俺の名は“ルパン三世”。かの名高き怪盗ルパンの孫だ。
世界中の警察が俺に血眼。ところがこれが捕まらないんだなぁ。
まあ自分で言うのはなんだけど?狙った獲物は必ず奪う神出鬼没の大泥棒。
それがこの俺、ルパン三世だ。
概要
長編シリーズ『ルパン三世』の主人公にして、かの大怪盗アルセーヌ・ルパンの三代目。
世界をまたに駆ける大泥棒として、次元大介や石川五ェ門と共に数々のお宝を狙い、時に峰不二子に翻弄され、銭形警部に追い回される日々を送っている。
プロフィール
※1:三世の呼び方は国によって変わる(英語なら「ザ・サード」、フランス語なら「トロワ」)。「ルパン・ザ・サード」と言うのも、所謂和製英語である。
※2:作品によって設定は大きく変動する。次元、銭形よりちょっとだけ年下であるとは言われている。
※3:フランス人の父と日本人の母の日仏混血。人種的には日本人の色が濃いが、自分をどちらに定義するかも作品によって異なる。
人物
自由奔放な性格の持ち主で、長い間殺伐とした裏社会に生きているが、人間的な愛嬌を保ち人生を楽しむ事を忘れないお調子者の三枚目。
悪党的な抜け目のない狡猾さと、感情豊かでおっちょこちょいな面が同居する、他人にはとてもマネできない魅力を持った人物であり、「スリルを楽しむってことさ…本当のスリルをな。怖いのは死ぬ事じゃなくて、退屈なこと」というセリフは彼の人生観そのものと言っても良い。
そして、無類の女好きである事も挙げられ、気にいった若い女性はすぐ口説く。対峙した女性を倒すように促す次元と反目する事が多い。(女好きが災いして、少年時代のレディ・ブラックの母と付き合っているところを目撃されて、復讐されたこともある。)
特に不二子に対してはしょっちゅう騙されるが、「また騙されようって気になっちゃう女さ」(記憶を失った本人に対して)という言葉や、自身の墓に「峰不二子の愛とともに眠る…。なぁんちゃって」(暗殺者の目をごまかすためだが)と彫りこませるなど、本気で惚れているようだ。
その節操がない交際ぶりからカワイ子ちゃんには弱いとされているが、彼にまつわる女性のエピソードを最初から最後まで見れば、実際に気を許しきっているのは不二子だけであることが解り、実は次元や五ェ門の方がよほど騙されやすい。
もっともその不二子に対しても、PART2後半あたりからは、裏切るのを予測済みで対策することも多くなってくるのだが。本人曰く「男はよ、女に騙されるために生きているんだ」との事。
ただし、ジャクリーヌやエミリー・オブライエンのように自身を殺そうとしただけでなくどうしようもない悪党であった場合は、やむを得ず殺したこともある。
その一方、祖父譲りの「紳士」でもあり、時にはその性格が心を閉ざしていた女性の心を氷解させるきっかけになる事も非常に多い。
人の命を弄ぶ卑劣な悪党には嫌悪を抱く正義感のある一面もあり、闇稼業から足を洗った知り合い、善良な人物、特に女や子供が窮地に立たされ命の危険に晒されたりした際は、損得勘定抜きで命を張って助けることもある(ジャルジェとソフィー親子、ケン牧田と牧田リエ親子、クラリス等)。
この点はライバルである銭形と共通しており、銭形自身もルパンの人として一線を越えない点は強く理解している。
ただし、本人は「悪党」であることにアイデンティティを見出しており、「義賊」と思われるのは嫌がり呼ばれると怒る(祖父は義賊だったけど…)。敵も多いため、自分や仲間に生命の危機が及んだ場合は容赦なく殺すハードボイルドな部分も強い。
原作やアニメ一期に強い傾向だが、コミカルなキャラ像が定着したアニメ2期でも、「俺を罠にかけようなんて企むやつぁ、できるだけ早めに叩き潰しておくに限るからな」と言ったように、冷徹な面もしばしば見られる。
特に自分達ルパン一族への思い入れに関してはかなりの物で、一族に対して侮辱等をした相手には一切の容赦を見せなくなり、それは基本的に甘いとされている不二子ですら例外では無い。
命を取らずともエグい報復をする場合も多々あり、ある話では自分を侮辱した芸術家のアトリエを作品諸共爆破している。
逆に筋が通った悪党ゆえ、世話になった先達や好意を抱いた人物の頼みは快く引き受けたり、殺されてしまった時は自らの手で仇を討とうとするなど、義理堅い面も見せている。
ある国で活動した時は変装して革命軍を指導することで結果的に国を救ったり、子供に対しては自分たちと同じ犯罪の道に進ませることを決して良しとせず、自分の前で犯罪をしようとする少年少女が出てきたら体を張ってやめさせようとするなど、やはり大きく分類分けをすると「義賊」に入るのかもしれない。
嫌いなものはタコと、古代の象形文字(PART2で、一度ファラオの怨念に取り付かれたため)。
容貌
身体は長身痩躯であり、がに股歩きが特徴的。
顔貌は整っている方だが、いわゆる猿顔というやつで、美形と言うより愛嬌を感じる顔。しかし本人は容姿に自信を持っており、自分を誰よりもイケてる男と思っている節があるため、度々そこを仲間達や銭形にツッコまれる。
ただし、多くの女性を虜にしてきた彼の武器は、持ち前の愛嬌と火事場の男ぶりであるため、容姿は特に問題にはならない。
ジャケット
トレードマークのジャケットはPart1・『カリオストロの城』・『峰不二子という女』・Part6では緑、PartIIIではピンク、『念力珍作戦』・『トワイライト☆ジェミニの秘密』では白、Part4・Part5では青(5は色調がやや明るめ)、『グッバイ・パートナー』後半部では黒、それ以外は主に赤。
戦車が怖いようでは赤ジャケットは着られないとは本人の談。小さな物はジャケットの襟に隠す癖がある。
数々の能力
日常生活では昼行燈そのもので、被害にあったことのない悪人からは「所詮ただのコソ泥」と侮られる事も多い。
しかし実際には人類最高峰の智謀・技術・度胸・要領・身体能力を兼ね備えた極めてハイスペックな超人であり、古くからのファンも未だに驚かされる程の立ち回りを魅せる。
一部の話ではその能力の高さに目を付けた研究機関から、研究対象として狙われたこともある。
まず卓越した変装の名人であることが挙げられ、老若男女問わず誰にでも変装することができる。
姿形や声だけでなく、癖や仕草や言動や性格、筆跡までも真似ることができるため、見破ることが非常に困難。顔を強く引っ張ればメイクが剥がれ見破れることもあるが、それを見越して強固に変装していることもある。
また職業柄、芸術品に対する審美眼や贋作を見抜く知識はかなりのものであり、少し見ただけで様々な絵画などの美術品や宝石、貨幣などの真偽や価値を的確に見抜くことができる。
原作のモンキー・パンチ氏は拳銃には特に興味がなかったので漫画版では実在の銃は出てこないが、それでは作画に困るのでアニメでは大塚康生氏が麻薬Gメンだった頃に扱った事のある拳銃の中から選ばれた。
作品によっては失くしたり壊れたりするが、最後は直ったり、戻ってきたりする。
次元曰く、「拳銃は女と同じで、ワルサーはルパンしか言うことを聞かない」らしい。
次元にワルサーはそれ一丁なのかと聞かれていたが、駆け出しの頃はシルバーメタリックタイプも使っていたらしい(TVスペシャル『ワルサーP38』でその辺りの経緯が描かれたことがある)。
銃の腕前もピカイチで、生半可な相手の手にする拳銃だけを弾き飛ばすこともお手のもの。次元や不二子や五ェ門、時には銭形とのコンビで敵を倒すシーンも多く、拳銃以外にサブマシンガンや戦車なども扱っている。
次元同様、愛銃に拘りすぎて構造上の不利を招くこともあるが、それでも毎回勝利をもぎ取っているのは、美学とロマンを愛する彼ららしい生き方と言えるだろう。
逆にそれを見越した殺し屋相手に仕込み銃を使って勝利した事もある。
更に歴史や社会学など様々な学問に通じている他、情報収集力も各国の諜報機関と互角以上で、アナログからデジタルまであらゆる情報網に精通している(その反面、アニメなどではこんにゃくが芋の類だと知らなかったり、日常生活で普通誰でも知ってるようなことに意外と無知な発言も稀に見せる)。
最新鋭の電子機器やインターネットを扱う技術にも長けており、明らかにオーバーテクノロジーな機械を自作で作れたりする(例えるなら、2001年当時でスマートフォン並の多機能な携帯電話を自作している)。
アニメ版では無類のカーマニアという設定で、フェラーリのV12気筒エンジンに載せ換えたベンツSSK(PART1前半)、フィアット500・ヌォーヴァ・チンクェチェント(PART1後半、映画「カリオストロの城」)、アルファロメオ6C1750(PART2)が愛車としてよく知られる。
ドライビングテクニックに関しても国際A級ライセンス持ちであり、作中でも人間離れしたド派手なカーチェイスを繰り広げる描写が多い。
F-1を始めとした様々なレースに出場することもあるが、立場上シリーズ参戦は難しいためスポット参戦が基本である。
身体能力も相当なもの。足で頭がかけるほど器用かつ柔軟な関節を持ち、その柔らかさを生かした縄抜けが大の得意。その応用がかの有名な「ルパンダイブ」である。
スポーツについてもラグビー、アメフト、ボクシング、クレー射撃、社交ダンスなど何でもこなせ、足自体も相当に速い。ジャンプ力も非常に高く、助走なしでも約10メートル以上高くジャンプすることができる。
その細さとは裏腹に腕力も強く、素手で相手を倒す場面も多い。さらには足の速さを利用して敵に発砲される前に背後に回り込み殴りつけるなど、一種の時間停止に近い荒技を行なっている。
ただし一応これといった格闘技は習得しておらず、全て聞きかじりの技をチャンポンした程度である。
外科手術も心得ており、シリーズでは何度か撃たれた自分や他人の銃弾摘出手術を、満足な麻酔・抗生物質・輸血・薬もない状況下で見事成功させている。
その犯行
祖父と同様、卓越した技量を持った大怪盗であり、本人も泥棒である事やルパンの血族であることに強い誇りを持っている。
そのため暴力や脅迫に頼った短絡的な犯罪は嫌っており、胸を張って言えないチンケな軽犯罪もお断りである(偶然の役得は頂戴することもある)。
一方で、S警察に自分達のデータがあって手の内が全て読まれてしまって虚しいと一度は引退宣言したり、自分が泥棒であることに疑問を抱いたこともある(前者は借金返済のためすぐに復帰し、後者も自分なりの答えを見つけて続けることを選んでいる)。
高価な宝をコレクションすることよりも、鮮やかな手口で盗み出すこと自体に生き甲斐を感じているため、盗んだ後の宝に対する執着は薄く、ちょっとしたミスや不慮の事故で紛失してしまったり、遊興費や軍資金に使い潰してしまうことが殆どである。
あえて犯行予告を出したり、大掛かりな盗みを行うのも前述の「スリル」を求めるが故の行動で、「盗む過程が楽しいのさ」「謎が解けるまでが楽しいのよ、泥棒も、盗むまでがな」とは本人の談。
現に一度自分を撃退したロンドン警視庁に対し、予告状を出して挑発し警備を強めさせたりもしている。
また、元の持ち主に返却する事や、ルパンが信頼した人物に譲渡する事も多い。
また、盗むのはいわゆる(美術的価値こそ高いものの)訳あり・曰く付きなお宝が多く、相手もギャングやあくどいことをして儲けている金持ちが殆どであり、善人や弱者から盗むのは消極的。また、どれだけの値打ち物でも、趣味に合わないと不二子に色仕掛けされても拒否する。
例外として、所有する財を強奪しようとする悪党から持ち主の命を守る理由等で失敬することはあるが、真面目な金持ちである持ち主達の生活バランスは極力崩さないように心がけている。
さらに、万が一無関係の人を巻き込むような状況になった場合は、その人物に慰謝料を支払ったり、壊した物を弁償したり、お宝の大半を譲ったりと、後々に何らかの形でフォローをすることがある。
また、社会的不安や世界的混乱を引き起こす可能性があるお宝(超小型原子爆弾の設計図や人工ダイヤモンドを大量生産する機械等)に関しては、自らの手で闇に葬ることもある。
なお、上述の本人の談にもあるがアニメ版のPart2では
- 「防犯システムを破れるか」という挑戦状を持って来た宝石店のオーナーに対し、防犯システムを破り宝石を奪ったが、一部の取り分(迷惑料と協力を依頼した人物への支払い)以外は自由の女神像に放置。
- 不二子と賭けをしていた大富豪の「自分が雇った殺し屋とどちらが強いか勝負」という挑戦状に対しては殺し屋を撃退した後、不二子との賭けの報酬だったダイヤの原石を奪うだけでそれ以外は手を出さない。
- 破産寸前だった銀行が、無一文であることを隠して予告をでっち上げて盗みに入ったは良いものの、無一文でありそれで名声を上げて客寄せのダシにされた時には、再度盗みに入って金庫の金を全部奪っている。(ただしこれがきっかけで、ルパンに盗みに入られた銀行として一躍有名となり再度のスタートを切った上に、盗みに入る記念日まで作られた)
という対応を取ったが、これらはあくまで「相手側が自分の与り知らぬ所で勝手に決めた約束に対する『もうこちらに関わるな』という意味の警告」でありルパンの対応の中でもかなり優しい物である。「金持ちの道楽には付き合ってられない」というのが本心だろうが。
仮に両者がこれ以降も関わって来たら次は相応の代償を奪いに行く可能性は高いと思われる。
なお、前者である宝石店のオーナーは豪華ホテルや賞金の用意等、「ルパン側の盗む意欲を削る」ことで最大の被害を免れたと言え、ただの防犯システムへの挑戦状だったならそれこそ根こそぎ奪いに来ていた可能性もある。
そもそもこのオーナーはTV番組の司会を兼ねていたため、勝っても負けても損をすることがほぼ無く、ルパンからすればこの依頼は「自分の番組で特集させてくれ」と言っているも同然だったから。
ちなみに銀行については、ルパンに盗まれるということは一流の銀行であり、ルパンを撃退したならば超一流であるという評判という一種のステータスとなっている模様。
実際part3ではフローラ・ハーストと共に田舎の銀行を襲った際には、銀行の店長から喜ばれており店長の希望で記念撮影までしている。
何らかの事情があって意図的に投獄される必要が生じた場合、捕まるために仕方なく軽犯罪を行うことはあり、逆に「自首」という手段は、銭形を始めとする警察側から「何か裏がある」と不審に思われてしまうリスクが高いため避けている。
財力
基本的に金銭目当てで盗みをすることは少なく、本人のライフスタイルも至って庶民派だが、その保有資産は数億USドルに達すると思われる。
複数の信販会社のクレジットカードを持ち歩いており、TVSP『バイバイ・リバティー・危機一発!』では3億ドルを当時付き合っていた女性に使われている。(フられた上に、この借金がきっかけで引退した泥棒稼業に復帰するハメになった)
また「ロシアより愛をこめて」では、クレジットカードの限度額が越えてしまったため、次元のクレジットカードを使うように頼んだこともあった。
クレカをいくつも持ち歩けるという事は、要するに、信販会社はルパンが逮捕される可能性は限りなく低いと考えていることになる。
一方、本人の享楽的な性格やトラブルまみれの人生から、ポケットマネーを割とすぐに使い果たして素寒貧になっている事もしばしば。
また、原作やアニメ初期ではルパン帝国と呼ばれるルパン一族をトップとした約10万人規模の構成員からなる組織を持っており、ルパン一族も7000億(現在の価値で約2兆)の隠し財産を持っているとされている。
が、現在では組織云々について言及されなくなって久しく、人手としてアテにするのも専ら次元や五ェ門ばかりである。祖父や父以上に自由を尊ぶ本人の性から、早々に解体してしまった可能性がある。(設定自体が自然消滅した可能性もある)
ルパンと殺し
アニメ版においては主に放送コードの関係上、悪質な敵対者と、殺し屋のような血を見るのが好きな悪党以外は殺さない、というのがモットーである。
特にカタギの人間、普通の警官、警備員などは原則、どんなに敵対しても手にかけない。その他、中途半端なチンピラ等も殺すことなく軽くあしらっている。(そのためゲームでは、警官にワルサーを撃ったらゲームオーバーになるということもある)
よく“女は手にかけない”と言い、確かに男性より圧倒的に少ないが、これはあくまで上記のモットーを原則としているだけである。
ある話では保身のために平気で仲間を殺し、ルパンも騙し討ちにしようとした黒幕を容赦なく射殺したことがある(これは怒りを感じながらも命乞いに応じて「失せな」と言ってくれたルパンの温情をあろうことか踏みにじったためで、この件は彼にとって苦々しい思い出となった)。
その他、何人かの女を自らの手で殺したことがあるが、いずれも我欲のためだけに仲間や自分を裏切る者、弱者を利用した挙句殺す者、この世を自分だけの物にしようとする者など、悪女ばかりである。
時には命を取らないまでも、経済的・社会的に失墜させる等、女性に対して全てを際限なく許しているわけではない。そのような行為は、たとえ女であってもルパンにとって決して許されることではないのだ。
また、銭形は例外的に命に関わる“イタズラ”を仕込まれることがあるが、これも「銭形なら死ぬことはない」とある意味信頼しているが故である。
とは言え、実力がある殺し屋や、犯罪組織のビッグネームを結果的に手にかけることも多いため、「殺しのテクニックは一流」と評されることもある。
世界中の腕が立つ殺し屋共は、ルパンの命をよく狙っており、中には「ルパンを殺す事が出来た」と思って浮かれる者もいるが、結局様々な要因で失敗に終わり(ルパンの協力者かルパン自身がそのような事をして騙す、あるいはあらゆる偶然が重なる、または敵がよく確認しないため)殆どが返り討ちに合って最後を迎えてしまう。
その返り討ちの方法も基本的に真っ向勝負ではなく搦手や道具であり例を挙げると
- 「受け取り金を貰いに来ていた所を強襲して爆死させる」
- 「水銀弾を製造してそれを撃ち込む(この時の相手はダムダム弾という禁止兵器を使用した悪徳警官)」
- 「相手の神経を擦り減らす作戦で自滅させる」
- 「用心深い相手を単純な罠で嵌める(相手はこれをブラフと誤認していた)」
- 「靴に仕込み銃を装着して置き二段構えで撃つ」
等となっている。
アニメのPart5にてルパン自身が
「悪ぃな、俺には『真っ当に勝つ』っていう美学は無いんだよ」という発言をしているが、それがルパンの殺しに対するスタンスと言える。
それどころかルパンは、爆発によって潜水服がバラバラになって深海の水圧に押しつぶされてもなお、細い体になってまで生き延びている。
そのものすごい生命力は、人類を凌いでいることを象徴しているだけでなく「ルパンを殺すのは、簡単なことではない」ということを強く認識させられるものである。
プリズン・オブ・ザ・パストでは不二子に「殺しても死なない」とまで言われていた。
ルパンと夢
ルパンは『夢を見ない』と言われている。「複製人間」において判明したことで、以降の作品でも時折言及されている。「複製人間」における悪役マモー曰く、夢を見ないというルパンの意識は「空間・虚無」であり「それは白痴の、あるいは神の意識に他ならない」と驚愕した。
これは劇中における「夢」とは「深層心理に存在する物=何によって自己を確立しているか」を表す言葉であり、夢を見ない=深層心理に何も存在しないルパンは「この世の如何なるものにも依ることなく、『紛れもなく自分はルパン三世である。』という自己を確立できる」という意識を持っていることを意味している。
意識という意味では幾度も超人的な部分を垣間見せており、「ロシアより愛をこめて」では敵がテレパシーを持っていると知るや、瞬時に口笛を吹きながら無心になり、そのまま額を撃ち抜くというトンデモを見せている。しかも相手が次元の心を読むことで銃撃を躱すという超能力的な技を見せた直後であり、人間離れの格の違いを見せつける形となっている。
補足
現在、世間一般でよく知られるルパンの三枚目の人物像は、概ねPART1後期のテコ入れで演出を務めた宮崎駿によって形成され、その後のPART2以降に確立されたもの。
原作やPART1前半では剽軽ながらも、どこかアンニュイでニヒル、ドライかつクールな印象の総じてハードボイルドな人物として描かれており、現在のようなギャグ顔を披露する機会も遥かに少なかった。
後年、宮崎はこのルパンの人格面の変更について、「“全てが満ち足りてしまった退屈な人生の暇潰しのために犯罪に興じる裕福なフランス貴族”から、“常に何か面白いことは無いかと目をギョロつかせている貧乏なイタリア男”に変えた」と語っている。
2010年代のテレビシリーズは深夜アニメに移行したことで、PART1前半への回帰が行われている。
ルパン三世を演じた人物
本編
- 初代:山田康雄
言わずと知れた初代担当者。ルパンのお決まりのフレーズや語り口調などは全て山田が作り上げたと言っても過言ではない。本人は時折ルパンを演じることに嫌気が差して「降りたい」と言ったこともあるが、実際に『風魔一族の陰謀』で降ろされた際は激怒するなど、表には見せない思い入れを持っていた。
とはいえこの件については、モンキー・パンチ先生が製作会社に入れ換えるならば、山田さんたちにも話を通せと言われたのを、製作会社が話を通しておらず、古川氏が挨拶に言って始めて聞かされた話なので無理もないことではある、この件はパンチ氏と山田氏にとって生涯癒えぬ亀裂を残しており、山田氏が亡くなったときにもこの件の誤解を解けてないのにと声をあげて泣いたという
元々山田は薦められてルパンを読むことになるとたちまち作品のファンになり、オファーが来た時は二つ返事で了承した。Part1のようなハードボイルドな作風を好み、Part2のような子供向けにマイルドになりすぎた作風を当初は嫌っていた。
「カリオストロの城」でのルパンも当初は難色を示していたが、物語を見て「こういうルパンを演じたかった。」と高く評価し、以降はコミカルさ多めで他者を助けるいわゆる「おじさまルパン」にも好意的になった。
それでも、山田の中では最後まで「ルパン三世は義賊に非ず」が彼にとってのルパン三世像であった。
Part4以降を山田が演じられたのなら、さぞ喜んだかもしれない。最期の仕事もルパン絡みになるなど、良くも悪くも最期まで大泥棒との縁が切れない人物であった。なお演じた年数は23年半で、担当本数だけ見れば歴代トップ。
後年「結婚前提戦士ラブラブファイヤー」にて声としてでなく、役者としてこの役を演じている。
- 二代目:栗田貫一
山田康雄のピンチヒッターとして起用された後、正式に二代目を引き継いだモノマネタレント。山田が現役の際はモノマネ番組のご本人登場で山田が現れ、栗田がタジタジになるという場面も見られた。
元々ルパンのモノマネタレントとしては知名度の高い人物で、山田自身もルパンのモノマネ=栗田貫一とすんなり出てくるほどに浸透していた。当初は山田の代役という意識を持って演じていたが、2010年後半になると考え方が軟化して「ルパンを演じればいい」という境地に辿り着いた。
当初は散々非難されたが、現在は努力が実って多くのファンから受け入れられている。2018年に山田の担当年数を越えた。しかしSP版における担当が多いため、担当本数自体には大きな開きがある(本人も「(年数を言われても)恥ずかしい」とのこと)。
SP版・劇場版の収録の際には、その前1週間程度を完全にオフにし、山田時代のルパン作品を視聴し続けてキャラをつくっていたと言う。PART-4が制作される以前には、「イマジネーションをつくりやすくできるよう、一度でいいから(週間の)テレビ放送でやりたい」(意訳)とも言っていた。
その他キャスト(アニメ版)
キャスト総入れ替えを計画した製作陣によって起用。オファーを受けた際は「似せればマネ、自身の色でやれば文句がくる」と負けが確定した仕事なので断ろうとした。が、マネージャーからの「他の人はみんな受けた。あなただけ逃げるんですか?」という挑発に乗って演じることに。
山田のイメージを引きずらず演じようとしたがその影響力は強く、ついついモノマネのような演技になってしまったと語る。さらにキャスト総入替えの話は山田に黙って進められていたのだが、そのことを知らない古川は山田に「今度自分がルパンを担当させていただくことになりました」と挨拶に行ってしまい、山田が激昂したという。
当時はアンチレターが大量に届いた苦い経験があり、この仕事については語らなかった。しかし価値観の多様化と本家の声優一新なども手伝って再評価の機運が高まり、好意的な意見も見られるようになったこともあり、今ではようやく自身の経歴に堂々と書けるようになったという。
そして30年以上経った2022年に制作されたLUPINZEROでは、ルパン二世を演じている。
- パイロット版(TV用):広川太一郎
パイロット版としては有名なバージョン。広川節はやや抑えめであるものの、節々においては広川らしい語り口が見られる。広川と下記の野沢のどちらかがTV版を担当する予定で進んでいた。
- パイロット版(シネマスコープ用):野沢那智
パイロット版と言えば下記の広川版が有名だが、シネマスコープ版は野沢が担当。野沢が多忙なため結局本編では担当せず。かなり色っぽい語り口なのが特徴。本家とはならなかったものの、後のSP版では多くのゲストキャラを演じるようになる。
これはアニメ作品への出演が意外に少なめだった野沢にとって実は貴重なことである。ちなみに野沢那智の持ち役であるコブラは、山田康雄が演じたバージョンもあるなど、両者ともに戦友だったとはいえ数奇な縁があった。
- D2MANGA:難波圭一
原作のエピソードをデジタルコミックとしたゲームで、原作者の行ったオーディションで、本作のみキャストが一新されている。
余談だが、難波氏は緊急発進セイバーキッズのゲストキャラでアルセーヌ・ルパンが元のパルンを演じている。(デザインは、バイバイリバティー~ロシアより愛をこめてのデザインに準じている)
昭和50年代の中学生としてのルパンを演じる。
次元役の武内駿輔と共に、従来作ルパンの次元の掛け合いを重視している。
実写版キャスト
- 『念力珍作戦』:目黒祐樹/新井昌和(幼少期)
- (2014年版映画):小栗旬
- 『ルパン賛成』:堺正章
- 『ルパン三世(ルパンしゃんせい)』:木梨憲武
- 『スマスマルパン三世』:中居正広
- 『ルパン三世 I'm LUPIN』:ルー大柴
- 『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』:早霧せいな
- 新作歌舞伎『流白浪燦星』:片岡愛之助
設定考察
原作
原作では素顔とされる姿も変装であり、本来の素顔は完全に不明。加えてアニメと違い、割と簡単かつ非情に殺人を犯している。
これはルパン家に伝わる「盗術」の第三十三条「いかなる時でも素顔をさらすな」という条文に則ったものであり、一度自らマスクを外した時もその下にはのっぺらぼうのマスクを着用していた。
そのため真の素顔は長年の相棒である次元やライバルの銭形ですら知らないとされる。それどころか性別、声すらも偽装とされている(一応、性別に関しては後述する作品の中で不二子との隠し子が主役の作品が登場するので男性の可能性が高い)。
また先祖代々の決まり事である為か素顔を晒すことは決してせず、素顔を暴こうとマスクに手を掛けた銭形に対して「銭形 ふかいりしすぎだぜ」と凄んだこともある。
アニメにおいてはPART2で「これは生まれつきのモンキー面(第67話より)」と自ら発言しているが、原作から過去のアニメシリーズまでの歴代ネタを引用しているPART5では原作版の設定が適用されており、最終回ではある人物に素顔を明かす場面がある。
この件については、モンキー・パンチに許可を取った上で採用しておりpart5では次元も明かす前にたまたま素顔を見てしまったという設定も加えられた。
ちなみに原作者が好きではなかった『ルパン小僧』という続編の主人公「ルパン小僧」は、ルパンと不二子の隠し子であるとされている(トリビアの泉の番組内ではモンキー・パンチ氏がルパン四世だと認めている)。
出自
謎だらけな背景ゆえ、本当に初代アルセーヌ・ルパン(ルパン一世)の孫なのかという疑念もしばしば挙がる。
原作『能ある悪党は牙をかくす(その3)』では日本の農民の男性がルパン姓の妻を娶ってルパン姓を名乗ることになっているので、つまりどこかに別に「ルパン二世」が存在していることになる。
もっとも原作は毎回スターシステムで読み切りを書いている状態であり、逆にルパン二世に「息子」と呼ばれている回もあったりする。
問題がややこしいのはこの『能ある悪党は牙をかくす(その3)』がアニメ化されていることだ。しかもPART1の『タイムマシンに気をつけろ!』という著名回である。だが、この作品ではルパンの日本人の祖先を消そうとしてくる。この作品でルパンの祖先である「江戸時代の百姓である川向こうの次郎吉」が「ミレーユ・ルパン」という女性を妻に迎えることになっているが、これが真だとすると時系列的には、「初代アルセーヌ・ルパンからして日仏混血」か「ルパン三世は傍系の子孫(兄弟姉妹・従兄弟再従姉妹の子孫)」ということになる。
ただ、この「川向こうの次郎吉」の存在そのものが魔毛狂介を欺くためのルパンの狂言である可能性も高く、釈然としない。
その後、本人も周りも初代アルセーヌ・ルパンの事を「(ルパン三世の)祖父さん」と呼ぶことが多くなり、「孫」という設定が固定化された、かに見えたのだが……
これまた著名作である『カリオストロの城』では、カリオストロ伯爵が「ああ、アルセーヌ・ルパンの三代目とか言うコソ泥のことか」と、「孫」と呼ばずに「三代目」と濁した表現をしている。
日本では近代法における縁戚者以外が高名な人物の名跡を“襲名”することがあるが、西欧圏でも代をまたいで襲名したり、上記のように傍系の子孫が襲名することがある。
例えばイギリスの先代の君主エリザベスII世陛下は、確かに母親であるジョージVI世妃のファーストネームも「エリザベス」だが、イギリス君主としての「エリザベスII世」は16世紀末~17世紀初頭の君主「エリザベスI世」を襲名した形である。なおエリザベスI世には(少なくとも公式な記録上には)直系の子孫はいない。
また現在のイギリス王室(ウィンザー朝)は元々ゲルマン(現在のドイツ人)系である。ついでに言うとエリザベスII世は第二次大戦中は陸軍の補給部隊要員として参戦しており、PDWを試射したりと不二子顔負けの戦闘力だったりする。
ルパンに話を戻すと、シリーズが長きに渡ったため、ルパン三世が初代アルセーヌ・ルパンの「孫」という設定に無理が出てきている。モーリス・ルブランの『怪盗ルパンシリーズ』では、初代は遅くとも1930年代には50代に突入しているはずなのだ。
このため、代またぎがある、傍系での子孫である、ということにしないと設定が狂ってしまう自体になっている。
その他作品
「見知らぬおじょうさん…ジャケットから手を離しちゃあくれないか?」
2019年05月24日、スマートフォン用アプリぷよぷよ!!クエストにコラボ登場。
「ユーレイ」のウワサの犯人候補としてりんごに冗談交じりで名前を挙げられ、エコロによって突然ぷよぷよ側の世界に召喚された。
しかし、強制的に連れてこられた筈の別世界によく知った人物の痕跡が残っているようで…?
「俺はルパン三世、天下の大泥棒だ
ってなわけで、このぷよは頂いてくぜ!」
キャラとしては青ジャケットの「Part5」の通常仕様と、赤ジャケットの「Part2」仕様の2種類が登場。特に通常衣装である青ジャケットのルパンは本コラボイベントで実装されたカードの中でも飛び抜けた性能を持ち、盤面に青ぷよを供給するスキルで青属性を主体としたデッキを強烈にサポートしてくれる。
関連画像
関連タグ
ワルサーP38 ベンツSSK フィアット500 ルパン帝国 サスペンス