「アタシゃゾックゾクしてきたよ……。ブンの字……お前のギャーソリン、聞きたくってたまんねェ!!」 (バクアゲ34)
概要
宇宙全土にその悪名を轟かす、大宇宙侵略大走力団ハシリヤンを束ねる走大将。
バクアゲ8にてハシリヤン斬込隊長マッドレックスの口から言及された。一人称は「アタシ」。
作中では後述するように大銀河警察に逮捕、監獄惑星で服役している身だが、豪華な一室や食事を与えられ部下を自由に出入りさせており、その有り様はどこぞの海外ギャングのように、監獄を乗っ取り自らの城のように悠然と過ごしている。
マッドレックス曰く「宇宙よりデカい器のお方」と評価され、マッドレックス等の多くの隊長達からは、強い忠誠心を捧げられている様子。
何故ハシリヤンを率いて宇宙の星々を侵略し、ギャーソリンを集めているかは長らく不明だったが、バクアゲ36にて人々の悲鳴を糧にして際限無く強くなり、尚かつ永遠に生きられるからである事が、I.S.Aに呼ばれて事情聴取を受けた焔先斗の証言から明かされた。
過去作のドルネロやアブレラ同様、出自自体はありふれた宇宙人の一人に過ぎない模様。
外見
バイクのマフラー等のパーツが複雑に組み合わさった様な金髪に薄い紫色の肌、サングラスの様な薄いピンク色の目をしており、他の幹部達と比べても人間に近い外見をしている。身長もブンドリオより頭一つ小さい位。
服装は頭に赤い中折れハットを被り、赤と黒を基調としたジャケットとズボンに身を包んだ、スタイリッシュな出で立ちである。また、左腕にはマッドレックスのハシリ犬やディスレースのフランク同様、鋭い牙を向いたオレンジの猿・シャイシャイ・サルカーがおり、エサを与えている様子から生きている模様。
更に先端に赤い宝玉が埋め込まれた、長大な王笏で武装しており、貴公子然とした高貴で煌びやかな印象を見る者に与える。この杖は部下への粛清の他、通信機能も備えている。
性格
普段は落ち着いており、「宇宙よりデカい器のお方」と称された通り、隊長達から強い忠誠心を捧げられている程の高いカリスマ性を持つ(隊長各のメンバーは『マッド』『キャノン』『ディス』と愛称で呼んでいるが、後述の人物への呼び方の違いや後々の気質を考えると、ただの略称の可能性も否定できない)。
また、元ハシリヤンのメンバーであるブンドリオを「ブンの字」と呼ぶ程に気に入り、自身の側に開発のスペシャリストかつ中枢メンバーとして置くなど、高い人望を見せる。口調も一人称やブンドリオへの愛称から、さながら落語家を思わせる飄々とした物である。
だが、キャノンボーグとサンシーターの場当たり的な人事によって、互いに不協和音を起こした挙げ句、不満を抱えたキャノンボーグを一方的に見限り処する姿は、部下のパーソナルの把握も自尊心も満たす意思もないように見える他、追跡隊長をキャノンボーグ同様に容赦なく粛清する等々、失態を犯した部下はたとえ隊長クラスの幹部であっても弁明を許さず処刑する冷酷非情さと、テンションが上がった際に見せる荒っぽい口調と凶暴さは、間違いなく〈ハシリヤンのボス〉としての風格を見せる一方、ディスレースに対しては組織への貢献度とは裏腹に「ディスごとき」と文字通りディスったりと、マッドレックスが評したような大器の持ち主なのかは些か疑問符が浮かぶ(無論、粛清された両者は共に落ち度があるのは明白だが)ため、やはり悪の組織のトップらしいブラック上司と思われる。
上記の通り、その外見から、およそ宇宙の暴走族の頭目と思しき凶悪さは微塵も感じられないが、重要任務に失敗した部下を躊躇なく始末し、テンションが上がった際には荒っぽい口調を露にする点から、さながら海外マフィアのような冷酷さと狂暴さを内に秘めている。
お気に入りかつ離反者なブンドリオの生存を知るや、狂喜のままに「彼のギャーソリン(=悲鳴)を聞きたくなった」と宣言する等、彼に対して尋常ならざる執着心を抱いている模様。
戦闘能力
バクアゲ9で今際の際に発したマッドレックスの言葉通りなら、ボスらしくハシリヤンのどの隊長達をも凌駕する程の絶大な力の持ち主と思われるが、本格的に登場したバクアゲ34にて、その恐るべき力の一端が明らかになる。
座ったままマッドレックスやキャノンボーグ、ディスレース、デイモンサンダーと同格の幹部である追跡隊長を得物である長大な王笏をかざしただけで、一瞬の内にバラバラにして処刑するなど、走大将の名に恥じぬ底知れぬ実力を見せた。
続くバクアゲ33にて、2度目の死を迎える際にマッドレックスは、彼の強さの域を「スピードの向こう側」と形容していたが、果たしてこれが意味する物とは……?
各話の動向
過去
ブンドリオの回想にて、彼に違法改造のパーツを送りBBGライセンス剥奪の原因を作った舎弟である宇宙人を締め上げ、彼のファンとしてハシリヤンに勧誘。
「アタシゃね、アンタには、負けの美学を感じるんだよ」
ブンドリオ「褒めてんのか貶してんのかどっちなんだよ?」
「アタシと一緒に走らねぇか? 走りてぇのに走れねぇってのは、辛いもんさね。アタシの見立てじゃ、アンタのメカニックの腕、誰にも負けやしねぇ」
ブンドリオ「……誰だ、お前?」
「これからの男、ワルイド・スピンドー。まだまだ小さいが、ハシリヤンって組織を旗揚げしたところさ」
孤立し心身共に弱りきっていたブンドリオは、彼の甘言に誘われるがままにハシリヤンに加わった。しかし後に自らの技術力を悪事に利用された上、上記の悲劇も全ては自分を「悪の道」に引きずり込まんが為に仕組んだ茶番だったと知った彼によって、自らは大銀河警察に引き渡され、宇宙の何処かの監獄惑星へと収監された。
だが、スピンドーと裏で繋がっていた大銀河警察は彼の悪行を黙認し、服役の身ながら誰の邪魔が入らない監獄惑星で悠々自適に過ごし、数多に宇宙に散らばる配下に指示を出し、現在に至るまでどんどん組織を拡大・強大化させていった。
バクアゲ34
これまで各隊長が名前を口にする以外は一切が謎に包まれていたが、ブンブンの秘密が明かされると共に、遂に物語の表舞台にその姿を現した。
「アタシはね、よーく覚えてるんだ……。お前さ、ブンドリオを処刑したって言ったよな? よーく覚えてる。生きてたんだってさぁ、ブンの字。不思議だよねぇ? おかしいよねぇ?」
追跡隊長 「待って下さい、スピンドー様!? そんなはずは……」
服役している監獄惑星で食事しながら、ディスレースを通じて処刑されたはずのブンドリオが生きてたと知り、実際に処刑したと伝えていた配下の追跡隊長を一瞬でバラバラにして粛清・始末した。
その後、記事冒頭の台詞と共に気分を高揚させるままに、スピンドーは「ブンドリオのギャーソリン=悲鳴を聞きたくなった」と狂喜するのだった。
バクアゲ35
「よっくもアタシを騙し通してくれたもんだよ、ブンの字さぁ。もう、逃がさないんだなぁ? グラーンツ!」
ブンドリオが自分を騙して永らえていたと知って執念を燃やすと共に、通信機を通して自身の代わりに本家を率いる大番頭にして右腕・グランツ・リスクと会話。
グランツ『ご機嫌麗しゅう、スピンドー様。本家より、グランツ・リスクがお答え致します』
「裏切り者が生きてるの知っちゃあ、麗しくはねぇな?」
グランツ『ごもっともにございます。して、この後は如何に?』
「決まってる。マッド、キャノン、ディスが送って来た地球のデータを全部見せろ。話はそれからだ」
そうグランツに命じ、今後の動き方を考えていくことにした。
バクアゲ36
「フンッ、ディス如きに楽しみ奪われちゃァ、かなわないからねェ…
ブンの字には、アタシが行くまで、まだまだ頑張って貰おうか…おぅグランツ!!」
グランツ『はい。スピンドー様のグランツは此処に』
「地球に向かう。……さァ、ゾクゾクできる星だぞ、アレも……フッフッフッフ……」
グランツ『御意にございます。されば、私も御供を……』
これまでの隊長達のデータを見終わった後、投獄前の恰好に戻ってグランツとともに地球へ向かう事を決意。
監獄惑星をそのまま車に変え、地球へと向かった。
ブンブンとの因縁の再会の時が訪れようとしていた。
声優
CVを担当する遊佐氏は、仮面ライダーシリーズでは『仮面ライダー電王』のウラタロスでお馴染みだが、スーパー戦隊シリーズは『魔法戦隊マジレンジャー』の冥獣人イエティのズィー以来実に19年ぶりの出演であり、敵組織の首領を演じるのは今回が初となる。
- 公式サイトにも「某青いイマジンのお声をやっているので毎年ペースで東映特撮にいらっしゃいますが、意外にもスーパー戦隊はマジレンジャーぶり。うっかり釣られてしまいそうな美声で悪の親玉を演じていただきます!!」とこれに引っ掛けた記述がある)。
- ウラタロスはワルイドと同じ口が上手い詐欺師であると同時に、彼なりの義理人情やルールを持ち合わせており、それの延長で信頼のおける仲間達を得たヒーローの1人でもある。
- 戦隊全般で見れば『パワーレンジャー・サムライ』に登場したジェイデン・シバ(吹き替え)がおり、奇しくもリーダーキャラの共通点がある。
- 同氏は猿のシャイシャイのCVも担当している。
- 同氏はディスレース役の森久保祥太郎氏と同じく、30分後の『ひみつのアイプリ』に更科しょうま役で出演している。
余談
- 名前の由来は車を主題とした洋画『ワイルド・スピード』と思われる。
- 車関連の洋画から名前が取られている点は他の隊長達と同じ。
- デザインのモチーフはマイケル・ジャクソンと思われる。
- 上記ジャケットの左右に突き出た襟の形状は、某有名スーパーロボットの胸部放熱板を彷彿とさせる。
- 公式曰く“監獄内の悠々自適な様子は海外マフィアが刑務所内に帝国を築き、何不自由なく生活しているのを参考にした”模様。
関連タグ
細武調:同じくブンドリオにお熱な劇中の登場人物。
ドン・アルマゲ:同じく負の感情をエネルギーとする事で強く、不滅であり続けられる宇宙思念体。その思念を捻出する道具として宇宙規模のマンモス組織を率い、側近の一人に裏方担当の技術者も抱えていた。また、作中後期のSAが一致する他、前期のSAは奇しくもブンドリオを担当する藤田洋平氏。しかも登場作で藤田氏が兼演した追加戦士とは大きな因縁があった事実まで持つ。
ドン・ドルネロ:逮捕・収監されるフリをして刑務所を掌握、西暦2000年に施設や囚人ごと逃亡してマフィア組織を立ち上げた宇宙人犯罪者。
ドグラニオ・ヤーブン:服装のセンスも似ているギャング組織のボスだが、警察戦隊に逮捕された後拘禁刑と無期懲役を受け一切の自由の無い牢獄生活を過ごす末路を迎えた。
アラドン星人ギャンジャバ:かつての戦隊作品にて罪の無い宇宙人を騙して自分の配下にしていた宇宙犯罪者繫がり。