「始まるよ…『イノベイター』。人類の未来が」
読む前に
この先は作品に関する重要なネタバレが含まれます。閲覧にはご注意ください。
人物
リボンズ・アルマーク(CV:蒼月昇、舞台版キャスト:赤澤燈)は、機動戦士ガンダム00のキャラクター。
人工生命体である「イノベイド」の中で初期に造られた1人。
異名は『傲慢なる救世主』。
塩基配列パターン0026タイプで、ヴェーダの最高機密であるレベル7へのアクセス権を持つ。
ガンダムマイスターとなるべく設計されたマイスター型イノベイドである。
実際にマイスターとして活動もしており、0ガンダムに乗って中東のクルジス共和国での紛争に介入し、幼少期の刹那を救っている。
つまり刹那の人生を変えたガンダムで、その中の人はリボンズなのである(この時ガンダムを崇拝するかのように見上げていた刹那を覚えており、本人曰く「刹那をガンダムマイスターに取り立てたのは自分。」との弁である。
当初から自己中心的な考えの持ち主だったようで、生命として自身より劣り、戦いを止められない愚かな人類の為に尽くす事実に疑問を感じており、心底では与えられた計画を認めようとしなかった。
更にマイスターが計画の半ばで滅ぶ予定である事を知り、自身が使い捨てられる為に生み出された事実に大きな衝撃を受けている。
それ以来、更に人格が狂っていき野心家と化す。
リボンズに忠誠を誓うイノベイドが何人かいた為、人望は優れているらしいが、基本的には自分以外のイノベイドや協力者を道具と認識し、平然と捨て駒にするとかなり非情である。
ただし適当に人間を見下してばかりいる訳では無く、能力があって子飼いに出来ると判断した人物は積極的に登用している。
これによって「人間の域を超えている」実力と頭脳を持つアリー・アル・サーシェス、「ガンダムと対等に戦える数少ないパイロット」であるミスター・ブシドー(グラハム・エーカー)、「トランザムを独自に実装できる」ビリー・カタギリの3名はそれぞれの理由でリボンズに付き従っている。
グラハムに至っては彼がガンダムと戦えるようにする為に、ライセンサー(本来はイノベイドを独自行動させる為のもの)の権限を渡すほどの便宜を図っている。
それ故にグラハムが刹那に敗れた際には「もう人間では刹那を止められない。」と判断している。
意識データが常にヴェーダとリンクしており、スペアボディさえあればすぐに復活が可能である。
その為、彼を殺害するにはヴェーダを破壊するしか無いという、見方によっては不死身に等しい相手でもある。
1st Season
既にソレスタルビーイング(以降CB)を離脱しており、イオリア計画への介入を目論んでいた監視者のアレハンドロ・コーナーに接触し、彼の従者を演じつつ自らの傀儡としている。
そしてガンダムスローネの暴虐により世論が一気にCB排除へ向かい始めた時に、アレハンドロと共に国連軍にGN-Xを明け渡し世界を統合へ向かわせると共に、CBを壊滅させてヴェーダを掌握し、この時点で監視者もほぼ全員を抹殺している。
「統一された世界の行く末は、僕に任せてもらうよ」
アレハンドロが刹那に敗れた後、通信で利用していたことを暴露する。
当然アレハンドロは憤慨し、コーナー家の悲願を達成できなかった怒りをリボンズにぶつけるが、
「そういう物言いだから器量が小さいのさ」
直後にアレハンドロをこの言葉でなじる。
リボンズが『人間』というだけでその存在を見下している事が良く分かるセリフでもある。これを聞いたアレハンドロは、憤怒の叫びを上げてモニターを叩いた。
そしてラストにて記事冒頭のセリフを言い、1stシーズンでの彼の行動は終わる。
2nd Season
2ndシーズンでは邪悪な本性を存分に現し、ヴェーダによる情報操作を駆使して世界の中枢を影から操り、地球連邦の実質的な支配者である。
自らの手駒となるイノベイドを生み出すと共に、独立治安維持部隊の「アロウズ」を結成してカタロンと言った反連邦勢力を駆逐・虐殺し、世界の統一を非道かつ強硬的な手段で推進した。
その行動の根底には「本来使い捨てられる運命であった自身の有用性を証明したい。」と言う思いがあり、自身の力のみで計画を遂行する事に固執している為、同胞のイノベイドすら道具としか見なしていない。
常に余裕に満ちた傲岸不遜な態度を崩さないが、刹那のダブルオーライザーが自分の予想以上の力を発揮した時日に苛立ちを覚えたりと、短気な面もあり、留美に八つ当たりに近い形で手を上げた事もある。
当初は復活したCBを、アロウズの権限を拡大する為の都合の良い敵程度としか考えていなかった。
しかしヴェーダを掌握したはずの自分が把握していなかった『ツインドライヴシステム』の存在と、それを搭載したダブルオーライザーが見せた「機体の量子化」と言った驚異的な性能に動揺し、イオリアの計画を司る者としてのプライドからその機体を欲した。
そしてついに、刹那の故郷であるクルジス跡地にて直接刹那と会った際には、昔、敵に追われていたクルジスの少年兵ソラン・イブラヒムを救った0ガンダムのマイスターが自分であると彼の前で明かした。
「僕は君を見ていたんだ。MSのコクピットから……」
そして「ダブルオーは0ガンダムのマイスターであり、刹那をガンダムマイスターに取り立てた自分の物だ。」と主張するなど、傲慢過ぎる理屈を並べてティエリアからは「世迷い言」と断じられた。
更にダブルオーに搭乗する刹那が「純粋種のイノベイター」へと進化しつつある事実をも知り、刹那を打倒する事が自らの存在意義を証明する手段だと確信するようになった。
機動戦士ガンダム00I
本編と平行して展開される同作では、レイヴ・レチタティーヴォ達が展開するミッションに興味を持ち、ラーズ・グリースに接触するも、失敗して干渉が不可能になったと判断して以降ビサイド・ペインに便乗するように妨害を実行する。
なおラーズと接触して彼を同胞に加えようとした際は「『(ラーズの亡き妻のピティホープ・グリースに)外見が似ている』を理由にアニュー・リターナーを妻に与える」と提案し、人心の機微・繋がりへの無理解を露見し、それが上記の絶縁に繋がった。
最期
最終決戦ではティエリアとリジェネによってヴェーダを奪還され、ツインドライヴシステムを搭載したリボーンズガンダムに搭乗して刹那のダブルオーライザーと交戦した。
死闘の末にダブルオーライザーを大破させてオリジナルのGNドライヴを奪取したが、リボーンズガンダムの損傷が激しく、奪取したGNドライヴを搭載したかつての乗機である0ガンダムに乗り換えた。
同様にエクシアリペアIIへ乗り換えていた刹那と月面において再度交戦する。
最期はGNビームサーベル両手持ちで構え、エクシアRⅡを貫こうとするが、コクピットをGNソード改に貫かれて死亡した。
この時既にヴェーダとのリンクを遮断されている為、復活は不可能である。
ちなみに漫画版では作者によってその末路が大きく異なる。
ケロケロA版では乗り換えはせず、リボーンズガンダムのままで月面にてダブルオーライザーと死闘を演じた。
月刊ニュータイプ版では何と刹那と和解している。
講談社版に至っては刹那の説得に心を動かされた結果、イノベイドとしての使命と運命を敢えて受け入れてから刹那に討たれた。
自身を「イノベイターを超えた存在」と称する・負けた理由を「太陽炉の差」だと決め付ける・上記のように八つ当たりで仲間に手を挙げるなど、案外人間臭い部分も多い。
イオリアの計画に取って代わろうとした動機は、決められた自分の運命に反逆しようとした為である。
側近を演じて操り、最終的に切り捨てたアレハンドロとは似た者同士でもあり、彼を切り捨てた事を「残念だった」と評するなど、内心見下しながらも本気の友誼も覚えていた節がある。
ただし劇中の驕りからなる言動の数々は間違い無く人間が持つ負の側面そのものであり、結局リボンズもまた普通の人間であったと言える。
劇場版 -A wakening of the Trailblazer-
劇中では木星探査船の乗組員だったリボンズと同じ塩基パターンのイノベイドであるスカイ・エクリプスが金属生命体の「ELS」に体を乗っ取られ、ルイス・ハレヴィらイノベイターになりうる因子を持つ人間を襲撃した。
このシーンは予告編でも印象的に使われ、「前作ラスボスがまさかの復活か。」というミスリードを誘った。
ルイスは刹那と沙慈によって救出されており、公式外伝である00Iにおいてハロのオリジナルを作ったのが彼である描写がなされている。
エピローグでイオリア・シュヘンベルグと会話していたE・A・レイ(エターナル・アラン・レイ)という男性が、リボンズ型イノベイドの遺伝子サンプルとなった人物とされている。
(イノベイド全体はCBに参加していた、複数の研究者達の遺伝子提供からサンプルされている)
ドラマCD
『COOPERATION-2312』に登場。
アレな目的で近づいてきたブシ仮面に、逆に誘うような台詞を言い放って「こんなことして大丈夫か?」と登場人物は愚か、中の人達や視聴者にまで思われてしまった。
ちなみに乗せられたブシ仮面曰く「後でマネージャーとかの関係各所に謝る、作家が!」。
無論作家とはシリーズ構成を担当した黒田洋介氏を指す。
メディアミックスでの活躍
スーパーロボット大戦シリーズ
第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇においては『1st』の参戦で登場。
マクロスFのグレイス・オコナーと共謀してシェリルとランカをバジュラの巣へと運んだ。
その後、地球連邦軍の司令官に就任したエルガン・ローディックを捕らえ、連邦軍を牛耳ろうと目論む。
再世篇においては『2nd』の参戦で登場。
原作通りにヴェーダを掌握し、世界の裏で暗躍。
しかし、リボンズを上回る存在であるワイズマンやムゲ・ゾルバドスの登場で情報統制を破られた上、トレーズやルルーシュの仕掛けた計画で追い詰められていく様はどうも小物臭さが漂う。
更にはニュータイプでもイノベイターでもない、戦闘訓練を受けた「普通の人間」であるヒイロ・ユイにすらもアイデンティティを完全に崩された挙げ句、舌戦でも一蹴される辺りには哀愁すら漂っている。
尚、アムロとの最終決戦時の戦闘前会話は、実は原作の主人公である刹那よりも長い。
原作と違ってOガンダムが出ない為、搭乗機は最後までリボーンズガンダムのまま。
能力的にはアムロをも上回るが、底力がなく追い詰められると弱い。
さらに機体の耐久力もいまいちなので、そこまで強くはない。
ただし、エースボーナスで与ダメージが増えるので、被弾が致命傷になりかねない。
不屈やひらめきは必須。
第3次スーパーロボット大戦Zでは『劇場版』設定で登場。
ある重大な役割を持っていたことが判明する。
天獄篇のみ、ヴェーダの奥底に眠っていたリボンズの人格が肉体を失ったティエリアと再会し、ラファエルガンダムを修復し新たな肉体を与えた後に、イオリアの計画の全貌を明かした後に眠りについた。
名前は「???」で顔グラはスカイ・エクリプスのものの流用だが、リボンズとアムロ以外知り得ない当人達の会話の内容を知っているので、リボンズ本人と考えて間違いないだろう。
ガンダムビルドファイターズバトローグ
本作でガンプラバトルシステムに新たに搭載された、歴代ガンダムキャラの人格を再現したAIとして登場。
アラン・アダムスが制作したリボーンズガンダムのカスタム機・リバーシブルガンダムを駆り、メイジン・カワグチのバリスティックザクに搭乗するシャア・アズナブルのAIと戦いを繰り広げた。
序盤はリバーシブルの機体性能を十全に生かし、シャア相手に優位に立っていたが、技量の差から次第に逆転され、追い詰められてしまう。
勝負はついたかと思われたが、リボンズのAIに密かに搭載していた「裏技」により、突如AI人格がアムロ・レイに変化。
中の人ネタによる間接的な因縁対決から、直接的な因縁対決へともつれ込んだ。
尚、シャアの「何故リボンズという男は貴様と同じ声をしている」と言う質問に対し、アムロは「他人の空似だろう」と若干目をそらしながら返していた。
ちなみにクレジットはアムロの古谷徹とリボンズの蒼月昇の両方が記載されている。
Gジェネレーションシリーズ
『WARS』以降登場。『WORLD』ではイベントムービーでデスティニーガンダム・レジェンドガンダムを従え、キラのストライクフリーダムをあわや撃墜というところまで追い詰めたが、そこに刹那がクアンタで介入したことで阻止されている。
『3D』ではラスボスとして登場。
周囲のELSと融合し、ネメシスR.A.の制御ユニット「R.A.ニューロ」と化してプレイヤー部隊に襲いかかってくる。
また、「002nd」が登場するシリーズ作品でゴッドガンダムに乗せていると、ダブルオーライザーの太陽炉を奪取した際の台詞のパロディを口走る。
だが、太陽炉ならまだしもゴッドガンダムに量産型など無いはずなのだが……。
余談
担当声優の蒼月昇氏はかのアムロ・レイを演じた古谷徹氏その人である。00の監督である水島精二氏が、リボンズの役回りや正体がバレないよう配慮した結果、別の名義を用いることになった。
もっともUC世界のガンダムを知る人にとっては、早い内から声質で完全に別名義の古谷氏と見抜かれていたようだが。
関連タグ
機動戦士ガンダム00 ガンダム00 イノベイター 伊野部家 リボーンズガンダム リボーンズキャノン
刹那・F・セイエイ アレハンドロ・コーナー イオリア・シュヘンベルグ
ルイス・ハレヴィ ティエリア・アーデ アニュー・リターナー リジェネ・レジェッタ
リヴァイヴ・リバイバル ヒリング・ケア ブリング・スタビティ デヴァイン・ノヴァ
ウルベ・イシカワ:過去にガンダムシリーズにて主人公を演じた声優が担当していたラスボス。
協力者と思われたが、実は作中で起こった事件の全ての元凶である点まで一致している。
幻魔皇帝アサルトバスター:騎士ガンダムシリーズの一作品のラスボスで同じように他者を利用した挙句に、世界征服と言う快挙を遂げた外道。
???(他作品ネタバレ注意):中の人繋がりかつ、当代主人公編ではラスボスとして対峙する。リボンズと同じく、人間社会へ大量に私兵を送り込んだことによって悲しい戦いを強いられたメンバーが主人公サイドから出てしまったことも共通している。