グフ
ぐふ
『ザクとは違うのだよ!ザクとは!』
型式番号MS-07。
ランバ・ラル大尉の発した上記の台詞で有名だが、ベースとなったのは無論ザクである。
ザクⅡJ型に替わる陸戦用MSとして、YMS-08A 高機動型試作機と競合する形で開発が行われた。
開発にあたっては来たるべき地球連邦軍のMS運用を想定し固定武装を追加、シールドも左腕部に移動し、スパイクアーマーも大型化している。
装甲強度も飛躍的に向上しており、劇中ではガンキャノンの砲撃にも耐えて見せた(アムロにコアファイターのミサイルでやられた機体もあったが)。ただ、本機もザクⅡの設計概念を打ち破る事ができなかったのか、問題点の1つである動力パイプの露出は脚部を除いて改善されていない。
機動力の面では、陸上における運用のためラジエターの大型化とともに機体の軽量化が図られ、バックパックは廃案となった高機動型試作機のデータを基に製作された。
ザクでは指揮官機にのみ装備されていたブレードアンテナがグフでは標準装備されている。この理由については「最初からドダイYSとの連携を想定して開発されていたから」「エースパイロット用の機体と目されていたから」など諸説ある。
ザクⅡJ型の生産ラインに替わって量産化されたが、対MS戦に特化し過ぎたが故に汎用性では完全にザクⅡを下回ってしまい、熟練パイロット向きの機体として実際には運用された。
一年戦争時には主に部隊長機や指揮官機として配備された例が多く、ザクⅡほどでは無いが一定数のバリエーションと機体数が開発された。
戦時中にはグフの改良機として後継機であるグフカスタムが開発され、地球連邦軍極東方面軍との戦闘やオデッサ防衛戦で確認されている。
先述の通り、対MS戦に特化した近接専用兵装を固定装備しているが、下記のグフ先行量産型のようにマニピュレーターを通常タイプに差し替える事で、ザクの武装を流用して運用したケースもある(このタイプの形式はMS-07Aと呼ばれる)。
また'79年製らしいソフビシリーズでは、唯一右手に銃を持たなかった(ただし、握ったグー。)
ヒート・ロッド
先行試作型と標準装備型は固定武装として右腕部に伸縮式の電磁ムチであるヒートロッドが内蔵されている。
最長で17.5mまで伸び、特殊デンドリマーを積層することにより幾層からなる圧電アクチュエーターを構成し、各層に独立して電荷を与えることにより自在に動かすことができる。
それにより敵MSに絡みつき大電流を流すことで、電子回路を損傷させるとともにパイロットを感電させること(劇中の設定であり、実際には例えば車や航空機に落雷してもこのようなことは起こりえない)や、電流とともに熱を発生し敵装甲を溶断すること(こちらは実際にも起こりえる)も可能である。劇中では、ランバ・ラル機がこの武器を用いてセイラ・マスが操縦するガンダムの爪先を切断している。
ちなみにビームサーベル等で切られても残った部分で使用可能である。
5連装75mmマシンガン
左手には5連装75mmマシンガン(別名グフマシンガン/フィンガーバルカン/フィンガーランチャー)を内蔵している。
グフが得意とする格闘戦に持ち込むための牽制用射撃兵装。
指が太くなった事でマニピュレーターとしての機能が低くなってしまい、汎用性が低く前線での運用に問題があったとされているが一応指の関節にあたる部分が曲げられる構造になっており劇中の映像でも容易に関節部分を曲げている。
ザク・マシンガンと比較すると射程と威力は劣るが、砲身数と連射性能により牽制・制圧効果は高い。
ヒート・剣(ソード、サーベル)
グフのシールド裏に装備された、発熱物質で敵機を溶断する格闘兵器。ラル機が本機の切り札として使用している。「グフサーベル」とも。
一見ビーム・サーベルのように見える構造だが、これは高分子化合物で瞬時に刀身が形成される仕組みになっている。
ラル機以外はザクのヒート・ホークを使用している。
グフもまたザクと同じように幾つかのバリエーションが存在し、エースなどの専用機も存在している。
プロトタイプグフ | グフ先行量産型 | グフ飛行試験型 |
---|---|---|
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グフカスタム | グフ重装型 | グフ試作実験機 |
| ||
グフ複合試験型 | グフ・ヴィジャンタ | グフ戦術強攻型 |
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※:各機の詳細は該当記事を参照。
グフ・ハンター
雑誌企画『F.M.S.』に登場。型式番号MS-07F。
アジア方面に投入されたグフのバリエーション機。ジャングルでのゲリラ戦を目的として改修が行われており、武装もトリモチやゲル弾などを発射可能なハンドガン、ナイフなどといったゲリラ戦向けのものが新たに装備されている。また、ヒート剣やシールドといった通常のグフと同様の武装も用いる。
連邦軍によるボルネオ島での反抗作戦時に、ジオン軍のブルネイ基地に配備された機体が確認されている。
南洋同盟仕様
漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場。
一年戦争終結後に地球連邦から離脱を目論む南洋同盟が改修・運用する機体。背部に2基の大型ファンを有するフライト・ユニットを装備しているのが特徴で、ホバリングが可能であるうえ、ジャンプ機動時の自由度も向上しており、当時のMSとしては優れた空中戦能力を誇る。フライト・ユニット中央上部には兵員輸送用のコンテナをもつ。
同組織においては最高レベルの性能の機体。
グフ・カスタムとの共通点も多く、右腕にワイヤー式のヒート・ロッドを内蔵、左手は通常のマニピュレーターで、外付けの3連装ガトリング砲を装備する。また、ヒート・サーベルやシールドのほか、ザク・マシンガンやザク・バズーカ、ジャイアント・バズも携行する。
専用機
マ・クベ専用機
『MSV』に登場。
マ・クベ大佐専用のカスタム機体。
ギャンに似た頭部形状とカラーリング、各部に施された金色のエングレーブ風の装飾が特徴。だがマ・クベ本人はこの機体に乗らなかったらしくこの機体がどうなったのかは不明。
ヴィッシュ・ドナヒュー専用機
ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』に登場。
オーストラリア方面軍所属ヴィッシュ・ドナヒュー中尉の専用機で左手をマニピュレーターに換装し、グフカスタムのヒートロッドと3連装35mmガトリング砲を搭載した現地改修機。カラーリングは青で、ブレードアンテナと両肩のスパイクに白いラインが入っている。また、シールドには彼のパーソナルマークである隻眼のドクロのエンブレムがマーキングされている。
トーマス・クルツ専用機
ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記』に登場。
地球攻撃軍第5地上機動師団のゲリラ部隊G-27の隊員トーマス・クルツの機体。彼のパーソナルカラーである濃淡グリーンで塗装されている。
シャア専用機
絵本『機動戦士ガンダム』に登場。
あのシャア・アズナブル専用機でやはり赤い。
ショーンカスタム
漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト外伝 砂鼠ショーン』に登場。
一年戦争後に地球のとある砂漠で傭兵となった元ジオン軍リビングデッド師団隊員ショーン・ミタデラの搭乗機。南洋同盟仕様とほぼ同じ仕様であるが、コンテナは装備されていない。肩アーマーのスパイクもないが、ヒート・ロッドの電撃使用時にはスパイクのあった箇所から円筒形のユニットが突出し、ガンタンク2機を一度に破壊するほどの電流を放っている。
ザクに次ぐ古株なだけあってガンプラにおいても商品化に恵まれている方であるが、グフカスタム登場による再評価がなされるまではザクと比較してリファインデザインされたものはあまり出なかった印象がある。
放送当時は1/144及び1/100の所謂旧キットが発売されている。また、フル塗装版の1/144旧キットや、イロプラの1/250キット(こちらは共に現在絶版)も存在した。
MG及びHGUCは初期版とVer2.0(MG)、オリジナル版とリバイヴ版(HGUC)が存在。いずれの商品においても色違い版がプレミアムバンダイ限定で販売されている。
SDガンダム BB戦士シリーズにもラインナップ。 劇中同様にヒートサーベル、ヒートロッド、シールドが同梱する。
SDガンダムフルカラーシリーズにラインナップ。ヒートロッドを構えたものとヒートサーベルを構えた二種類が各々ラインナップ。 ※現在、入手困難
今でこそ陸戦型のMSとして扱われるグフであるが、初代アニメの放送時にこの設定は存在しておらず、初期シナリオ構想には宇宙にてグフ・タイプがガッシャとともに戦う案も存在していた。
アニメの放送短縮からグフ・タイプが宇宙で活躍することはなく、放送後は「ガンダムセンチュリー」や「MSV」にて地上戦用ザクとその延長線上にあるグフの設定が製作されるに至る。こうした事情からかは定かではないが、「ムーンガンダム」では宇宙用の改造グフタイプが計画されていたとしている。
また、ヒート・サーベルの設定において「高分子化合物で瞬時に刀身が形成される」と書いたが、メタ的に言うと最初の演出意図ではビーム・サーベルだった。後に「ジオン初のビーム兵器を搭載した機体はゲルググとギャンという設定ができてしまったために、後付けで設定変更された経緯がある。なお、ゲルググのプロトタイプである高機動型ザクⅡ(ゲルググ先行試作型)がビーム兵器を使える事になっているが、グフの設定を考慮したのか近接武器にヒート・剣を装備している。
このほか、ヒートロッド系列の武装はコズミック・イラにおいても採用例があり、グフイグナイテッドのスレイヤーウィップ、ギャンシュトロームのヒートロッドがこれらにあたる。
コメント
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