概要
「ルパン三世」TVスペシャルの記念すべき第1作であり、アニメとしては平成最初の作品でもある。ただし、放送枠は『金曜ロードショー』ではなく、日テレの当時の単発特別番組枠であった『土曜スーパースペシャル』での本放送となっている(なお、「金ロー」枠では山田氏の追悼企画としての放送となった)。
OVA『風魔一族の陰謀』で一新されたキャストから戻されており、大野雄二氏によるルパン三世のテーマの新規アレンジ(ルパン三世のテーマ'89)が作曲されるなど前年の再放送で好評だったpart2への回帰がなされている。
また、1989年の2月にはあのスター㊙アノ場面という番組で番宣も兼ねて山田康雄氏らが出演していた。
監督は出崎統。キャラクターデザインはPART1の容姿端麗ルパン、PART2中盤からの猿顔ルパンではなく、出崎と犬猿の仲という宮崎駿が忌み嫌った『ルパンVS複製人間』に似た面長な「馬面ルパン」を基調とした物となっており、この傾向はのちの4作目である『ロシアより愛をこめて』まで続いた。キャラデザ担当者曰く、初めて担当した仕事が「複製人間」であったため、敬意を表して同作に似せたものにしたのだという。
衣装もPART2を基調とし、ルパンは「赤色のジャケット、黄色のネクタイ」、五ェ門は「白の着物・茶色の袴」に設定されるなど、複製人間のデザインを折衷したものとなり以降のTVスペシャルでもほぼ全ての作品で採用される様になる。(ただし次元と銭形はPART2のまま)
2020年1月3日にはYouTube上の「TMSアニメ55周年公式チャンネル」にて、本編のネット配信が行われる。
あらすじ
高度情報化社会となった現代において、ルパンに関するあらゆる情報はデータ化され世界中の警察が管理していた。そんなご時世に嫌気が差し引退を考えるルパンだが、結局は次元が現在進めている計画に加わってしまう。その計画とは、自由の女神像に隠された世界最大のダイヤモンドを取り出すことだ。奇想天外な方法で自由の女神像ごと強奪したルパンは、その際に天才少年マイケルと出会う。ルパンに協力を申し出た彼から代わりに依頼されたのは、コンピュータのデータを自在に改竄できる「ニューウイルス」を作った母親を探し出してほしいとのこと。自分に関する警察の情報を無効化させるためにも、渡りに船とばかりに早速行動を開始するルパンだが?
オリジナルキャラ
イザベル
CV 駒塚由依
アラスカで五ェ門が会った謎の美女、ルパン達にルースターが盗んだダイヤモンド「スーパーエッグ」の取引をするために接触する。が…?
マイケル
CV 田中真弓
ニューヨークでルパンを探していた少年。
コンピューターの扱いに長けており、銭形やルパンの情報も持っている。
ルパンに、新型のコンピューターウイルスである「ニューウイルス」の作成者を探してほしいと迫る。
ジミー・カンツ
CV 津嘉山正種
秘密結社スリーメイソンのナンバー3、出奔したナンバー2及び高齢のため前線に出られないシルバーマンに代わり事実的な前線指揮者。
野心家ではあるが大物を装う小物であり、シルバーマンには恐怖を抱いている。
シルバーマン
CV 前山迪雄
秘密結社スリーメイソンの首領。
超能力の使い手で、不二子を洗脳してルパンに差し向けたり部下に制裁を加えていた。
ニューウイルスを開発したのは、自身が123歳という高齢であることや情報化社会での組織を延命させるための手段であった。
エド
CV 緒方賢一
秘密結社スリーメイソンの戦闘員。
スーパーエッグを盗み出したルースターを追跡していたため、ルパン達と敵対することとなった。
ニューヨークで次元に撃たれたが、生きていておりグランドキャニオンでの追撃に参加、焼き殺された。
撃たれた後は、ギプスをつけていた。
ジョーンズ
CV 石塚運昇
秘密結社スリーメイソンの戦闘員。
ジミーと共に行動しているが、目立ったところもなく序盤でフェードアウトしている。
ルースター
CV 大木民夫
次元の古くからの友人で、昔盗み出したスーパーエッグを自由の女神像の修復工事に参加したどさくさに紛れて取り付ける。
次元経由でルパンにスーパーエッグの捜索を依頼しようとするが、スリーメイソンに追われて、銃殺された。
フランスに家族がいたらしく、次元は遺族にスーパーエッグを売った分の金を送ろうとしていた。
ジュディ
CV 幸田直子
ニューヨークで、隠遁していたルパンと暮らしていた女性。
ルパンは彼女の望むものは何でも買ったが、別の男とも付き合っており、借金を残して彼の元から去る。
そのため、借金を返済するために泥棒復帰した。
余談
映画ルパンVS複製人間のエンディングテーマ「ルパン音頭」の歌詞に「自由の女神を盗み取れ」とあったが、この作品で実現することとなってしまった。
関連タグ
クレヨンしんちゃん電撃!ブタのヒヅメ大作戦・・・強力コンピュータウイルス繋がり
バイバイ・リバティー・危機一発!→ヘミングウェイ・ペーパーの謎
真相(作品後半のネタバレ注意!)
実はマイケルの探しているニューウイルスの生みの親というのはイザベル。
ニューウイルスのデータを持ってスリーメイソンを出奔したナンバー2であり、マイケルの実の母親だった。
ニューウイルスのデータをイザベル自身の潜在意識に隠し、保険としてスーパーエッグを自己催眠の鍵としたため、スーパーエッグとイザベルを狙っていたのが真相だった。
マイケルもまた、幼い頃に自分を捨てたイザベルを恨んでおり会ったらバカヤロウと言ってやるというほどであった。
イザベルは、連れ戻されるとジミーを炊き込んでシルバーマンを謀殺し、ルパンとの取引でスーパーエッグを取り戻す。
そして自己催眠によって、ニューウイルスを完成させるがナンバー1の地位を狙っていたジミーによって刺されてしまう。
瀕死のイザベルを見て怒りに燃える五ェ門によってジミーは一太刀で切り伏せられ、世界を道ずれにするためにニューウイルスを世界に放ち核ミサイルを撃たせようとする。
マイケルとルパンの決死のハッキングによってニューウイルスを排除、世界は救われた。
しかし、ジミーも最後のあがきとしてスリーメイソン本部の自爆装置を作動させてルパン一行は間一髪で脱出、イザベルは息を引き取った。
マイケルは、自由の女神にバカヤロウと叫んだ。
死の間際にイザベルは五ェ門をボディーガードとして選んだ理由として、マイケルの父親に似ていたからと明かしている。