概要
『BB戦士』とは、1987年にバンダイから販売されたプラモデル、ガンプラの一シリーズ。
MS以外にも主に『SD戦国伝』・『SD三国伝』を中心とする『SDガンダム』シリーズの作品に登場するキャラクターを扱っている。
対象年齢層が低めに設定されている事もあって基本的に低価格なのが特徴だが、ランナーの色分け等が通常のガンプラと比較すると、若干犠牲となっていたり(いろプラ採用の商品と非採用の商品が混在する)、1シリーズ内のキャラクターが完全に揃わないという場合も多いため、突き詰めると細かい塗装技術やパテ・接着剤などの道具を使う事が要求されるなど、意外と奥が深い。
また、モチーフ上鎧武者や騎士の甲冑など、豪奢かつ緻密なデザインとなっている物も多く、幾多のモデラーやアニメーターを葬ってきたシリーズでもある。
豪奢さを再現するため、一時期はメッキパーツや蓄光パーツ等の特殊素材が多用された事もあり、挑戦的な素材やギミックも魅力の一つ。
こうした素材やギミックへの挑戦は、ホイルシールの流れを作ったアルミホイルのシールやクリアパーツなど現在のガンプラにも影響を及ぼしており、本シリーズはいわば「新素材のテストベッド」としての役割も持たされていた。
No.1〜No.6までの初期シリーズは頭部が小さく脛もあるなど、頭身が高めであり、各MSの名称も「ガンダマン」や「ドラクン」などと元の名称からアレンジが加えられている。
付属のBB弾はランナー成型されており、BB弾を当てて遊ぶための的も付属していた。
世界観もそれぞれが連邦・ジオン側に分かれて「スナイバルバトル」と呼ばれる競技で競い合うという物だった。
『BB戦士』の名前は、これらの初期の製品にBB弾発射ギミックが含まれていた事に由来する。
しかし、思った程には人気が振るわず、当時盛り上がっていたSDガンダムのプラモデルへと方針を変えた事で現在に至る「SDガンダムのプラモデル」という流れが出来た。
後の製品では発射する弾丸の形状が矢やミサイルなどに変わっていき(『No.17 武者ガンダム』のカブトが飛び出るギミックもこの一つであり、このギミックを活かす事で武者頑駄無お馴染みの軽装タイプが生まれる事になった)、安全基準の関係もあってそれ以降の新製品には発射ギミック自体がなくなるなど、事実上BB弾の発射ギミックは消滅していく流れとなる。
『SD戦国伝』も転機となりBB戦士が商品展開の中心となったシリーズも生まれる事になる。
No.7以降のBB戦士は脛がなく、頭部も大きくなった2頭身となり、以降はこのスタイルが一般的となっていたが、『SD三国伝』を初めとした近年の製品は初期のラインナップのような脛あり・小さい頭部のスタイルに戻っている。
また、前述の通り弾丸発射ギミックが採用されなくなった事により、本来の『BB戦士』としての名前に矛盾が生じてきたからか、『SD三国伝』の副題には「Brave Battle Warriors(ブレイヴ・バトル・ウォリアーズ)」という新たな解釈が与えられている。
低価格子供向けなシリーズではあるが、かつて本シリーズに触れていた世代を対象とした『LEGEND BB』のようなハイターゲット向けの商品もある。
そしてNo.400へ…
2016年5月、『レジェンドBBシリーズ』のNo.400として騎士スペリオルドラゴンがリリースされる事になった。
スペリオルドラゴンは『元祖SDガンダム』を筆頭にいくつかのシリーズで立体化が実現しているが、BB戦士としては史上初となる。
2024年現在は限定商品の形で既存キットのバリエーションが出続けてはいるが、一般流通の完全新作が出ない状態となっている。
最後のナンバリングは2018年の『BB戦士412 貂蝉キュベレイ&武将座』。
2023年の開発担当へのインタビューではSD世代が30代、40代になった事によるカテゴリー分けの意識、『三国創傑伝』が既存アイテムが400を越えているBB戦士に対して新規ユーザーが躊躇する(そしてBB戦士の流れと分かる人には分かってもらえる)という理由から、BB戦士としてカウントされなかった事が語られている。
実際、SDガンプラとしては後述するような現行作である創傑伝やSDWがメインで展開する中で、SDEXやSDCSがその間に出るという形になっており、SDガンプラの展開そのものは継続している事や従来のBB戦士が担ってきた役割が細分化している様子は見られる。
ファンからはこのようなSDガンプラを取り巻く事情の変化などが原因では?と考えられており、BB戦士の完全新作を望む声もある(頭身のこだわり、単純に慣れ親しんだシリーズだから、LGBBの構造が好きなど、この辺の好みはファンそれぞれである)。
一応、インタビューでも触れられており、前述のようにバリエーションは出ているのでBB戦士が終わったとは断言出来ないが、現状ではこれから先の展開は不明である。
関連商品
ちーびー戦士
詳細はちーびー戦士の記事に。
ジージェネシリーズ
『BB戦士』のリデコレーションキットとして『SDガンダムGジェネレーション0』とのタイアップで発売されたキット。
Gジェネ基準のため、パッケージアートや説明書の作例などでは瞳が描かれていない(本シリーズの展開があった時期は、新作の『BB戦士』も含めてMGを意識したパッケージアートとなっている)。
基本的には旧製品と同一の仕様だが、付属のシールやランナーの成形色などは一部変更されている(アレックスがジム・カスタムとなったようにキット名義が旧製品のコンパチ先となったパターンも多い)。
当初は『G-ZEROシリーズ』としていたが、ゲームの次回作が発売されてからは『Gジェネシリーズ』と称するようになった。
また、これら過去の『BB戦士』の新規パーツ追加キットが出揃った後は、同スケールの新規製作のキットがラインナップされた(ほとんどの新規キットは、天星七人衆編のキットより採用となった手足頭接続用ポリキャップに外装パーツを組み付けるというムーバブルフレームのような構成となっている)。
実はガンダム試作4号機やクロスボーン・ガンダムのように、このシリーズの後期製品が初立体化という物が意外とある。
SDBF
『ガンダムビルドファイターズトライ』に登場したSDガンダムのガンプラのキット。レジェンドBBシリーズより安価で通常のBB戦士より高価という立ち位置。レジェンドBB戦士や後述のSDガンダムEXスタンダードに近いフォーマットである。ウイニングガンダム、スターウイニングガンダム、紅武者アメイジング、S×D×Gガンダムの四種類が存在。
SDBD
『ガンダムビルドダイバーズ』シリーズに登場したSDガンダムのガンプラのキット。RX-零丸、ヴァルキランダー及びそのバリエーションが存在。それぞれフォーマットは異なる。
SDガンダムEXスタンダード
低価格初心者向けSDガンダムのガンプラ。
海外で先行展開されていたシリーズ。
安価ゆえに、主にシール頼りで色分けなどが劣る一方、細かなディテールの採用やHG系ガンプラとの連携が可能な独自のギミックを持つ(武器パーツを組み合わせて、HGのガンプラに持たせる事の出来るオリジナル武装を作る事が出来たりする)。
可動性能(LGBBに近い構造)や、従来のSDから頭や胸を小さくし手足を伸ばしたスタイルが公式サイトでも売りとしている。また、瞳シールを一切採用していない。
初心者向けであるため知名度を考慮し、映像作品の主役ガンダムやそれ並みの活躍や人気がある機体が選定基準となっている(海外で展開が始まったシリーズなので海外人気もあると思われる)。
日本で展開されてからは『機動戦士ガンダム水星の魔女』『機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM』といったアニメ新作にHGと合わせる形で初期主役機がラインナップされている。
入門用の手軽なガンプラという点ではBB戦士に近い物があるが、外見が従来のBB戦士とも異なる印象を与えるシリーズといえる。
なお、ガンダムバルバトス、ガンダムバルバトスルプスは、海外ではこちらで先行発売(日本でもガンダムベース限定で発売)されているが、日本では多数の付属品を追加させてBB戦士名義で発売している。
SDガンダムクロスシルエット
2018年より展開されるSDガンダムのガンプラ。SDフレームとCSフレーム(クロスシルエットフレーム)で頭身を変更出来るギミックを持つ。
シルエットブースターによる可動やハンドパーツの拡張も可能。
BB戦士やSDEX、SDWと一部互換性があり、クロスの名の通り、カスタマイズやSD以外のガンプラへのステップアップが想定されている。
当初は一部を除いてCSフレームは別売りだったが、再販頻度が減少し入手困難になった事もあってか、2023年からの商品は同梱が基本となった。
その結果もあってかやや高めの値段となっているが、その分武装やギミックがある場合はこちらが担っている様子。
その影響もあるのかSDEXで出た主人公機の後継機がラインナップされたり、新規や海外向けなのもあり人気どころを中心に選定しているSDEXやSDWと比較すると映像作品外やゲーム作品出身のMSもガンプラ化している。
三国創傑伝、SDW HEROES
2019年より展開されている『SDガンダムワールド 三国創傑伝』から始まるSDガンダム作品群のガンプラ。
海外展開から始まったが、SDWからは日本でも同様に展開されている(詳細は『三国創傑伝』の記事で)。
MSの選定には中国・アジア人気も参考にされた(そのためかガンダムタイプが多く、モノアイ機が控えめ)。
SDガンプラを中心としたシリーズではあるが、前述の事情から新規ユーザーへの配慮でBB戦士でのカウントは見送られている。
クリアパーツの多用が特徴。太ももがあり頭身が高めだが、デザインを主に担当した宮内利尚の方針からパーツの配置によってサイズ感や太ももや二の腕を隠す事で二頭身の密度感を目指している。デザインが複雑な傾向にあり、無塗装でもクリアパーツのおかげで見た目こそ悪くないが、設定通りの塗装を再現するとなると従来のBB戦士以上にハードルが高いと評判。
映像作品が終了した外伝からは、スペリオルドラゴンの名を冠するキャラクターや輝羅鋼の復活など従来のSDガンダム作品を意識した要素も大きくなっている。
新規向けの作品ではあるためか、創傑伝は同じ三国志モチーフの三国伝とは直接の関係はなく、スペリオルドラコンも既存のスペリオルドラゴンとの関係はないなど小ネタの範囲となっている。
関連タグ
SDガンダム バンダイ ガンプラ ちーびー戦士 SDBF SDBD SDガンダムEXスタンダード SDガンダムクロスシルエット