機体データ
型式番号 | MS-05 |
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所属 | ジオン公国軍 |
開発 | ジオニック社 |
生産形態 | 量産機 |
頭頂高 | 17.5m |
本体重量 | 50.3t |
全備重量 | 65.0t |
出力 | 899kW |
推力 | 40,700kg |
センサー有効半径 | 2,900m |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
固定武装 | マルチランチャー |
携行武装 | 105mmマシンガン、120mmザク・マシンガン、280mmバズーカ、ガス弾発射器、ヒート・ホーク、スパイク・シールド他 |
※諸元はB型のもの。
概要
型式番号MS-05。
ジオン公国軍が最初に制式採用・実戦配備したモビルスーツ(MS)。
宇宙世紀の歴史上初めて実用化された軍事用MSである。
開発にはジオニック社からジオン公国軍に佐官待遇で出向したエリオット・レムが携わっている。
MS黎明の時代に開発された機体ということもあり、カタログスペック的には後世の機体に劣り、また内蔵火器なども一般的には装備していないが、ミノフスキー粒子影響下での有視界戦闘や歩行、姿勢制御など、MSの基本的なことはこの時点で確立されている。
地球連邦軍との開戦に向けて本格的な軍事用MSの開発を決定したジオン公国軍では、量産型MSの正式採用に際して競作が行われ、ジオニック社は先に開発した試作機であるMS-04プロトタイプ・ザクを大幅に改良、量産化と汎用性の向上を見据えて装備類を簡略化したYMS-05ザクを提出した。
一方、ツィマット社はそれよりも高性能なEMS-04ヅダを開発したが、同機はトライアル中に空中分解事故を起こし、その結果安定した性能を発揮したザクが採用された経緯を持つ(ただこの決定についてはジオニック社が何らかの汚い政治的取引を働いたとジャン・リュック・デュバル少佐は主張したが詳細は不明である。そもそも少佐は虚言癖と被害妄想癖と過度な自己陶酔癖を抱えている為、単なる被害妄想が真実と思われる)。
本機は宇宙世紀0074年2月に試作機が完成。翌年7月に量産化が決定し、8月には1号機がロールアウト。
その翌年の11月には初期生産型(MS-05A)27機によって教導大隊が編成され、月のグラナダにて開戦に向けての搭乗員育成や戦技研究、各種試験が行われ、MSという兵器体系を確立する重要な役割を担った。
その後、教導大隊で得られたデータを基にコクピットの構造や装甲の材質・形状などに一部改良を施され、MS-05Bとして本格的な量産化が行われた。
その総生産数は793機に及んだとされている。
尚、宇宙世紀0077年にサイド6で発生した革命運動への武力援助として部隊で派遣された事があり、これが公式記録に残るMSの初実戦投入だったと言われている。また宇宙世紀0078年にサイド3内のコロニーキンツェムで発生したクーデターに対しても投入され、鎮圧に貢献した。
ルウム戦役時等、一年戦争当初こそ、空間戦闘機や宇宙戦艦と比較して機動力も火力も申し分のない革新的な兵器ではあったが、(被弾を考慮してか)機体各部の動力パイプを全て装甲内へと内蔵した(内部の放熱が難しく、且つ機体の容量を圧迫した)ことや、初期の熱核反応炉(ジェネレーター)の出力の低さから、戦えこそすれど、十分な運動性能を発揮することができなかった。
その結果を受け、より実戦的な機体の開発が望まれるようになり、それによって出力向上と冷却装置の強化とそれに伴う総合性能の強化を測った後継機種であるMS-06ザクⅡが誕生する事になる。
ザクⅡ開発後、この機体と区別するため本機は「ザクⅠ」と呼称されるようになった。
一年戦争開戦時には一部をザクⅡと入れ替えた部隊があったものの、生産されたほぼ全てのB型が実戦に投入された。
しかしザクⅡが主力として大量生産・配備されると、性能で劣るザクⅠとの混成部隊を編成・維持するのは難しくなり、ザクⅠはルウム戦役以降は、艦隊決戦後のスペースコロニー内の制圧や補給作業、物資集積所の歩哨などの第二線級任務に回されることとなった。
作業用ザクやザクタンクといった作業用MSに改造された機体も少なくない。
だが、大戦後期になっても、ジオンの機体の操縦系統がバラバラで慣れなかった、又は愛着でザクⅠを継続して愛用したベテランパイロットもまた多く、大戦最後の決戦の舞台となったア・バオア・クーに於いてはリック・ドムやゲルググといった最新鋭機と肩を並べる一幕もあったとされる。
また旧式とはいえ、立ち回り次第では敵の量産型や戦車、戦闘機には優位ではあったため、部隊の数的不利を補う為に地上戦に於いても運用されたケースも存在する。
ランバ・ラルや黒い三連星といったエースパイロット達専用にカスタムされた機体も存在したらしく、本機は後のMSパイロット達へ大きな影響を与えた。
宇宙世紀0089年時点でも作業用として運用されている事が確認されている。
機動戦士ガンダムTHE ORIGINにおけるザクⅠ
ジオン公国軍初の量産型MSというポジションに変わりはないが、原型機となるMS-04がプロトタイプ・ザクからブグというMSに差し替えられており、そこから生産性や整備性を高め、弱点となる動力パイプを装甲内に収めるといった改設計を施したのがMS-05ザクⅠということになっている。
また、AとBの末尾記号こそ消えたものの前期型と後期型で外見が若干異なっており、後期型はあまり原典との差異が無いが、シャア・アズナブルや黒い三連星が受領した前期型は後期型にあるふくらはぎ外装かかと側の丸い切り欠きが無く、ランドセルにハンガーユニットが付いているといった差別化がされた。
また先述のシャア機の他にデニム、スレンダーといった機動戦士ガンダム第1話で登場したジオン兵が機種転換前に搭乗していたパーソナルカスタム機やキシリア直属の親衛隊仕様といったマイナーチェンジが新たに設定された。
デニム機は左肩に保護用のフレームが外装されており、スレンダー機はザクⅡと同様のL字シールドを増設している。キシリア部隊機は全身をダークブラウンで塗装され頭部に「クレスト」という鶏冠のような装飾が施されている。
機動戦士ガンダム サンダーボルトにおけるザクⅠ
ジオン側の主役ダリル・ローレンツの初期の搭乗機。
彼の所属する「リビング・デッド師団」に配備された本機はそれまで作業用として使われていたのか黄色メインの塗装で所々に黒の斜線ストライプが施されていた。
リビング・デッド師団が四肢を失いMSの操縦が困難になった傷病兵で構成されていることから狙撃手としての役割を任されており、大型ジェネレーター3基で稼働する大出力ビーム砲座「ビッグ・ガン」(ザクキャノンのそれとはまったくの別物)が共に配備されている。
本体は関節のシーリング処理に加え、脚部のアポジモーターを8対に増やしてある。また、つま先にはデブリなどに自機を固定する為の展開式のクローが付いている。
バックパックは従来の箱型ランドセルではなく、ノーマルスーツの飛行用装備のような左右に突き出たスラスターポッドとなり、そこから6方向に姿勢制御スラスターが飛び出している。
バックパックの中心は真後ろ方向に噴射する推進用スラスターが縦に2基付いており、下部にはスラスターポッドにマウントした武装を取り出すサブアームが付いている。
劇中では先述の通りダリル・ローレンツが搭乗する。
サイド4の暗礁宙域「サンダーボルト宙域」に潜みジムに乗っていたイオ・フレミングを撃墜する。
彼がフルアーマーガンダムを受領し再来した時も上手く誘導して追い詰めていたが、撃ち落とすつもりで放ったビッグ・ガンの一射は直撃の直前にサンダーボルト宙域特有の放電現象に歪められるという運命の悪戯により外れてしまう。
これにより位置を晒してしまったダリルはフルアーマーガンダムに組み付かれコクピットをビーム・サーベルで貫かれてしまう。
機体は大破、ダリルも左腕を失う大怪我を負うも、至近距離で放ったクラッカーによる目くらましで逃走には成功した。
武装
ザクⅠの武装はほぼ全てザクⅡも使用可能なため、こちらではザクⅠでの運用が主だった戦争初期の武装や仕様のみを記述する。
ザク・マシンガン
型式番号ZMP-47D。105mm口径のMS専用マシンガン。
ザクⅡが主に携行しているM-120A1と比較するとストックが存在せず、水平に折り畳むグリップが左側面に取り付けられ、ドラムマガジンが右側面に横倒しに取り付けられている。つまり、右マニピュレーターでの保持に限定された構造を持つ。
ZMP-50Bは、外観はそのまま120mm口径にボアアップされた後継機で、以降はこの120mm弾がザク・マシンガンのスタンダードとなっていく。この口径の変遷は書籍『ガンダム・センチュリー』で記された80年代初頭にレオパルト1に代わる形で運用が始まっていた第3世代主力戦車「レオパルト2」の口径の変遷と合致しているため、その時代背景を取り入れたものという考察もある。
ザク・バズーカ
型式番号H&L-SB21K/280mmA-N。口径280mmの対艦用ロケットランチャー。
砲尾のカウンターガスの噴出口は後のモデルのように田の字に分かれておらず、弾倉も存在しないシンプルな円筒状の砲身だが、南極条約締結前の武装のため核弾頭の運用を前提に設計されており威力は侮れない。
ただ反動も強力なため使用する際は右肩部にバズーカラックを装着する。ラックはメカニックデザイン企画『MSV』でデザインされた。
漫画およびそのOVA化作品『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではMS用バズーカA1型を装備している。
これはジャイアント・バズ並みに巨大化していることを除けばほぼザクⅡのザク・バズーカと同じ形状だが、ザクⅡが主に装備するものはA2型という3発分のカートリッジを挿入するタイプの発展型となっており、結果単発式のA1型は旧式の武装として設定された。
ガス弾発射器
OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』で使用。
その名の通りガス弾を射出するための2連装大型グレネードランチャー。弾には毒ガス「GGガス」が用いられ、コロニー落としの準備段階としてコロニー内の住民を殺害する「コロニー潰し」に用いられた。
シールド
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場。
ブグの装備と同型で、左腕にマウントするタイプの湾曲した長方形の盾。
ブグも使用する陸戦型ガンダムの100mmマシンガンの原型となった八洲重工製MS用マシンガン程度の弾なら受け切れるが、耐弾性では後にザクⅡ右肩に固定装備されたL字シールドに劣る。
現状本作のみに登場する装備で、ピクチャードラマでガンダム試作2号機が使用したMS用対艦ライフルASR-78のような正史への逆輸入はされていない。
また、正史においてはゲルググMが用いたものと同様のスパイク・シールドを携行した機体もあったようだが、映像作品に登場したことはない。
バリエーション
パーソナルカスタム
ランバ・ラル機
書籍『機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑』及びゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズに登場。
ランバ・ラルが自身の専用機として搭乗したB型で、ラルのパーソナルカラーである青系統にペイントされている。
胸部ハッチは『08小隊』登場機と同仕様の左右2つのボルト口のあるタイプで、指揮官機を示すブレードアンテナと、両肩にショルダーアーマーを装備。
リアスカートには専用の大型ヒート・ホークType-L2をマウント。ゲリラ屋として隠密性を確保するための、近接格闘戦を重視した装備とされる。その華美な業物はドズル・ザビも参考にしたとも言われ、式典機の色彩が強いドズル専用のザクⅡやリック・ドムの装備に反映されたらしい。
エリク・ブランケ機
PS3用ゲーム『機動戦士ガンダム戦記』に登場。
宇宙世紀0081年に蜂起したジオン軍残党組織「インビジブル・ナイツ」の隊長にしてジオン側シナリオの主人公エリク・ブランケのカスタム機。イフリート・ナハト奪還後は部下の間で使い回されるようになる。
ベース機体はB型で、パーソナルカラーの藤色で塗装されており、左肩部装甲がザクⅡのスパイクアーマーになっている。また、本機もボルトタイプの胸部装甲で、隊長機なのでブレードアンテナも装備している。
武装の一つであるスパイク・シールドはザクⅡJC型のシールドのようにスパイクを潰したカスタムが施してある。
ア・バオア・クー攻防戦時の彼等を描いた短編OVA『機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル』ではパーソナルカラーに塗装されたゲルググに搭乗していたが、本編では最初このザクⅠに搭乗しており、ゲルググは終盤の月での決戦で高機動バックパックを背負い再び乗り込むことになる。
ザクⅠ・スナイパータイプ
型式番号MS-05L。
メカニックデザイン企画『ハーモニー・オブ・ガンダム』が初出。
旧式化したザクIを元に、ビーム・スナイパーライフルを装備する長距離狙撃戦用機へと改造した機体。
詳細はザクⅠ・スナイパータイプを参照。
ザクⅠ(Q型)
型式番号MS-05Q。
メカニックデザイン企画『MSV-R』に登場。
ザクⅡの部隊配備が進む中、ザクⅠを使い続けたいというパイロットの声を受け、主に既存のB型を改修する形で製造されたレトロフィット仕様。一年戦争前に162機が生産された他、MSの数を補うため一年戦争末期にも僅かながら改修作業が行われた機体がある。
熱核融合炉が新型のものに換装され、頭部には動力パイプが追加された。武装面ではザクⅡと同様の火器が使用できるようになったほか、ショルダーアーマーが両肩に取り付けられている。
ノリス・パッカードが開戦直後の輸送艦隊襲撃任務時に搭乗していた機体が有名で、「ザクⅠ(ノリス・パッカード少佐機)」とも呼ばれる。ノリス機は紫と赤のパーソナルカラーで塗装されており、両手の拳にはスパイクが装着され、防盾付きのザク・マシンガンを携行している。
ザクⅠ(ゲラート・シュマイザー専用機)
型式番号MS-05S。
ゲーム『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』に登場。
特殊部隊「闇夜のフェンリル隊」隊長のゲラート・シュマイザーの乗機として、ザクⅠのS型をカスタムした機体。
外観はボルトタイプの胸部装甲に左右に取り付けられたショルダーアーマー、指揮官用ブレードアンテナなど色と武装を除けばランバ・ラルのB型とほぼ一致する。
機体性能が再調整・強化されている他、視神経を負傷しているシュマイザー少佐に合わせて音響センサーが増設されている。これらの通常のザクⅠからの変更点のうち、どこまでがS型本来のもので、どこからがシュマイザー専用機特有のものであるかは不明。
ラケーテン・バズ、グフ用のヒート・ソードとシールドなど、ザクⅠとしては本機のみ装備している武装も存在する。また、近接装備は媒体によってはグフのものではなくセオリー通りヒート・ホークとスパイク・シールドを装備していることもある。
小説版では戦闘中に撃破された工作部隊のザクⅠをフェンリル隊の整備班長ミガキが回収・修復した機体と言う設定で、ゲラートはこの機体で出撃し、マドロックを撃破すると言う快挙を成し遂げた。
なお、『戦略戦術大図鑑』では、ギャビー・ハザードの最初の搭乗機も「MS-05S」だとされているが、こちらの詳細な仕様は不明。
ザクⅠ(S型)
型式番号MS-05S。
アニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場。
ザクⅡの生産が間に合っていなかった一年戦争開戦時に、ザクⅠにザクⅡ用の装備を先行して実装し生産された特別機。結果としてザクⅠとザクⅡの中間的な機体となり、総合性能も向上している。
ランドセルがザクⅡ用のものに変更された他、肩にはザクⅡのシールドとスパイクアーマーを取り付けている。また、各種武装もザクⅡと同様のものが使われるようになった。
月面都市フォン・ブラウン宙域戦でシャア・アズナブルが搭乗した機体が有名で、「シャア専用ザクⅠ」とも呼ばれる。
なお、上述のゲラート・シュマイザー専用機と型番が重複しているが、本機は『THE ORIGIN』登場機のためパラレル的な扱いになる。
ザク飛行試験型
漫画『アッガイ博士』に登場。
ジオニック社の系列会社であるスウィネン社が、MSによる単独飛行を目標としてザクⅠを元に試作した機体。
肩部アーマーは整流用の有翼型に換装、脚部には飛行用のエンジンが内蔵され、グフフライトタイプに近い姿になった。また、ランドセルも翼を備えた新型に変更されている。
一年戦争前にはサイド3にて機体が完成しているが、作中ではほぼ背景同然に1コマだけ写った程度に留まるため、実際に飛行に至ったのか、後のグフ飛行試験型系列に影響を与えたのかなどは不明。
ランド・ザック
漫画『機動戦士ガンダムMSV戦記 ジョニー・ライデン』に登場。
一年戦争後に残存していたザクⅠを元に、現地改修によって製作された民間の農地開拓用MS。作業用ザクやザクタンク同様の廃品再利用のMSになるため、同一仕様の機体は1機も存在しない。
作中に登場した機体は、頭部にブレードアンテナとバルカン砲を備えたザクⅠが原型。アッグのものを手持ち式に改造したドリルが左右に2基、ランドセルから腰を通して伸びる保持用アームを介して取り付けられており、ランドセル内には本体のものとは別にドリル用のエンジンを有している。両肩には散水装置を内蔵したL字シールドを備え、スコップも携行している。また、非常用の武装としてラケーテン・バズも準備されていた。
オーストラリアでコロニー落としの被災地の復興に用いられており、偽名で隠遁していたジョニー・ライデンが一時期パイロットを務めている。
プロトザクミノフスキー粒子散布ユニット装備型
型式番号MS-05HS。
漫画『STAMPEDE ミノフスキー博士物語』に登場。
戦域へのミノフスキー粒子散布を目的として、ザクⅠを改修して製造された機体。
機体背部に巨大なミノフスキー粒子散布ユニット2基を備えているほか、スラスターやプロペラントタンクも増設・強化されている。また、機体本体もザクⅠの面影がないレベルまで改修が加えられており、頭部の形状はむしろザクⅡに近い。
本機によってMSに搭載可能な程度までの粒子散布ユニットの小型化に成功し、ミノフスキー粒子を戦術兵器として用いる目処が立ったことが、独立戦争に臨むことをジオンに決意させたとも言われる。
また、何の因果か、地球連邦へ亡命しようとするミノフスキー博士の追撃にも本機が投入されている。
1日ザク
型式番号MS-05。
漫画『魔法の少尉ブラスターマリ』に登場。
元は非武装の状態でサイド3内のコロニーに配備されていたザクⅠだが、「ブラスターマリ」と名乗る謎の女性少尉の魔法の力によって操られ、サイド3にまで潜入した連邦軍の特務MS隊などと数度に渡って交戦した。
名称はブラスターマリが旧ザクの「旧」を「1日」と読み間違えたもので、「一日号」とも呼ばれる。
戦闘の際にはMSサイズにまで巨大化した「魔法のふとんたたき」(後には「魔法のはえたたき」)を用いて、主に相手のMSの腰関節を後方から叩いて破壊し行動不能に陥らせるスタイルを取る。また、機体性能自体も向上しているようで、無人での活動なども可能。
なお、本機は当初から頭部以外の各部の形状がザクⅡ改に近い形になっており、統合整備計画に伴って改修された機体とも考えられる。
ザクⅠ(作業装備)
型式番号MS-05B。
ジオラマフィギュア『ガンダム ロウバストシルエットコレクション』に登場。
南極条約締結前に製造された耐核装備を有するザクⅠを、放射線で汚染された場所での作業用に改造した機体。ランドセルが溶接用のトーチとケーブルで繋がった作業仕様のものに換装されている。
また『MSV』には、一年戦争前に対外発表されていたザクⅠには、「人型作業機械」に偽装すべく宇宙空間向けの作業用オプションが取り付けられていたとの文字設定も存在する。
こちらの外観は後の作業用ザクに近かったようだが、デザインは設定されておらず詳細は不明。
ザク武装旧タイプ
ムック『HOW TO BUILD GUNDAM』に登場。
ザクⅠからザクⅡに移行する過程で開発された中間試作品とされる機体。
左肩のショルダーアーマーにはスパイクが1つだけ取り付けられ、右肩にはザクⅡのものとは異なりL字の湾曲が無いよりシンプルな形状のシールドが装備されている。また、腰部には動力パイプが増設され、胸部ハッチの形式もザクⅠから変更されている。
ルウム戦役の際に黒い三連星が搭乗したのはこの機体だとも言われている。
グリーンデビル
型式番号MS-05BIS。
雑誌企画『ソロモンエクスプレス』に登場。
ブリティッシュ作戦時のコロニー落としに投入された仕様。機体名は連邦軍が付与したコードネームとされる。
「MS-05改良型」とされ、型式番号もザクⅠ系列のものだが、機体の外観はF2型をはじめとするザクⅡのものに近く、ザクⅠに近い部分は左肩のショルダーアーマーにスパイクがない点や、脚部動力パイプが内蔵式になっている点程度しかない。
リニア射出式大型核バズーカによる核兵器の運用を前提としており、胸部には耐放射線アーマーが増設され、スカートは耐放射線材と耐熱シリコン樹脂でコーティングされている。また、左上腕部には増加装甲を、背部には大型冷却剤タンクを装着している。
第185空挺師団所属機などは続く地球降下作戦にも参加しており、その際に核装備の一部がオミットされるとともに、スパイクアーマーの採用やヒートナイフの試験的装備などが行われている。
ギャバン専用ボルジャーノン
型式番号MS-05。
アニメ『∀ガンダム』に登場。
ルジャーナ・ミリシャのマウンテンサイクルで発掘された機体。ギャバン・グーニーが搭乗した。
詳細はボルジャーノンを参照。
ガンプラ
現在1/100、1/144、1/288の3つのスケール、およびSDが存在する。
大抵ザクⅡより後発のキットになるので、ザクⅡから時期を置いて登場したキットはプロポーションや可動域が改善されており、より理想的なザクⅡを作り上げるためのミキシングの生贄にされることも多い。HGUCの初期ロットでは箱裏の広告欄にミキシングを推奨する文言まで載っていた。
なお、本機のみの装備という訳ではなく映像作品で装備したことも無いが、MGやHGUC、SDCSのキットにはスパイク・シールドがプレイバリューとして付属している。
1/100スケール
なお、ザク・バズーカは旧キット、MG共にザクⅡのものと同様のものになっている。
旧キットでは通常カラーの他、若草色の成形色をサンドブラウンに変更したリアルタイプカラーが発売されている。
ザクⅠそのものが使用色が少ないため2色成形でも色分けは良好。
武装はザク・マシンガン、ザク・バズーカ、ヒート・ホークが付属する。
MGは初代MGのザクⅡの構造を踏襲しており、武装に新たにザクⅡの120mmザク・マシンガンとスパイク・シールドが追加されている。
成形色変更品として黒い三連星仕様がある他、リデコとしてランバ・ラル専用機も発売されており、アンテナ付きの頭部と胸部、右ショルダーアーマーが新規造形されている。武装はスパイク・シールドとヒート・ホークが削除され、新たに大型ヒート・ホークが付属する。
1/144スケール
旧キットのベストメカコレクションとHGUC、HG THE ORIGIN、HG GUNDAM THUNDERBOLTが発売されている。
ベストメカコレクションは1/100とは異なり成形色は緑1色。また、武装はヒート・ホークのみとなっている。
反面、肩や足首への関節追加をはじめ、各部の構造は先に発売されたシャア専用ザクおよび量産型ザクよりも進歩しており、高機動型ザクⅡの旧キットとともに「ベストな1/144ザクⅡ」製作のためのミキシング素体としての需要のはしりとなった。
HGUCではヒート・ホークの他にザク・マシンガン、ザク・バズーカ、スパイク・シールドとそこにマウントできるシュツルムファウストと武装のレパートリーが大幅に増えており、本体もアンテナ付きの頭部と選択できるようになっている。
こちらも成形色変更品として黒い三連星仕様が発売されている。
HG THE ORIGINはシャア専用ザクのKPS製内部フレームを用いた関節構造を踏襲しており、バリエーション展開も史上最多。
通常カラーのデニム機とスレンダー機はコンパチ仕様で右肩部を組み替える。なお、説明書では余剰パーツ扱いだが外装フレームとシールドどちらのジョイントも無い肩部外装パーツもあるため、なんのカスタムも施されていない量産型として組むことも可能。武装はヒート・ホーク(ORIGIN系キットの特徴として携帯状態も付属)、MS用マシンガン(120mmザク・マシンガン)、MS用バズーカA2型、対艦ライフルASR-78の4種類。スレンダー機にはザクⅡの肩部シールドが付くのでバズーカの予備弾倉を2つ懸架可能。
シャア専用ザクⅠ(S型)は設定通りランドセルと肩部装甲がシャア専用ザクから流用されている他、胸部中央ブロックと脚部が新規造形で、後に発売されるシャア・アズナブル機(前期量産型)に流用される。武装はヒート・ホーク、ベルト給弾式MS用マシンガンの2種類。プレミアムバンダイ限定で1st同様の淡い機体色の『MSD』版リミテッドモデルが発売された。
シャア・アズナブル機(前期量産型)は量産型仕様に組んだデニム機・スレンダー機とあまり変わり映えしないが先のパーツが流用されており、ランドセルが新規造形となっている。成形色はS型と同様だがS型は色分け部位がザクⅡ準拠、こちらはザクⅠ準拠となっている。武装はヒート・ホーク、MS用マシンガン、シールドの3種類。
プレミアムバンダイ限定で発売されていた黒い三連星仕様は本体はシャア・アズナブル機(前期量産型)の成形色変更品だが、新たに武装にMS用バズーカA1型が付属しており、この武器は一般販売では手に入らないものとなっている。
キシリア部隊仕様はクレスト付きの頭部が新規造形で、武装はヒート・ホーク、MS用マシンガン、MS用バズーカA2型、シールドの4種類。
なお、黒い三連星仕様の色合いがMG・HGUC(黒をメインに差し色に紫と白)とHG THE ORIGIN(ブルーグレーをメインに差し色に紺色)で異なるが、これは後者が初めて搭乗した時期の部隊カラー、前者がザクⅡS型受領時に部隊カラーが改められた後に再びザクⅠに乗る機会があり、その際に塗装されたものということになっている。
HG GUNDAM THUNDERBOLTでは、上述のダリル・ローレンツが搭乗した機体が、原作漫画のガンダムサンダーボルト版とOVA準拠で成形色の彩度が上がったGUNDAM THUNDERBOLT Ver.として発売された。
武装として120mmザク・マシンガンとヒート・ホーク、従来のザクⅡのものに近い形状のザク・バズーカの他、砲口がジャイアント・バズに近くマガジンも右側面に付き下方向に伸びるという独特な形状をしたザク・バズーカ、クラッカー2発が付属する。また、サブアームはパーツの差し替えによって展開状態を再現可能。
なお、HGUCやHG THE ORIGINとは異なり、こちらには足裏に肉抜きされた箇所がある。また、『サンダーボルト』版ザクⅡのキットではオミットされていた足裏のクローの展開がパーツ差し替えで可能となっている。
これらの他に、厳密にはガンプラではないが、B-CLUBからランバ・ラル専用機やトップ機、ガス弾発射器を携行したコロニー強襲部隊仕様などのレジンキットも発売されていた。
ポリキャップが使用されており一応の可動は可能。胸部にボルト口を有する『08小隊』系のデザインでのキット化は、スナイパータイプを除くとこちらのみとなる。
1/288スケール
1/144旧キットを更に1/2サイズにダウンサイジングした「ガンプラコレクション」というブランドで発売されていた。
SD
ザクⅠ単体のキットは存在しないが、SDCSより発売された「シルエットブースター2」にザクⅠの外装パーツとスパイク・シールドが含まれており、別売りのSDCSザクⅡに組み込むことでザクⅠを再現できる。
ただし、シルエットブースター2の成形色は白1色であり、塗装が必須となっている。
関連動画
関連タグ
ヅダ - 主力MSの座を賭けて争い敗れた機体。
ザク量産試作型(9ザク)