概要 🌙🎀 🌃🐈
なかよしに掲載された武内直子の少女漫画を原作とするメディアミックス作品。
90年代に原作漫画と同時に東映アニメーションでテレビアニメ化され、世界中で大ヒットした超人気作品。ミュージカル、実写ドラマ、リブートアニメも作られる。
同作者の短編漫画「コードネームはセーラーV」の派生作品。お姫様を守る女戦士、輪廻転生、前世の恋人という少女漫画の要素を下敷きに、前世からの運命で結ばれた少女達の絆と戦いを描いた。味方キャラクターの名前はギリシャ神話、敵キャラクターの名前は鉱石から命名。
普通の少女が魔法使いに変身する魔女っ子(魔法少女)と、スーパー戦隊シリーズや後期東映不思議コメディーシリーズの戦闘要素を組み合わせた戦闘美少女系魔法少女の先駆け。
本作のヒットで「バトルヒロイン」が認識されて多くの派生作品が誕生し、ひとつのジャンルを築き上げるまでになった。無論、その後の作品にも大きな影響を与えている。
読者対象の少女だけでなく、大人の女性や男性にまで広く人気を博し、国内外問わずに社会現象を起こして日本のアニメ文化のひとつの象徴となる。
登場人物
セーラームーンの登場キャラクター一覧とセーラームーンの敵キャラを参照。
特徴
主人公たちは8頭身のプロポーションであり、設定年齢の14歳にしてはかなり大人っぽい。特徴的なセーラー戦士の衣装はセーラー服とレオタードをフィギュアスケート風にしたスカート付きのレオタードである。
原作者の武内直子は宝石商の娘であり、高校で天文学部だったことに加えて占星術を嗜んでいるため、キャラクター・ストーリー考案にそれらの知識を反映させたと言われている。
さらにハイブランドに親しんでいた原作者のキャラクターデザインは類似作品が多く生まれる中、現代までセーラームーンが人気を保持する要因と言える。
メディアミックス一覧
原作漫画
なかよしで1992年2月号から1997年3月号まで連載された。 旧版単行本は全18巻、新装版は全12巻、完全版・文庫版は全10巻。全五部構成(ダークキングダム編〜セーラースターズ編)。
主に高学年女児を対象とした大河ドラマ風のシリアスな作風で、前世からの恋と使命がテーマ。宇宙最強のパワーを持つ宝石をめぐる戦いと王政復興を描き、現代に例えるならメリバと鬱くしいといった雰囲気。「これまでヒロインとして守られる側だった『恋する少女』自身がもし無敵のヒーローになったら?」をコンセプトにした実験作でもある。
月刊連載だが四クール放送のアニメに合わせるために「各章につき全12話以内」という制限があり、要点をかいつまんだ超スピード進行。登場人物の殉職率が高くグロテスクな場面も多いが、サクサク進む。
作者の旦那にも絶賛されたカラーイラストの美しさも特徴の一つ。絶頂期の1993年にはなかよしの発行部数が200万部越えを記録した。
旧作アニメシリーズ(無印〜スターズ)
1992年から1997年まで放送された東映のテレビアニメシリーズ。代表的な主題歌は「ムーンライト伝説」。
主に低学年女児を対象とした友情バトルコメディで、当時国民的アニメとなった。テーマは「愛と友情」や「未来は自分次第」。可能な限り前世関係を排除し、登場人物の関係性をより分かりやすく整理している。
原作漫画と並行製作され、基本は日常ギャグでゲスト怪人を倒すシンプルな一話完結式。ストーリーの佳境部分でシリアスな展開になる。東映のセル画規制を受け、試行錯誤によって後のプリキュアにも受け継がれる変身シーンを生み出した。
詳しくは美少女戦士セーラームーン(90年代版アニメシリーズ)を参照。
新作アニメシリーズ(Crystal〜Cosmos)
上記の90年代版アニメのリメイクではなく、「原作漫画」をアニメ化したリブート。
2014年からウェブアニメ・深夜アニメとして制作されたが、第四期からは劇場版の前後編として制作された。
詳しくは美少女戦士セーラームーンCrystalを参照。
ミュージカル
通称セラミュ。バンダイ版、ネルケ版、乃木坂46版、スーパーライブ版がある。原作漫画版と旧作アニメ版の設定を両取りしている場合が多い。
詳しくはセーラームーン(ミュージカル)を参照。
テレビドラマ
2003年10月から1年間、TBS系列局(ただしテレビ山口は2004年4月から放送)で放送された特撮テレビドラマ。
主に低学年女児〜高学年女児を対象としたシリアスドラマで、原作漫画をベースにしながら前世の罪と罰をテーマにしている。
詳しくは美少女戦士セーラームーン(ドラマ)を参照。
玩具
セーラームーンを語る上に欠かせないのが、バンダイから発売された玩具である。
当初こそなかなか売れなかったが、半年目に販売されたムーンスティックが約42万個(PROPLICAムーンスティックの情報より)を記録する大ヒット商品となり、当初1年で終了予定だったセーラームーンがシリーズ化される要因となっている。
その後も登場アイテムが積極的に玩具化され、人形なども発売されて大ヒット。商品展開も大成功を収めた。
詳しくはセーラームーンのアイテムも参照。
2000年に90年代版テレビアニメが再放送された際には、デザインが多少変更された再販版が発売されている。これらの玩具は現在ヤフオク等のオークションやまんだらけ等の古物店で当時の値段の数倍になるプレミア価格で取引されている。
バンダイが20周年企画の一環で「PROPLICA」という新ブランドを設立し、最新技術を使って音声も新たに収録し直したコレクターズアイテムが再度商品化されている。
ゲーム版
旧アニメシリーズ放送当時、ゲーム版がいくつか発売されていた。中でもSFC版、同版R、メガドライブ版、アーケード版はベルトスクロールアクションであり、セーラ戦士達がマッシブな肉弾戦で戦うミスマッチ具合が話題になっている(一応無印4話などでうさぎが肉弾戦を披露していたので完全に肉弾戦と無縁というわけではないが)。
幻の北米版
1993年に北米ローカライズ版のTVシリーズが企画され、アニメと実写の併用でパイロットフィルムも作られるも頓挫。その後、旧アニメ版完結後の1997年頃、ハリウッドから特撮映画版のオファーがあったものの、諸般の事情で頓挫。作者自身、アニメではなく実写で作りたかったそうだが、1992年当時の映像技術では困難が伴う上に、1992年時点では「無名の作家によるオリジナル特撮番組」は、かなりの冒険であったかも知れない。
その後2018年にパイロットムービーの画像がネットに上がった。この北米版の頓挫が実写版を作る原動力となったと言える。
コラボ
この他にも様々な企業とコラボしており、20周年後には商業施設ISETANとのコラボ、S.H.Figuartsによるフィギュア化や、PEACH JOHNとコラボした下着「セーラームーンなりきりブラセット」など、様々な展開が成されている。
さらに、2017年にはカプコンの『モンスターハンターダブルクロス』とのコラボが行われた(ちなみに、内容はルナになりきることのできるオトモ装備であり、女性ハンター用のセーラー戦士のコスプレ防具ではないので念のため)。
全美少女戦士セーラームーン
新作劇場版アニメ美少女戦士セーラームーンEternal公開直前記念として、2020年10月にNHKBSプレミアムにて放送された。「あなたの好きなキャラクター」・「あなたの好きなエピソード」・「あなたの好きな歌」の3つの部門で投票を募集し、応募数は約8万票。キャラクター部門では変身前と変身後は別カウントされ敵キャラやサブキャラにも投票が行われた。ただ分散されている為か同一の存在(月野うさぎ&セーラームーン等)を統合した正確な総合投票数は不明のままである。
放送時は新型コロナウイルスの流行やその感染対策の為、リモート出演者もいた。
順位
キャラクター部門 |
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エピソード部門 |
歌部門 |
トリビア
影響など
- 『大きいお友達』発祥の地(元々、掲載誌のなかよしは大きいお友達に人気の女児向けアニメをたくさん輩出している)。
- 『萌え』の語源説(土萠ほたる)の一説とされる。
- 『新世紀エヴァンゲリオン』との関係多数(綾波レイの名前は火野レイから、葛城ミサトの前髪と担当声優は月野うさぎから、碇シンジ役への緒方恵美の起用は劇場版セーラームーンRの影響など)そしてあの変身シーンを発案し、無印第46話の数カットを庵野秀明が作画した。
- 女の子向け変身バトルヒロインアニメの嚆矢。
- セーラームーン以前から見られた「ゆめかわいい」系のデザインを有名にした。
- アニメ版は「大きい汗」の表現を根付かせた。
- 物語の舞台である麻布十番の知名度を上げ、旧アニメ版放送当時はバスしか公共機関が無く、それでも当時のファンが聖地巡礼に訪れる程であった。なお、旧アニメ版放送終了後の2000年に営団地下鉄南北線(現・東京メトロ南北線)と都営大江戸線が延伸開通し、麻布十番駅が設置され交通の便が改善された。(南北線の駅名は当初は麻布の予定だったが、麻布十番になったのも本作のヒットの影響ではと言う噂もある。)
- 少年向けの「ドラゴンボール」シリーズと共にストーリーアニメの長寿命化に貢献するも共に番組後半~末期は特番休止を多発させた。また根強いファンの存在が逆に災いして番組終了と共に時間枠からファンを手放す結果を誘発させ、両作品ともに終了後における各局ゴールデンタイムアニメの衰退を招いた。また互いの子孫的作品が先祖以上の長寿アニメになっている共通点もある。
- かねてより海外で行われていたTwitter他SNSサイトで「セーラームーンS」の1シーンをユーザー各自が自分の絵柄で描いたイラストが「#sailormoonredraw」他ハッシュタグを付加の上公開する騒ぎが日本でも2020年5月半ばから広まり「セーラームーン」そのものと同旧アニメ版(のS)、渦中のセーラームーン(月野うさぎ)等の人気と健在ぶりを見せ付けた。
- 本シリーズが声優を志すきっかけになった声優(特に女性声優)を多く輩出している(一例として、内田彩、竹達彩奈などが該当。なお内田は後に『ラブライブ!』で社会現象を生み出す原動力の一員になった)。
- 本作以降における各長寿シリーズアニメの礎を築いたと指摘される。ただし、これに関してはテレ東系の「期括り(クール分割)」や、のちのアニメ業界におけるジャンル多様化の影響も考慮に入れる必要があるため、本作のみの影響として語るには作品・シリーズごとの検証が必要とされる(そもそもセーラームーンシリーズ以前にも子ども向けの長寿アニメ・長寿特撮シリーズはいくつも存在していた ので、そこを履き違えて論を構築してはならない)。
- 本作と同じく東映アニメーションによって制作された『おジャ魔女どれみ』『デジモンアドベンチャー』『プリキュアシリーズ』などのシリーズに関しては同会社製作という事で(セーラームーン以前からも培われていた)ノウハウが代を重ねながら要素を組み替えつつ継承されているためセーラームーンの直接の影響下と言って差し支えない(ただし他作品の要素も同様に流入されている)。
- OLMの『ポケットモンスターシリーズ』および『ガールズ×戦士シリーズ』ならびに竜の子プロの『プリティーシリーズ』に関してはタカラトミー影響下である事から、その影響はセーラームーンのみにて繋がりを語れるものではなく本作の派生作品(姉妹作品)の影響をキチンと考慮する必要がある。(なお先ほどの『プリキュアシリーズ』に関しても広告会社側の企画系列は姉妹作品側にある)
- サンライズのケロロ軍曹とアイカツ!の両シリーズに関してはトイ担当であるバンダイからの流れを見受けられる。また遊☆戯☆王新アニメシリーズに関しては制作会社上むしろ同時期の作品である赤ずきんチャチャやりりかSOSなどからの流れであり、広告企画会社の流れも姉妹作品側である。
- ストーリーアニメの長寿命化の嚆矢でなかったとしても、日本の漫画・アニメに革命を齎した作品である事には変わりは無いであろう。
- Wii版パンチアウト!!ではピストン・ホンドーインターバル中にセーラームーンの漫画を読んでいる(通常プレイでは確認不可能。有志の解析で判明)
関連イラスト
関連動画
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セーラームーンが影響を受けた創作物
- 美少女仮面ポワトリン
- 東映不思議コメディーシリーズ美少女編の人気作。
- スーパー戦隊シリーズ
- チームを組んで悪と戦うという今も続く特撮ヒーローシリーズ。
両作品に影響を受けたと作者が公言している。
- 聖闘士星矢
- 転生、星を扱ったファンタジーバトルアクション漫画・アニメのルーツ。作品コンセプトはセーラームーンだけでなく、多数の作品に影響を与えた。
- 水戸黄門
- 90年代版アニメのスタッフが参考にしたと言われている。
- ダーククリスタル
- 1982年に全米で公開された映画で、ダークキングダム編は本作の影響を受けたのではとの指摘がある。
セーラームーンから影響を受けた創作物
作品
- 愛天使伝説ウェディングピーチ
- 少女革命ウテナ
- プリキュアシリーズ
- 同系列局、同制作会社の戦闘系変身ヒロインの後継。枚挙に挙げたらきりがないほど90年代アニメ版共通点が多くのそれの精神的続編……とも言えるかも知れない。
- 聖闘士星矢Ω&セインティア翔
- 先祖作品でありながら、セラムン&プリキュアと言った後発作品のアイディア&コンセプトを逆輸入、なお、Ωは後のセラクリと競合し、破った模様。
- ムーンライトレディ
- どう見ても本作をオマージュしてるとしか…。
キャラ
- 月光刑事&美茄子刑事
- こちら葛飾区亀有公園前派出所に登場する特殊刑事課の刑事たちでどう見ても本作キャラをオマージュしてるとしか…。
- ノーベルガンダム
- 機動武闘伝Gガンダム登場するガンダムの一機でオマージュ要素が見られる。ちなみにスーパーロボット大戦ではその外見から参戦している彼らが興味を示すという声優ネタがある。 コミックボンボンのときた洸一画のコミラカイズ版では更にパワーアップした高機動型(スーパー)ノーベルガンダムも登場し、容姿は正に無敵の女王のスーパー形態に瓜二つであり、今川泰宏巨匠も「もう少し登場が早かったら、本編にも出せたのに」と言わしめた逸話も残した。