彼(正確にはルパン三世がルパン一世と勘違いしていた)に感謝の意を述べ、成仏した。そのためか、美沙の特異体質が消えた。
彼女の正体については異形の怪物になった氷室や最後に見た人魚を含めて早すぎた進化を遂げた人類の姿(妖怪や人魚もその類い)だったかもしれないとルパンは推測してる。
氷室彰
CV:石田彰。
表向きは医療機器メーカーの社長だが、実は武器を売りさばく死の商人。自らのビジネスのため治癒能力を持つ美沙を拉致し、人魚の財宝を狙った。
作中では「氷室」と呼ばれることが多い。
関連動画
余談
不死を求める表向きは真っ当な人間を装う登場人物や五ェ門と対決する敵の凄腕の部下、2つ必要なキーアイテムやヒロインを盗み出す終わり方など、最初の2つの長編映画であるルパンVS複製人間やカリオストロの城を彷彿とさせる要素が散見される。
また、本作に氷室役として出演した石田彰氏と美沙&八百比丘尼役として出演した清水理沙氏は後にPART6でそれぞれ別のキャラクターを演じて再びルパン三世作品と関わることになったのだが、どういう因縁か両者とも花屋という仮の姿で自らの正体を隠しているキャラだった。実は何か意図があるのだろうか?
さらに日本テレビ系列の放送であるにもかかわらず、関連動画の8:35あたりを見て分かる通り別のテレビ局の建物が写っている。(しかも8:52でルパンはその建物に向かってワイヤーを掛けている。)