史実において
中国語ではトン・チュオ(Dong Zhuo)と呼ぶ。
故郷の涼州で幾多もの反乱を征伐したり、外部の異民族の侵攻を撃退したりして名声を高め、中原にも名を馳せるようになった。
黄巾の乱では、朝廷の使者に賄賂を渡さなかったために讒言されて免職された盧植に代わって司令官に就任したが、今まで優勢だったのに敗北して免職されている。
しかし涼州で韓遂(馬超の父・馬騰と懇意だった者である)らが反乱が起きた際、知勇を振り絞ってこれを討伐し、名声を回復した。
その後、宦官たちを一掃することを目論む時の大将軍何進に洛陽へと招かれる。しかし何進は宦官の首魁である十常侍に先手を打たれて殺されてしまう。
袁紹がこの報復に宦官を皆殺しにして大騒ぎになったが、董卓はそれに乗じて当時の皇帝・少帝と後の献帝(帝の異母弟)を救い、軍事力で彼らの後ろ盾となって権力を掌握した。
この頃、対立していた群雄・丁原を倒し、その配下であった呂布を養子に迎えた。
やがて悪政を敷き、邪魔になった何皇后を暗殺、部下たちも悪行三昧に明け暮れ、洛陽をカオスに陥れた。正史の董卓伝には大勢の宮女に加えて、皇女までレイプしたというやらかしが記載されている。
そのため反董卓連合が結成され、追い詰められた董卓は洛陽を捨てて長安へ遷都。
そこでも暴虐非道を繰り返し、王允がブチ切れ。
彼にそそのかされた、(養子とはいえ)実の子の呂布に誅されることとなった。
晩年の董卓はでっぷりと肥っており、董卓の遺体からは油が漏れだすほどで、蠟燭の芯を刺したところ火が灯せたとという伝説も残っている。
……と、ここらへんを見るとただのやられ役の悪役に見えるかもしれない…
ただし……
三国志を編纂した陳寿は蜀漢→西普に仕えた人物であり、漢帝国の権威を貶めた人物を良くは書けない事もあって必要以上に悪く言われている節はある。
また前項でも少し触れたが、董卓は誇張抜きに涼州では百戦錬磨の経歴の持ち主である。曹操ですら董卓にフルボッコにされている。
彼の武勇はむしろ優れていたほうであり、決してただのブヨブヨな肥大漢ではないことが窺える。董卓は十二分に強かったが、単に呂布が強すぎただけであった…。
長安遷都は見方を変えれば優れた焦土戦略とも取れるし(実際、連合軍は長安到達時に自壊している)、墓荒らしなどは彼ばかりがやっていた事ではない(正統とされる魏でも郝昭なども行っている)。
また、悪政も地盤が漢の影響力が薄く騎馬民族の風土の強い涼州にあるが故の、儒教文化に根ざさない文化や行動がその様に取られた可能性もあり、必ずしも暴君とは言い切れないことも付記しておきたい。
若い頃に朝廷からもらった恩賞を「名声は指揮した俺のものだが、貰った恩賞は実際に働いたお前らのものだ。どんどん持っていけ」と無欲にも分け与えた話や、異民族と敵対するのみならず豚を自ら屠殺して振る舞って友好関係を築くなど、案外侠客肌の人間だったエピソードも残っている。
登場作品においての董卓
大体の作品において序盤の最大の敵扱いであり、現在は再評価著しい呂布や曹操などに比べるとその扱いは悪いと言わざるを得ない。
三国志演義
おおむね史実通りだが、呂布が反逆した原因を司徒王允の養女貂蝉の「美女連環の計」によるものとされている。そして彼の死に対する描写がいろいろと凄まじい。
横山三国志
声優:大友龍三郎
後年の作品に比べると細身の役人のようなデザインだが(バビル二世のヨミとも)、作中の動向は演義に忠実。作品の知名度から、董卓といえばこれ、というイメージの人間も多いだろう。天文官の職務怠慢を責めるなどまともなところも見せている。
蒼天航路
声優:大塚芳忠
魔王であり、序盤のボスキャラ的存在。
その残虐非道ぶりは異彩を放つ今作においてもまさに異色とも言うべきキャラで、大量の牛を崖から突き落として足場にして急襲し、恐怖心を植え付けるためだけに敵兵の首塚を築く、全裸の女性を家具扱いする、人肉を無表情で味わいながら食べるなど桁外れの極悪さを見せつける。
物欲、性欲もさることながらその上権力欲も際限がなく「いずれローマまで支配する」と言い放つなど、ともかく史実より遥かにスケールがデカくなった。
一方で史実でも董卓が重用した蔡邕とのやり取りでは、董卓の行為を正史に正確に記述しようとした蔡邕から「自分を殺しても史書は欺けない」と弾劾を受けるが、董卓は「天意とは何か、ただ董卓がいたことを記すのみ」と、蔡邕にありのままに記述することを許した(一方で蔡邕を讒言した臣下達は処罰されている)。
また、曹操の奇策にうろたえている群臣らを「勇者をなぶり殺し、美女を犯し無差別に金銀を略奪し、天下をほしいままにしてるくせにビビってんじゃねえ(意訳)」と一喝するなど単純に欲に溺れている凡愚ではない。
それらの行いはすべて世を我が物として意のままに動かし、世の快楽全てを貪りつくし、世の秩序が破壊尽くされた先に誕生する、ただ一つ絶対の尊厳なる存在である王になるための前準備に過ぎず、本人はその姿を見ている途中に過ぎないとしている。
出番は(今作の全体から見れば)短く、話の大筋は史実通りに連環の計で呂布に殺されることになるが、絶命に際しても命乞いの類は一切せず。
本来の主人公曹操を凌駕したと言ってもいいキャラクターとなった、ちなみに史実通り曹操は死に関しては全く関わっていない。
真・三國無双シリーズ
一騎当千
→董卓仲穎
恋姫†無双シリーズ
悪党イメージを木っ端微塵にするほぼ唯一のキャラクタライズ。
まさかの弱々しいキャラ、しかもメイドである。
ちなみにpixivで「董卓」を探すとだいたいこの娘が出てくる。
十三支演義
CV:中村浩太郎
一般的なイメージ通りの悪党で、猫族を蔑視している。倦厭しているのではなく「使い潰せる良いコマ」くらいに思っており、猫族で構成されている劉備軍からは憎悪されている。
三国志大戦シリーズ
白井式三国志
ドSなヒゲダルマのデブだが、超が付くほどのナルシストで自意識過剰。なおかつスケベ(それもバイセクシャル)で乙女チックな変態。最後は史実通り呂布に討たれた。
『SDガンダムワールド 三国創傑伝』&『SDガンダム三国伝』
(イラスト向かって左側が三国創傑伝の、右側が三国伝の董卓)
三国創傑伝では「董卓プロヴィデンスガンダム(演者はプロヴィデンスガンダム)」。
どちらも完全な俗物かつ極悪人であり、詳しくは当該記事を。
コーエー三國志シリーズ
初期作品では大体シナリオ1のボスキャラ的存在、なのだが、配下の忠誠度が軒並み低く呂布などあっけないほど裏切るので、ある程度引き抜かれるのは仕方ないにしても、兵力配置は間違えない方が良い。能力値は大体武力は高く、知性は低いが魅力に関しては作品によって極端に高かったり、低かったりして一定しない。場所的に玉璽を掘り出しやすい位置にあるので、魅力が低くても玉璽さえ手に入れれば、部下の忠誠度の点はほぼ解消される。
関連タグ
親族
董旻(弟) 董璜(甥) 董白(孫娘) 呂布(養子) 牛輔(娘婿)
主な配下
その他