概要
1987年12月26日公開。もともとはOVAとして製作され、タイトルも「五右衛門紫変化」から改題されて「風魔一族の陰謀」となった。ルパン三世シリーズとしては昭和に製作・公開された最後の作品となった。
メイン5人の声優が一新されていることでも有名だが、これについては様々な事情がある。
ストーリーは石川五ェ門とゲストヒロイン・墨縄紫(すみなわ むらさき)の結婚式から始まる。
下記の声優問題で評価を落とした作品だが、元々がOVA用ということもあり、多くの予算を投じたためか、終始凄まじい動画枚数によるアクションが楽しめる。
ちなみにルパンのジャケットに色は『カリオストロの城』以来の緑ジャケットが使用されているのも特徴。
『PARTIII』終了から2年後の作品であり、ルパンシリーズの小休止時期の公開となった。
なお、劇場公開こそされているが、劇場作品として含めるかは曖昧なところもある(燃えよ斬鉄剣の番組枠で、くたばれ!ノストラダムスの特報が流れた際に10年ぶりにスクリーンに帰ってくると言われており、10年前は1985年、バビロンの黄金伝説のことを指している計算となる)。
あらすじ
五ェ門と紫の結婚式が行われ、墨縄家に伝わるという家宝の壺を五ェ門が継承しようとした時、謎の男達が壺を狙って襲い掛かる。式に呼ばれていたルパン達の加勢もあって壺は守りぬいたが、花嫁の紫が男達風魔一族に攫われてしまう。
彼らは壺に隠された財宝の秘密を狙っていたのだ。それを聞いたルパンは壺を墨縄家から盗み出し、紫を助けようとしていた五ェ門に託す。
しかし、これより前の事件でルパンが死んだと思い込み、出家して住職になっていた銭形が警察に復帰してしまい、事態はより混乱してしまう。
果たして、風魔一族が狙う財宝の在り処とその正体とは・・・?
声優
このようにメインの声優は総入れ替えとなった。
その実際の理由は明かされていないが、当時のレギュラーメンバーは全員大御所であり、ギャラが高くなっていたことから声優陣を全員変えたかったのではないかと推測されている。モンキー・パンチは制作会社の東京ムービーが当時倒産寸前だったと説明を受けたとも語っている。
山田康雄のコミカルな演技を良しとしなかったという話もあるが、山田は別にシリアスなルパンも演じているため、どちらかというとギャラの問題が深刻だったと思われる。
モンキー・パンチは従来のレギュラー陣5人に前もって事情を説明するという条件付きでキャスト変更を了承したが、古川からこの件を聞いた山田から抗議の電話を受けたことで事前の説明がなされていなかったことが発覚。
東京ムービーに電話をしたが関係者は既に軒並み辞めており、このためこの一件で山田との間に溝ができてしまい、アニメ業界にも不信感を抱くことになったという(この件については、山田氏が亡くなったときに誤解を解けてないのにと声をあげて泣いたと語られている)。
他の従来のレギュラー陣も快くは思われておらず、銭形役の納谷悟朗氏は加藤氏に別の番組で共演したときに話を振られて困惑している。次元役の小林清志氏は当時現役なのに何故変更したのかと疑問を述べられた。不二子役の増山江威子氏は継がせていただいた身とはいえ相談がほしかったと語っている(後に栗田貫一氏のラジオに出演した時は、五ェ門が結婚するという展開についてはあまり快く思っていなかったとも語られている)。五ェ門役だった井上真樹夫氏は後年Wikipediaを見た上で、現場の不満が溜まった上での製作側の「反乱」であったと前置きして絵は上等、結果は愚行、残念なのは原作者の厳命を裏切り声優に極秘だった点、セコさが悲しいと語っていた。
ゲストキャラクター
CV:荘真由美
墨縄家の跡取り娘で、本作のゲストヒロイン。
五ェ門とは相思相愛であり、冒頭で婚礼を挙げていたが、墨縄家の家宝の壺を狙う風魔一族に襲撃され、壺の身代わりとして攫われる。
- 墨縄老人
CV:宮内幸平
飛騨の名士・墨縄家の当主で、紫の祖父。本名は墨縄 馬場(すみなわ ばば)。
遙か昔より伝えられている墨縄家の財宝の隠し場所を示した壺を家宝とし、それを守るためだけに生きている。
孫娘の紫が誘拐された時には、家宝の壺や財宝を守るために紫の生還を諦め、墨縄家の婿養子となる五右ェ門にも諦めるように言うなど、冷たい性格。
- 風魔のボス
CV:広瀬正志
その名の通り風魔一族の首領で、本作の黒幕。本名は十四世 風魔 小太郎(じゅうよんせい ふうま こたろう)。
大仏をスキンヘッドにしたような顔をした色黒の大男で、表向きは「有限建築会社 風間組」の社長として活動し、墨縄家の財宝を狙っている。慇懃無礼かつ、冷酷な性格。
普段は白系のスーツ姿だが下には忍者着を着込んでおり、六節棍を得意武器としている。硬貨による指弾も得意。
- 風見刑事
CV:千葉繁
岐阜県警の刑事。下の名前は不明。
胡散臭い風体の眼鏡の中年男。冒頭の五右ェ門の結婚式にも紛れ込んで様子をうかがい、そこで撮ったルパンの写真を銭形に見せることで彼の職場復帰を促す。
銭形の妻に丁寧に挨拶をする礼儀正しい一面の他、子ども達の兄弟喧嘩のとばっちりを受けたり、ルパンを追跡する銭形の命令で銭形と一緒にカーチェイスで川に突っ込むなどコミカルなシーンを見せていたが、その正体は、風魔一族の幹部でボスの側近。その本性はボスと同様に冷酷非道である。
- ガクシャ
CV:中原茂
風魔一族の幹部。サングラスをかけている若い男。
その名の通り、学者のようだが、本名をはじめ正確な素性は不明となっている。
壺やからくり細工の解析を担当している。風魔の兵隊に対する指揮権も持っているが、戦闘能力は皆無に近い。
洞窟内の罠で命を落とした部下を見ても表情を変えないボスや風見と違って躊躇したり、幻覚ガスを吸ってルパンの顔が変わる幻覚や部下が怪物に見える幻覚を見てビビるなど悪役らしくないシーンが多い。
余談
本作の出演者の中には、後に2代目銭形警部となる山寺宏一氏がいる(担当したのは、警官Bという登場人物で所謂モブキャラである)。
OVA「ルパンは今も燃えているか?」で、冒頭のスコーピオンの構成員とのレースで風魔のボスとおぼしき男が出ている。
このレースの参加者は、過去のテレビスペシャルなどのゲストキャラが多数を占めている。
関連タグ
燃えよ斬鉄剣…五ェ門メインの作品のひとつ
DF50/900形蒸気機関車……本作に登場する鉄道車両。ちなみに両車とも岐阜県内の鉄道路線における運行実績は無い。900形にいたっては公開時点で現存していない。(1955年全廃)
劇場作品
バビロンの黄金伝説→(風魔一族の陰謀)→くたばれ!ノストラダムス
OVA
風魔一族の陰謀→生きていた魔術師