概要
ルパン帝国とは「ルパン三世」の原作、アニメに登場する謎の組織である。取り扱う媒体や各シリーズによって設定が異なるが、基本的には、一族が今までに集めたルパンコレクションやそれら莫大な資産を元に作られたルパン一族を頂点とした謎の犯罪組織とされている。1stシリーズやPS2版のゲームではルパンシンジケートとも。
なお、後述する設定は近年のテレビシリーズや映画では一切描かれておらず、初期設定として扱われることが多い。
何故ルパン帝国が描写されなくなったかについてはアニメ化に伴うイメージの変化の中に要因があるとされる。
例を挙げると
- 原作では盗むためなら人殺しなど手段を厭わなかったが、アニメでは獲物以上に盗む過程に楽しさを得るようになったこと(部下を使って盗むのではなく自らが盗むことに楽しさを得ているので描写の必要がなくなったこと)。
- 原作では強大な組織のトップというイメージが強かったが、アニメでは、組織に縛られないルパンの自由人としての側面が強くなったことにより元々のイメージが変化したこと。
- アニメ初期ではメルセデスベンツSSKを乗り回すなど豪遊するイメージがちらついたが、宮崎駿監督の「カリオストロの城」などで、ルパンが美味しそうにインスタントラーメンを食べる姿や小さい車のフィアット500に乗る姿からルパンに対して庶民的なイメージが一般的になったこと(後年、宮崎はこのルパンの変化について、「“全てが満ち足りてしまった退屈な人生の暇潰しのために犯罪に興じる裕福なフランス貴族”から、“常に何か面白いことは無いかと目をギョロつかせている貧乏なイタリア男”に変えた」と語っている)。
などが挙げられる。また、作品によっては既にルパン帝国自体が既に壊滅しているように描かれる事も多く、原作でも謎の多いことから作品として描きづらいというのも考えられるだろう。
各シリーズの設定
原作におけるルパン帝国
組織名の初登場は、第11話「健在ルパン帝国」。このエピソードによると、ルパン二世により一代で築き上げたとされたが、部下であったキングの裏切りによりルパン二世は死亡、一時的に乗っ取られてしまった(但し二世自体はその後の第40話「ジャリ」や最終話「さらば愛しきルパン!」で登場している)。この回では、前回の第10話「ルパン殺し」で存在が示唆されていた次元大介が初登場し、妹の存在や次元が二世の部下でルパン三世と幼馴染であったことが述べられている。
本拠地の記述に関しては、初登場回の新聞の記載があった北海道浜中町(作者であるモンキー・パンチの出身地)、第91話「我が盗争(その1)」から最終話まで登場する先祖代々伝わる島、その他「漫画アクション」のカラーイラストの設定資料で示された地下組織のルパン帝国(ヨーロッパ?)の3種類存在し、作者の出身地ということもあってか、一般的には浜中町として認識、紹介されることが多い。
これ以外にも7000億円(これは連載当時の金額で現在の価値にすると約2兆円)もの隠し財宝をもち世界中にアジトや隠れ家が存在し、第8話「サスペンス・ゾーン」では様々な職種の部下が世界中に約10万人ものいると発言したことから国家レベルの組織とみて過言ではないだろう。
なお、新ルパン三世以降ではルパン帝国は登場しない。
1stシリーズにおけるルパン帝国
また、TV版の1stシリーズでは、原作の設定を色濃く反映させており、ルパン三世がルパン帝国の総帥、その他レギュラーメンバー(次元、不二子、五ェ門)以外にも手下がいるとされる。また、初期の話の中では犯罪シンジケート『スコーピオン』のコミッショナーであるミスターXは商売敵としてルパン三世を抹殺を企てたり、スターンという人物が実際に裏取引を持ちかける場面から非合法なビジネスに手を染めていることが窺える。
ミスターXは、Part2とOVAで再登場しているがルパン帝国打倒ではなくルパン個人への復讐と変更されている。
TVスペシャル版におけるルパン帝国
TVスペシャルとして制作された「ナポレオンの辞書を奪え」では、中世フランス時代にルパン一世が金に物を言わせて作った組織だと語られている。(公式アナウンスでは中世だが、ナポレオンの時代だと厳密な時代区分としては近代が正しい。)
ルパン一世が財産を女遊び等に湯水のように使ったために崩壊したらしい。
本作では、ルパン帝国の財宝のありか記されているという「ナポレオンの辞書」がキーアイテムとして描かれている。
念力珍作戦におけるルパン帝国
実写版の映画第一作として制作された「念力珍作戦」では、原作の設定に近く組織作りの天才であったとされるルパン二世が世界中の犯罪組織を束ねていた組織であったが、マカローニ一家の裏切りにより壊滅、組織の生き残りは次元とルパン三世の2人だけであり、ルパン帝国再興を目指した次元がルパン三世の元を訪れている。なお、ルパン三世自体はルパン帝国再興には全く興味を持とうとはしていない。
小説版におけるルパン帝国
辻真先氏による小説版では、ルパン三世があちこちの国家から盗んできた最新鋭の技術やスカウトしてきた科学者などで構成された基地のようになっており、様々な兵器などが開発可能。パイカルの魔術の種も、小説版ではこちらでほとんど見抜いている。
ゲームにおけるルパン帝国
「ルパン三世 カリオストロの城 -再会-」という作品では主人公であるプレイヤーは「ルパン・シンジケート」の一員としてカリオストロ公国を訪れる。
この作品でのルパン・シンジケートは、「世界各国に設立された、ルパン一味をサポートするための組織」という設定がなされている。
その他、直接な描写はないが「1$マネーウォーズ」では「世界の王になれるブローチ」が物語の核になるが、ルパンからそのお宝を狙っていると聞かされた次元が「ルパン帝国でも作ろうってのか?」とルパンをからかう場面がある。ルパンは「そんなアホじゃねえよ」と言い返している。
余談
- ルパン帝国の本拠地の一つとされる北海道浜中町ではルパン帝国とは別に、かつて畑正憲氏によるムツゴロウ王国があったことで知られている。また、浜中町では2012年から町おこしのファンが集うイベントとして「ルパン三世フェスティバルin浜中町」を年1回ペースで開催している。=>公式サイト
- ルパンの小説版を執筆した辻真先氏は後年に「迷犬ルパン」シリーズを執筆した。