「お困りのようだねぇ」
「私が君達を加速させよう。共にブンブンジャーというハンドルを握って」
演:相馬理
概要
神出鬼没で必要なものを届ける「調達屋」。オレンジが差し色に入ったドレープカーディガンを纏う、黒ずくめの青年。
棒付きキャンディーがトレードマークの一つで、これを舐めながら姿を現すのもしばしばである。
一人称は「私」。
大也とは射士郎と共にブンブンジャー結成の経緯含めて認知していた物語開始以前からの付き合いで大也の頼みに応じてブンブンカーのパーツ等の調達を請け負っている。
ブンブンジャーの中で唯一本業が詳細不明(工事現場でも似たような事をやっており、フリーの「調達屋」自体が本業の可能性もある)かつ、I.S.Aの身辺調査を以てしても過去の経歴が一切不明と、名うてのスパイである射士郎や外宇宙を活動基盤とする先斗をも差し置いて、一切の正体が不明という怪人物。範道邸のガレージにも滅多に顔を出さなかったが、大也らが自身の力を必要としている時に「お困りのようだねぇ」の決め台詞と共にナイスタイミングで登場しその事態解決に見合ったアイテムを差し出す、神出鬼没のサポーター的存在(似たような立ち位置でいえばこいつ)であった。
ちなみにマンホールの蓋やトランポリンなどどう見ても持ってくるのに難儀しそうな物を平然と取り出すこともしばしば。
どこか胡散臭いが人智を超えたスペックを要するブンブンカーに適うパーツを何処かから調達すると共に、射士郎と同様に明確な情報伝達抜きでも確実に仕事をこなす有能ぶりであり、錠すら最初は渡されなかったブンブンブースターをバクアゲ4の時点で所持しているなど、彼もまた大也の信頼を勝ち取った1人であることが示唆されている。
実は本編以前からブンブンジャーには勧誘されていたのだが、彼はレーサーではなく調達屋としてブンブンジャーの成長を見届けることを生き甲斐としており、バクアゲ6の時点まではあくまで大也の協力者(戦闘でも物資の補給によるサポートに徹する)としての役割のみに留まっており、苦魔獣出現現場に真っ先に到着してもチェンジはせず大也らに場所を教えるのみと自らは戦闘しないスタイルを貫いていた。
しかしバクアゲ7からは、成長するブンブンジャー4人の連携により自分のサポートが追いつかない事を悟り、成長した今のブンブンジャーに追いつき、彼等の成長を特等席で見届けるためにブンオレンジの変身者になることを決意した。
加入の際、「やりたいことも出来た」と言っているが、それを他のメンバーには内緒にしているようで…?
3rd LAPでは一切明かされてこなかったその過去に、ハシリヤン再建隊長・ディスレースが深く関わっている様子が明かされる。
人物
他人には柔らかい物腰と穏やかな笑みで接するものの、自身の報酬の話になれば満面の笑みとウキウキかつ飄々とした態度でがめつく請求する、抜け目がなく胡散臭い性格。
分かりやすく言えば、いつもの性格は前作の追加戦士の彼とほぼ同じようなものと言って差し支えない(声質も似ている)。とはいえ、たまにその口調が崩れることもあり、バクアゲ8ではサンシーターが仕掛けた罠に引っかかって檻に閉じ込められ、一緒にうっかり閉じ込められたデコトラーデに「なぁ、これどうやったら出られるんだ?」と慌て気味に聞かれた際、「知らないよ」とぶっきらぼうに振り払っていた(ただしバクアゲ13にて「大嫌いなお前さん達」と発言しており、サンシーター限定の態度の可能性もある)。
ブンブンジャーに加入してからは請求するシーンはあまり描かれなくなり、「調達屋」及びサポーターの役割の一面が強調されるようになった。ただしバクアゲ13でプレミア価格がついた演歌歌手のカセットテープを大也に届けた際はキッチリ請求しており、ブンブンジャー外部からの一般的依頼に関しては、あくまで商売として区別している模様。
獲物を捕らえる(仲間の窮地を救う)ために敵の懐に入り込み機を窺う等、策士としても優れており、その姿勢からブンブンジャーに心を開かなかったブンブンサファリから相棒として認められている。
他人には簡単に感情を表さず、一歩引いた立ち位置を保っているが、自らのサポートでブンブンジャーの進歩を見届けたいという想いを持ち、ほかの顧客からも親しみを持たれているなど、サービス精神や仕事仲間への思い入れについては真摯である。
他人への思い入れが強い一方で自分自身のことで本気になるというのがどういうことが分からないということもバクアゲ10で漏らしており、大也や未来を夢中にさせている『届け屋』のミッションに興味を持ち引き受けることで、その答えを探そうとしていた。
また人をうまく乗せて使うことも得意で、バクアゲ10では届け屋の仕事を体験することにした際、大也から指定された「刺激を与えると爆発するエネルギー源」を輸送途中にコイノボリグルマーから狙われた挙げ句未来が勝手に同行しいちいちオーバーなほどにリアクションを取った事に対し(玄蕃は運び屋の素質を試されており敢えて囮が入ったケースを運ばされていた)邪険に扱ったり苦言を呈する事なく、「本気で怖がってくれたから奴らに危険なエネルギーだと説得力を持たせられた(要約)」と未来の性格を褒め、肯定しているほか、上記のブンブンサファリに認められたエピソードではサンシーターを乗せることで懐に潜り込む手管をみせている。
他のメンバーとは趣味嗜好が少々ずれているような描写があり、バクアゲ7ラストではブンドリオ以外から評価が芳しくなかったニマイジタイヤのべろーらーを肯定する発言が見られた。相当気に入ったようでバクアゲ9のラストでは射士郎が持ってきたべろーらーのCDを見て「愛しのべろーらー」と言いながら、食べていたカレーそっちのけで飛びついていた。(CD自体はブンドリオへのお土産に細武調が持ってきていたもので、その後彼女にもお礼を述べている)バクアゲ13ラストでは、ブンドリオ作の「爆揚げカレー」に対して、他の4人がその油物の多さから遠慮しようとする中1人だけ喜んで食べている。
その後もバクアゲ15では錠が苦魔獣にしては珍しい、ひ弱な性格で人々に手を出そうとしない「キー太郎」ことカセキグルマーをひとまず何処かに匿おうかと困っていた際にべろーらーのストラップを付いた倉庫の鍵を渡した。その際、「ひとりぼっちの恐竜、か…」と意味深に呟いていた。
バクアゲ19では七夕の短冊に「宇宙からお困りの方がいなくなるといいねぇ」と書いていた。
しかしディスレースを前にした途端上記の態度から一変。激情に駆られ叫び声を上げつつ、人間離れした跳躍力でディスレースに斬りかかろうとするなど普段の玄蕃からは想像もつかない荒々しさを見せた。
本来の素性(バクアゲ27のネタバレ)
ディスレースへの怒りが収まらない玄蕃はオレンジ色のオーラを放ち白い髪で獣のような耳が生えている外見へと変貌してしまう…。
怒り狂うままにブンオレンジに変身してディスレースに切り掛かるもあっさりいなされ、彼が逃亡していなくなったことにすら気づかず、ブンブンチェンジアックスから斬撃を辺りに乱射。変身が解け、大也に取り押さえられ、落ち着きを取り戻した玄蕃は、自分が他のブンブンジャーの面々を傷つけてしまった現実を見て唖然としてしまう。
そして、ガレージにて玄蕃の口から正体が、先斗、ビュンディーの口から概要が語られる。
彼は宇宙通販で有名な惑星ブレキ生まれの異星人・ブレキ人で、本名はゲンバード・デ・リバリー二世。銀河通販王と名高い父を持つ男、人呼んで“宇宙通販の若旦那”であった。
そして上記の半獣人態が本来の姿であり、地球人に似せた姿は糖分を消費することで擬態する能力によるもの。
どんな物でも調達してみせるスキル、そして人使い、忍耐力、観察眼といったスキルもこの経歴によるものであり、上述の「人を選ぶデザインのべろーらーに興味津々」「人間には明らかに高カロリーな爆揚げカレーに舌鼓を打つ」「宇宙規模での願い事」等の行動も、彼が宇宙人であることを踏まえると納得できるものである。
惑星ブレキの通販ネットワークは銀河全域に展開されていたためその信頼度や噂は宇宙で始末屋稼業をしていた先斗やビュンディーの耳にも届いており、二世と知ったときには他のメンバー以上に驚愕していたほど。
故郷をディスレースの部隊に乗っ取られ家業だった宇宙通販も奪われた挙句ハシリヤンのそれに作り変えられてしまっており、更に父親を無実の罪で刑務所送りにされてただ一人地球に行き着いた。節々で発していた「大嫌いなお前さん達(バクアゲ13)」「ひとりぼっちの恐竜、か…(バクアゲ15)」等の発言もまた、こうした境遇が影響していたと思われる。
キャンディを常に舐めていたのも、地球人の姿への擬態を保つための断続的な糖分補給が目的。オーディオコメンタリーでは大也達からがめつく請求していた金もほぼキャンディ入手に費やされていたことが明かされている。
大也とはかつてブンブンスーパーカーが故障していたところでたまたま遭遇。パーツを渡して立ち去ろうとしたものの、糖分が切れてしまい倒れ掛けたと同時に擬態が解けそうになる。そこで棒付きキャンディを貰ったことで縁ができたとのこと。
大也やブンドリオも玄蕃の素振りから「地球人ではない」と薄々勘付いていたが、本人が明かすまで深く詮索せず、仲間たちにも伝えなかった。
これまで調達してきたものの中で、機械部品などのパーツは自らが乗ってきた宇宙船を少しずつ分解していたものだという事実が明かされた(遊具なども惑星ブレキから持ってきていたのだろうか?)
当然そんなことをすれば故郷に帰れなくなるが、「ハシリヤンに侵略された時点で帰るべき場所はない」と割り切っていたため、本人としては問題がなかったのだろう。
しかしブンブンジャーとなって上記の「やりたいことも出来た」為、惑星ブレキを取り戻すことを目指すようになった。
「私は自分が思っている以上に君たちの事が大好きみたいだ。だからこそ……特等席は降りる」
だが、ディスレースを前にして怒りが再燃。大切な居場所になっていたブンブンジャーを個人的な復讐に巻き込まないためにブンブンジャーの離脱を宣言する。
他のメンバーは反対していたが、大也は「自分のハンドルは自分で握る」という信念のもと彼の意志を汲み取り承諾。その代わり、玄蕃が返還しようとした変身ツール一式を「きっと役に立つ」とそのまま持たせて送り出した。
その後も未来や錠に戻ってきてほしいと説得されているものの復讐に巻き込まない為に「もう連絡してくるな」と突っぱねており同じくディスレースの事を快く思っていない先斗からの誘いも断っている。
余談
- 名前は「ブレーキ」+「(工事)現場」に由来するものと見られる(ブンオレンジのデザインには、工事現場で使用される重機に由来すると思われるものが含まれている)。バクアゲ4では『こちら現場の玄蕃』と名前にかけた台詞があった。また、海外ドラマ『ブレイキング・バッド』が由来ではないかとも言われている。これについては、ハシリヤン幹部の命名法則と共通するため元ハシリヤン説も挙がっていた。
- 演者の相馬氏は、過去に『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(2022年-2023年)のドン8話(カフェでソノニをナンパする男役)、『暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー』(カラオケ屋ではるかを接待する編集者役)にてゲスト出演の経験を持ち、本作では戦隊メンバーとして3度目のシリーズ参加となった。
- 何かと「演者の苦手なもの」に絡んだ撮影が多い東映特撮だが、玄蕃の場合も演じている相馬氏が高所恐怖症でありながらも、初登場時のように高所での撮影が多かったりする。
- レイヤードカーディガンをはじめとした衣装は、大也と同じくh.NAOTO(廣岡直人)が担当。廣岡氏にとってもオレンジを用いたコーディネートは初チャレンジであったようで、黒を主体にオレンジを差し色としたトータルコーディネートも、神技的バランスでまとまっていることが言及されている(参考リンク)。
- 相馬氏は玄蕃を演じるにあたり、監督である渡辺勝也氏より「チャラく見せないでほしい(上記のドンブラザーズで演じた役もあるが)」という注文を受け、軽くならないよう低めのトーンで話すようにしているという。その結果落ち着きがあり、なおかつ色気を含んだその声色は多くのファンの中で「ASMRが欲しい」と評価されるなどもっぱら大人気である。
- レギュラーの戦隊オレンジでは、白石謙作・神誠/バトルコサック以来の純粋な地球人であると思われていたが、劇中の超人的な跳躍力やバクアゲ27の予告で彼の瞳孔が細くなる描写があったため、視聴者から「彼は宇宙人なのではないか?」という説が浮上していた。実際、上述の通りであったため、地球人の戦隊オレンジは見送られることとなった(ちなみに瞳孔の件についてはディスレースとの因縁も相まって玄蕃もヘビ科の宇宙人なのではないか、という予想も上がったが結果は猫型であった)。
- バクアゲ17では、大也が買い取ったバーで「Bar調達屋」のマスター兼バーテンダーとして、メンバーにそれぞれのイメージカラーに合わせたドリンクを提供していたが、スーパー戦隊レストランにて夏季限定メニューとして提供されることが決まった(期間:2024年6月23日~2024年9月1日)。
関連タグ
ディスレース:故郷と家業を奪った怨敵。
シオン/タイムグリーン:レッドや追加戦士以外で地球人メンバーの中に混ざっている異星人繋がり。
アスカ/アバレブラック:初期メンバーでありながらも他の初期メンバーとは変身アイテムや装備や出自が異なる戦隊メンバー繋がり。敵組織によって故郷を追われ、主人公達の住む地球に逃げこむ、(一時的とはいえ)戦隊を離脱する等共通点が多い。
宇佐見ヨーコ/イエローバスター:必要性があって常に糖分を摂取している戦隊メンバー繋がり。糖分が切れると擬態を維持出来なくなるもののそれ以外の支障が見られない玄蕃に対しこちらは行動不能に陥るというより甚大なリスクを抱えている。
虹野明/トッキュウ6号:人外である戦隊オレンジの大先輩。そして、復讐心に駆られ死に急ぐ行動を取り続ける玄蕃に対し、かつて死に場所を探していた明が、本編にて深く関わっていくことになる。
スティンガー/サソリオレンジ:人外である戦隊オレンジの先輩。故郷の一族が敵組織の差し金により迫害された点も共通しており、迫害のきっかけとなった因縁の相手に対して命懸けの復讐をしようとしていた点や一時的とはいえ戦隊を離脱している点でも共通している。なお、こちらに至っては、彼自身およびその因縁の相手以外の故郷の一族は作中以前の迫害をきっかけに命を落としてしまっている。
ユニ:5年前のプリキュアに登場する玄蕃と似たような過去(故郷の星を滅ぼされる、滅ぼした敵組織の幹部と因縁がある)と容姿をしている人物。