人物
大学では教育学部に在籍していた。美術教師を目指すも、あがり症から自身で向いていないと見切りをつけ、教え子と直接対面しない漫画家を目指す。
『幽☆遊☆白書』、『HUNTER×HUNTER』という、少年漫画界を代表する超ヒット作を2本世に送り出した、類稀な漫画家である。
妻は 漫画『セーラームーン』などで知られる漫画家の武内直子。2005年に結婚した。なお、結婚式の司会はそれぞれの代表作の声優である佐々木望と三石琴乃が共同で行ったという逸話がある。 ⇒ 冨樫夫婦
弟は同じく漫画家の冨樫(冨樫秀昭)。交流についてはあまり触れられないが、義博の方が「背景を弟に手伝ってもらった」とコメントしていたり、秀昭の方の単行本に参加していたりといったことが確認されている。
なお、冨樫の「冨」は、「ワカンムリ」の「冨樫」であって「ウカンムリ」の「富樫」ではないので注意。
作風
善悪の区別の無いキャラクター像と予測不能の展開、複雑な心理描写や感情表現などに定評がある。
幽☆遊☆白書の妖怪・魔物、『レベルE』の宇宙人、HUNTER×HUNTERのキメラアントなど凶悪な人類悪として登場するが、作品が進むと善性を持つという展開が多く見られる。
守るべき人類は敵以上に醜悪な存在として描かれることがあり、人間社会への風刺というのも冨樫の持ち味である。
絵柄は基本的に優しい丸っこいタッチだが、繊細だったり雑と言っていいほど荒々しかったり、リアルだったりグロテスクだったりと変幻自在。安定感には欠けるとの意見もある。
本人は漫画作り、ネーム作りにおけるキャラクターのやり取りについて「漫才のテンポ感による論理の展開」を意識していると語っている。
カラーは苦手意識があるようで、特に漫画家の間でよく使われているコピックなどのアルコールマーカーは色むらやにじみの調整が難しいことからあまり好きではない様子である。『HUNTER×HUNTER』の表紙イラストなどではアクリル絵具をよく使っており、厚塗りで描くこともしばしばある。
なお、妻の武内は逆に非常に繊細で美しいカラーイラストで知られており、実際に一部武内が手伝った原稿もあるようである。
ペン入れには筆圧が高いことを理由にカブラペンを使っている。また、時々Macで調整などを行なっている。
質の高い漫画を発表する一方で、最近はその休載の多さがあまりにも有名になっている。
冨樫仕事しろ
現在は週刊少年ジャンプで「HUNTER×HUNTER」を不定期連載中だが、2007年45号からの連載再開まで1年半もの間休載していたことからよくネタにされる。復帰すると10連続掲載を行い、また休載期間に入り、また10週連続掲載という独特のスタイルをとっている。雑誌掲載時にはラフ絵を掲載することもあり、執筆態度を批判されることも。
現在では休載の多さそのものがネタになっており、「HUNTER×HUNTER」の連載再開時にはネット上などで騒ぎになるなんてこともしばしば。
勿論デビュー当時からこうだったわけではなく、『てんで性悪キューピッド』を連載している頃までは普通に週刊の仕事をこなしており、『幽☆遊☆白書』でも休載はほとんどなかった。終盤には作画が現在のようなラフで荒れたような状態が増えてはきたものの、とりあえず毎週は載っていたのである。『HUNTER×HUNTER』の連載が始まってから時が経つにつれ休載が増え始めるが、年に数話という更新ではあるものの連載が続いている。散々休んでも切られないのは現在それなりのキャリアと売れ行き故のことなので、絶対真似してはいけない。
もっとも2014年夏に再開して結局休載となってしまった際は重度の腰痛(による執筆不能)が原因との公式発表があった。長時間同じ姿勢で仕事をする漫画家の職業病とはいえ、腰痛により漫画家生命を絶たれるほどにまで追い込まれた新沢基栄のような事例もあるので、改善が見られないようならば、週刊連載の継続はもはや困難を極めるかもしれない。そのため、同時期に連載の始まった『ONEPIECE』とは違うベクトルで完結が危ぶまれている。
真偽のほどは定かでないが、精神的な不調により漫画と向き合うことが難しくなったとも噂されている。漫画家等のクリエイターは常に探求を続けるがゆえ精神を病みやすい職と言われており、一度調子を崩すと今までの執筆ペースに戻すのは難しいともいえる。このほか、多忙による睡眠不足や編集部との意見の対立などで心労が重なったという噂もある。
(そもそも週刊連載は「健康より原稿」と言われるほどスケジュールがキツく、例として鳥山明は睡眠時間が三日に一回だった等、漫画家の健康を害しかねない過酷なエピソードは多い。例外は40年間も週刊漫画誌無休載で無理なく執筆を完遂した秋本治ぐらいの話である)
アシスタントを多く雇えば解決するのではという声も多くあるが、「レベルE」の執筆体制からも分かる通りなるべく自分で全部こなしたいと考えている節が見られる(アシスタントがついていた「幽白」時代にも、幾つかの話を一人で描いていたというエピソードもある)ためなかなか難しいのかもしれない。
ちなみに、単行本巻末やインタビューなどからゲーム好きであることが明らかになっており、ここから「ネットゲームにはまりすぎて仕事をしていない」というネタ半分の定説がファンの間で有名である。ただし、漫画家が休暇中にゲームばかりすることは珍しくなく、むしろ通常営業である。そのネタを踏まえたpixivでの下記のような作品も多い。
引退疑惑
2018年1月の『北斗の拳イチゴ味』9巻の巻末インタビュー記事に、冨樫が寄稿。
……が、その末尾に――
東京都在住(無職) 冨樫義博
という衝撃の記述が発見された。
漫画家であれば、あくまで職業欄に「漫画家」なり「作家」なりと書くものだが、なぜか無職の二文字が記されている。
ファンの間では、「ただの自虐ネタ」と「本気で漫画家をやめた」で見解が割れ、物議を醸した。
2018年から【休載率:100%】が持続していた状況もあり、これを単なるギャグと受け取って流すにはファンとしては不安が拭えないのも事実であった。
Twitter開設
2022年5月24日、突如Twitterに冨樫義博を名乗るアカウントが現れ、執筆中の原稿の画像を投稿。
あまりに突然の出来事のため、Twitter上では喜びの声と共に、ジャンプ編集部からの発表がなかったこともあって、本人かどうか懐疑的な見方をするユーザーも多かった。
その後、村田雄介が「ご本人とのことでした。」とツイートを投稿。アシスタント経験者である井上コウセイも「確認したw本物だよw」と反応し、一気に信憑性が高まった。
なお村田のツイートの前から、原稿用紙がHUNTER×HUNTERの原稿で使用している特注のものであること、写真に癖毛の人物の影が写り込んでいる(※冨樫は過去作の作者近影などで確認できる限り癖毛である)ことなどを理由に「本人説」を唱えるユーザーもいた。
5月25日、ライブドアニュースが集英社に問い合わせたところ「冨樫先生ご本人のアカウントと聞いております。」という回答があったことを公表。正真正銘本人であることがわかった。→当該の記事
同時期に開催が発表された冨樫義博展の公式HPでは以下のように休載理由を釈明している。
「私自身思っておりますよ。「いや話の続き描けよ。」って思われてんだろうなと。確かに2年ほど椅子に座れない状態で描けませんでしたが、従来のやり方をあきらめることで現在は何とか執筆を再開しております。皆さま、くれぐれも腰は大切に。これを書いている2週間前までお尻をふく姿勢がとれず、ウンコするたびシャワー浴びてました。あらゆる動作が常人の3~5倍時間がかかります。腰大事。」
(冨樫義博展みどころ/作者紹介より引用)
Twitterでの投稿は原稿の端に書かれたページ数を写した物や執筆状況の報告が大半だが、読者やファンからのRTやいいねが非常に多い模様。
パロディ
作中に芸能人を描くことで有名であり、随所にパロディが盛り込まれている。
またお笑い好きとしても知られており、『レベルE』ではオジャパメンの名前が出た事もある。
『HUNTER × HUNTER』作中ではGLAY、おかずクラブ、バナナマンの日村勇紀に似たモブが描かれた事もある。
名前付きのキャラクターではワブル隊の護衛のウッディーがウド鈴木にそっくりであった。
名前だけのパロディでは、パリストン=ヒルはパリス・ヒルトン。イックションペ=カットゥーチャは加藤茶の名前とギャグが確認できる。
主役級のキャラクターではクロロ=ルシルフルの外見はL'Arc~en~CielのhydeがMVの『花葬』で見せた物を元ネタにしていた。
同時期の週刊少年ジャンプの巻末コメントでもL'Arc~en~Cielの事を何度か書いていた。
なお、2017年にはVAMPSのライブでhydeがクロロの仮装を披露している。
ちなみに意図的ではないと思われるが、クロロの顔がひろゆきっぽいと言われることもある。
櫻坂46(旧欅坂46)のファンであり、けやき坂46のライブに祝花を送ったり、こぎみいいと写真を撮っていたこともあった。
この事にはメンバーもブログやラジオで感謝を伝えている。
『HUNTER × HUNTER』の暗黒大陸編では櫻坂46のパロディがこれまで以上に盛り込まれており、念能力の名称に彼女たちの楽曲である『サイレントマジョリティー』や『二人セゾン』、『キミガイナイ』、『猫の名前』が取り入れられている。
またポージングなどにもけやきネタがある。
冨樫が2018年に執筆を再開した頃は、欅坂46の平手友梨奈が復帰した時期と被り、関係性が指摘されたことも。
前述したTwitterの初投稿では「とりあえずあと4話」とコメントし、併せて6と書かれた原稿用紙の画像を投稿。これが46に繋がり、ある種のアピールではないかとも言われている。