概要
ルパン帝国の財宝のありかが記された『ナポレオンの辞書』を巡る争奪戦を軸にしたストーリーになっている。1991年8月9日放送。
本作では出崎統氏が多忙のために監修に留まったため、テレビスペシャルで唯一監督が不在。
また、作画期間が短かった影響か作画も不安定になっている。
ルパンが銭形に変装するだけでなく、銭形にルパンの変装をさせて山田康雄がルパンに変装した銭形、納谷悟朗が銭形に変装したルパンを演じるという珍しいシーンもある。
あらすじ
ニューヨークで開催されたG7サミットの最中、湾岸戦争に伴う世界の経済危機に対処するためとある老学者の提案によりルパン帝国の財宝を使うことが提案された。
時価にして2千億ドルとささやかれるルパン帝国の財宝を求め、各国が我先にとルパン三世の行方を探す。
だがその一方でルパンは、ニューヨークの近代美術館から銭形警部と警官の警備を掻い潜りクラシックカーのパッカードを盗み出す。
目的は、惚れた女のためだったが振られてしまい一路スコットランドへと向かう。
次の仕事、つまり次元ともにパリまでのクラシックカーレースに参加するため盗んだパッカードを改造するためだった。
レースの優勝賞品はなんとナポレオンが用いた辞書で、しかも中にはルパン帝国の財宝の在り処が記されているというのだ。
しかし、日本からやってきた銭形警部をはじめ、各国の名うてのエージェントがルパン帝国の財宝を狙う。
ゲストキャラ
ヘーカー
CV 大平透
アメリカ財務省長官。
砕けた物言いが特徴的で、老学者の話を聞いてルパン帝国の財宝について大統領に掛け合っている。
中盤で、各国から批難されると多国籍軍を組むことを決定した。
木戸千恵子
CV 戸田恵子
日本の国家保安局捜査員で、ルパン逮捕のため銭形とバディを組むこととなった今作のゲストヒロイン。
国家諜報員でもあり、銭形とは別にルパン帝国の財宝を手にするために他国諜報機関と連絡を取っている。
国家への忠誠心も強いが、ルパンや次元と話を重ねることでその生き方が正しいのか悩む。
パリへ向かう列車の中で、銭形(に変装したルパン)との話がきっかけで国家を抜きにしてもルパンを逮捕することを決心した。
ロバートホーク
CV 吉水慶
アメリカCIA特務班班長。
スコットランドから度々ルパンを捕まえんと追いかけて、一度は捕まえるが他国の諜報機関との小競り合いとなりその中で死亡...したかに思われたが、実はエリックと共謀して、ルパン帝国の財宝を手に入れようとしていた。
本人曰く国家に忠誠を誓うには、給料が安すぎると、アメリカに愛想を尽かしておりCIAすら敵に回すこととなった。
パリで、ナポレオンの辞書をルパンから奪い財宝の在りかを聞き出そうとする。
しかし、最後は助けに来た次元に射殺されてその生き方を「欲をかかねぇで公務員やってりゃよかったんだ!」と吐き捨てられた。
なお、辞書のほうはホークごと真ん中をぶち抜かれたが財宝の地図は無事だった。
マッカラム
CV 大塚明夫
アメリカCIA特務班副班長。
ホークのことをしたっており、キャップと呼んでいる。
彼が離反して以降は、班長を継いでおりルパンを追跡している。
エリック
CV 速水奨
クラシックカーレースの参加者で実業家。
峰不二子といい関係になっており、ルパンからからかわれている。
しかし、実際にはホークと共謀して不二子を人質に財宝の在りかを聞き出そうとするために近づいたのだった。
パリの電車の車両基地で、ルパンから財宝の在りかについて聞き出そうとするが知らないと言われて、逃げる彼を追いかけるが、地下鉄の電車の衝突に巻き込まれて以降は登場していないため死亡したのではないかと言われている。
マルチンベック
CV 大木民夫
クラシックカーレースの主催者のマルチンベック財団の総帥。
ナポレオンの辞書の秘密については知らず、ナポレオンが使っていたというだけで役に立たないと吐き捨てるが、運転手に変装していたルパンに辞書を盗まれて車の後ろ半分がゴール地点に行ってしまいシャンパンまみれとなった。
余談
最初に単品でサントラが発売されたテレビスペシャルであるが、未収録曲もあるためミュージックファイルまで待たねばならなかった。(バイバイ・リバティー・危機一発!とヘミングウェイ・ペーパーの謎は、ミュージックファイルシリーズが初出)
関連タグ
100万ドルの五稜星…ストーリー構成やオチが類似している。
ヘミングウェイ・ペーパーの謎→ナポレオンの辞書を奪え→ロシアより愛をこめて
財宝の正体(作品終盤のネタバレ注意!)
ホークから辞書を奪い返したルパン一行は、あぶり出しで出てきた地図を解読した。
場所はノルマンディーにある、ルパン一族の別荘ニプル城。
多国籍軍もルパンを追いかけて、ノルマンディーに向かう。
ニプル城の地下を掘るルパンたちだが、中々出てこない最中に多国籍軍が城を包囲していた。
任侠映画にはまっていた五ェ門一人、多国籍軍を相手にする。
その頃、千恵子と銭形は多国籍軍とは別にルパンを逮捕するために行動を起こしていた。(その時に銭形は千恵子から惚れられている)
そして、地下のほうはようやく財宝を掘り当てたが...財宝の正体は真空管のラジオと真空管の特許申請書、ルパン一世の手紙には子孫のために残すと書かれていた。
確かに一世の時代にはお宝だったかもしれないが、ICやトランジスタが発明された現代では1文にもならないただのガラクタ。
憤慨する不二子にルパンと次元は声をかけた。
「戦いなんてもんはな、本の些細な行き違いや思い違いで、起こるもんさ!」
これこそ今回の事件の発端とも言える一言だろう。
五ェ門に加勢する二人だったが、多勢に無勢。
逃げる算段に移るルパン、多国籍軍からのミサイルを五ェ門に頼んで三枚に下ろしてニプル城の一角の塔にくくりつけた。
そして時限式の発火装置を起動させると、ミサイルに点火して飛んでいく。
パッカードを呼び出して逃げようとするがガス欠。
もうだめかと思ったとき、千恵子と銭形がヘリに乗って来た。
千恵子にたいして、パリで話したのは銭形ではなく自分だったと明かして「君も自由人になれよ」と声をかける。
そして、財宝は城の中にあると多国籍軍に伝えるために銭形たちは離れるが、ミサイルの燃料が無くなって海に落ちていくところで幕は閉じた。