概要
「500」をイタリア語読みした「チンクェチェント」の名でも知られ、いずれもキャンバストップ式で屋根の天井部が開閉するモデルが用意されている。
イタリアの「国民車」として大きな商業的成功を収めており、日本ではベンツSSKと共にルパン三世の愛車として知られている。
初代(1936~55年)
愛称の「トポリーノ」はイタリア語でハツカネズミを指す。
安価で小さいが機敏に走る2人乗りの超小型車で、500ccクラスながら水冷エンジンのFR車である。
狭い車内に無理なく乗り込むためドアは前開き構造となり、フランスのシムカ社でもノックダウン生産された。
2代目「NUOVA 500」(1957~77年)
日本語で「新500」(ヌォーヴァ)という車名に変更。
先行したヒットモデルであるフィアット600の縮小版で、スクーターからの乗り換え需要を目論んで発売された。
当初は2人乗りだった上、流石に非力すぎたため評価は今一つだったが、4人乗りに変更してエンジンもパワーアップを図るなどの改良を実施。
先代のトポリーノにも肩を並べる大成功(一説には販売台数340万台以上)を収め、1970年代まで生産された。今でも世界中に多数の愛好者がおり、コンパクトカーの名作としてクラシックミニと並び称される。
空冷エンジンのRR車で、車内は狭いものの大人4人が乗れる車内スペースが確保されている。
1965年の500Fより、ドアが後開き構造となった。
3代目「Type 312」(2007年~)
現在の欧州におけるコンパクトカーとしての機能とボディサイズを持ちながら、内外装の雰囲気は2代目を意識しており過去のモデル同様に商業的成功を収めた。
排気量900~1,400㏄のガソリン又はディーゼル仕様の水冷エンジンを設定。
ガソリンエンジンは直列4気筒SOHC8バルブの1.2Lと、吸気バルブをカムシャフトではなく油圧ピストンで稼働する「Multi Air」と呼ばれるバルブ機構を搭載。
直列2気筒の0.9Lエンジンを搭載した「TwinAir」仕様は話題を呼んだ。
駆動方式はFFに変更され、生産はポーランドとメキシコの工場で行われる。
この他フィアットの子会社であるフェラーリやマセラティとのコラボモデルや、同グループのモータースポーツ部門であるアバルトがチューニングしたスポーツモデルなどが登場した。
2017年までアバルト仕様車は「アバルト500」と名乗っていたが、マイナーチェンジでツーリズモ・コンペティツィオーネに合わせて「595」に統一された。
また、EVシフトに対応し改良された電気自動車グレードである新主力「500e(チンクエチェントイー)」も発売されている。
『ルパン三世』での活躍
アニメ版では主人公のルパン三世がベンツSSKに続いて2代目チンクエチェントを愛用するようになり、これには作画監督だった大塚康生氏の愛車であった影響によるもので、それまでのベンツSSKが複雑で描きにくく描けるアニメーターが限られていたのに対し、この車は大塚氏がスタジオに通勤するのに使っており現物を資料として見ることができた、という制作する上でのメリットがあったため、だったようである。
ちなみにルパンが乗るフィアット500は外観からおそらく500Fだとされ(大塚氏の所有していたのはこれ)、内装は500Rが最も近いとされる。
TVアニメ第1シリーズから登場しているが、劇場版『カリオストロの城』でのカーチェイスによって一躍有名となった。カラーは当初水色だったが、後にクリームイエローで定着。
この『カリオストロの城』仕様では後部にスーパーチャージャーを搭載し、運転席のレバーを引くことで起動して急加速が可能な仕様となっていた。カーチェイスの結果手榴弾が直撃してボロボロの見た目になってしまったが、エンディングでは綺麗に修復されカリオストロ公国から去るルパン一味の足となった。この仕様はあまりにも有名なためたびたび商品化されている(ドリームトミカにもあった)。
登場する主な中長編シリーズ
その他登場するフィクション作品
ラジエーター・スプリングスの住人の1人(1車?)であるルイジは当車をモデルとしている。
グイドと共にタイヤ店を営んでおり、大のフェラーリファン。
なお叔父は初代トッポリーノ。
- 映画『ローマの休日』
主役の新聞記者(演:グレゴリー・ペック)が乗る車で、同じく王女(演:オードリー・ヘプバーン)のスクーターと共にローマ市内を走り回る。
- アニメ『キラキラ☆プリキュアアラモード』
エンディングに登場。
フィアットとの公式コラボで痛車仕様の『ハナヤマタ 500』が1台限定で制作され、その後抽選販売された。
- 漫画『チェンソーマン』
関連項目
:表記揺れ