概要
CV:TV版前半:池田勝、TV版後半・劇場版・0083版:西村知道
地球連邦軍独立組織「ティターンズ」の創始者にして最高司令官。階級は大将。
元財務官僚から軍部へ転属している。
来歴
一年戦争時の時点でジーン・コリニー中将(当時)の部下であり、連邦軍最高幕僚会議の1員として大佐の階級にあった。また、バスク・オム少佐(当時)やジャマイカン・ダニンガン大尉(当時)を中心とした派閥、ジャミトフ派を擁している。
当時からスペースノイドに対して排他的な思想を持ち「スペースノイド如きが地球の大地を踏む事等あってはならない」、(ソロモン陥落により「ジオンは和平を求めてくる」との意見に対し)「ジオンに生き残られると、後の世に禍根を残す事になる」と発言している。この内後者の発言は的を射ており,10年経った後もジオン残党があちこちで活動をしている。
宇宙世紀0083の時点でもジーン・コリニー大将の部下で、地球連邦軍財務高官として准将の地位にあった。
0083に発生した〈デラーズ紛争〉では、上司と共謀しデラーズ・フリートのシーマ艦隊を地球永住権を餌に買収した。
その後は対立していたジョン・コーウェン中将を『ガンダム開発計画』の責任を負わせる形で失脚させ、更にデラーズ・フリートが『星の屑作戦』により連邦軍を苦しめた事実から、ジャミトフは「未だジオン残党軍が油断ならぬ戦力を保有している」と主張して、連邦政府の首脳へのアピールに成功した。先の〈デラーズ紛争〉で連邦政府首脳がすっかりジオン残党に怯え切っている等の状況を利用し、自己の権限を拡大。『ジオン残党討伐』の名目で特殊部隊・ティターンズを創設する。この “功績” も手伝い、この後に彼は大将に昇進した。
スペースノイドに対して常に差別意識と警戒感を持っていた連邦政府に、危険なスペースノイドの代名詞たる「ジオン軍の残党を狩る」大義を掲げ、連邦内での勢力の拡大は容易となる。
ジャミトフの理想は「環境汚染に苦しむ地球を守る為に、戦争を利用して人類全体を粛清・統御する」と、むしろギレン・ザビやCCA時代のシャア、東方不敗の思想に近いものであった。
旧来の弱腰な腐敗した連邦政府と軍首脳部を嫌悪しており、ティターンズ設立の真の目的は、独裁政権獲得による即効性の高い改革を断行する為の第一歩として、強力な戦力と特権による自由活動が可能な私兵集団の保有であった。彼にとってティターンズもアースノイドも、自らの理想を達成する道具でしかなかった為、アースノイド志向主義の多い部下や協力者への方便として、スペースノイド弾圧を進めていたが、30バンチ事件やグラナダへのコロニー落とし等のバスクら武闘派の過度な残虐行為は、結果がティターンズを利するものでもかなり苦々しく思っていたようである(劇場版ではグラナダへのコロニー落としの時には、武闘派の独断を嘆いていた)。
尚、勢力を拡大する前段階として全ての親族と絶縁しており、有事に累が及ばないよう配慮している。
増長してきたバスク達を牽制する狙いで、木星船団の指揮官であったパプテマス・シロッコを登用し、血の誓約書を持って忠誠を誓わせる。
シロッコに対しては決して無警戒ではなく、副官に「危険かもしれん」と漏らす等、不信感も持ち合わせていたが、ティターンズの宇宙拠点・ゼダンの門でアクシズの最高指導者であるハマーン・カーンとの会見を行った際に、護衛が少数だった混乱に乗じてシロッコに暗殺され、ティターンズを乗っ取られてしまう。
ジャミトフの最期に関しても、決して彼が迂闊であったとは酷評できないものであった。
何故なら、この時のティターンズはただでさえエゥーゴに押され、更にはアクシズとの衝突も避けられない極めて緊迫した状況で、そんな中で指導者である自らの身に何かがあれば、ティターンズの指揮系統が大きく混乱し、組織自体が崩壊しかねないのは火を見るより明らかであった為、警戒していたジャミトフも、この時にシロッコが自身の暗殺を実行に移すのは予想外であったのかもしれない。
実際、シロッコが先走る形で暗殺を実行した結果、ティターンズは混乱状態となっており、バスクを始末して実権の掌握に成功しても、その時には既にコロニーレーザーをエゥーゴに奪われてしまった後であった為、最終的にティターンズはコロニーレーザーによって壊滅する結末となっている。
作劇の都合かスーパーロボット大戦シリーズ等においては、バスク・オム達と同様のティターンズの特徴である『アースノイド偏重思想(選民思想)』を掲げる人物の親玉としての扱いが多い。これは原作でジャミトフ自身が抱いている「アースノイドの粛清による地球再生」「腐った連邦軍上層部の排除」を思わせる描写が、劇中からほとんど読み取り難い為の処置であろう。
寧ろティターンズの勢力拡大の方便として、スペースノイドとアースノイド間の対立を煽り、利用している為そのような立ち位置でも間違ってはいない。
人物
ティターンズは選民思想に染まった組織であるが、首領のジャミトフ自身はスペースノイド・アースノイドの問題を俯瞰出来る人間であった。
先述のようにギレン・ザビのような「戦争を利用して人類を間引きし地球環境を復活させる」思想上、より大きな視点……ともすれば人の命を何とも思わない思考によって行動しており、人間として一概に評価出来る人物ではない。
だが、この点は作中で殆ど描写がなく(この点に触れているのはシロッコが彼の最終目標を「地球上から人類を根絶やしにする事」と看破し、それに対してマウアー・ファラオが「それではエゥーゴの目的と変わらないのでは?」と疑問を呈するシーン程度)、ティターンズや連邦軍内においても彼の本心を知る者はごく僅か、あるいは皆無と思われる。
自分が戦艦搭乗し攻撃を受けた時に「私に構うな、ティターンズ艦隊員の心配をしろ」と注意したり、ティターンズ設立時は家族と離縁して累が及ばないようにしてたりと、人物的に思わせる所もあった。劇場版では「虐殺者の汚名は着たくはない」とも発言しているため、ギレンとは違い自身の行動が善ではなく悪行である自覚していた模様。
しかし、結局は政治家としては一流だったが、軍人としての能力はやや疑問符が付くといえるかもしれない。それ故に軍事部門の責任者としてバスク・オムを起用せざるを得なかったのかもしれない。
ジャミトフからすれば「最終目標が達成されれば、罪をでっち上げてバスクを公開処刑するのが最後の仕事になる」 と算段を立てていたのかもしれない。
結局、ジャミトフが失敗した原因は『目的を理解してくれる副官がいなかった』だろう。
シロッコを早めに呼び思想を話しておけば、もしかしたら目的は達成されていたかもしれない。
小説版「機動戦士Zガンダム」にて、軍産複合企業アナハイム・エレクトロニクスの会長メラニー・ヒュー・カーバインとは士官学校時代の同期であり、経営者として成功し確固たる社会的上位の地位を得たメラニーに対し、ジャミトフが嫉妬していた経緯が語られている。
余談
ジャミトフの思想は非常に分かり辛かった為か、アナザーガンダムシリーズではティターンズと同様の組織のトップの思想が、極力分かり易い物となっている。
地球連邦軍には彼以外にもハイマンという名前の軍高官がいるらしいが関係は不明。
関連タグ
ギレン・ザビ:独裁的権力による人類の粛清と管理を目指すなど、随所で類似点がある人物。
フォンセ・カガチ:自身の悪行への自覚がある、真の目的を周囲にまるで明かさず、私兵集団によって密かに事を進めようとする等、ギレンとは違う意味で、随所に類似点がある人物。ただし、彼には信頼に足る最側近が居る点が異なる。