概要
地元紙・山形新聞グループの一員。略称はYBC(Yamagata Broadcasting Co, Ltd)。
日本のテレビ局で唯一、社説を放送している(毎週月曜から木曜の夕方4時30分頃に放送)。
1953年10月にラジオ局として開局、1960年4月にテレビ放送をスタートさせた。
テレビ放送開始にあたってのエピソード
テレビ放送開始時、庄内地方でもテレビ放送を始めるにあたり山形西蔵王親局から鶴岡高館山への番組伝送が問題となった。というのも山形親局のある村山地方から日本海側の庄内地方の間には標高2000mクラスの出羽三山が横たわり、放送では最短距離で映像を流すのが困難だったからである。この場合は電電公社の構築したマイクロウェーブ回線を常時借りるか、自前のマイクロウェーブ回線を構築するのが主流だったが、多額の費用がかかるために、YBCは西蔵王親局と高館山を両方見通せる新庄市にある標高1000mの杢蔵山(もくぞうさん)の山頂に中継所を開局させ、西蔵王親局から発射された電波を新庄で一旦受信。杢蔵山から発射された電波を高館山で受ける体制を構築した。これが全国の放送局の注目を浴び、各地の放送局でも実践されるようになった。
この新庄杢蔵山中継所の建設に際し、当時の服部敬雄社長は自衛隊の出動を要請。多賀城駐屯地の施設部隊が登山道すらない杢蔵山山頂までの工事用道路を突貫工事で開削し、資材の搬入には西部方面隊に配属されていた当時日本最大の大型ヘリコプターを用いた。
なお杢蔵山経由の電波中継はその後開局した山形テレビ、テレビユー山形、さくらんぼテレビだけでなく、防災行政無線などの公共無線にも用いられている。
テレビネットワークの移り変わり
1960年4月1日にテレビ放送をスタート。日本テレビ主体でラジオ東京テレビ(現・TBSテレビ)・フジテレビ・NETテレビ(現・テレビ朝日)とのクロスネット(フリーネット)だった。
1966年4月1日、この日発足したNNNに加盟、ニュースのみ日本テレビマストバイとなり、それ以外はフリーネットとなった。
1970年4月1日、当時山新グループだった山形テレビが開局し、フジテレビ系列の番組がここから姿を消し、代わりにTBS系列やNETテレビ系列の番組が増えた。余談だが、山形テレビは当初はNETテレビ(現・テレビ朝日)系列局として開局する予定だった。
1972年6月14日、この日発足したNNSに加盟。
1980年4月1日、山形テレビがANNを脱退し、テレビ朝日の番組がここに移行。ANNに加盟したため、ニュース系列はNNNとANNのクロスネットとなった。なおここで放送されなかった日テレの番組は山形テレビに移行。
1989年10月1日にテレビユー山形が開局し、TBS系列の番組が姿を消した。
1992年9月24日に山形テレビが臨時取締役会で株主の朝日新聞や相馬大作元酒田市長の意向によりフジテレビ系列(FNN/FNS)の脱退とANNの加入を発表。1993年3月31日に山形テレビがFNN/FNSを脱退し、翌4月1日にテレビ朝日マストバイ局となったため、山形放送はANNから脱退し、山形テレビとの間で番組を交換した。テレ朝の番組がここから消滅し、NNN/NNSマストバイ局になった。山形テレビのFNN/FNS脱退に激怒したフジテレビは、山形テレビとネットチェンジに協力したとみなした山形放送に対し、フジテレビ制作の番組、関西テレビなどフジテレビ系列制作の番組の番販購入を禁止した。テレビユー山形が引き継いだ「サザエさん」や「ねるとん紅鯨団」などごく一部を除くフジテレビの番組を見られなくなり、山形放送、山形テレビ、テレビユー山形をはじめ、フジテレビにも山形県民からの抗議が殺到した。山形県の系列局を失ったフジテレビは急遽新しい系列局の開局に動き、山形県民の署名活動や東北地方のフジテレビ系列局(岩手めんこいテレビ、仙台放送、秋田テレビ、福島テレビ、NST新潟総合テレビ)の後押しも受けた上で1997年4月1日にさくらんぼテレビが開局している。
余談
「西部警察」の地方ロケシリーズで、かみのやま温泉および上山競馬場が舞台となったPART3第24話で、ここのテレビ中継車が登場した。競馬場に潜む政治家誘拐グループを探すために、競馬中継用と偽って派遣された、という設定だった。
また、山形ロケ開始の際に石原裕次郎が公衆の面前で服部敬雄に頭を下げた(ただし石原裕次郎は腰が低い大スターではあった)のと、酒田市のロケで、静岡ロケでは抗議があったヘリコプターを飛ばすアクションを許可したのも語り種である。
「新世紀エヴァンゲリオン」のTV版(テレビ東京系列)と新劇場版(日本テレビ、金曜ロードショー枠)を両方とも放送した放送局でもある。ちなみにTV版は山形放送では1996年の下半期に火曜16時台に放送され、1997年10月~1998年3月には水曜深夜に再放送された。なお、山形放送と同様に「新世紀エヴァンゲリオン」のTV版と新劇場版の両方を放送した放送局としては、他に日本海テレビ、四国放送、長崎国際テレビがある。
余談だが、「新世紀エヴァンゲリオン」が放送されていた1995年~1996年当時の山形県は山形テレビのフジテレビ系列からテレビ朝日系列へのネットチェンジに対する山形県民の批判がまだまだ根強かった時期でもあり、「山形テレビはテレビ東京系列にネットチェンジした方が良かったのでは」と嘆いたアニメファンもいたほどだった。
外部リンク
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青森放送:テレビのネットワーク(過去も含め)やラジオ・テレビ兼業という共通点もあるが、こちらは青森朝日放送の開局による日本テレビ系列マストバイ局化以降もフジテレビ系列の一部番組を番販扱いで放送している。
山口放送:名称が酷似。しかもテレビのネットワーク(過去も含め)やラジオ・テレビ兼業という共通点もあるが、こちらはテレビ山口のフジテレビ系列からの離脱前後にフジテレビから秋波を送られたことがあるほか、山口朝日放送の開局による日本テレビ系列マストバイ局化以降もフジテレビ系列の一部番組を番販扱いで放送している。
サンテレビ:特定の系列の番販を拒否されたテレビ局つながり。こちらはテレビ大阪の開局でテレビ東京の番組のネットを番販扱いも含めて拒否された。