データ
型式番号 | MS-18E |
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所属 | ジオン公国軍 |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 17.7m |
本体重量 | 43.5t |
全備重量 | 78.5t |
出力 | 1,550kw |
推力 | 159,000kg |
センサー有効半径 | 6,100m |
装甲材質 | チタン合金セラミック複合材 |
武装 |
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概要
ジオン公国軍の試作型強襲用モビルスーツであり、未完成機であるジオングを除いたジオンの最終MSの1つ。曲線を多く取り入れたマッシブかつ先鋭的なデザインには、現在もファンが多い。
デザイナーは出渕裕。
そのためか、同氏がメカニックデザインで参加した漫画・アニメ『機動警察パトレイバー』の機体とデザインが似通っている。
E型
型式番号は襲撃型 (Einhauen type) または試作実験 (Experiment) の頭文字からMS-18Eとされている。
機体説明
初期生産型のYMS-18 プロトタイプ・ケンプファーをベースとして本機はスカートアーマーが廃された事を除けば大幅な変更を施されず、せいぜい外装の変更程度に留まっている。
運用もYMS-18と同様だが、強襲用という目的のため、大推力のスラスター及び姿勢制御用バーニアスラスターを全身に装備し、前傾姿勢での滑走が可能で、高速で目標に辿り着く事ができる。また、武装はビーム兵器のような機体のジェネレータの出力を割く兵装を避け、ショットガンやバズーカなどの実体弾系の兵装を主兵装とする。
これにより連続した攻撃を行っても機動用出力には支障が出ないよう意図されている。
また、弾薬を全弾射耗した後は専用ジョイントパーツごと排除・破棄可能で、デッドウェイトにならないように考慮されている。
装甲材質はMS-17 ガルバルディαまで使われてきた超硬スチール合金から一転してチタン合金セラミック複合材への変更が行われている。さらに、前傾姿勢時に正面から見える部分のみに留める等、徹底的な軽量化が施されており、高い機動性に貢献している(前傾姿勢は、正面投影面積を極力減らすことによる被弾率低減及びMS-09 ドム以降改善の兆しが見えていなかったMSの空力特性の改善を意図したものである)。
また、特殊任務での使用を想定しており、分解状態での搬送及び容易に組み立てられるように設計されている。この構造の目的はメンテナンスの円滑化にあったとも言われている。
これらの特性から本機は極めて優秀な機体であり、徹底した強襲戦特化により爆発的な攻撃力を持つ。その戦闘力は地球連邦軍のRXシリーズにも引けを取らないとさえ言われている。
一方で軽量化による高速性・高機動性追求のため前面装甲以外は薄くなっており、スカートアーマーなど一部装甲は完全に廃されてしまっている。
一年戦争終戦直前の統合整備計画から誕生したため正確な生産機数は不明だが、運用試験を経てロールアウトした機体は特殊任務を行う部隊へと配備された。
その性質上、MS-18タイプの存在は一般には殆ど知られていないが解体・組立の容易さからか数機が出回っており、戦後はアクシズ艦隊等で使用されている。
同様のコンセプトの機体としてガルスJをベースに軽量化・高機動化を施したシュツルム・ガルスがネオ・ジオンの残党「袖付き」によって開発され、武装もケンプファーと同型のチェーンマインとズックス社のショットガンを装備している。
武装
60mmバルカン砲
ジオン系MSでは珍しく、頭部に内蔵された機関砲。
ビーム・サーベル
ゲルググにも使われたデバイスから派生し、次世代機用に少量生産されたもの。ジェネレータの出力を割く兵装を避けている本機唯一のビーム兵装で、両大腿部に収納されている。
197mm口径専用ショットガン(型番ZUX-197:ヤクトゲヴェール)
ズックス社が開発した実弾兵装。強襲用の機体専用に考案された多目的自動ショットガンで、ショットシェルから9発のルナチタニウムコーティングを施したOO(ダブルオー)バック弾を発射する。信頼性を重視して手動によるポンプアクションで装填するタイプだが、場合によっては電動機構による自動装填も可能。
『UCアームズギャラリー』設定ではエアバースト弾、対装甲スラッグショット弾、信号弾、ガス弾など多数の弾種が有るとされ、その中でも代表的な存在がエアバースト弾であったという。
装弾数は使用弾種によって異なるが、劇中で使用された物は3〜5発。対MSはもとより、散弾により隊列を組んだ装甲車や宇宙艇などの小型目標を一度に撃破することができる。また、持ち手にストックパーツを追加したものもある。
ジャイアント・バズ
リック・ドムⅡ等が標準的に装備するものと同型の武装で、背部ラッチを介して2基装備可能。
シュツルム・ファウスト
両脛部のラッチに装備された簡易型のロケットランチャー。命中率は低いが、強力な破壊力を持つ。
チェーン・マイン
13基の吸着型機雷で構成された連結型機雷兵器で、MSや敵艦艇に絡み付き装甲を破壊する。内蔵されたセンサーによって対象に取り付いたユニットのみを識別して爆破し、その他のユニットは連結部から取り外される仕組みになっている。
ケンプファー単独での携帯ができないため、あらかじめトラック等に隠匿する必要がある。
劇中での活躍
OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』では、サイクロプス隊のミハイル・カミンスキーが搭乗し、コロニー内部で戦闘を行っている。
高い機動性を生かし、地球連邦軍のグレイファントムから出撃した
スカーレット隊を全滅に追い込んだ。
その後は標的であるガンダムNT-1の眼前に到るが、パイロットのクリスチーナ・マッケンジー(クリス)中尉が乗り込んで緊急起動させたために即時破壊は果たせなかった。
しかも先のスカーレット隊との戦闘で武装のほとんどを消耗した上、この時点で残っていた専用ショットガンの残弾もなくなったため、前もってトラックに隠匿したチェーンマインを使用する。しかしチョバムアーマーに阻まれてしまい、サーベルで格闘戦に持ち込むもNT-1の腕に内蔵していた腕部90mmガトリングガンをまともに受けて破壊される。
装甲を犠牲にした強襲用MSの欠点・限界があらわになった敗北となった。
紙装甲?
上述の通り、劇中ではガンダムNT-1の腕部ガトリング砲を至近距離から受けて、一瞬で蜂の巣にされてしまった。
ビーム兵器ならばともかく、過剰火力とはいえ実体弾兵器でここまで大損害を受けて一瞬で大破させられたモビルスーツは全シリーズ通しても珍しく、装甲が薄い機体の代名詞として知られている。
『ポケ戦』がモビルスーツのもたらす破壊についてリアルかつシビアな演出が多いことや宇宙世紀0079年を舞台にした他の作品でモビルスーツがバルカンで撃破される例がある(初代ガンダムではザクがガンダムのバルカンで撃破された例があった)ことなどを考えるとケンプファーの装甲については劇中描写では判断が難しい。
ケンプファーをデザインした出渕氏は『出渕裕メカニカルデザインワークス』で「機動力を持たせるかわりに、装甲を薄くしている」とコメントしている。
ただし、総合能力では優秀な機体であることは疑いなく、ゲーム作品などでは一概に高い能力の機体として登場することが多い。
出演作品について
デビュー作となる『ポケットの中の戦争』のほか、北爪宏幸の漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』や、夏元雅人の漫画『GUNDAM LEGACY』にも登場する。
また、メカデザイナーの小林誠による漫画作品『Gの伝説』や、漫画家の近藤和久の画集『ART OF GUNDAM STANDBY OK』等にもそれぞれの作家独自のアレンジが施された(いわゆる小林版、近藤版)ケンプファーが登場するが、いずれも現在は絶版である。
古本屋等で見かけたら速攻で確保すべし。
バリエーション
プロトタイプとF型系列を除いて、基本的にE型のバリエーションとなる。
- プロトタイプ・ケンプファー
型式番号YMS-18。
ガンプラ「1/144 MS-18E ケンプファー」(旧キット)の説明書に登場。
緑のカラーリングが施されたケンプファーの初期生産型。頭部や胸部コクピット周りと肩部のアーマーや爪先の形状、腰後部のスカートアーマーの有無などに違いが見られる。
詳細はプロトタイプ・ケンプファーを参照。
- シルバー・ランス
夏元雅人の漫画『GUNDAM LEGACY』に登場。
惑星間巡航用核パルス推進ブースターを改造した惑星間航行兵器で、高速で目標に接近した後に、内蔵した気化弾頭による自爆が主な運用方法となっている。そのため、当初は無人機運用となるはずだったが技術的な問題から有人仕様とならざるを得なかった。
ケンプファーE型は制御ユニットとして組み込まれており、自衛戦闘の他にブースターを切り離すことができる。
パイロットは狼の鉄槌所属のリリア・フローベール。
宇宙世紀0084年に、ジオン共和国へのテロ行為を目的とした「シルバー・ランス作戦」に投入される。
- ティターニア
型式番号MS-18NF。
ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy』に登場。
ノイジー・フェアリー隊が全面改修した機体。HLVから回収したケンプファーE型をベースとして、全身に新規装甲とそれに伴う重量増加をカバーするスラスターが装備されており、パイロットのアルマ・シュティルナー少尉に合わせた高機動型MSとして仕上がっている。
詳細はティターニアを参照。
- ケンプファー(F型)
型式番号MS-18F。
「1/144 MS-18E ケンプファー」説明書に文字設定のみ登場。こちらも名称は「ケンプファー」とされる。
ビーム兵器を搭載武装の主軸としたMS-18タイプとされる。サイド3本土決戦への投入を目指して計画が進められていたようだが、詳細は不明。
- 高機動型ケンプファー
型式番号MS-18F。
ゲーム『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』に登場。
月面に潜伏していたジオン軍残党がテロ活動の際に用いた機体。
F型をベースとして、アナハイム・エレクトロニクスによって横流しされたガンダム開発計画(GP計画)の試作パーツを用いた改修が施されており、3基のシュツルム・ブースター・ユニットが取り付けられた特異な姿は、後のガーベラ・テトラを彷彿させる。
パイロットは元ジオン学徒兵のミチェル・カノ。
宇宙世紀0082年に、月面都市フォン・ブラウン近郊でのテロ行為を目的とした襲撃に投入される。
詳細は高機動型ケンプファーを参照。
- RFケンプファー(前期型)
型式番号OMS-18ERF。
漫画『機動戦士ガンダムF90FF』に登場。
ジオン系テロリスト「NSP」(後のオールズモビル軍)がテロ活動の際に用いた機体。
パイロットはNSP所属のキッチ・キッチナー大尉。
宇宙世紀0116年に、フロンティアⅠに対するテロ行為を目的とした襲撃に投入される。
詳細はRFケンプファーを参照。
- ケンプファーアメイジング
型式番号PPMS-18E。
アニメ『ガンダムビルドファイターズ』に登場。
三代目メイジン・カワグチ専用機として製作された、ケンプファーをベースにしたカスタムガンプラ。
詳細はケンプファーアメイジングを参照。
- ケンプファー・シュヴェーア
「ガンダムビルドダイバーズ Genius Head Line」に登場するケンプファーを改造したガンプラ。黒曜という謎のダイバーの機体で、ブラックでカラーリングされている。
立体物
1/144、HGUC、MG1/100、BB戦士、ガシャポンSDガンダムフルカラーシリーズに各々ラインナップ。
ガシャポンSDガンダムフルカラーでは、チェーンマインを構えた固定モデルとなっている。※現在、入手困難。
余談
ちなみに、メディアファクトリー、MF文庫Jより刊行されているライトノベルは『けんぷファー』なのでお間違いなく。
関連イラスト
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ガンダムNT-1 ジム・コマンド ジム・スナイパーⅡ 量産型ガンキャノン ズゴックE ハイゴッグ ザクⅡ改 ジム寒冷地仕様 ゲルググJ リック・ドムⅡ シュツルム・ガルス
コルレル:こちらも機動性のために装甲を犠牲にした機体で、同じくガンダムのガトリング一斉発射で一瞬で大破させられた。
ガンダムグシオン:こちらは逆に重装甲の強襲用MSで格闘戦が得意。
スカーレット隊:ケンプファーに全滅させられた部隊。