概要
世界名作劇場『小公女セーラ』は、1985年1月6日から同年12月29日まで全46話が放送された。
英語表題は『A Little Princess Sara』。表題の「小公女」には「プリンセス」というルビがふってあるため「プリンセス・セーラ」とも呼称される。
原作はフランシス・ホジソン・バーネットの『小公女』。
各キャラクターの設定やストーリーに原作との相違点が見られ、特に「いじめ」の描写は原作よりも過激である。そのため、これまで全体にソフト路線だった「世界名作劇場」にあって異彩を放つ作品であり、大きな話題となった。また、苦境の表現を少しでも和らげるための味方としてオリジナルキャラクターのピーターが配されている。
本作品から暫くハウス食品(現:ハウス食品グループ)による一社提供になり、枠名も「ハウス食品世界名作劇場」になったが、本作においては放送中に発生した日本航空123便墜落事故で当時社長の浦上郁夫氏が犠牲になった影響で一時ノンスポンサーになるアクシデントもあった。
賛否ある反響
本放送当時はいじめ・校内暴力等の陰湿な事件が社会問題化していたため作品への賛否の声はすさまじいものがあり、キャラクターに対する視聴者からの批判的意見も多かったという。また当時のアニメの表現規制は今より緩く大らかなせいもあり、今では炎上してお蔵入りしてもおかしくないシーンが見られ、また再放送時は当時の放送基準に沿ったアニメですのでご了承下さいと注意テロップが流れる。
特に、苛め描写がエスカレートするにつれ、セーラいじめの主犯格であったミンチン・ラビニア役の中西氏と山田氏にクレームが大量に寄せられるという事態が発生し、声優本人にカミソリレターが送り付けられるという事件も発生してしまった。これもあってか両氏は「二度とこんな役やりたくない」と周囲に愚痴ってしまったという。
特に山田氏は『役に感情移入する』という信念を持つが故に感情移入の余地が無さ過ぎるラビニア役であることに非常に苦悩していたため、視聴者からの憎悪にはかなり参ってしまったという。「演技の幅が広がったので役者としてはいい経験になった」と前向きなコメントも残したものの、収録時はセーラ役の島本氏をして「泣きながらいじめていた」とまで言わしめたほど演技に苦心しており、ラビニア役は彼女にとって基本的に極めて辛い経験だったことが窺える。それ故に山田氏は1987年の愛の若草物語で、主人公のジョオ役に抜擢された事を知った際には、この作品で抱えていた心の重石が一気に降された様な思いに駆られ、思わずその場で感涙したという。
一方で昭和天皇がご覧になったエピソードが明かされた時には山田氏を始め共演者や視聴者からも驚きを隠せなかった。
ストーリー
10歳の少女セーラ・クルーは、インドの実業家の父ラルフ・クルーの一人娘。何不自由ない生活を送っていたが、父の希望でロンドンのミンチン女子学院に特別寄宿生として入学する。そして11歳の誕生日、インドにいる父が破産の末に熱病で死去したという知らせがもたらされる。マリア・ミンチン院長は、セーラ・クルーを学院から追放することも考えるが、世間体を考慮して学院の使用人として無賃金で働かせる事にするのであった。
苦難の中、セーラは誇りを失わず健気に生き抜こうとする。
登場人物
ラビニア・ハーバート(CV:山田栄子)
ミンチン女子学院の生徒
アーメンガード・セントジョン(CV:八百坂万紀)
ミンチン女子学院の使用人
ミンチン女子学院の先生
ミンチン女子学院の来客達
クリスフォードとカーマイケル一家
トム・クリスフォード(CV:仲村秀生)
ドナルド・カーマイケル(CV:堀江美都子)
ジャネット・カーマイケル(CV:向殿あさみ)
ロンドン街頭に住む人々
その他
主題歌
オープニングテーマ
「花のささやき」
作詞 - なかにし礼 / 作曲 - 森田公一 / 編曲 - 服部克久 / 歌 - 下成佐登子
エンディングテーマ
「ひまわり」
作詞 - なかにし礼 / 作曲 - 森田公一 / 編曲 - 服部克久 / 歌 - 下成佐登子
関連タグ
奏光のストレイン:小公女セーラが元ネタのロボットアニメ。
小公子セディ:3年後に放送された同じ作者の世界名作劇場作品。
魔法少女ちゅうかないぱねま!:4年後に放送された東映不思議コメディーシリーズ第10作目で、前作の打ち切りを受け、急遽製作される。作るに当たり本作を手本にした。
牧場の少女カトリ←小公女セーラ→愛少女ポリアンナ物語