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ゴート札

ごーとさつ

アニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』に登場する、世界最高技術による偽札の総称。
目次 [非表示]

「中世以来、ヨーロッパの動乱の陰に必ず蠢いていた謎のニセ金。ブルボン王朝を破滅させ、ナポレオンの資金源となり、1927年には世界恐慌を引き起こした(※)」

「歴史の裏舞台、ブラックマーケットの主役・ゴート札。その震源地を覗こうとした者は、一人として帰って来なかった」

※…現実の世界恐慌の発生は1929年である。


概要編集

かつて「本物以上の完成度を誇る」と言われた伝説の偽札

ルパン曰く「世界史の裏で暗躍し続けてきた」偽札であり、このゴート札の流通によりブルボン王朝は崩壊し、後にはナポレオンの資金源として利用され、近代では世界恐慌の引き金にもなるなど歴史の陰に常に存在し続けていた。


カリオストロ公国の財源であり、同時に世界各国の暗部で長年活用されてきた歴史的政治材料でもある。そのため、なかば国際社会から黙認されている偽札であり、公表しようものなら各国政権の信頼が暴落しかねないほどの特大スキャンダルになるため、国際警察(インターポール)上層部も「政治的配慮」の名の下に見て見ぬふりをしてきた。


イメージシーンを見る限りでは、かつては紙幣だけでなく貨幣の偽造も行っていたようで、これに関しても金属の比重さえ誤魔化せるほどの製造技術を有していた模様。


少なくともルパン程に高度な真贋を見抜く技能が無い限り、素人どころか専門家ですらまず見抜けない程巧妙かつ精巧に作られているらしく、冒頭の国営カジノから盗み出した大量の札束が偽札である事を知った次元や、後述の工房にたどり着いた銭形でさえ、これが偽札である事とその量に驚愕していた。


本工場はカリオストロ公国にあるカリオストロ城で、城内の礼拝堂の隠し階段の先にある「地下工房」で製造され、伯爵家が代々ゴート札製造を取り仕切っている。


この秘密を守るために、城は『侵入者抹殺』を重点に置いた過剰なまでの仕掛け・対策がとられており、一度落とされれば二度と這い上がれないと言われる広大な幽閉壕まで作られている。

この幽閉壕には、これまでゴート札を探って失敗・幽閉された者達の夥しい数の白骨死体が散乱しており、その中に明治時代の日本軍の軍偵だった男(付近の壁に遺言が刻まれており、遺体の状況からして拳銃自殺と思われる)の遺体をルパンが発見している。

アニメではあまり凄惨さが伝わってこないが、リアルに考えれば、大量の白骨と腐乱死体という陰惨さ、暗黒がもたらす恐怖感と充満する腐敗臭、実際には大量に蠢いているであろうネズミやゴキブリなどの小動物が発する不吉な気配、そして出口が見つからないという絶望感から、常人なら数時間ともたずに発狂するだろうことは想像に難くない過酷な環境であり、そのような場所に落とされても冷静さを保っていたルパンと銭形のメンタルのタフさも相当なものである。


地下工房では(日本)、マルク(制作当時の西ドイツ)、ポンド(恐らくイギリスのスターリング・ポンド)、ドル(アメリカ)、フラン(当時からして恐らくフランス・フラン)、ルーブル(ソ連)、ルピー(インド)、クローナ(スウェーデン)、ペソ(スペイン)、リラ(当時からして恐らくイタリア・リラかトルコ・リラ)、ウォンどちらか不明、当時は北朝鮮の経済も安定していた)等々、作中で判明しただけでも10ヵ国以上ものゴート札が製造されて世界各国で密かに流通しており、峰不二子クラリス付きの召使いとして潜入し、手に入れようとしていたのもこのゴート札の原版である。


だが、最近は最新印刷機の導入や流通経路の拡大など生産ノルマを上げた弊害で、精巧度が過去に比べて(まだ問題になる程ではないが)低下していることが、製造責任者の進言と伯爵の指摘から明らかになっている(※札を読み取る機械に対してはなおさらである)。


ルパンも過去に一度、このゴート札の出所を突き止めようと城に潜入したことがあるが、若さゆえの慢心から命を落としかける重傷を負い、以降この件からは身を引いていた。

そしてこの時に死にかけていたルパンを見つけたのが、幼き日のクラリスとその愛犬のカールであった。



劇中における動向編集

映画冒頭、ルパン一味がとある国の国営カジノから50億もの札束を盗み出しているが、帰りの道中それがゴート札であることが判明。ルパン達は次なる目的地をカリオストロ公国に決定し、これらゴート札は全て「前祝い」として投棄処分された。


その後、クラリス救出の為にカリオストロ城に潜入したルパンとそのルパンを逮捕すべく同じくカリオストロ城に入った銭形警部は共に城の幽閉壕に閉じ込められてしまうも、協力して無事脱出。

その道中でゴート札の地下工房が遂に発見されることになる。


銭形「ぬぐぐぐぐ……! に、偽札作り…!?」

「ルパン!これがこの城の秘密か!?」

ルパン「そうよ。かつて本物以上と讃えられたゴート札の心臓部がここだ」


銭形は回収した証拠(裁断前のゴート札等)と共にこの地下工房の存在を国際警察に告発。

検挙のため出動命令を仰ぐも、本件は「高度に政治的な問題」であり、「国連加盟の独立国であるカリオストロ公国の強制捜査はICPOと言えど不可能である」上、銭形を「クラリス姫誘拐を目論んだルパンの協力者」とする報道により国際情勢が不利であることを理由に上層部は出動命令を出さず、それどころか後任が決まり次第銭形をルパン専任捜査官から解任することが決定してしまう。


完全にふてくされ飲んだくれていた銭形だが、不二子から「クラリスと伯爵の結婚式にルパンが現れる」とのリークを受け「ルパンが相手なら天下御免で出動できる」という、今ならまだ適用できる特例措置を思い出し、即座に部下をまとめて「ルパン逮捕」の為にカリオストロ公国へ出動。

ルパン一味による襲撃発生と同時にカリオストロ城に機動隊を率いて乗り込むと、礼拝堂で繰り広げられる警官隊と衛士隊の激しい衝突の最中、「ルパンは祭壇の下だー!」と号令を飛ばしつつ、幽閉壕脱出の際に使用した隠し階段からテレビマンに扮した不二子を連れて地下工房に突入。


上層部「あのバカ、何をやっとるんだ!」

「命令無視だ!呼び戻せ!」

「これは宇宙中継だ、もう遅い!」


銭形「おおっ、何だここは?まるで造幣局ではないか!ムッ、あそこにあるのは…」

「アリャー日本の札!これはニセ札だあ!」


上層部「わざとらしくやりおって…」

不二子(レポーター)「大変な発見です!」

銭形「見てくれーっ! 世界中の国のニセ札だ! ルパンを追っててとんでもないものを見つけてしまった! どうしよう?」


と、「ルパンを追いかけていたら偶然発見した」という体を装った白々しい芝居と共に、全世界の衛星テレビ中継に向けて地下工房を暴露。

こうして中世以来闇に隠されていたゴート札の存在とその秘密が初めて白日の下に晒された


その後時計塔の仕掛けの作動で水道橋が壊れ、その影響で幽閉壕諸共地下工房は水没。

ほどなくして銭形によるゴート札の存在暴露を受けて動かざるを得なくなったインターポールによる捜査が入り、ゴート札製造工房は完全に機能を失った。

ちなみにゴート札の原版はちゃっかり不二子に盗み出されている。


1982年に発売された山崎晴哉の小説版では、元スイス大蔵省造幣局の主任技師を破格の高待遇を持って招聘していた設定で、さらに多くの国の指導者が密かに贋札作りを要請していた。

クラリスの父である大公はゴート札の廃止を伯爵に要請していたが、果たせず大火事で死亡した(小説版に限れば伯爵の謀略である可能性が濃厚)。


その後編集

後日談として制作されたアドベンチャーゲーム「カリオストロの城-再会-」では、長きに渡る城の暗部を戒めとして残すべく設置されたモニュメントパークの一環として、地下工房の印刷機などが展示品として一般公開されている。

だが、カリオストロの真の宝を得るための調査資金としてジョドーが密かに工房を再建し製造を再開、更には地下幽閉壕も一切の脱出口を封鎖しつつ再建したが、再びルパン一味によって幽閉壕を突破された挙句に再び工房を潰された。

真の宝も台無しになってしまい、ジョドーの計画も潰えた。


余談編集

映画冒頭で国営カジノから50億ものゴート札の札束を盗み出す仕事には実は五ェ門も参加しており、その後のゴート札投棄シーンにて札束の山に埋もれた五ェ門が後頭部と斬鉄剣のみ確認できる。


映画終盤にてルパン出現を追って礼拝堂に突入した銭形だが、突入した時点ではルパンは既にクラリスを連れて礼拝堂の窓から外へ逃げている。

そのためこの時の銭形の目的がルパンでは無くゴート札の地下工房であることが、登場人物(インターポール上層部)のみならず視聴者にも視覚的に分かりやすくなっている。

この時カリオストロ伯爵もまたルパンを追うべく外へ出ており、銭形を止める者が衛士隊しか居なかったこともゴート札暴露の一因となっている。


関連イラスト編集

映画冒頭の札束を盗み出すシーンやその札束の投棄シーン、映画終盤の銭形による暴露シーンのイラストやそのパロディが多く投稿されている。

カリオストロの城より 模写ルパン三世

キュアセレーネのとっつあん引越しました。ハガキ。


関連項目編集

ルパン三世 カリオストロの城

偽札

カリオストロ伯爵 カリオストロ城


スーパーノート

北朝鮮製の偽札。

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