概要
前作「バイバイ・リバティー・危機一発!」はかつて日本テレビの特番枠だった「土曜スーパースペシャル」で放送されたが、本作からルパン三世TVスペシャルが金曜ロードショーの枠で放送されるようになった。
作中で次元と五ェ門の二人が敵対陣営同士に分かれてしまったことから二人の名(迷)決闘シーンが存在することでも有名な作品である。
2019年10月18日にはYouTubeの「TMSアニメ55周年公式チャンネル」にて本編の無料配信(21時からのプレミア配信→アーカイブ配信)が行われた。なお、この配信に際し「ルパン三世THEFIRST」の予告(前週から使用されているバージョン)が冒頭部分と最後に挿入されたが、エンドロール含め先述のシーン以外には修正が入っていなかった(本放送時点での名義は「東京ムービー新社」だったが、クレジットの修正は無かった)。
あらすじ
泥棒界で昔から語られる「ヘミングウェイペーパー」。文豪ヘミングウェイが宝の在り処を記したとされる文章といわれるが、眉唾ものとされていた。
しかし、地中海の「コルカカ島」に絶対に破壊されない「パンドラの箱」に収められる形で実在しているという話を聞いたルパンは箱の鍵を狙ってドイツの没落貴族の元へと向かうも武器商人のマルセスに雇われた傭兵クレイジー・マッシュに先を越された後だった。
ルパンは残された箱を狙ってコルカカ島へ向かうも、そこでは大統領のカルロスと彼の元相方コンサノとがヘミングウェイペーパーを巡って争う内乱状態にあり、次元はコンサノに、五ェ門はカルロスに雇われている事を知る。次元は因縁のあるマッシュを待ち伏せる為に、五ェ門は斬鉄剣をもってしても「斬れない」とされる箱に挑戦するために島に来たのだ。そんなこんなで意見が一致せず、ルパン一味はバラバラに活動することになってしまう。
そんな中、マルセスがコンサノの援助に回り、島へ大量の武器、マッシュの傭兵部隊と共にやってくる。しかし、彼の狙いもやはりヘミングウェイペーパーだった。
ルパンはこの混乱の中からヘミングウェイペーパーを盗み出し、謎を解けるのか?
そして、次元とマッシュの因縁の対決、五ェ門の挑戦の行方は・・・?
用語
ヘミングウェイ・ペーパー
文豪のアーネスト・ヘミングウェイが晩年に書いたとされ、失われた小説の原稿。
ウラ稼業の業界の間では、ヘミングウェイの死が自殺ではなく他殺とされ何者かが原稿を盗んだと言われている。
最終的には、カルロスの所持しているパンドラの箱に納められている。
実際にはコルカカ島の伝説にある、幻の宮殿を求めて旅をした話が書かれておりこれを小説にしようとしたのがこのヘミングウェイペーパーであった。
パンドラの箱
ヘミングウェイ・ペーパーが納められていたミサイルでも壊せないと言われる箱。
特別な黄金の鍵でしか開けることが出来ず、強度としては五ェ門の斬鉄剣でも斬れぬものとして名前が上げられていた。
黄金の鍵は、ドイツの没落貴族が所持していたが貴族はマッシュによって暗殺されてマルセスがスイス銀行の貸金庫に納めていた。
ゲストキャラ
マリア
CV 佐々木優子
コルカカ島の寂れた町でバーをやっている女性。
勝ち気な性格で、銃の取り扱いも得意としている。
じつは、レジスタンス組織だったサソリの生き残りであり、カルロスとコンサノの暗殺も企てており、それが原因でコンサノ側から追及される。
ルパンとは、最初は素っ気ない態度を取っていたが徐々に惹かれてサソリの本部へと案内し、死の谷についても場所を教えている。
彼女のバーでルパンがかけていたジュークボックスの曲は、本作の主題歌『He's Gone』の2番。(エンディングでは一番がかかっている。)
カルロス
CV 小林修
コルカカ島の政府の大統領。
元々ヘミングウェイの財宝を求めてやって来た余所者であるが、コルカカの住民のレジスタンス組織サソリを壊滅させたあとに実権を握り、コンサノと袂を分かち戦争状態となった。
ヘミングウェイペーパーの保管されているパンドラの箱の所有者であるため、五ェ門が用心棒として潜入していた。
終盤に、コンサノと再び手を結び死の谷へと向かうが戦車の発砲の反動で岩山が崩れて鉄砲水が起きて流されて死亡した。
コンサノ
CV 富田耕生
本名はコンバローナ・マレドビッチ・ナンノ・コンサノ。
コルカカ島でカルロスと対立する将軍。
カルロスと同じく、ヘミングウェイの財宝を求めて余所者でサソリ壊滅後に袂を分かち戦争状態となった。
膠着状態を打開するために、マルセスから戦車とマッシュ率いる私兵隊を雇う。
終盤に、マルセスを謀殺してヘミングウェイ・ペーパーを手に入れるとカルロスと再び手を結ぶが死の谷へと向かった際のルパン一味との戦闘で戦車の発砲の反動で岩山が崩れて鉄砲水により死亡した。
マルセス
世界でも指折りの武器商人であるが、金儲けしか考えていない小物。
ヘミングウェイ・ペーパーの財宝を目当てに、コンサノへと肩入れする。
最終的に、コンサノにヘミングウェイペーパーをネタにして強迫するが、彼に懐柔され契約の切れたマッシュによって射殺されている。(ヘミングウェイの財宝の正体を考えれば、彼の手に渡ることがなかったことが幸いだと言えるだろう)
クレイジー・マッシュ
概要は個別記事を参照。
関連タグ
バイバイ・リバティー・危機一発!→ヘミングウェイ・ペーパーの謎→ナポレオンの辞書を奪え
お宝の正体と結末(ネタバレ注意!)
カルロスとコンサノが鉄砲水で流された後に死の谷の洞窟内に潜ったルパン一味。
鉛の壁の先に、ヘミングウェイペーパーにも記されていた幻の宮殿が存在した。
....宮殿の正体は純度の高いウラン238の塊であり、ヘミングウェイの友人がここを訪れて4日目で死んだのは、ガイガーカウンターですら計測できないほどの放射能で被曝したためであったことを悟った。
放射線障害で髪の毛が抜けてでも核兵器が作り放題になるほどの量ではあるが、流石に喜んで持って帰れる代物では無かったため、ルパンたちはそのままにすることを決めた。
そこに、鉄砲水から逃げ延びたマッシュとその部下が現れた。
最後の勝負を挑むマッシュだが、部下はルパンと五ェ門によって一蹴。自らも次元に眉間を撃ち抜かれて絶命した。
しかし、死ぬ間際に乱射したマシンガンによって宮殿は崩壊し、ルパンたちは間一髪脱出した。
その後、マリアのバーを訪れて彼女に全てが終わったことと別れを告げ、この島に風が吹いたら戻ると約束をし立ち去った。
一方五ェ門は、パンドラの箱を斬ろうと躍起になって滅多切りにしたがそれでも斬れない。
そして、斬鉄剣でも斬れないものがあるのかと諦めかけて何気なく軽く叩いたところ、嘘みたいに箱は割れた。
島を後にする一行に、銭形警部が追い付いて逮捕しようとしたところで幕は降りた。