概要
山口県第2番目(テレビ単独局としては山口県初)の民放局として1970年4月1日に開局した。略称tys(大文字のTYSではなく、小文字を使う。なおかつては大文字のTYSが略称だった)。
設立・開局にあたっては、山口県を発祥とする企業であるUBE(かつての宇部興産)がかかわっていた。
1991年に全日本実業団ハーフマラソンの会場が、現在の山口市に移転したのを機に、TBS系列局での実況録画中継が行われるようになったが、その実況中継制作の手伝いを(隣県のTBS系列局と共に)受け持っている(のだが、その手伝いのパートナーが、年によって中国放送であったりRKB毎日放送だったりと安定しない)。さらに、1980年以降宇部市のゴルフ場で開催されていた(ペプシ→)宇部興産トーナメントの、テレビ朝日によるテレビ中継のバックアップも長年担当していた(が、テレビ東京に中継権が移ったのを機に、このバックアップは行われなくなった。また、山口県側のネット局も山口放送に変更)。
放送局概略
ニュース系列 | JNN |
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番組供給系列 | TBSネットワーク |
略称・愛称 | tys |
コールサイン | JOLI-DTV |
呼出名称 | TYSやまぐちデジタルテレビジョン |
リモコンキーID | 3 |
親局 | 山口(大平山)18ch |
ネットワークの変遷
開局当初はオープンネット体制で、ニュースはJNN、一般番組は山口放送が日本テレビ系列局だったため、残るTBSをメインにフジテレビ、NETテレビ(現在のテレビ朝日)の各局から視聴率が高く、健全な番組を選んでネットしていた。
1978年7月、NETから改称した全国朝日放送株式会社(テレ朝)がTYSに同年9月をもってネットワークを打ち切ることを通告、1978年10月改編と1979年4月改編の2回にかけて、「アフタヌーンショー」、「クイズタイムショック」「必殺仕事人」(朝日放送制作)などテレ朝系列の番組がTYSから山口放送に、「ナショナル劇場」などTBSのスポンサードネット番組のすべてや「サザエさん」などフジテレビのスポンサードネット番組の一部が山口放送からTYSに移行した。ただし山口放送が日テレメインであるため放送枠がこれ以上取れず、山口朝日放送の開局までは、TYSとテレ朝系列局の間でスポンサードネット番組などの番販取引を行い、スポーツイベントにも協力した。
1987年3月にフジテレビから次の申し入れがあった。
- キー局と系列局はフィフティ・フィフティの関係にあり、フジテレビとテレビ山口はフジテレビ系列の一員として、今後とも友好関係を保ちたい。
- ついては、テレビ山口はフジテレビの昼(『FNNニュースレポート11:30』)・夕(『FNNスーパータイム』)・夜(『FNNニュースレポート23:00』)のニュースのうちいずれか1本をネットして欲しい。併せて、ニュースの入中を行ってもらいたい。
- ニュースのネット受けに応じられない場合、10月以降、テレビ山口はフジテレビ系列から外れてもらうことになる。
要するに「フジテレビ系列にきちんと加盟して下さい」という文言であるため、フジテレビだけでなくTBSとも対応を協議したが、JNN排他協定の関係上(2の申し入れを遂行するためには)「JNN脱退」以外の手段が無く、仮に脱退した場合の山口県における取材体制について、TBSのみならず山口県と面する近隣県のJNN系列局(RKB毎日放送・中国放送・山陰放送)でどう分担するかなどの調整や、一般番組についてもラジオ部門(TBSラジオ)で系列関係がある山口放送も交えた番組販売における再構築を要するなどの煩雑さに加え、1987年10月改編で関西テレビ発のFNS同時放送だった月曜22時台にJNNニュース番組『ニュース22プライムタイム』が入るため、TYSはFNSから脱退し、TBS系列単独ネット局へ移行を余儀なくされる。これを受けてフジテレビは「テレビ山口のフジネットワーク社長会などへの会議出席禁止」「フジテレビはテレビ山口に対し10月以降も番組供給を行うが、電波料(スポンサー契約)についてはフジテレビの一括セールスから個別交渉に変更する」との通告を行っている。
しかしその一方で(2に至る前にわざわざ1の様な前置きを付している事からも分かるように)TYSとフジテレビの関係は非常に良好で(そのため「追放」「除名」ではなく「円満脱退」と表現される事が多い)、FNS脱退後も「おはよう!ナイスデイ」や「TIME3」などを同時ネットで放送したほか、フジテレビが放送権を獲得したFIFAワールドカップの日本代表戦や夏季オリンピック女子マラソン中継もテレビ山口が担当していた。山陰中央テレビ(FNN/FNS)製作のまつえレディースハーフマラソン中継は、テレビ山口でも競技当日の時差ネットを実施している。またFNSから脱退後も番組販売により「なるほど!ザ・ワールド」「火曜ワイドスペシャル」を放送したことがある。更に言えば1991年から1992年にかけて放送されたアニメ「ハイスクールミステリー学園七不思議」は、実はフジテレビとほぼ同時期に放送されたのはここのみ(つまり本来のフジテレビ系列局はどこも放送しなかった。放送した系列局も、実は本放送終了後の放送だった)と言うから恐れ入る。
その後1999年の「おはよう!ナイスデイ」終了、2000年の「2時のホント」終了を機に、それぞれ「はなまるマーケット」「ジャスト」に移行した。2000年6月には「ミュージックフェア」が打ち切りとなり同時ネットのレギュラー番組が全廃され、2009年春改編で土曜19時台のフジ系列の時差ネット枠も廃止。さらに2011年の「笑っていいとも!」を最後にフジテレビ系列からの当日時差ネット番組も廃止された。そして、2017年9月よりCBC製作の平日午後のバラエティ番組「ゴゴスマ」を放送開始したのを機にドラマの放送も取り止めた。
なお、これ以降も過去の経緯から山口県の民放局で最も多数のフジテレビ系列の番組をネットしているのだが、2024年秋の改編時点で、フジテレビ系のアニメ番組は定期番組としては「サザエさん」しか放送されておらず、大半がバラエティ番組となってしまっている。ただし周りのフジテレビ系列局(例えばテレビ新広島やテレビ西日本)では放送していないフジテレビの番組を放送する事がしばしばある(例えば2024年4月から放送されているバラエティ番組「深夜のハチミツ!!」は、テレビ西日本での放送実績なし)。
ローカル番組
ローカル番組に関しては、1970年代後半から1990年代前半まで、土曜の朝に放送された「おしゃべり土曜日」を筆頭に、その姉妹番組的存在だった「サタデー6」や「テレビ!山口くん」、その流れを組む番組であり、後にゴールデンタイムに進出した「サタスパ!」、2002年当時テレビ山口アナウンサーだった伊賀透浩と元山口放送のアナウンサーの吉田治美(2003年11月1日死去)でスタートした「ちぐまや本舗」、と名番組を輩出している。
2024年秋の改編時点では、土曜朝に「ちぐまや本舗」の流れをくむ「ちぐまや家族plus」を、平日17時台と18時台中後半部に「ちぐまや家族plus」をベースにしたローカルワイド番組「mix」を、それぞれ放送しており、いずれも再放送を実施している(「mix」は、ローカルニュース中心の18時台の一部を、火曜から金曜の朝5時台前半と金曜深夜に、「ちぐまや家族plus」は前半55分のみ放送当日の深夜に、それぞれ放送)。
なお、2023年11月15日と16日、冬のボーナスをめぐって労使交渉がこじれにこじれた結果、社員の約半分がストライキを打ってしまう。結果「mix」の17時台パートの放送が取り止めとなった。なお、代替番組として、これのせいで普段は放送をしていない「Nスタ」第2部を放送している。
テレビ山口と山口ケーブルビジョン
先述のように、元々は宇部興産の手によって開局したテレビ山口だったが、宇部興産の経営状態が思わしくなくなったことから、宇部興産は持っていたテレビ山口の株式の多くを放出した。
その際その多くを引き受けたのが自動車ディーラーの山口トヨタだったが、実はケーブルテレビ局の山口ケーブルビジョンを傘下に抱えていた。これにより、テレビ山口と山口ケーブルビジョンが同じグループになった。
山口ケーブルビジョンが阿東町(現在の山口市阿東地区)に2007年6月末の開局を目指した際、山口放送、山口朝日放送、在福岡民放5局が反対したために開局が延期となった。結局グループ企業のテレビ山口のほか山口朝日放送とNHKの再送信が2008年3月に始まった。その後同年5月12日に山口放送、8月7日にテレビ西日本のアナログ放送、11月10日にテレビ西日本のデジタル放送、2011年7月にTVQ九州放送の区域外再送信を開始した。逆に地上デジタル放送再送信の協議が進まないことから、2011年7月24日をもってエリア全域でのRKB毎日放送、九州朝日放送、福岡放送の区域外再送信が打ち切られた。
反射板
この局は本社と親局送信所間での放送波の伝送に全国的に見ても珍しい反射板を使用している。というのもこの局は開局時からUHFを使用しており、本社のある山口市大内御堀と送信所のある防府市大平山の間にはいくつも山があり、UHFの電波特性上、山の稜線が画像乱れの原因となってしまう。
しかし本社鉄塔を高くするとそれはそれでコスト高の原因になるので、大平山とは反対の方角にある姫山に反射板(無給電中継装置)を置いて本社鉄塔から受けた電波を反射させて大平山の送信所に送っている。
WILD BUNCH FEST.
山口市阿知須にある大規模な公園・山口きらら博記念公園にて、2013年から毎年8月下旬に開催される(ただし2018年は7月下旬に、2022年と2023年は敬老の日が絡む3連休に開催。さらに2020年と2021年も2022年と2023年の開催期間に開催するつもりであったが例の病気のため開催断念)大規模コンサート(いわゆる夏フェス)である「WILD BUNCH FEST.」を、FM山口、大阪市に本拠地を構える興行会社夢番地および広島FM放送、中国放送、さらにはRKB毎日放送と共に開催している。
さらにこのコンサートの模様は開催後しばらく経って、ダイジェスト版という格好で日曜深夜(2019年開催分までは土曜深夜)にこのテレビ山口で放送される。また、年末(か翌年の年始)に再放送を行うほか、この時期には中国放送やRKB毎日放送、さらにはあいテレビやテレビ高知でも放送される事がある。なお、2019年開催分まで本放送の時はCDTVの放送は断念していた。
ちなみに広島FM放送と中国放送が一枚かむのは、1999年から2012年まで広島県内で開催された夏フェス「SETSTOCK」の流れをくむイベントと位置付けているため。そしてRKB毎日放送が首を突っ込んでいるのは、このイベントの開催時期に北部九州で大規模な夏フェスの開催がないため。
その他
開局以来、東京12チャンネル→テレビ東京(テレ東)とも関係があった(例:「大江戸捜査網」、「プレイガール」、「六三四の剣」、「あぶない少年」シリーズなど)。
その後山口朝日放送(yab)開局によりテレビ朝日の番組の放送が完全に出来なくなったからか、バラエティ番組を中心にテレ東番組を放送する機会が増えた(例:「クイズ赤恥青恥」、「新世紀エヴァンゲリオン」、「所さん&おすぎの偉大なるトホホ人物伝」、「空から日本を見てみよう」、「KAIKANフレーズ」、「絶対可憐チルドレン」など)
だが「ゴゴスマ」や「Nスタ」16時台パート、さらにはローカルバラエティ番組「mix」放送開始と引き替えにテレ東番組を放送する枠が大幅に減ってしまった。結果2024年秋の改編時点では定期番組は日曜6時15分-6時45分の「ポケットモンスター」アニメシリーズと、木曜深夜の「あのちゃんの電電電波♪」だけになってしまった。しかも2番組とも30分番組であるため、放送本数ばかりか放送時間の合計もyabよりも少ないという有様である(ちなみにyabは定期番組だけで4本、さらに放送時間はいずれも50分~1時間であるため、その合計は3時間50分と、ここの約4倍であったりする)。
2020年4月期に「邪神ちゃんドロップキック'」を放送するまでは、2010年代前半に「ごはんかいじゅうパップ」というミニアニメを、日5の放送開始1分前のCMの枠を借りて放送したのが、唯一の独立局作品であった。ただこのミニアニメ、東京都ではTOKYOMXで放送されたため独立局作品とされてはいるが、実はそれ以外のネット局は、このtysも含め、全てTBS系列局であった。
また、「邪神ちゃんドロップキック'」にしても、前後のシリーズ作品の放送実績は皆無であるので、「何のために放送したんだ??」と首をかしげたくもなる一方で、TBS系列局で件のシリーズ作品を放送したのはtysと青森テレビ(ATV)の2局だけだったりする。
なお、独立局アニメでは「邪神ちゃんドロップキック'」以後は「D4DJ_First_Mix」、「逃げ上手の若君」、「歴史に残る悪女になるぞ」を放送している、とここまできて、「あれ?鬼滅の刃は!?!?」と思う人も出ようが、問題の作品はフジテレビも放映権を得たあとでの放送であるがゆえに独立局作品と言うよりはフジテレビアニメと見なす向きもあるためここではさておいた。蛇足ながら、「逃げ上手の若君」と「歴史に残る悪女になるぞ」は、関西地区では本局と同じTBS系列局での放送であったりする。
外部リンク
関連項目
山形テレビ:こちらも元フジテレビ系列局だが、離脱の際山形放送まで巻き込んだゴタゴタが発生、テレビ山口とは対照的な結果となった。