概要
物語の舞台となる国。
人口3500人と世界で最も小さな国連加盟国であり、壮麗な塔を持つ居城カリオストロ城やにぎやかな城下町、古代ローマ時代に作られた水道橋があり、美しい山々や自然、湖に囲まれた平和な国。
しかしその裏では、世界各国で流通する紙幣を精巧に真似たゴート札と呼ばれる偽札の製造現場になっており、東西冷戦下の時代においては国際的にも無視できない強い影響力を持っている。
その造幣技術は「本物以上」と称されるほど高いもので、400年にもわたって贋金製造の秘密を守る為、中世の権力闘争や世界中の政府、諜報、警察機関の捜査をかい潜っており、これの詳細を探ろうとした者の多くが消え去っていったことから「偽札界のブラックホール」と呼ばれて恐れられていた。だが、近年では大量製造を行っている弊害として偽札としての質が下がる一方となっているらしく、事実、『カリオストロの城』の冒頭で、ルパンがあっさり本物では無いと見破った事からもその事が窺える。
国政は代々大公とその一族が行っており、伯爵家は公国の陰の部分である偽札の生産および外敵の暗殺を担っていたが、物語の数年前に大公が原因不明の火災(カリオストロ伯爵の謀略である可能性が高い)で死亡したため、現在では伯爵家が摂政として国の実権を握っていた。
劇中の新聞や、ルパンが送った予告状からフランス語が公用語と推測される。
実はこの地にはかつて古代ローマ人たちが住んでいて都市を築いていたが、この地を離れる際に水門を使って都市を人工湖の底へ沈め、大公家はそれを代々守り続けてきた。
この都市遺跡を再び表に出すための仕掛けはそのまま水門を完全開放し、水を抜くギミックになっているが、規模があまりにも巨大(ダムと同等)であるため、かなりややこしい仕掛けが施されている。
その内容は、
- 大公家が受け継ぐ「銀の山羊の指輪」と、摂政の伯爵家が受け継ぐ「金の山羊の指輪」を揃える
- 二つの指輪を、湖にある時計塔の一時の部分にあるやぎ座のレリーフの両目にはめ込む
というもの。
箇条書きにすればシンプルだが、この仕掛けを起動すると、
- 時計塔の針が自動的に十二時を示し、鳴り響く鐘と共に時計塔が崩落
- 水道橋も崩壊
- 同時に水門が開いて湖の水が全て流れ出す
- カリオストロ城周辺の水位が一気に上昇(少なくとも地下区画は全て水没)
という緊急事態が発生する。さらに仕掛けの内容+作られた時期の関係上、仕掛けを作動させた本人はすぐに逃げないと死ぬというトラップにもなっている(針に挟まれて圧死するか、時計塔の崩落に巻き込まれて死ぬかの違いでしかなく、助かるには宝を諦めて湖に飛び込む以外に方法は無い)。
また水は完全には引かず、町の全景が確認できる程度で止まっている(これはサイホンの原理と同じで、城側と水位が釣り合って排水が止まっただけ)。
仕掛けのヒントとして、金と銀の指輪を合わせると、つなぎ目にゴート文字で「光と影を繋ぎし時つむる高き山羊の日に向かいし眼に我を収めよ」と書かれているが、ルパンが確認した時にはすり減っていて読めなかった(ただし全く同じ内容が大公家の口伝として残り、クラリスが覚えていたことで謎を解くことが出来た)。
また、この事実はクラリスの代では正確に伝わっておらず、伯爵の方では「先祖の財宝」と伝わっていた。