「兵士の定めがどういうものかよく見ておくんだな…!」
人物
TV版登場話数は第12話・16話・17話・19話・20話。
ジオン軍の士官で、階級は大尉。ザビ家の政敵であったジオン・ズム・ダイクンの遺臣ジンバ・ラルを父に持つ。政治家であった父と違い、職業軍人として政治に関わらずキャリアを積んで来た。劇中では後述のように「ザビ家の子息の仇討ち」という（軍事的には意味がほとんどない）多分に政治的な任務を負う事になるも、成功すれば家族や部下達の生活の安定に繋がるという動機でそれを受諾する。
直属の上官はドズル・ザビ中将。
一年戦争以前からゲリラ戦を戦い抜いてきた軍人。
また、アムロ・レイに人間的成長のきっかけを与えた人物である。
一人の戦士としてだけではなく、器量の大きさを持つ一人の人間としても優れている。（直に会って感じ取ったアムロは、「僕は・・・あの人に勝ちたい！」と【乗り越えるべき大きな存在】と認識させた。）
常に一緒に行動しているクラウレ・ハモンは内縁の妻であり籍は入れていない。
セイラ（アルテイシア）を姫様と呼びアムロ・レイへの感情は最初は好印象だったのだがセイラとの再会時に説得に応じなかった彼女の原因が彼女に纏わり付く悪い虫(アムロの事)(あながち間違いではないのだが)で連邦軍に唆されたと思っている。
アムロと初めて出会った折に、彼に食事を奢ろうとしたハモンに「あんな子が欲しいのか？」と尋ねるなど、彼もまたアムロに自分にこの位の息子がいてもおかしくはないという父親的な感情をもっていたのかも知れない。
一方でアムロもまた、精神的に父親が不在であった自身にとってある種の父親像のようなものを投影している。
開戦当初から自機を青く塗装していたため、「青い巨星」の異名を持つ。
これに関連したのかグフの正式量産型機体色は、他のモビルスーツと異なり、量産型機体に多く用いられる緑色では無く青色が採用されている。
活躍
戦死したザビ家の四男ガルマ・ザビの仇討ちという任務をドズルに命じられる。
任務遂行のために巡洋艦ザンジバルで地球に降下したラルは、サンジバルを没収されて代わりに戦力的に劣るギャロップに乗り換える羽目になるも、自らの部隊であるランバ・ラル隊と数機のザクを率いて自らも新型モビルスーツ「グフ」を駆り、少ない兵力ながらも高度なゲリラ戦を展開。
幾度となくホワイトベースに奇襲をかけ、これを翻弄した。
その最中に立ち寄った中立地帯の街・ソドンの食堂でホワイトベースを脱走中のガンダムのパイロット・アムロと偶然出会う事となる。
その時のアムロのはっきりとした物言いと度胸を気に入り、やがて彼が連邦軍、それも木馬の少年兵と悟るも泳がす為にアムロを探していたフラウ・ボウと共に見逃す。
その後彼とは再び戦場で相見えることとなり、ガンダムに乗機グフを撃破される。その折にアムロがパイロットだと知って驚愕すると同時に、彼に負け惜しみとも戒めとも取れる言葉を残し、撃破されたグフから脱出した(19話)。
その後、鉱山の内情をラルに知られたと邪推して、口封じの為に討ち死にさせようと企むマ・クベの策謀によってドムの戦力の補充要求も握り潰され、部隊は窮してしまう。
そのため、ホワイトベースを拿捕すべくゲリラ屋の本領である白兵戦を挑む事を決定。ホワイトベースへの侵入に成功するも、制圧中の艦内で偶然セイラ・マス(アルテイシア・ソム・ダイクン)に遭遇する。
ラルの父ジンバ・ラルはセイラ（アルテイシア）の育ての親だったこともあり、若き日のラルも幼少時の彼女と面識があった。
ラルは自分の仕えたジオン・ズム・ダイクンの娘が敵である地球連邦軍にいたことに、「戦いの中にあって戦いを忘れる」ほどの衝撃を受ける。
さらにセイラに一喝されてひるんだところをリュウ・ホセイによる銃撃を受け負傷。
その後、部下も制圧されて作戦が失敗したことを悟り、ホワイトベースの第2ブリッジから手榴弾を抱いて飛び降り、自決。生粋の職業軍人らしい最期を遂げた。最期の台詞は劇場版とTV版で異なっており、劇場版ではより簡潔な言い回しにされている。
グフを撃破された際にはアムロもガンダムを大破させられており(それもコア・ファイター部を大きく損傷させられている)アムロの完全勝利とは言い難く、アムロもそれを認め「あの人に勝ちたい」と言っている。しかしジオン内部の権力闘争からラルには代替機が与えられず、MSパイロットとしての再戦はならなかった。シャアも含め、唯一アムロが越えられなかった壁である。
TV版での登場は僅か5回に過ぎないが、登場当時の新型機グフを駆ってザクとは違うことを強く印象づける台詞を放つなど、印象的な渋い言動などにより、歴代のガンダムキャラクター中でも屈指の存在感と人気を持つ。
年齢は３５歳。アニメではやや太り気味でハモンより身長が低かった。
同作のキャラクターの大半は放送当時の世相を鑑みても全般に実年齢よりも老けていることが度々ネタにされており、ORIGINでは多くのキャラクター達の年齢が再設定された一方で、ランバ・ラルはアニメ版よりも若々しく描写されている一方で明言こそされていないものの設定年齢も引き上げられているようで、推定で40歳から４５歳程の模様。
彼にとっては遠い未来の機動戦士クロスボーン・ガンダムDUSTにも(やや誇張が入りつつ)名前は残ってるらしく彼の顔をモチーフにしたMS用のヘルメット(?)が作中登場している。
ORIGINではアニメ版よりもやや背が高く、より直情的で正義感の強い人間臭い性格になっている。
名門ラル家の嫡男として生まれ、ムンゾ自治共和国時代にはレジスタンス活動に従事しその後軍に入隊。若くして大尉階級につくエリートだったが、ジオン・ズム・ダイクンの急死、それに続きザビ家との政争にラル家が敗れたために一転して冷遇される事となり、予備役として燻る事となった。この時ハモンのバーで用心棒のような事をしながらハモンに養ってもらうような落ちぶれた生活をしている。
そんな中、ザビ家の中にあって唯一軍人として尊敬できる人物であると認めていたドズル・ザビにMS開発のパイロットとして抜擢される。やがてMSパイロットの第一人者の一人として黎明期のMS開発に多大な貢献をし、実戦にも参加。史上初のMS同士の戦闘に指揮官として参加し連邦のMS部隊を壊滅に追い込むなど多大な功績をあげ、一年戦争序盤では中佐の階級に付くまでになった。
しかし、ギレンの発案したコロニー落としをドズルに命じられた際にこれを拒絶したため、降格処分を受けた上に再び予備役編入とされる。そのまましばらく干されていたが、元々ラルの実力を高く評価していたドズルによってガルマの仇討ち任務を任される事となる。
コロニー落としを「悪魔の所業」として「武人であるあなたが言うべき事では無かった」とドズルを糾弾したラルだったが、ドズルへの恩義は忘れておらず、ガルマの仇討ち部隊と言う困難な役割を引き受けたのもドズルへの恩義を返す為のものでもあった。
とはいえ、ドズルへの恩は感じつつも自身の立ち位置のこともあり、彼やザビ家へ忠誠心は持っておらず、ドズルが私情で命令系統や戦略を無視した無理な作戦ということはドライに見ている。
なお、幼少のセイラを抱き上げながら微笑んでいたシーン等過去の場面ではスマートに描かれていたが、ルウム戦役時に命令を拒絶してハモンのバーでやさぐれながら酒浸りになっていたなどしばらくの不摂生がたたり今現在の若干ふくよかな体型になったらしい。
グフを用いたガンダムとの戦いではガンダムの左脚を切断するなどして行動不能まで追い込んでおり対MS戦に関しては事実上アムロに勝利しているなど、アニメ版よりもアムロに立ち塞がる壁としての描写がより明確に描かれている。
ギレン暗殺計画でも彼…というよりはラル家が話題になった。
話によるとランバはラル家本家の出身でラル家にはランバの死後も分家筋や縁者がいたとのこと。この事から推測するとラル家はORIGINなどで描かれるより裕福と思われる。
搭乗機体
搭乗機はグフ（YMS-07B）ランバ・ラル専用機で先行試作型で開発されたうちの一機。
『THEORIGIN』ではMS-04プロトタイプ・ザク(アニメではブグ)の青い専用機に搭乗した。
『ギレンの野望』ではザクⅠ、ドム、ゲルググ、の青い専用機が存在する。さらに、『ジオンの系譜』『アクシズの脅威』では、ゲルググに代えてギャンを量産した場合、専用の青いギャンが登場する。
『スーパーロボット大戦』シリーズではグフカスタム、ケンプファー、ドーベン・ウルフにも搭乗した。
なお、ギレンの野望ではドムに乗ると「グフとは違うのだよ」、ゲルググかギャンに乗ると「ドムとは違うのだよ」という前述の台詞のセルフパロディをやってのける。
関連イラスト
関連タグ
ラルさん：後年の作品に登場したそっくりさん……というより、異次元の同一人物？
アンドリュー・バルトフェルド - 同じようなポジションで主人公の壁として立ちはだかった人物。ただしこちらは最後まで生存し、主人公側と共闘する。
ハイネ・ヴェステンフルス - 登場機が同じグフでありラルをリスペクトした名言を放った事で有名。
