概要
1969年スタートの『カルピスまんが劇場』を前身とする。作品傾向としては海外の古典的な童話や児童文学をアレンジした作品が中心。
フジテレビとその系列局で放送。うち山形県では山形テレビのネットチェンジが原因で、ブッシュベイビーを最後に世界名作劇場の放送が途絶えたが、1997年に開局したさくらんぼテレビで、ナンとジョー先生から家なき子レミまでの未放映に終わったシリーズを一挙に放送する粋な計らいを見せた。
定義
厳密には日本アニメーションが製作し、フジテレビ系列で放送された児童文学ベースのアニメシリーズを指す。
枠の名称としての『世界名作劇場』が最初に使用されたのは『赤毛のアン』からとなるが、日アニの公式カウントとしては『フランダースの犬』以降の作品が該当する。
大きな流れとして語られる場合には『まんが劇場』の内『山ねずみロッキーチャック』及び『アルプスの少女ハイジ』を含める場合もあるが、ズイヨー映像の制作部門が日アニ、権利管理部門が瑞鷹へと分裂した際、この二作の版権が瑞鷹側に残った事もあって公式カウントの対象外となっている。
本記事においては『まんが劇場』についても併せて取り扱う。
作品一覧
通番 | タイトル(放送年度) | 枠冠 | 制作会社 | 備考 |
---|---|---|---|---|
どろろと百鬼丸('69) | カルピスまんが劇場 | 瑞鷹エンタープライズ&虫プロダクション | 唯一の漫画原作 | |
ムーミン('69) | 瑞鷹&東京ムービー⇒虫プロ※1 | 初の海外文学原作 | ||
アンデルセン物語('71) | 瑞鷹&虫プロ | |||
ムーミン(新)('72) | ||||
山ねずみロッキーチャック('73) | ズイヨー映像 | |||
アルプスの少女ハイジ('74) | ||||
1 | フランダースの犬('75)☆ | カルピスこども劇場※2 | 日本アニメーション | ここから公式な『世界名作劇場』 |
2 | 母をたずねて三千里☆('76) | |||
3 | あらいぐまラスカル('77) | |||
4 | ペリーヌ物語('78) | カルピスファミリー劇場 | 最後のカルピス1社提供 | |
5 | 赤毛のアン('79) | 世界名作劇場 | ||
6 | トム・ソーヤーの冒険('80) | |||
7 | ふしぎな島のフローネ('81) | |||
8 | 南の虹のルーシー('82) | |||
9 | わたしのアンネット('83) | |||
10 | 牧場の少女カトリ('84) | |||
11 | 小公女セーラ('85) | ハウス食品世界名作劇場 | ハウス食品1社提供開始 | |
12 | 愛少女ポリアンナ物語('86) | |||
13 | 愛の若草物語('87) | |||
14 | 小公子セディ('88) | 初となる同一作家のアニメ化 | ||
15 | ピーターパンの冒険('89) | 唯一の異世界 | ||
16 | 私のあしながおじさん('90) | |||
17 | トラップ一家物語('91) | OPは著作権の影響で、DVDでは音源カットされている | ||
18 | 大草原の小さな天使ブッシュベイビー('92) | 2023年現在唯一のアフリカが舞台 山形テレビが放送した最後の作品 | ||
19 | ナンとジョー先生('93) | 原作は第13作のそれの続編だが、アニメとしては相違点あり | ||
20 | 七つの海のティコ('94) | 世界名作劇場※3 | 唯一のアニメオリジナル作品 | |
21 | ロミオの青い空('95) | |||
22 | 名犬ラッシー('96) | 唯一の打ち切り | ||
23 | 家なき子レミ('97) | 原作では主人公の性別は男の子である 地上波放送の最終作 | ||
24 | 少女コゼット('07) | ハウス食品世界名作劇場 | ここからBSフジへ移行、ハイビジョン制作開始、ハウス食品1社提供復活 | |
25 | ポルフィの長い旅('08) | 記念作品として、過去に世界名作劇場に出演していた声優がゲスト出演している | ||
26 | こんにちはアン('09) | 世界名作劇場 | 第5作の前日譚。2024年時点での最終作、複数社提供 |
※1 … 26話まで東京ムービー、27話以降虫プロ。
※2 … 26話まで『まんが劇場』。
※3 … 9話までは『ハウス~』。10話以降複数社提供に。
※「☆」は劇場版あり。
※枠冠及び制作会社は変更が生じた場合のみ記載。
90年代の迷走と地上波放送の終焉
1990年代に入り、『キテレツ大百科』と『ダウンタウンのごっつええ感じ』と共にプロ野球中継や期首期末特番の放送休止に巻き込まれ、1年間の放送にもかかわらず、実質3クール相当の話数しか放送されなくなった。
時を同じくしてネタ切れとマンネリ化が進み、1993年には唯一の続編のナンとジョー先生が、1994年には唯一のオリジナル作品七つの海のティコが放送される。後者は唯一日本が舞台のエピソードも放送され話題となった。
1995年にはスタッフの悲願だった黒い兄弟を原作にしたロミオの青い空を放送したが、特番による休止に拍車がかかり、2クール半相当の33話しか放送されなかった。1996年に名犬ラッシーが放送されるも視聴率が低迷、本来最終クール相当のエピソードを短縮打ち切りにし、1996年9月に本来1997年に放送予定だった家なき子レミが前倒してで放送開始となった。
(別説として、後述する日本アニメーション版キャンディ・キャンディ導入に合わせて放送開始時期を調整する繋ぎか、フジテレビのお台場移転と同時に世界名作劇場終了が決定していたと言う説もあり)
しかし、家なき子レミは安達祐実の家なき子に影響され、レミが少女に改変された事に視聴者からの抗議や不満が殺到。1997年3月に放送終了となり、地上波世界名作劇場に終止符を打った。
「世間に迎合しない」が作品のポリシ-だった筈なのに、世間に迎合した事が世界名作劇場に止めを刺したと言える。
なお、1997年はフジテレビ系では『ドラゴンボールGT』、火曜の再放送の『サザエさん』が終了し、それ以外の局ではテレビ朝日系で『美少女戦士セーラームーン』シリーズが終了したほか、読売テレビ・日本テレビ系で『金田一少年の事件簿』とテレビ東京系で『ポケットモンスター』と言った新たな長寿アニメが放送を開始した。映画では劇場版『新世紀エヴァンゲリオン』、当初は宮崎駿監督の最終作になる予定だった『もののけ姫』の公開があるなど、日本製アニメの一大転機の年だったと言える。
『世界名作劇場 完結版』
2000年12月から2001年8月にかけ、BSフジ開局記念企画の一環として『家なき子レミ』までの23作品を各45分の前後編2部へ再構成した総集編が『世界名作劇場 完結版』と銘打たれて放送された。
本放送終了後、描き下ろしのカラーイラストをジャケットに使用したDVDソフトが発売されている他、キッズステーション、アニマックス、カートゥーンネットワーク等CS放送局での再放送や、『少女コゼット』放送直前の記念企画としてBIGLOBEでの動画配信が行われた。
『コゼット』以降の作品についても先の23作と同じスタイルでOVAとして制作され、各作単独のDVDソフトの他、先の23作と合わせた「完結編」DVD-BOXが発売されている。
幻の作品
キャンディ・キャンディ(日本アニメーション版)(1997年または1998年予定)
MBS発TBS系土6での導入頓挫を受け、改めて世界名作劇場枠での放送を目指す。当社はリメイクを予定していたが、先にアニメ化を行っていた東映アニメーションとの間に権利費が掛かる為、原作者の名木田恵子に続編執筆を依頼するも「あれはもう完結させた作品」(これ以上、主人公たちに苦難を強いたくない)として断られてしまい、完全に頓挫する。そして、この出来事が原作者と絵師との著作権闘争を引き起こす事となる。
1997年と書いたのは家なき子レミが史実通りの放送で終了した次番組の場合で、1998年の方は、名犬ラッシーが当初予定通り1年間放送され、翌年の家なき子レミも1年間の放送だった場合の開始時期を想定した。
シリーズ外の『名作劇場』
日本のTVアニメーション史上における一大ブランドと言える存在でもあるが、しばしば本シリーズとは無関係に、オリジナル作品ではあるが牧歌的な雰囲気を持ち合わせたアニメや、雰囲気は異なるが海外文学を基にしたアニメ等もしばしば『~~世界名作劇場』と呼ばれる事がある。
前者の例としては、ファンタジー寄りの作品では『とんがり帽子のメモル』や『ちっちゃな雪使いシュガー』等、またSF系作品でも『銀河漂流バイファム』や『∀ガンダム』等が挙げられる事が多い。
後者の例としては『まんが劇場』時代に一時的に関わった東京ムービー(トムス・エンタテインメント)の『家なき子』『宝島』『名探偵ホームズ』『風の少女エミリー』等や、日本アニメーション自身が手掛けた『未来少年コナン』『愛の学校クオレ物語』等がある。中でも『クオレ』はカルピス1社提供・TBS系の放送局(FNSクロスネット2局を含む)で放送されたMBS発の作品である。
あと、特にシリーズ作品と間違えられ易く、このテの話題に取り上げられ易いのが1981年の『名犬ジョリィ』(東宝、NHK総合)。何故かといえば、この作品、キャラクターデザインが『ペリーヌ』『トム・ソーヤー』『フローネ』『ルーシー』『あしながおじさん』『トラップ一家』『ブッシュベイビー』と、多くの名作劇場作品を担当した(しかもフローネとは掛け持ちである)関修一、監督も『ハイジ』にて演出助手『コナン』で演出を務め、のちには『スプーンおばさん』『キテレツ大百科』を手掛けたズイヨー&日アニの生え抜きとして鍛えられた(=日アニの演出法を熟知していた)早川啓二であるため。なおジョリィと監督を同じくする『スプーンおばさん』(スタジオぴえろ、NHK総合。キャラデザは南家こうじ)も海外文学(作者はノルウェーの童話作家アルフ・プリョイセン)が原作であるため同様にシリーズ作品と間違えられやすい。
また、ダークファンタジーとして大胆にアレンジされたGONZO制作の『巌窟王』や『ロミオ×ジュリエット』は「黒い名作劇場」と呼ばれたりする事も。
CRフランダースの犬と世界名作劇場
パチンコメーカー・銀座から「CRフランダースの犬と世界名作劇場」がリリースされたのだが、これに対して多方面から苦言が飛ぶ事態に。
長年良質なアニメシリーズとして幅広く親しまれてきた世界名作劇場をパチンコ化された事に対しファンを始めとして反発の声が出ていた。ただでさえ風当たりの強いパチンコで世界名作劇場を題材にされた事はひとつの異常事態であったと言える。これに使用許可を出した側もおかしいとしか思えないのだが。
パチンコ愛好家の間で特に問題視されたのはフランダースの犬のストーリー終盤をリーチ演出にしたクライマックスリーチ。
大まかな流れとしては……
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ネロ「僕もう疲れたよ……パトラッシュ……」
パトラッシュ「クゥーン……」
ネロが昇天して大当たり
Congratulation!
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理解出来ない人向けに言うと、ネロが昇天すれば大当たりというとんでもない物だった。
この演出にはパチンコ愛好家も困惑し、「アドレナリンとか出しに打っているのに、何故こんな暗くなるような演出で盛り上がらないといけないのか」や「クライマックスリーチで死ね……!死ねッ……!となるような演出なのはどうなんだ」と物議を醸しだしていた。
また、全回転演出(通称:昇天全回転リーチ)では……
ネロ「そうか……大当たり確定だったんだね……」
と結局ネロの昇天によって当たりという演出に当時のパチンコ愛好家の間ではとても正気とは思えないと評価されていた。
関連タグ
カルピス:前身を含めて1969年から1978年まで一社提供。
ハウス食品:1985年から1994年まで一社提供。番組名もこの間『ハウス食品世界名作劇場』に。
世界迷作劇場:pixiv上のパロディ作品全般に使用されるタグ。
世界めーさく劇場:本シリーズと東方projectにおけるキャラクター・カップリングタグであるめーさくを引っ掛けた洒落。
中華一番!:本シリーズ(1997年終了時点の)後番組。
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関連イラスト
外部リンク
世界名作劇場アートギャラリー - 日本アニメーション公式サイト内