概要
元々はルナツーやソロモンと同様、資源採掘用にアステロイド・ベルトから運ばれ、ラグランジュポイントのL2に配置された小惑星だったが、一年戦争前にジオン公国の手によってさらにもう1つの小惑星と結合され、宇宙要塞として転用された。
名前の由来は、世界で最も美しい景色の見える「勝利の塔」の階段に棲まう、幻獣(ミライ・ヤシマは「妖怪」と表現した)「ア・バオ・ア・クゥー」を訛らせた名称(小説「密会 アムロとララァ」において記載)。
ブライト・ノア中尉(当時)は、ジオンの勝利を信じてつけた名前であろうと推測している(「密会」より)。
構造
二つの小惑星を結合させたその姿は傘ともキノコとも見て取れる特徴的な外観を成している。
その構造上、要塞の上部と下部を構成する二つの小惑星を繋ぐ接続部が脆弱となっているが、同時にそこに向かおうとする敵部隊に対して要塞ビーム砲の火線を集中させやすくもなっている。また、内部に工廠が設置されており、戦争末期には生産拠点としても運用された。
劇中での描写
本要塞・ソロモン・月面都市グラナダは、ジオンの本拠であるサイド3防衛の最重要防御拠点として機能しており、『チェンバロ作戦』によってソロモンを陥落させた連邦軍は、U.C.0079 12月31日に本拠点攻略を目的にした『星一号作戦』を発動する。
その直前、連邦軍はジオン側の決戦兵器「ソーラ・レイ」により艦隊の3割を損失し、総指揮官のレビル将軍を失うも作戦を強行。序盤こそジオン側の決死の攻勢に苦戦するも、ジオン軍総帥ギレン・ザビが妹であるキシリア・ザビに謀殺された事をきっかけに指揮系統が混乱、その隙を突く形でホワイトベース隊や連邦側の猛攻によって形勢が逆転。旗色が悪くなったと判断したキシリアは逃亡を図ろうとするも、シャア・アズナブルの手にかかり死亡。指導者不在となった戦場はしばらくの戦闘ののちに停戦、一年戦争は連邦軍の勝利に終わった。
門が開くとき
戦後はジオン共和国に管理権が移行し、再び資源採掘用に使用されていたが、グリプス戦役時にティターンズが接収し、核パルスエンジン搭載の上でラグランジュポイントL3に移設された。このときに周辺宙域共々、『ゼダンの門』と名称が変更されている(これはジャミトフ・ハイマンの出身地であるフランスのセダンに由来する)。内部の工廠も復旧したらしく、ハンブラビやガンダム[スコル]等の開発が行われていたが、ジオン残党軍『アクシズ』との交渉決裂によって、小惑星アクシズを激突させられ崩壊した。
ガンダムビルドファイターズにおいて
追い詰められたマシタ会長の負の感情を受けて暴走したアリスタから生み出された膨大なプラフスキー粒子で形成したものが登場している。内部に大口径ビーム砲(出典は「ガンダム・ザ・ライド」)を有しており、これでミスサザビーとベアッガイⅢを大破させたが、その出力から奥にあるアリスタ本体を見破ったイオリ・タケシのパーフェクトガンダムの一撃がビーム砲を破壊。突入したイオリ・セイとアリーア・フォン・レイジ・アスナによってアリスタが破壊されると、同時に自然消滅していった。
暴終空城
SD戦国伝武者七人衆編に登場する城で同要塞がモチーフである。
333年に一度だけ現れる幻の城でそこを占拠すれば長い戦いを終結させ、天下統一が出来ると言われている。
頑駄無軍団と闇軍団はこの城を巡り、激しい戦いを繰り広げたが結局城は消滅し、また現れるまで333年後となってしまった。しかし結局その時が来る前に頑駄無軍団と闇軍団の戦争は終わりを迎える事となる。
幻獣ア・バオ・ア・クゥー(参考)
ボルヘスの『幻獣辞典』またはその引用元になったバートン卿版の『アラビアン・ナイト』によれば(インドにある)勝利の塔には頂につづく階段があり、その最下段にひそむ幻獣こそア・バオ・ア・クゥーである。人がその階段を登りはじめるとともに目をさまし、その影につき従いのぼってゆく。最初は透明だった体は登るにつれその姿をあらわし出し、人がその頂に立った瞬間に完全に姿をあらわす。しかし勝利の塔を登り切った人間はその瞬間涅槃に達し現世から消滅してしまい、ア・バオア・クーはその姿を完全にあらわすことはない。詳細はこちらの記事も参照。