概要
リアエンジン・リアドライブ(RR)は自動車の車体後部にエンジンを搭載し、後輪を駆動させる方式。中型以上のバスはこの方式をとることが多い。
駆動系が占有するスペースが小さいのでスペース効率が良く、部品点数が少ないので安い。また前輪駆動車のように駆動軸のジョイントが大きく首を振らなくても良いので小回りが利く。これらの特長により前輪駆動が主流になる前の大衆車ではよく使われた。
また重量物が後ろに集中しているため、ブレーキ性能に優れる。大馬力のエンジンの駆動力を伝えることにも向いている。ただしカーブでは後ろが重いことにより、一旦滑ってしまうと修正が難しく、コントロール性に難があるのでスポーツカーではポルシェ以外ではあまり使われない。また駆動系の配置によってはリバースステアといって、アンダーステアの後、オーバーステアが遅れて出てくることがある。
第二次世界大戦前にポルシェ博士らにより研究され、VW・ビートルやルノー・4CV、スバル360など小型車で広く使われた。
現在の小型車・中型車では前輪駆動が主流となっており、RRは珍しいが、ポルシェ・911が長年このレイアウトを採用していることで知られる。最近までスバル・サンバーも採用していた。
近年スマートと3代目ルノー・トゥインゴ(両車は基本設計を同一とする)がモデルチェンジの際このレイアウトを採用したことで話題となったが、エンジンが後車軸の真上にあるのでミッドシップレイアウト(MR)に近い。
ちなみに、エンジンルームが後ろなのでトランクは前に設けられることが多い(セダンやクーペの場合)。ワンボックスカーのサンバーやハッチバックのトゥインゴではエンジンの上が積載スペースになっており、エンジンの整備性にやや難がある。オイル交換などの際はリヤバンパー(サンバーの場合)やエンジンハッチ(トゥインゴ)を外さなければならない。
なお、電気自動車(BEV)の場合はHonda_eのように駆動用モーターを車体後部に配置し後輪を駆動することも多いが、BEVの場合はバッテリーが重く、その一方でモーターはエンジンよりはるかに軽いので、車両の重心の位置はモーターではなくバッテリーによって主に左右される。なのでエンジン車のようにRRとMRを区別する意味が薄い。