「ミハル、俺はもう悲しまないぜ……お前みたいな娘を増やさないためにジオンを叩く、徹底的にな!!」
機体データ
型式番号 | RX-77-2 |
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所属 | 地球連邦軍 |
開発 | 地球連邦軍 |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 18.1m |
頭頂高 | 17.5m |
本体重量 | 51.0t |
全備重量 | 70.0t |
ジェネレーター出力 | 1,380kW |
スラスター総推力 | 51,800kg |
センサー有効半径 | 6,000m |
装甲材質 | ルナ・チタニウム合金 |
固定武装 |
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携行武装 |
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解説
型式番号RX-77-2。地球連邦軍のモビルスーツ開発計画『V作戦』で開発された試作MSであり、連邦製MSで初の二足歩行を可能にした機体でもある。
メインパイロットはカイ・シデン、劇場版Ⅲ『めぐりあい宇宙』ではハヤト・コバヤシも搭乗する。
108号機
主にカイ機として実戦へ投入された機体。サイド7のスペースコロニー内で開発され、ジオン軍の襲撃に遭う中でホワイトベースへの搬入に成功し、ホワイトベース隊の戦力として活躍した。たまにアムロなどの他のメンバーが登場したこともある。
109号機
劇場版Ⅲで登場するハヤト機として実戦へ投入された機体。ハヤト機であったガンタンクが宇宙空間戦闘に適さない機体であったと言うことで、宇宙に上がる際にホワイトベース隊へ補填されており、終戦まで戦い続けている。
203号機
劇場版Ⅲのア・バオア・クー攻略戦においてガンキャノンが3機編隊で登場する場面があり、カイの108号機とハヤトの109号機に加えて確認された3機目の機体。詳細(パイロット、所属部隊、母艦等)については上映当時は明らかにされていない(後のスピンオフ作品ではいくつか取り上げられているが、どれが公式設定になるかは不明)。
機体解説
白兵戦用のガンダム、長距離支援用のガンタンクと連携して運用することを前提としており、本機は中距離支援に特化している。
最大の特徴はザクⅡの5~6倍とされる機体強度を持っていることである。これはシールドを装備しない代わりに正面装甲をかなり分厚くした結果であり、ガンダムと比べると運動性や機動性こそ劣るが、劇中ではジャイアント・バズの直撃にも耐えている。
一年戦争中の機体としてはなかなかの高性能機であり、特に中距離支援MSとしての性能は申し分ない程であり、連邦軍は本機を少数量産した他、ガンキャノンの設計をジムに取り入れることでジム・キャノンを生産。さらに戦争末期には、徹底的にコストダウンを図った量産型ガンキャノンを少数ながら投入しており、後の連邦系支援MSの原点ともなった。
尚、当初の予定ではナイフを使用するはずだったのだがTV放送に際して没になった結果、ビーム・サーベルやヒート剣などの近接格闘用の武器を持たないため格闘戦になると殴る蹴る、岩を投げ付けるなどの素手で戦うことになり、そのせいかゲームなどでは格闘家的なMSとして調整されている事もある。実際、作中でもアムロが乗った時にはパンチでザクを撃破していた。
武装
240mm低反動キャノン砲
本機を象徴する武装。有効射程はガンタンクに劣るものの、砲身に強制冷却ジャケットを装備していることから連射が可能になっている。岩に屈んで撃つ姿が有名。
スプレーミサイルランチャー
240mm低反動キャノン砲から換装して装備するミサイルランチャー。
名前の通り小型ミサイルを多数ばら撒く事で攻撃するものであり、手数で相手を圧倒する。
TVアニメ版や劇場版などの映像作品には登場しないが、ガンキャノンの武装バリエーションの一つとして設定そのものは存在しており、『MSジェネレーション』ではこれを装備したガンキャノンが登場した。
ビーム・ライフル
型式番号はXBR-M79-a。ガンダムが使用するものに比べると大型で取り回しづらいが、命中精度が高く射程が長いため長距離狙撃にも使用ができる。
ハンドグレネード
その名のとおり、マニピュレーターで掴んで目標に向かって投げるタイプのグレネード。劇中ではあまり使用されなかった。
60mmバルカン砲
こめかみに装備される牽制・迎撃用の機関砲。ガンダムが採用しているものとほぼ同じ。
その他
上記以外にも試作案としていくつかの武装が検討されており、背面に装着するキャノン・ミサイルや脚部に装備する4連装のポッド・ミサイル、手持ち式のガン・ナパームといった各種ミサイルに加え、格闘戦用のヒート・ジャックや右肩に装着するキャノン・シールドなどがあった。
これらの武装は、元は玩具用にデザインされたものである。
TV版第22話では弾切れになった際に岩を投げており、一部ゲーム作品では武装として登場している。
また一部のゲームではシールドを装備している事もあった。
バリエーション
研究用素体モビルスーツ
型式番号RXM-1。
模型企画『MSV』に文字設定のみ登場。
ガンタンクに続いて試作された研究目的のテスト機で、初めて2足歩行を採用した連邦軍製MSとされる。ジオンからの亡命技術者の協力や入手されたザクのデータを活用して開発され、バランサーなどの各種技術の試験に供された後、ガンキャノンへと発展した。
なお、「フルスケールテストタイプビークル」や「テストタイプロボット」などとも呼ばれる。
ガンキャノン初期型
型式番号RX-77-1。
『MSV』に文字設定のみ登場。
研究用素体モビルスーツと実戦配備されたガンキャノンの中間に位置する機体だが、下記のガンキャノンAとの関連も含めて一切の詳細が不明となっている。
- ガンキャノンA
型式番号RX-77-1A。
雑誌企画『M-MSV』に登場。
ガンキャノンの試作段階でのバリエーションのひとつ。
接近戦用の装備を持たない代わりに厚い装甲を持つガンキャノンの機動力を落とさない範囲で、最大の効果をもつ装甲パターンの研究に使用された。
肩部や腕部などの機体各所に増加装甲が装着されている他、オプション武装の試験を目的として腰部の両脇に3連ミサイル・ポッドが追加装備されている。
ガンキャノン重装型
型式番号RX-77-3。
『MSV』に登場。
ガンキャノンの装甲強化型。
詳細はガンキャノン重装型を参照。
- ガンキャノン重装型タイプD
型式番号RX-77-3D。
雑誌企画『MSV-R』に登場。
ガンキャノン重装型の機動性・汎用性を強化した機体。
詳細はガンキャノン重装型タイプDを参照。
ガンキャノンⅡ
型式番号RX-77-4。
『MSV』に登場。
ガンキャノンの試作機としての最終生産型。
詳細はガンキャノンⅡを参照。
- ブルG
型式番号RX-77-4BG。
漫画・アニメ『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場。
ガンキャノンⅡの発展試作機。当初はジム・キャノンⅡの頭部を装着していたが、アナハイム・エレクトロニクスによってガンダムタイプへと改修されている。
詳細はブルGを参照。
量産型ガンキャノン
型式番号RX-77D。
アニメ『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場。
地球連邦軍再建計画内の中距離支援機の開発プランにおいて試作されたMSの1つ。ガンキャノンの量産型もしくは量産検討機とされる機体。
詳細は量産型ガンキャノンを参照。
- 量産型ガンキャノンⅡ
型式番号RX-77D-4。
ゲーム『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』に登場。
地球連邦軍再建計画内の中距離支援機の開発プランにおいて試作されたMSの1つ。ガンキャノンの直系ではなく、ジム・スナイパーⅡの系列機。
詳細は量産型ガンキャノンⅡを参照。
ジム・キャノン
型式番号RGC-80。
雑誌企画『MSV』に登場。
部品や生産ラインなどをジムと共有する形で開発されたガンキャノンの量産型。
詳細はジム・キャノンを参照。
陸戦型ガンキャノン
型式番号RX-77[G]。
漫画『機動戦士ガンダム GROUND ZERO コロニーの落ちた地で -RISE FROM THE ASHES-』に登場。
ガンキャノンの規格落ちした余剰パーツを用いて急造された陸戦仕様という、ガンキャノン版陸戦型ガンダムと言うべき機体。コア・ブロック・システムのオミットやリミッターによるパーツの性能の均一化といった措置も陸戦型ガンダムに準じている。
また、武装面でもガンキャノン本来のものに加えて陸戦型ガンダムなどと同様の100mmマシンガンを携行する他、ヒート・ダガーといった独自の武装も備えている。
少数が生産されており、オーストラリア反攻作戦に参加した機体が、増援としてカーナボン基地へ向かう途中にヴィッシュ・ドナヒュー率いるジオン軍部隊と交戦した事例が知られる。なお、当該機はオセアニア戦線仕様として亜熱帯・水中戦向けの改修が施されている。
また、アジア戦線での「デザート・ドラゴン作戦」にも近い仕様の機体が投入されたという。
ガンキャノン港湾防衛タイプ
雑誌企画『機動戦士ガンダム 第08MS小隊外伝 TRIVIAL OPERATION』に登場。
港湾の防衛を担うガンキャノンの派生機。右肩のキャノン砲が対潜魚雷8発に換装されており、これを陸上から水中の敵に向けて放つ形で戦闘を行う。また、100mmマシンガンを携行している。
連邦軍によって占領された後のキャリフォル二アベースなどに配備されている。
ガンキャノン最初期型
型式番号RX-77-01 / RCX-76。
『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』に登場。
各種設定を整理(リライト)する中でオリジナル設定された機体。一部の機種はOVAで映像化もされている。
いわゆるパラレルワールドとなる本作では、アナハイム・エレクトロニクス社が初めて完成させた人型機動兵器で、原作アニメの中堅どころの高性能機というポジションから比べると、ジムやザクにすら劣る弱機体と扱われている(これらの改変からあまり好印象を抱かないファンもいる)。
現に、ジオンから亡命するミノフスキー博士を救助するため、月面に出動した1個中隊12機がランバ・ラルのブグ1機と黒い三連星、シャア・アズナブルのザクⅠ4機と交戦して母艦ごと全滅、更に博士もガンキャノンの下敷きになって死亡するという連邦側にとって最悪の結果に終わってしまった。
詳細はガンキャノン最初期型を参照。
ガンキャノン(ククルス・ドアンの島版)
型式番号RX-77-02。
映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』に登場。
前述のガンキャノン最初期型からの流れを組むためか、ジオンからは「旧式に毛が生えた程度」の扱いとなっている。装備は肩部ハードポイントが設けられており、低反動砲とミサイルランチャーユニットを状況に応じて換装可能となっている。
本作でのカイ機は104号機となっている。
ガンキャノン(サンダーボルト版)
型式番号RX-77。
『サンダーボルト』に登場。
キャノンが背中のバックパックから生える形となっており、さらに本作は量産型RX-77Dは一切登場せず普通のガンキャノンが量産されている。
ガンキャノン・アクア
型式番号RX-77AQ。
『サンダーボルト』に登場。
ガンキャノンを元に開発された水陸両用MS。キャノン砲とビーム・ライフルに代わって3連装の魚雷発射管とニードルガンを装備している他、ランドセルの推進器もハイドロジェットに改められている。
宇宙世紀0080年、ペガサス級強襲揚陸艦「スパルタン」に配備された機体が、南洋同盟に対する「サンダーボルト作戦」に参加している。
ガンキャノン・ディテクター
型式番号MSA-005K。
雑誌企画『Ζ-MSV』に登場。
グリプス戦役後期にカラバで開発された砲撃戦モビルスーツ。
ガンキャノンの直系ではなく、メタスの系列機。
詳細はガンキャノン・ディテクターを参照。
パンツァーガンキャノン
PCゲーム『SDガンダムウォーズ』に登場。
アースサイド所属のガンキャノンのバリエーション機体。
機体色はグレーとダークグリーン。武装はバルカン、ビームライフル、背部の400mm無反動砲2門。
ダミーメカ
プラモデル「SDガンダム BB戦士」に登場。
ガンキャノンの姿を模した機体で、機体構造は「骨だけ」と形容される簡素なものになっている。
頭部は巨大なモノアイを有する形式のものだが、ガンキャノンの外装を装着することも可能。また、ガンキャノンと同型のランドセルとキャノン砲を装備している。
- ダミーメカ・ヘビーウェポンタイプ
ガンキャノン重装型と同仕様の装備を換装した形態。
ガンキャノンヘビー武装型
漫画『ガンプラ甲子園』に登場。
「ガンダムヘビーアームズのデザインのルーツはガンキャノンなのでは」という発想に基づき、富良野匠(タクミ)がミキシングビルドによって製作したカスタムガンプラ。「バスターモード」とも呼ばれる。
ガンキャノンの両腕部を、携行武装のダブルガトリングガンともどもガンダムヘビーアームズカスタムのものに差し替えるとともに、脚部にもヘビーアームズカスタムのホーミングミサイルを装着している。
立体物
1/144、1/100、元祖SDガンダム、BB戦士、リアルBB戦士、HGUC、MG1/100シリーズ、ガシャポンシリーズにラインナップ。
BB戦士は、シリーズ初のクリアパーツ・内部メカディテール採用型でダミーメカ、追加装備などボリュームのあるキット内容となっている。また、当時販売されていた「スパゾン倶楽部」(『スパイラルゾーン』のSDシリーズ)などのフィギュアの頭部を仕込んであげると機動歩兵風なお遊びができるという。
リアルBB戦士は、バイザー部にクリアパーツが採用され、ライフルの照準器とキャノンが可動する。肘関節・腰関節が組み込まれ、手首にロール可動も追加されたことで大きく動かすことができる。ガンダム、ガンタンクが同梱したV作戦セットにはデカールが同梱されている。
MGは20年前の製品であるがクォリティが高く、膝関節の独自のアレンジなども好評だが、2022年現在新品価格が高騰しているので注意。
ガシャポン「SDガンダムフルカラーシリーズ」にラインナップ。TV放送仕様と劇場版仕様の二種類が存在し、劇場版仕様は108 109のナンバリングが各々施されている ※現在、入手困難
- 余談
現在、ガンプラにおいて最も多くのラインナップを誇るHGUCシリーズにおいて記念すべき第一弾を飾ったモビルスーツでもある。
また第190弾として関節・可動域・スタイル等を見直したリバイブ版も発売された。
ちなみにリバイブ版でも1番手を務めている。
余談
- 小説版『機動戦士ガンダム』では、シールドが装備されていることと装甲が厚く生存性が高そうに見えることを理由に、アムロはガンダムではなくガンキャノンへの搭乗を希望していた。
- また、小説版ではハヤト機はニュータイプ部隊との交戦中にシャアが駆るリック・ドムに撃墜されるが、カイ機はキシリアに協力し、シャアの率いるニュータイプ部隊と共にジオン本国を強襲する。最後にはジオン共和国に接収された。
- 203号機のパイロットは正体不明だが、PS3ガンダム戦記ではビームライフルで応戦するエリクのゲルググに対してバルカン砲で牽制しながら真正面から接近し、態勢が崩れたゲルググの盾を踏み台にしてザクⅡを撃墜している。ガンキャノンは盾も持たずに突撃しており、エリクに言わせると「キャノン(砲戦MS)があのスピードなのか!!」であり、砲戦MSは鈍重と言う認識を覆されたことに困惑している。
- もっとも、カイやハヤトもキャノンで真正面から接近して近接格闘戦を行う連中なので、ホワイトベース隊の実力が天元突破している。
- また、PS3ガンダム戦記においてカイやハヤトでは無く203号機がピックアップされた件だが、監督の松尾衡氏や原画の担当スタッフたちの話によれば監督の希望でカイの108号機として出す予定で絵コンテを進めていた。しかし、急遽203号機へ変更する指示が来たとのこと。
- この変更に関して、発売後に行われたアバンタイトルインタビューでプロデューサーである稲垣浩文と梅崎淳志の両名で下記の通りそれぞれが語っており、設定不詳の3機目のガンキャノンに白羽の矢が立ったとのこと。
- 稲垣︰ガンキャノンを出すなら、203号機がいいな、と思っていたんですよ。203号機はだれが乗っているかわからないガンキャノンなんですが、「めぐりあい」でワンカット映っているんですよね。カイとハヤトの108号機、109号機もいるんですが、エリクとは出会わない方がいいかなぁ、と。
- 梅崎︰はじめ松尾監督は108号機か109号機がいいなぁと言われてましたね(笑) でも、出会ったらエリクがやられちゃいそうですし。203号機もホワイトベースの所属機で、ひょっとしたらジョブジョンが乗っているかもしれない(笑) 映像でもエリクのゲルググを倒すまでもなく踏み台にしてますから。
- この変更に関して、発売後に行われたアバンタイトルインタビューでプロデューサーである稲垣浩文と梅崎淳志の両名で下記の通りそれぞれが語っており、設定不詳の3機目のガンキャノンに白羽の矢が立ったとのこと。
- 『東方Project』の八坂神奈子が赤い衣服を纏い御柱をキーアイテムとする姿からガンキャノンに例えられる事が多い。
- 『艦隊これくしょん』に登場する白露型駆逐艦2番艦の「時雨」は、手持ちの主砲を背中にマウントした姿で描かれているため、しばしば本機に例えられることがある。
- 『ビデオ戦士レザリオン』の物語後半に登場にシークレットフォースに追加導入されるカスタム戦闘ロボット・GシリーズのG5は肩等に四本のキャノン砲を背負い、まるでガンキャノンを連想する。
- 福岡ソフトバンクホークスに所属している捕手甲斐拓也は強肩の持ち主であり、通称「甲斐キャノン」と呼ばれている。これはガンキャノンとパイロットが「カイ」であることから名付けられた。